1 / 504
第一 jokerを当てろ
しおりを挟む
薄暗い室内で確認出来るのは円卓のみ。
人員は俺を含めて十四人、何をさせられるんだろうか?
この暗がりでは参加者が男なのか女なのかさえ確認出来ない。
円卓中央下部から突如出現したロボットが
時計回りに番号札を配り始めた。
四番の札を受け取った。
続いて、ロボットが一枚ずつトランプを手渡している。
スペードの四だった。
他の人には見せない方が良いだろう。
天井からアナウンスが流れて来た。
アナウンス「トランプは他者には見せずに燃やしなさい。
何番に何のカードが渡っているかは
こちらで把握済みだ」
威圧的ではないが、不快感を誘う男性の声だ。
隠し持っていても意味はないか。
むしろ罰則があるかもな。
ロボットがライターに火を灯して回ってきたので、
トランプを燃やした。
全員がトランプを燃やし終えた、と思われる。
アナウンス「ではルールを説明する。
挙手後joker所持者を番号で指定せよ。
指定された人物が所持者だった場合は、指定した人物の勝ち抜けで
指定された人物は脱落となる。
指定された人物が非所持者だった場合は、指定した人物が脱落で
指定された人物は勝ち抜けとなる」
つまり俺が勝ち抜ける方法は二つだな。
一つ目が、joker所持者を見破って指名する事。
二つ目が、誰かに俺を指名させる事。
アナウンス「他のルールとして他者に危害を加える行為
及び脅迫をした時点で脱落とする」
力ずくは駄目って事か、当然だね。
二つ以外に俺が勝ち抜ける方法はなさそうだな。
殴られても勝ち抜けできる訳じゃないみたいだし。
念の為に考察しておこう。
いや待て、前提として競技を何回やって何人が勝ち抜けるのか不明だぞ。
まずいな、情報が少なすぎて戦略が立てられない。
アナウンス「一人に付き、一問だけ質問を許す。
一番から発言しろ」
一番「嘘を吐いても良いのか?」
アナウンス「当然だ、むしろ推奨する。
虚偽に関しては何ら問題はない」
たしかにな、jokerを持ってるか聞かれて嘘が吐けないんじゃ、
勝負にならないからな。
jokerを所持していた時点で負けが決定する事になる。
二番「試合の制限時間はあるんですか?」
アナウンス「設定していない、餓死する前に勝負を決するのを勧める」
トイレ休憩も食事の差し入れも無しか。
要するに人権は認めていないと宣告された訳だ。
事の重大さが他の参加者は分かってるのか?
分かっていない方が好都合ではあるけどな。
俺が勝ち残るためには。
三番「負けたらどうなるの?」
アナウンス「直接答えたら『聞かなきゃ良かった』
そう感想を持つであろう」
やっぱり、そうか敗者=死亡か。
そんな感じは薄々してたよ。
でもそんなのよりもモット重大な質問をしろよ、
この競技に関しての。
トランプ、joker、マーク。
五十二枚、一枚か二枚、四種類。
十四人に一枚ずつ、俺はスペードの四。
スペードが十三枚プラスでjokerが一枚。
待て待て、そうだとは限らない。
スペードだけが使われているとは限らない。
ダイヤ、ハート、クラブが使われている可能性もある。
だったら、jokerが一枚だけどは限らない。
二枚入ってるかも知れない。
四番、即ち俺の順番になった。
「jokerは何枚配られたんですか?」
ちょっとしたざわめきが起こった。
その可能性に気付いて無かったらしい。
どうやら数名はおバカさんっぽいな。
待つ事暫し、返事は無かった。
「質問に答えて下さい」
アナウンス「答えよう。
解答が遅れたのは今協議していた為だ。
その質問への直接解答はしない。
ただ、一枚ではないと伝えるのみとする」
そうか、二枚以上配ってるのか。
曖昧にしてるのは汚いが、抗議しても意味がないだろう。
そうなると戦略が変わるのか?
jokerが一枚と二枚ではどう違うんだ?
