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35話 歓楽街ネオライト
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「…………ん、……オさん、起きてください。そろそろ着きますよ」
「ん……ぅ?」
…………優しい呼び声に肩を揺らされる。
なんだ、もう昼になったのか?
重い目蓋をこじ開けると、アイリスの微笑みが見下ろしていた。
「おはようございます。歓楽街ネオライト、見えてきましたよ」
「あぁ、もう着くのか……」
そろそろネオライトに着くから、アイリスが起こしに来てくれたらしい。
夜は不寝番を担当し、午前中は眠り、午後から護衛を代わる、と言うことを三日ほど繰り返し……今は四日目の昼前頃か?
「ふ、あぁぁぁぁぁ…………っと」
上体を起こして背伸びしつつ欠伸をかます。
「ふふ、大きな欠伸ですね」
「ふぅ、ここ数日は不寝番続きだったしなぁ。今夜は久々にベッドでぐっすり寝れそうだ」
アイリスが馬車を出るのを見送ってから、ロングソードを背負い、手荷物を担いで馬車の外へ出る。
午後の日差しが眩しい……っと、ネオライト入りの際に、身分証――ギルドカードの提示が必要になるな、すぐに出せる位置の懐に移しておこう。
程なくして外門に到着、カイツールの時と同じ要領で、ネオライト入りを果たす。
久しぶりに訪れたネオライトだが、記憶の限りではあまり変化は見られない。
流通都市であるカイツールほど大きな街ではなく、日中は中規模程度の街とそう変わらない。
だが普通の街と大きく異なる点は、夜になってから賑わう辺りだろう。
歓楽街と言うだけあって劇場や賭博場、酒場、風俗店などの娯楽施設が多く、観光地としても人気のある街だ。
尤も、俺がまだ【紺碧の刃剣】の一員だった頃に一度訪れた時は、依頼遂行の道中に一泊するために立ち寄っただけで、遊んだことはないのだが。
指定されたスペースに馬車を並べ、荷物の積み降ろしを手伝っている間にも、もう日が暮れてきている。
歓楽街としてはここからが本番だろう。
ネオライト入りのゴタゴタが一段落したところで、
「アンドリューさん、ネオライトでの滞在期間はどれくらいになりますか?」
カイツールの時と同じく、ネオライトの滞在期間をアンドリューさんに訊ねる。
これからはアイリスだけじゃなく、エトナやリーゼさんとも行動を共にするわけだからな。
俺、アイリス、リーゼさんは冒険者として依頼を受け、エトナは鑑定士としてアンドリューさんと共に商談を受けたり、机仕事をしたり、事務面で忙しいだろう。早速元ギルド受付嬢としての腕の見せ所と言ったところか。
「うむ、ここもカイツールと同じく一週間ほど滞在する予定だ」
……そう言えば、シャオメイはどうするのだろうか。
彼女は旅の料理人として色んな商隊に身を寄せては離れたりを繰り返しながら、大陸各地を転々としているのだと聞いた。
アンドリューさんもこの事を知っており、シャオメイに「ぜひオレの商隊の専属料理人になってくれ」と熱心に勧誘していた。前々から専属料理人が欲しいって言ってたしな。
シャオメイは即答こそしなかったものの、「お返事は少シ待ってもらえマスか?」と答えを先延ばしにしていた。
「シャオメイのことは、どうするんですか?」
「返事は待ってくれと言っていたからな。ネオライトを出発する前日までに答えてくれればいいと返したぞ」
無理に返事を急かせる必要も無いしな、とアンドリューさんは腕組みして頷いた。
「オレはこれから古い知り合いの所に飲みに行くんでな。お前さん達も今日はゆっくり休んでくれ」
長旅で疲れているのに元気な人だ。いや、疲れているからこそ飲みに行くのだろうか。
「分かりました。また明日に」
「おぅ」
ひらひらと手を振りながら、雑踏の中へ踏み入っていくアンドリューさん。
さて、俺達も宿を取りに行くか……
アイリス、エトナ、リーゼさんと合わせて四人で、そこそこ大きめの宿へ。
こう言う歓楽街だから宿泊者も多いのではないかと思っていたが、意外と部屋は空いていたので普通に一人部屋と、四人部屋をそれぞれ借りることが出来た。
最初、リーゼさんが「せっかく四人部屋なんだし、リオくんも一緒にどう?」と誘われたがそこはさすがに遠慮しておいた。
リーゼさんはどうだか知らないが、アイリスとエトナには悪いだろう。……決して俺が美女、美少女と同じ部屋で寝るのが嫌とは言ってない。
と言うわけで一人部屋に入って荷物を下ろし、一息つく。
この後は食事の予定だが、それまでもう少し時間があるので、軽くだけ街並みを見て回るか。今から遊びに行くわけじゃないぞ。
三人にすぐに戻ることを告げてから宿屋を出て、いざ賑わう夜の街へ。
……と、思っていたんだが、想像していたよりも遥かに静かで人の少ない街並みだ。
カイツールの夜と比べても街並みは煌びやかなんだが、こう……金持ちや観光客でごった返すようなのを想像していたから、ちょっと拍子抜けだ。
街並みを眺めながら歩いていると、娯楽施設のいくつか……と言うか、半分近くは休業しているのが見える。
今日はたまたま休業日が重なっているだけなんだろうかと思っていると。
「へへぇ、お嬢ちゃんかわいいねぇ。ちょいとおじさんの相手してくれるかぁい?」
どこからか呂律の乱れた下卑た男の声が聞こえた。
まぁこう言う街だ、酔っ払いなんざ珍しくも無いだろう……と聞き流していたんだが、
「い、イエ、アノ……私、急いでマスので」
独特な訛りのある声……シャオメイか?
