残り火

あつし

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残り火

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「もう、あなたに心配はかけられない。」
僕の彼女は発達障害を持っている。待ち合わせをすれば軽く1時間は遅刻するし、デートをすればメインイベントはスマホ探しに早替わりする。
僕と彼女はネットで知り合った。いわゆる「マッチングアプリ」だ。僕より二つ上の彼女はとても魅力的に映り、たくさんの影響を受けた。その一つがタバコである。2人でお揃いの銘柄を吸っていた。今年のクリスマスは何しようかな~なんて考えるほど、別れることなんて想像できなかった。そんな中彼女からかかってきた電話。僕は彼女の障害を理解していたし、それは彼女もわかっていた。しかし、彼女にはその配慮がストレスになっていたのかもしれない。電話の直後は抜け殻のようになり、何も気力が湧いてこなかった。
 それから1ヶ月後、僕のスマホに通気がきた。彼女が新しい彼氏との写真を投稿したようだ。特に思うことは何もない。もう水に流したのだから。ビール片手にベランダに出て、火をつけた。部屋の中で声がする。「私のことだけ見てよ、」
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