jokerが一枚の時は、保持者は誰も指名できないんだ。
絶対に他者は持ってないから。
そして、指名されるのを待つだけだ。
そっか、所持者が勝てない仕組みになってるんだ、一枚だけだと。
なら、jokerが二枚以上の時は、どうなんだ。
所持者は指名されたら敗北だから、誰よりも先に指名すべきだよな。
それでjoker持ちを当てなくちゃならないんだ。
短時間、この時間にも保持者を見極め終えてなきゃ駄目なんだ。
joker持ちの方が辛いな、この競技。
持ってなくって良かった。
五番「十四人、全員が勝ち残る方法を教えて下さい」
アナウンス「そんなものは無い」
酷い。
更に酷いのはそんな質問をした五番だよ。
もっと有意義に質問を使ってくれ。
六番「誰か一人が勝ち抜けたらぁ、カードは配り直すのかぁ?」
アナウンス「カードの配り直しはしない」
んー、なんだろう、今の質問ちょっと引っかかる。
jokerが二枚以上あるんだから、
保持者を全員当てるまでは終わらないって意味か。
そうも考えられるけど、そうは言って無い可能性もある。
何かしらの条件が抜けてるから結論を出せない、そんな感じだ。
なんだ、なにが抜けてるんだ?
七番「何の為にこんな事をさせてるんだよ?」
アナウンス「勝ち抜けたら答えるかも知れないな。
今は教える気はない」
アホみたいな質問をするな、競技に関する事を聞いてくれ。
八番「隠しや裏ルールはありますか」
アナウンス「無い可能性がとは言わないが、
在ったとしても教える気は無い」
どっちなんだよ。
と言いたいが、あるんだろうな、この言い方だと隠しルールが。
探し方が全く分からないが。
第三の勝ち抜け方法が存在するのは確定だな。
それよりも今は抜けている条件を考えるのが先決だ。
例えば、joker保持者が自身を指名したらどうなるんだろうか?
保持者を当てたから勝ち抜け出来るだろう。
それと同時に保持者として当てられたから敗者にもなる。
勝者と敗者に同時になったら、敗者が優先されるだろうな。
体を二つに斬る訳にもいかないんだから。
要するに、この手法は駄目だ。
そもそも俺はjoker持ってないんだからな、今回は。
あ?
今回は?
今回は、って、次回があるのか?
jokerが二枚以上あるけど、二人以上が勝ち抜けられるとは言って無い。
一人が抜けたら終わりって可能性もある。
これだ、抜けてた条件は。
九番「勝ち抜けたら、無事に家に帰してくれるんですか?」
アナウンス「勝ち抜けて確認しろ」
駄目だ、他の人間は頼りにならない。
けど、言っても良いものなのか?
いいや、禁止されてないなら、大丈夫だろう。
「十番の人、最大で何人勝ち抜けるのか聞いて下さい」
出せる限りの声量をぶつけた。
十番「分かった。最大で何人勝ち抜けるんですか?」
アナウンス「設定上、最大で七人だ。
四番には罰を与えよう」
電流が体を貫いた。
その場に倒れこんだ。
意識はどうにかあるものの、指先すら動かせない。
なにもかんがえられない。
やばい。
アナウンス「以上で質問は打ち切る。
ではデスゲーム、スタートだ」
誰か「俺はjoker持ちだ」
誰か「嘘じゃん」
誰か「本当だったら言わないだろ」
誰か「裏の裏をかいてるのかも」
誰か「リスクが高過ぎ」
誰か「どうやって見破るんだよ」
誰か「人に言う訳ない」
誰か「そりゃそうだ」
誰か「jokerは何枚あるの?」
誰か「確定してるのは二枚以上って事のみ」
誰か「じゃあ十三枚って可能性も」
誰か「いや最大でも十二枚だな」
誰か「根拠を提示せよ」
誰か「俺は違うから、十三引く一で十二枚」
誰か「私も違うから十一枚ね」
誰か「物的証拠が無いので根拠としては不採用」
誰か「カードは燃やしたからな、証拠は出せないだろ」
誰か「仮の話しだけど、jokerが十三枚だったらどう進展すると思う?」
誰か「アナウンスが十三枚だと伝えたとして、話しを進めるが」
誰か「即座に挙手して、誰でもいいから指名する」
誰か「同感、俺以外の全員がjokerを持ってるって事だから」
誰か「それだとゲームにならないよね」
誰か「つまり、配られたjokerは十二枚以下って事」
誰か「それでもゲームとしてはどうかなって枚数だよね」
誰か「だな、妥当なのは十四人に対して、
四枚前後だろ、知らんけど」
誰か「そんなかな」
誰か「アンタ達、呑気過ぎない、負けたら殺されるのよ、分かってるの?」
誰か「何で、殺されるの?」
誰か「そんな訳ねーだろ、何で死ななくちゃなんねーんだよ」
誰か「気付いてないならいいわ、言わなきゃ良かった」
誰か「おい、どう言う事だ説明しろ」
誰か「ちょっと止めてよ」
警報が鳴り響いた。
アナウンス「十四番、ルール違反により脱落とする」
落下音と悲鳴が響き渡った。
多分、十四番の足元の床が開いたのだろう。
十四番の行為が危害と判断されたのか。
頭が少しは働くようになったが、体はまだ動かない。
誰か「すみませんが、殺されると推理した理由を聞かせて下さい」
誰か「私は教えないわよ。他の人に聞きなさいよ」
誰か「俺なりの推理だが、『聞かなきゃ良かった』と
『デスゲーム、スタート』だろうな」
誰か「確かにそう言ってましたね」
誰か「聞かなきゃ良かったの、内容は処刑されるって事?」
誰か「デスゲームは直訳で死の遊び、意訳で死に至る遊びだね」
誰か「ちょっと待ってよ、負けたら本当に殺されるの?
