【第二部完結】恋するホストと溺れる人魚と、多分、愛の話

凍星

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第2章 溺れる人魚は揺れ惑う

◆10 泉水Side:相変わらず、正解が分からないけれど②

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(……蓮くんに、話す?)

突然、思ってもみなかったことを言われ、かあっと身体が熱くなる。
と、同時に――突然、冷汗がふきだした。
いくらアキさんが相手とはいえ、余りにもオープンに想いを語り過ぎてしまったことが、本当に、すごく今更ながら、マズい気がした。

「そっ、それはダメ!!僕がこんなこと言ってたとか、蓮くんには絶っっ対、言わないでよ!?」

「何でだよ?いーじゃねぇか、喜ばせてもっとその気にさせてやれよ。一度、わーっと盛り上がっとけば、落ち着くのも早いと思うぞ?」

「その気にさせて盛り上げろって……そんな、何かの営業みたいな。いや恥ずかしいから!好きすぎて困ってるとか、言えないから!僕だって、年上の威厳とかプライドとか……まだ少しは保ちたいんだよっ」

「はー、左様ですか。威厳とかプライドねぇ……俺には散々ぶちまけたくせに。随分、可愛らしい意地を張るんだな」

「今はまだ、そういう時期なんです!!」

精一杯の睨みを効かせて「ダメだからね!?」とアキさんに釘を刺す。

「はいはい」

そう言いながら、笑いを堪えきれない……といった様子で肩を震わせている。
この人は蓮くんと直接メッセージをやり取りする仲なので、うっかり口を滑らせる可能性があってもの凄ーく心配だった……。



……僕は、恋愛に関して知識が追いつかなくて不安になりやすく、アキさんにはつい色々訊きたくなってしまう。

セックスに限らず、人付き合いそのものが経験不足だから、なんだけど。

これまで誰ともそういう仲になれなかった反動なのかどうか。
今の僕は、蓮くんとの身体の触れ合いに溺れてしまいそうで。少し、怖気づいている所がある。
余りにも感じやすい自分が恥ずかしいのだ。

そんな自分を見せたくなくて、彼の前ではわざと冷静に振る舞おうとしていたり。
朝の別れの時、甘い雰囲気にしたくないのは――キスのひとつでもしてしまえば、もっと欲しくなると分かっているから。そういう僕の態度が、もしかしたら蓮くんには、物足りなく映っているかもしれない。

……欲望には限りがない、のかな?
このまま、感情に任せて求めていったら――本当に淫乱だとか、思われないかなって。
そんな風に思ってしまったり。

付き合える筈がないと思っていた時には、彼に触れることさえ夢みたいだったのに。
自由に触れることが叶う今では――それ以上に、もっと欲しいと強請ねだる我儘な想いが大きくなっている。



――思い切って、君に向かって飛び込んで。

まだ、上手な泳ぎ方も分からないまま、どんどん夢中になって。
溺れてしまいそうな自分が怖い、なんて――年上のくせに。

君に言ったら呆れられそうで。

両想いになっても、まだこんな風に不安になってしまう。



ああもう、本当に。
心も身体も安定した大人の恋愛の境地って……皆どうやって辿り着くんだろう?

右も左も、相変わらず正解も分からない。
それでも、そんな手探りの日々を、僕は愛しく感じながら過ごしているのだった――……


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