詩「線香花火」

有原野分

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線香花火

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落下する線香花火の回転する情緒だ
その古ぼけた写真立ての裏に貼られた大人し
 そうな転校生の横顔は

時間を忘れてしまうほどの
雨に重なっていく美術室から伸びる影
ぼくは校舎裏にて立ち尽くしたまま

いったいなにを忘れてきてしまったのか
その余韻がきっとまだぼくの中で生きている
 はずだから

クズという烙印を前髪で隠して
どうやって生きていけばいいのか
どうやって生きていくのが人として正しいの

 かを
寝落ちする瞬間
ぼくは今でもお前に電話したくなる
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