冗談でしょ」
誰か「運営側としては冗談のつもりじゃなさそうだけど」
誰か「日本は法治国家なのよ、
勝手に処刑するなんて許されないでしょ」
誰か「今はそんな事を議論してる場合じゃないだろ」
今その時点に気付くようでは手遅れだよ。
どうにか体が動くようになった。
「運営の真意はともかく、協力して生き残る為に、
配られたカードを言ってみましょう」
返事は無かったが、視線が集中しているのはひしひしと感じた。
「俺はスペードの四でした、五番目の方は?」
五番目「スペードの五でした」
「ありがとうございます、順々に言って下さいよ、テンポよく、ね」
上手く誘導出来た。
一番、スペードの一。(最初にjoker持ちだと語った人物、男性)
二番、スペードの二。
三番、スペードの三。
四番、スペードの四。(俺)
五番、スペードの五。(女性)
六番、スペードの六。
七番、スペードの七。
八番、ハートの一。
九番、ハートの二。
十番、ハートの三。
十一番、ハートの四。
十二番、ハートの五。
十三番、ハートの六。(警告した女性)
十四番、不明。(脱落済み)
十四番はハートの七だったんだろうな。
素直にjoker持ちですって言う人物が
居る訳がないのは分かっていた。
告白=敗北=死につながるんだから。
でもな、可笑しな素振りを誰もしてないしな。
嘘を吐くんだったら少なからず動揺するもんだよな。
少なくとも二人以上は何らかの細かいアクションはあると思うんだけど。
でも十四番が保持者だったんなら、一人マイナスで一人以上か。
一人以上なのは確定。
いや待て、何で確定出来るんだ?
俺のした質問、
『jokerは何枚配られるのかの解答、一枚ではない』が根拠だ。
そう言えば、あの時『協議した』って発言があったな。
そんな質問が来る事を想定してなかったの?
それともjokerが何枚配られたのか知られちゃまずいのか?
ハッキリと何枚だと答えられなかった理由は何だ?
ひょっとしてjokerが配られてないのか。
零枚ならば一枚では無いの範疇だ。
他に手掛かりは無いし、
第三のルールの範囲内だとも言えるだろう。
間違ってたとしても、人物を指名してないんだから、
脱落にはならないだろうし。
罰として電流を喰らうだけだ。
電流では死なん。
実証済みだ。
挙手した。
アナウンス「四番、発言を認める。
joker所持者は誰だ?」
「joker所持者は居ません」
ざわついている。
ざわつきが収まり、全員がアナウンスを待っている。
アナウンス「正解だ、四番を勝ち抜けと認める。
他十二名は脱落とする」
俺以外の十二人は脱落となり、落下した。
人員は俺を含めて十四人、何をさせられるんだろうか?