「ん……ぅ?」
…………優しい呼び声に肩を揺らされる。
なんだ、もう昼になったのか?
重い目蓋をこじ開けると、アイリスの微笑みが見下ろしていた。
「おはようございます。歓楽街ネオライト、見えてきましたよ」
「あぁ、もう着くのか……」
そろそろネオライトに着くから、アイリスが起こしに来てくれたらしい。
夜は不寝番を担当し、午前中は眠り、午後から護衛を代わる、と言うことを三日ほど繰り返し……今は四日目の昼前頃か?
「ふ、あぁぁぁぁぁ…………っと」
上体を起こして背伸びしつつ欠伸をかます。
「ふふ、大きな欠伸ですね」
「ふぅ、ここ数日は不寝番続きだったしなぁ。今夜は久々にベッドでぐっすり寝れそうだ」
アイリスが馬車を出るのを見送ってから、ロングソードを背負い、手荷物を担いで馬車の外へ出る。
午後の日差しが眩しい……っと、ネオライト入りの際に、身分証――ギルドカードの提示が必要になるな、すぐに出せる位置の懐に移しておこう。
程なくして外門に到着、カイツールの時と同じ要領で、ネオライト入りを果たす。
久しぶりに訪れたネオライトだが、記憶の限りではあまり変化は見られない。
流通都市であるカイツールほど大きな街ではなく、日中は中規模程度の街とそう変わらない。
だが普通の街と大きく異なる点は、夜になってから賑わう辺りだろう。
歓楽街と言うだけあって劇場や賭博場、酒場、風俗店などの娯楽施設が多く、観光地としても人気のある街だ。
尤も、俺がまだ【紺碧の刃剣】の一員だった頃に一度訪れた時は、依頼遂行の道中に一泊するために立ち寄っただけで、遊んだことはないのだが。
指定されたスペースに馬車を並べ、荷物の積み降ろしを手伝っている間にも、もう日が暮れてきている。
歓楽街としてはここからが本番だろう。
ネオライト入りのゴタゴタが一段落したところで、
「アンドリューさん、ネオライトでの滞在期間はどれくらいになりますか?」
カイツールの時と同じく、ネオライトの滞在期間をアンドリューさんに訊ねる。
これからはアイリスだけじゃなく、エトナやリーゼさんとも行動を共にするわけだからな。
俺、アイリス、リーゼさんは冒険者として依頼を受け、エトナは鑑定士としてアンドリューさんと共に商談を受けたり、机仕事をしたり、事務面で忙しいだろう。早速元ギルド受付嬢としての腕の見せ所と言ったところか。
「うむ、ここもカイツールと同じく一週間ほど滞在する予定だ」
……そう言えば、シャオメイはどうするのだろうか。
彼女は旅の料理人として色んな商隊に身を寄せては離れたりを繰り返しながら、大陸各地を転々としているのだと聞いた。
アンドリューさんもこの事を知っており、シャオメイに「ぜひオレの商隊の専属料理人になってくれ」と熱心に勧誘していた。前々から専属料理人が欲しいって言ってたしな。
シャオメイは即答こそしなかったものの、「お返事は少シ待ってもらえマスか?」と答えを先延ばしにしていた。
「シャオメイのことは、どうするんですか?」
「返事は待ってくれと言っていたからな。ネオライトを出発する前日までに答えてくれればいいと返したぞ」
無理に返事を急かせる必要も無いしな、とアンドリューさんは腕組みして頷いた。
「オレはこれから古い知り合いの所に飲みに行くんでな。お前さん達も今日はゆっくり休んでくれ」
長旅で疲れているのに元気な人だ。いや、疲れているからこそ飲みに行くのだろうか。
「分かりました。また明日に」
「おぅ」
ひらひらと手を振りながら、雑踏の中へ踏み入っていくアンドリューさん。
さて、俺達も宿を取りに行くか……
アイリス、エトナ、リーゼさんと合わせて四人で、そこそこ大きめの宿へ。
こう言う歓楽街だから宿泊者も多いのではないかと思っていたが、意外と部屋は空いていたので普通に一人部屋と、四人部屋をそれぞれ借りることが出来た。
最初、リーゼさんが「せっかく四人部屋なんだし、リオくんも一緒にどう?」と誘われたがそこはさすがに遠慮しておいた。
リーゼさんはどうだか知らないが、アイリスとエトナには悪いだろう。……決して俺が美女、美少女と同じ部屋で寝るのが嫌とは言ってない。
と言うわけで一人部屋に入って荷物を下ろし、一息つく。
この後は食事の予定だが、それまでもう少し時間があるので、軽くだけ街並みを見て回るか。今から遊びに行くわけじゃないぞ。
三人にすぐに戻ることを告げてから宿屋を出て、いざ賑わう夜の街へ。
……と、思っていたんだが、想像していたよりも遥かに静かで人の少ない街並みだ。
カイツールの夜と比べても街並みは煌びやかなんだが、こう……金持ちや観光客でごった返すようなのを想像していたから、ちょっと拍子抜けだ。
街並みを眺めながら歩いていると、娯楽施設のいくつか……と言うか、半分近くは休業しているのが見える。
今日はたまたま休業日が重なっているだけなんだろうかと思っていると。
「へへぇ、お嬢ちゃんかわいいねぇ。ちょいとおじさんの相手してくれるかぁい?」
どこからか呂律の乱れた下卑た男の声が聞こえた。
まぁこう言う街だ、酔っ払いなんざ珍しくも無いだろう……と聞き流していたんだが、
「い、イエ、アノ……私、急いでマスので」
独特な訛りのある声……シャオメイか?
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