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魂は死に掛け状態  正直村と嘘吐き村 その一

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なにをしていたんだっけ?

ここはどこなんだろう?

まあいいか、道沿いに進んで行こう。

右側に川を見ながら、歩いていく。

目的地も分からないけど、構わないだろう。

明るいので昼間らしいが、太陽を確認できない。

気にする事もないか。

歩いていると、白い煙人が居た。

煙人とは人の型をした煙の事。

なんでそんな事を知ってるんだ?

まあいいか。

声を掛けた。

「こんにちは」

白煙人「こんにちは。
    此処は中途半端な魂が居るべき世界では無い。
    現世に戻るのなら、正直村へ。
    現世を離脱するのなら、嘘吐き村へ行きなさい」

中途半端な魂、俺の事か?

そうだ、思い出した。

毒を飲んで走馬灯を見たんだ。

自殺する気は無いのに、服毒死した感じになっちゃったんだっけ。

肉体は仮死状態なのかな?

「現世に戻りたいです。
 正直村は何処ですか?」

白煙人「直接は教えられない。
    あそこの分かれ道に二人の煙人がいるだろ。
    青煙人と赤煙人が」

Y字に分かれている道の脇に二人が立っている。

左側に青い煙人、右側に赤い煙人。

それぞれの道の遙か向こうには村らしき物がかろうじて見えている。



青Y赤



「はい、居ますね」

白煙人「君が二人に対して出来る質問は合計一度のみ。
    ハイかイイエで返答出来る質問のみ受け付ける。
    片方は正直村出身で正直に答える。
    片方は嘘吐き村出身で嘘で答える。
    どちらがどっちの村出身かは教えられない」

なんで、こんな処でも試練だが課題だかをしなきゃなんないんだ?

死んだ俺が悪いとはいえ。

面倒くさい。

ムカつくな。

このクイズ、子供の頃に読んだ事があるぞ。

答えを覚えて無いんだけどさ。

記憶を探ったが答えは完全に消失している。

論理的にじっくり考えれば、いい筈だ。

じっくり考える時間があればだけど。

「ルールは分かりました。
 今何時ですか?」

白煙人「現世とは時間の概念が違うが。
    便宜上、午後一時半と伝えておこう」

「ありがとうございます」

って違う、別に現時刻が知りたかった訳じゃ無い。

俺が戻るべき肉体への蘇生可能時間を知りたかったんだ。

魂が現世に戻っても、肉体が火葬されてたら戻れないもんな。

じっくり考えている暇はないな。

青い煙人の元へ向かった。

質問内容はまだ固まっていない。

仕方ない、質問しながら質問を考えよう。
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