この暗がりでは参加者が男なのか女なのかさえ確認出来ない。
円卓中央下部から突如出現したロボットが
時計回りに番号札を配り始めた。
四番の札を受け取った。
続いて、ロボットが一枚ずつトランプを手渡している。
スペードの四だった。
他の人には見せない方が良いだろう。
天井からアナウンスが流れて来た。
アナウンス「トランプは他者には見せずに燃やしなさい。
何番に何のカードが渡っているかは
こちらで把握済みだ」
威圧的ではないが、不快感を誘う男性の声だ。
隠し持っていても意味はないか。
むしろ罰則があるかもな。
ロボットがライターに火を灯して回ってきたので、
トランプを燃やした。
全員がトランプを燃やし終えた、と思われる。
アナウンス「ではルールを説明する。
挙手後joker所持者を番号で指定せよ。
指定された人物が所持者だった場合は、指定した人物の勝ち抜けで
指定された人物は脱落となる。
指定された人物が非所持者だった場合は、指定した人物が脱落で
指定された人物は勝ち抜けとなる」
つまり俺が勝ち抜ける方法は二つだな。
一つ目が、joker所持者を見破って指名する事。
二つ目が、誰かに俺を指名させる事。
アナウンス「他のルールとして他者に危害を加える行為
及び脅迫をした時点で脱落とする」
力ずくは駄目って事か、当然だね。
二つ以外に俺が勝ち抜ける方法はなさそうだな。
殴られても勝ち抜けできる訳じゃないみたいだし。
念の為に考察しておこう。
いや待て、前提として競技を何回やって何人が勝ち抜けるのか不明だぞ。
まずいな、情報が少なすぎて戦略が立てられない。
アナウンス「一人に付き、一問だけ質問を許す。
一番から発言しろ」
一番「嘘を吐いても良いのか?」
アナウンス「当然だ、むしろ推奨する。
虚偽に関しては何ら問題はない」
たしかにな、jokerを持ってるか聞かれて嘘が吐けないんじゃ、
勝負にならないからな。
jokerを所持していた時点で負けが決定する事になる。
二番「試合の制限時間はあるんですか?」
アナウンス「設定していない、餓死する前に勝負を決するのを勧める」
トイレ休憩も食事の差し入れも無しか。
要するに人権は認めていないと宣告された訳だ。
事の重大さが他の参加者は分かってるのか?
分かっていない方が好都合ではあるけどな。
俺が勝ち残るためには。
三番「負けたらどうなるの?」
アナウンス「直接答えたら『聞かなきゃ良かった』
そう感想を持つであろう」
やっぱり、そうか敗者=死亡か。
そんな感じは薄々してたよ。
でもそんなのよりもモット重大な質問をしろよ、
この競技に関しての。
トランプ、joker、マーク。
五十二枚、一枚か二枚、四種類。
十四人に一枚ずつ、俺はスペードの四。
スペードが十三枚プラスでjokerが一枚。
待て待て、そうだとは限らない。
スペードだけが使われているとは限らない。
ダイヤ、ハート、クラブが使われている可能性もある。
だったら、jokerが一枚だけどは限らない。
二枚入ってるかも知れない。
四番、即ち俺の順番になった。
「jokerは何枚配られたんですか?」
ちょっとしたざわめきが起こった。
その可能性に気付いて無かったらしい。
どうやら数名はおバカさんっぽいな。
待つ事暫し、返事は無かった。
「質問に答えて下さい」
アナウンス「答えよう。
解答が遅れたのは今協議していた為だ。
その質問への直接解答はしない。
ただ、一枚ではないと伝えるのみとする」
そうか、二枚以上配ってるのか。
曖昧にしてるのは汚いが、抗議しても意味がないだろう。
そうなると戦略が変わるのか?
jokerが一枚と二枚ではどう違うんだ?
jokerが一枚の時は、保持者は誰も指名できないんだ。
絶対に他者は持ってないから。
そして、指名されるのを待つだけだ。
そっか、所持者が勝てない仕組みになってるんだ、一枚だけだと。
なら、jokerが二枚以上の時は、どうなんだ。
所持者は指名されたら敗北だから、誰よりも先に指名すべきだよな。
それでjoker持ちを当てなくちゃならないんだ。
短時間、この時間にも保持者を見極め終えてなきゃ駄目なんだ。
joker持ちの方が辛いな、この競技。
持ってなくって良かった。
五番「十四人、全員が勝ち残る方法を教えて下さい」
アナウンス「そんなものは無い」
酷い。
更に酷いのはそんな質問をした五番だよ。
もっと有意義に質問を使ってくれ。
六番「誰か一人が勝ち抜けたらぁ、カードは配り直すのかぁ?」
アナウンス「カードの配り直しはしない」
んー、なんだろう、今の質問ちょっと引っかかる。
jokerが二枚以上あるんだから、
保持者を全員当てるまでは終わらないって意味か。
そうも考えられるけど、そうは言って無い可能性もある。
何かしらの条件が抜けてるから結論を出せない、そんな感じだ。
なんだ、なにが抜けてるんだ?
