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犯人を教えてvs犯人だとバレたくない その三

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「ふむ、犯人を教えて欲しいと願ったのはそなたじゃな。
 さて、もう一方の犯人だとバレたくないと願ったのは誰じゃ?」

邪神がその場の全員を見回す。

しかし、誰も名乗り出ない。

当然である。

名乗り出る=犯人だとバレたくない=犯人である


沈黙が訪れた。



一分後

「仕方ない。バレたくないと願ったのは叶えるわけにはいかんな。
 犯人を教えて欲しいと言う願いのみ叶えるとしよう。
 この事件の犯人は、そこの眼鏡を掛けて、黒い服を着た男だ」

「はぁ?
 何言ってんだ?
 邪神だかなんだか知らねえが証拠はあんのか?」

「その者の小銭入れにピアノ線が入っておる。
 バラの花弁を調べれば、その者の指紋も検出される」

「くそ、お前さえこなければ」

男は邪神に襲い掛かった。

だが、かなう筈もない。

男は床にあおむけに倒された。


「ふむ、ちと仕置きをしようか」

邪神が指を振ると、男の体が一瞬光った。


邪神と淫夢は退場した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「父上、どのようなお仕置きを施したのですか?」

「水、及び水を原料とした物を一切摂取出来ない体にしたのじゃ」

「飲料は勿論、御飯や麺類も食べられないって事ですよね」

「それだけではない。
 植物は水を使って成長している。
 動物も水を飲んでいる。
 あの者が口にできるのは石くらいじゃろう。
 当然、点滴も体が受け付けない」

「三日もすれば餓死しますね。
 その前に発狂しますかね?」

淫夢の言葉を聞き、
邪神は邪神らしく微笑んだ。
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