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第5章 ◇怒涛の 1st WEEK
◆23 白猫の恩返し
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普段は絶対に甘えてこない気位の高い猫に優しく擦り寄られている……そんな贅沢な気分になって、細い身体を抱きながらその柔らかい髪をそっと撫でた。
肌が白くて淡い髪色の今のユキを例えるなら、どんな猫がいいだろう。ペルシャとか、ラグドールみたいな優雅さがあるよな……などと、ユキの香りに包まれぼんやり思う。
その匂いは、俺の知らない新しい香りだと、その時初めて気付いた。これまでは、俺の香水を真似することが多かったのに。
「……本当に、成長したなぁ」
「誰かさんのお陰です」
クスリと笑いが溢れた。
様子のおかしい俺を心配して――自分から大胆な行動に出てくれるなんて、文句のつけようもない。
『ホストとしての正解』をユキに見せられちゃったかな……と思いながら。
(もしかして、これは慰めてくれてたり――するのか?)
……複雑な想いが浮かぶ。
精一杯、意地を張って強がってみても、結局、ユキに心配をかけている俺。
(……かなり、カッコ悪いんだけど)
溜息と共に、嗤ってしまった。
この店にいる以上は、ニセモノだろうがなんだろうが、ホストとしての矜持を保たなければならない。
お客様の前でも、同僚の前でも。
――俺はまだ、夜の世界の舞台から降りてはいないのだから。
こんな所で落ち込んでいるヒマはないんだと、そう腹を括る。
もう一度ユキと見詰め合えば、黙って微笑を返してくれた。それだけで少し気分が上がる。
「よし」と気合を入れ直し、女の子たちの会話の輪に戻っていった。
俺を選んで、俺と過ごす時間を楽しんでくれた人たちに、何か言うことが出来るのなら。
「ごめん」ではなく「ありがとう」と言いたいな――なんて。
ふと、そんな想いが頭をよぎった。
最後くらいは、ホンモノの真心を込めて。
***
――その夜の盛り上がりは、そのまま延々と続いた。
最初のお客様だった4人はいつまでも帰ろうとしなかったし、彼女たちがその場ですぐにアップしたSNSの写真がまた多くの反響を呼んで。
その友人とか、写真見て来たくなっちゃいましたとか。案外怖くなくて『楽しそう』と。ホストクラブに来たことのない新規のお客様が後から後から、途切れることなくやってきて……
俺たちだけに指名が集中したので、さすがに捌ききれないとストップがかかり、入れない来店者には別の日にまたと、サービス券を渡して帰ってもらうような事態になってしまった。
これもまた、店が始まって以来、初めてのことだ。
俺の失態なんて、すっかり何処かへ吹き飛んでしまうくらい、その日の盛況ぶりはすごかった。
俺は、そんな熱狂的な空気の中、珍しく酔ってしまって……酔いたい気分だったせいで、一切セーブしないで飲んだから自業自得だ。
苦い気持ちと浮き足立つ気持ちとの、両方を抱えたまま家路に着くことになった……
肌が白くて淡い髪色の今のユキを例えるなら、どんな猫がいいだろう。ペルシャとか、ラグドールみたいな優雅さがあるよな……などと、ユキの香りに包まれぼんやり思う。
その匂いは、俺の知らない新しい香りだと、その時初めて気付いた。これまでは、俺の香水を真似することが多かったのに。
「……本当に、成長したなぁ」
「誰かさんのお陰です」
クスリと笑いが溢れた。
様子のおかしい俺を心配して――自分から大胆な行動に出てくれるなんて、文句のつけようもない。
『ホストとしての正解』をユキに見せられちゃったかな……と思いながら。
(もしかして、これは慰めてくれてたり――するのか?)
……複雑な想いが浮かぶ。
精一杯、意地を張って強がってみても、結局、ユキに心配をかけている俺。
(……かなり、カッコ悪いんだけど)
溜息と共に、嗤ってしまった。
この店にいる以上は、ニセモノだろうがなんだろうが、ホストとしての矜持を保たなければならない。
お客様の前でも、同僚の前でも。
――俺はまだ、夜の世界の舞台から降りてはいないのだから。
こんな所で落ち込んでいるヒマはないんだと、そう腹を括る。
もう一度ユキと見詰め合えば、黙って微笑を返してくれた。それだけで少し気分が上がる。
「よし」と気合を入れ直し、女の子たちの会話の輪に戻っていった。
俺を選んで、俺と過ごす時間を楽しんでくれた人たちに、何か言うことが出来るのなら。
「ごめん」ではなく「ありがとう」と言いたいな――なんて。
ふと、そんな想いが頭をよぎった。
最後くらいは、ホンモノの真心を込めて。
***
――その夜の盛り上がりは、そのまま延々と続いた。
最初のお客様だった4人はいつまでも帰ろうとしなかったし、彼女たちがその場ですぐにアップしたSNSの写真がまた多くの反響を呼んで。
その友人とか、写真見て来たくなっちゃいましたとか。案外怖くなくて『楽しそう』と。ホストクラブに来たことのない新規のお客様が後から後から、途切れることなくやってきて……
俺たちだけに指名が集中したので、さすがに捌ききれないとストップがかかり、入れない来店者には別の日にまたと、サービス券を渡して帰ってもらうような事態になってしまった。
これもまた、店が始まって以来、初めてのことだ。
俺の失態なんて、すっかり何処かへ吹き飛んでしまうくらい、その日の盛況ぶりはすごかった。
俺は、そんな熱狂的な空気の中、珍しく酔ってしまって……酔いたい気分だったせいで、一切セーブしないで飲んだから自業自得だ。
苦い気持ちと浮き足立つ気持ちとの、両方を抱えたまま家路に着くことになった……
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