七番「何の為にこんな事をさせてるんだよ?」
アナウンス「勝ち抜けたら答えるかも知れないな。
今は教える気はない」
アホみたいな質問をするな、競技に関する事を聞いてくれ。
八番「隠しや裏ルールはありますか」
アナウンス「無い可能性がとは言わないが、
在ったとしても教える気は無い」
どっちなんだよ。
と言いたいが、あるんだろうな、この言い方だと隠しルールが。
探し方が全く分からないが。
第三の勝ち抜け方法が存在するのは確定だな。
それよりも今は抜けている条件を考えるのが先決だ。
例えば、joker保持者が自身を指名したらどうなるんだろうか?
保持者を当てたから勝ち抜け出来るだろう。
それと同時に保持者として当てられたから敗者にもなる。
勝者と敗者に同時になったら、敗者が優先されるだろうな。
体を二つに斬る訳にもいかないんだから。
要するに、この手法は駄目だ。
そもそも俺はjoker持ってないんだからな、今回は。
あ?
今回は?
今回は、って、次回があるのか?
jokerが二枚以上あるけど、二人以上が勝ち抜けられるとは言って無い。
一人が抜けたら終わりって可能性もある。
これだ、抜けてた条件は。
九番「勝ち抜けたら、無事に家に帰してくれるんですか?」
アナウンス「勝ち抜けて確認しろ」
駄目だ、他の人間は頼りにならない。
けど、言っても良いものなのか?
いいや、禁止されてないなら、大丈夫だろう。
「十番の人、最大で何人勝ち抜けるのか聞いて下さい」
出せる限りの声量をぶつけた。
十番「分かった。最大で何人勝ち抜けるんですか?」
アナウンス「設定上、最大で七人だ。
四番には罰を与えよう」
電流が体を貫いた。
その場に倒れこんだ。
意識はどうにかあるものの、指先すら動かせない。
なにもかんがえられない。
やばい。
アナウンス「以上で質問は打ち切る。
ではデスゲーム、スタートだ」
誰か「俺はjoker持ちだ」
誰か「嘘じゃん」
誰か「本当だったら言わないだろ」
誰か「裏の裏をかいてるのかも」
誰か「リスクが高過ぎ」
誰か「どうやって見破るんだよ」
誰か「人に言う訳ない」
誰か「そりゃそうだ」
誰か「jokerは何枚あるの?」
誰か「確定してるのは二枚以上って事のみ」
誰か「じゃあ十三枚って可能性も」
誰か「いや最大でも十二枚だな」
誰か「根拠を提示せよ」
誰か「俺は違うから、十三引く一で十二枚」
誰か「私も違うから十一枚ね」
誰か「物的証拠が無いので根拠としては不採用」
誰か「カードは燃やしたからな、証拠は出せないだろ」
誰か「仮の話しだけど、jokerが十三枚だったらどう進展すると思う?」
誰か「アナウンスが十三枚だと伝えたとして、話しを進めるが」
誰か「即座に挙手して、誰でもいいから指名する」
誰か「同感、俺以外の全員がjokerを持ってるって事だから」
誰か「それだとゲームにならないよね」
誰か「つまり、配られたjokerは十二枚以下って事」
誰か「それでもゲームとしてはどうかなって枚数だよね」
誰か「だな、妥当なのは十四人に対して、
四枚前後だろ、知らんけど」
誰か「そんなかな」
誰か「アンタ達、呑気過ぎない、負けたら殺されるのよ、分かってるの?」
誰か「何で、殺されるの?」
誰か「そんな訳ねーだろ、何で死ななくちゃなんねーんだよ」
誰か「気付いてないならいいわ、言わなきゃ良かった」
誰か「おい、どう言う事だ説明しろ」
誰か「ちょっと止めてよ」
警報が鳴り響いた。
アナウンス「十四番、ルール違反により脱落とする」
落下音と悲鳴が響き渡った。
多分、十四番の足元の床が開いたのだろう。
十四番の行為が危害と判断されたのか。
頭が少しは働くようになったが、体はまだ動かない。
誰か「すみませんが、殺されると推理した理由を聞かせて下さい」
誰か「私は教えないわよ。他の人に聞きなさいよ」
誰か「俺なりの推理だが、『聞かなきゃ良かった』と
『デスゲーム、スタート』だろうな」
誰か「確かにそう言ってましたね」
誰か「聞かなきゃ良かったの、内容は処刑されるって事?」
誰か「デスゲームは直訳で死の遊び、意訳で死に至る遊びだね」
誰か「ちょっと待ってよ、負けたら本当に殺されるの?
