【完結】可愛い義妹のためならば 〜超絶シスコン兄貴の異世界無双〜

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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渡る世間に鬼はないが魔物はいる

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 というわけで。
 出発準備をしていたキャラバンの団体に話しかけ、「兄妹で旅をしているのだが、用心棒を引き受けるから途中まで同行させてほしい」と相談。
 するとリーダーは二つ返事で了承、さらに食事もご一緒してもいいと答えてくれた。

 うむうむ、それはありがたい。何せこちらは流浪人、あまり長旅は出来ないからな。
 何か"ワケアリ"そうな兄妹が二人で旅をしていると聞いて、親切心もあるだろうが、自分達が大規模なキャラバンだから受け容れられる余裕もあったからかもしれない。
 普通なら、年若い用心棒もどきにタダメシを食わせてやる義理は無い。

 キンジョーの町の門番と言い、宿屋のご夫婦と言い、あのスキンヘッドのおっさんと言い、何だか親切な人が多いな。
 渡る世間に鬼はなし、と言うのは本当らしい。
 だが、中には親切心に見せかけた騙し討ちなんてことも有り得るから、気をつけなければ。

 それはさておき、俺とシャルはキャラバンに同行することとなった。



 キンジョーの町を出発して数時間。
 俺とシャルは最後尾の馬車で、背後の危険が無いかの見張りをしている。
 キャラバンの規模が大きくなると、それだけ魔物も警戒するために近付きにくくなるんだ、とリーダーが言ってくれていた。
 とは言え、一応は用心棒をしていると言うことにしているからな。シャルと一緒に景色を楽しむついでに、何か不自然な動きが無いかを然りげ無くチェックだ。
 魔物や野盗の接近に気付きませんでした、で被害を出してしまっては話にならない。
 何かあればすぐに抜刀して馬車を飛び出せる準備はしている。

「なぁ、アルフさん」

 商人の一人が、気軽そうに俺に話しかけてきた。

「あんたもしかして、実は良いところの出身だったりするんですかい?」

 おっと、さすがは商売人。目の利きは良いようだな。
 とは言え、素直に答えてやる必要もないけどな。

「どうしてそう思ったんです?」

「そりゃぁ、長年この商売で食ってますからなぁ。私ゃこう見えて目は良い方でしてね。団長さんと話してる時の佇まいとか所作、言葉遣いもやけに丁寧。荒くれ者どもにゃ出来ないことだ」

 むむ、俺の前世の社畜生活で身についた『上司を下手に刺激しない作法』が、この人にはそう見えてしまったか。
 ここで「ただの根無し草ですよ」と答えても信じることはすまい。
 ならば、『嘘をつかない程度に誤魔化す』しかないな。

「ははっ、そこまで見抜かれては仕方ない。……ここだけのお話にしておきたいのですが、俺と義妹は伯爵貴族の家系でした」

 ちょっとだけ暗い雰囲気を醸し出しつつ、俺は神妙そうに語る。
 でした、と言うのは嘘偽りのない事実だ。真実かどうかは怪しいところだが。

「ですが、家の横暴なやり方を間違っていると訴えたら、身の危険を感じまして……それで、義妹と一緒に逃げ出してきたのです」

 ホントは俺が家に放火して、どさくさ紛れに義妹連れ出してトンズラしたんだけどね。

「それは……あなたも義妹さんも大変だったのですなぁ」

 家を追い出されてきたとは……、と商人は何だか気不味そうな雰囲気だ。
 すまん、それは鵜呑みにしないでくれよ。

「お気になさらず。今はこうして義妹と一緒に旅が出来て、楽しい気持ちもありますから」

 最後に少しだけ前向きになるように見せて、視線を馬車の背後に戻す。

 日の高さを見ても、もう少ししたらお昼時だな。
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