□猫組としての心得□

ハタセ

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東地と三谷2

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学校のところかまわず盛る者ランキングで多分1位2位を争うほどではないでしょうか。
俺も何度かコイツの情事に出くわした苦い思い出があったりします。
知り合いのそんな場面は見たくないのですがTPOを弁えないこのバカが悪いのです。
前に一度渡り廊下で擦れ違った事もありました。
あれは悲惨でしたよホント。
俺のクラスが移動教室で、どうしても渡り廊下を通らなければ辿り着けない場所に実習室があるのですが
こともあろうにその渡り廊下でいたしておりやがりましたよこの男。
一瞬引き返そうかとも思いましたが、渡り廊下の半分まで来ていたし、今更引き返してもう一階上の渡り廊下を使おうにも時間的にそんな余裕はなく、渋々目の前を通ったら

「楽ちゃんも入るー?」

と気軽に声を掛けてきやがりました。
まるで小学生が鬼ごっこやかくれんぼに誘うかのような軽さでした。
勿論俺は無視して素通りしていきましたが。

とにかくこんな相手に構ってる自分がたまに嫌になります。

「予鈴鳴った!お前は早く教室帰れよ!」

「本鈴まであと5分もあるんだね~。それだけあればベロチュー出来るね?」

「ざっけんなっ!」

密着した身体をそのままに、顔を近付けてきたソイツに渾身の力で抵抗するが
押し止めるだけで精一杯で退かす事なんて叶いそうにもありません。
あと5分も俺の体力が持つとも思えないし。
これはヤバイと思った瞬間に奴の身体がいきなり左へと傾いたのです。

「ちょっと!最悪!また彰くんにちょっかい出して!!彰くん大丈夫!?何もされてない!?」

突如として乱入してきたのはこれまた可愛い男子でした。

「あ、おお。毎回毎回ありがとな三谷」

奴の魔の手から俺を救い出してくれたのは2年F組の三谷良樹(ミタニ ヨシキ)。
彼とは1年の時に同じクラスで仲良くなりました。
まぁ三谷もそっち系の人だったが今も仲良くさせて貰ってます。

「いいよそんな、お礼なんて。大体アイツが悪いんだから」

便所虫を見るような目付きで横をみる三谷に思わず視線が釣られてしまった。

「ま~た隊長さんが俺と楽ちゃんの邪魔しにきたの~?いい加減ウザイんですけどー」

三谷に突き飛ばされた東地はよろめいた身体を難無く立て直すと三谷に突っ掛かっていった。

「やめてよ!お前なんかにそう呼ばれたくない!」

「え~?だって隊長は隊長でしょー?あ、それともぉ、フルで呼んでほしかったのー?梶屋 昇(カジヤ ノボル)の親衛隊隊長様?」

「お前…!」

その名前を言われた三谷は眉間に皺を寄せると俯いてしまった。

「愛しい愛しい梶屋先輩はぁ、此処には居ないよぉー?早く自分の教室戻ったら?先輩来てるんでしょ?心配するんじゃなーい?」

「……ッ、」

俯いた三谷を東地は覗き込んでわざと挑発するような言い方をする。

流石にこれはやり過ぎ。

「おい、東地、やめろって。」

「え~?なんで止めんのー?だって三谷くんは~、楽ちゃんじゃない他の人の親衛隊隊長なのにー、毎日楽ちゃんにベッタリ引っ付いてさー。何様~?本命居るのに堂々と浮気出来るなんて最低じゃなーい?」

(コイツ…わざとかよ)

「だから、何回言えば分かるんだよお前は!それはもう先輩、三谷、俺の3人で話し合って解決してんだから引っ掻き回すな!お前だって事情は分かってんだろうが」

「解決?ふーん?あれが解決って言うんだー?…妥協の間違いでしょ?俺ねー今でもあの時の事思い出すと虫唾が走るんだよねー。梶屋センパイもー、三谷くんもー、マジ自分勝手~…ねぇ、違う?三谷くん」

その言葉に三谷がビクッと肩を揺らした。
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