冗談でしょ」
誰か「運営側としては冗談のつもりじゃなさそうだけど」
誰か「日本は法治国家なのよ、
勝手に処刑するなんて許されないでしょ」
誰か「今はそんな事を議論してる場合じゃないだろ」
今その時点に気付くようでは手遅れだよ。
どうにか体が動くようになった。
「運営の真意はともかく、協力して生き残る為に、
配られたカードを言ってみましょう」
返事は無かったが、視線が集中しているのはひしひしと感じた。
「俺はスペードの四でした、五番目の方は?」
五番目「スペードの五でした」
「ありがとうございます、順々に言って下さいよ、テンポよく、ね」
上手く誘導出来た。
一番、スペードの一。(最初にjoker持ちだと語った人物、男性)
二番、スペードの二。
三番、スペードの三。
四番、スペードの四。(俺)
五番、スペードの五。(女性)
六番、スペードの六。
七番、スペードの七。
八番、ハートの一。
九番、ハートの二。
十番、ハートの三。
十一番、ハートの四。
十二番、ハートの五。
十三番、ハートの六。(警告した女性)
十四番、不明。(脱落済み)
十四番はハートの七だったんだろうな。
素直にjoker持ちですって言う人物が
居る訳がないのは分かっていた。
告白=敗北=死につながるんだから。
でもな、可笑しな素振りを誰もしてないしな。
嘘を吐くんだったら少なからず動揺するもんだよな。
少なくとも二人以上は何らかの細かいアクションはあると思うんだけど。
でも十四番が保持者だったんなら、一人マイナスで一人以上か。
一人以上なのは確定。
いや待て、何で確定出来るんだ?
俺のした質問、
『jokerは何枚配られるのかの解答、一枚ではない』が根拠だ。
そう言えば、あの時『協議した』って発言があったな。
そんな質問が来る事を想定してなかったの?
それともjokerが何枚配られたのか知られちゃまずいのか?
ハッキリと何枚だと答えられなかった理由は何だ?
ひょっとしてjokerが配られてないのか。
零枚ならば一枚では無いの範疇だ。
他に手掛かりは無いし、
第三のルールの範囲内だとも言えるだろう。
間違ってたとしても、人物を指名してないんだから、
脱落にはならないだろうし。
罰として電流を喰らうだけだ。
電流では死なん。
実証済みだ。
挙手した。
アナウンス「四番、発言を認める。
joker所持者は誰だ?」
「joker所持者は居ません」
ざわついている。
ざわつきが収まり、全員がアナウンスを待っている。
アナウンス「正解だ、四番を勝ち抜けと認める。
他十二名は脱落とする」
俺以外の十二人は脱落となり、落下した。
0
あなたにおすすめの小説
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~
楓乃めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。
いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている.
気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。
途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。
「ドラゴンがお姉さんになった?」
「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」
変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。
・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。
ノビの大活躍――いくら丼の奇跡【トランザニヤ物語SS】
楓 隆寿
絵本
*カクヨムさんでも掲載中です。
異世界冒険譚【トランザニヤ物語】のSS
絵本にしてみました。
いくら(丼)をフィーチャーした作品です。
この世に、神の涙と呼ばれる食材がある。その正体は、東の国「ヤマト」の古文書に記された「いくら丼」だった!
氷に覆われた王国を救うため、若き料理人ノビは、氷の姫リュミナと共に大冒険へ旅立つ。
魔導鍋を武器に海竜の守護を突破し、氷の大地で幻の穀物を収穫。そして、火山の麓で魂を込めた器を創り上げる。
はたしてノビは、すべての難題を乗り越え、絶望に閉ざされた王国に奇跡を起こせるのか?
料理の力と、小さな勇気が紡ぐ、心温まるファンタジー冒険譚。
#AIイラスト
あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる