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勇気ある者達

63話 Dランクへ昇級

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 デゼルト砂漠の広大な砂漠地帯に、巨大な岩石の拳が叩き付けられ、波のような砂柱が巻き上げられる。
 余裕を持ってその拳の一撃を躱したルナは、反撃にエナジーライフルを連射する。
 放たれる光弾は、その岩石の巨人へ次々に着弾し、削り取っていく。

 積み重なったダメージが功を奏し、砂色の巨人――『ゴーレム』は大きく仰け反る。

「いいぞ、もう少しだ!」

 ルナとは逆サイドから、アロウもエナジーライフルを構え、ゴーレムの損傷が重なった部位を狙い撃ち、カノラのライトサブマシンガンの銃弾が後押しする。
 仰け反りながらもどうにか体勢を立て直そうとするゴーレムだが、その懐にメイプルが飛び込む。

「せぇー、のっ!!」

 両腕のラプタスクロウズを大きく振り下ろし、亀裂の広がるゴーレムの左上腕へ勢いよく叩き込めば、亀裂を中心にゴーレムの左腕を粉砕する。
 片腕を失い、いよいよ形振り構わず暴れまわるゴーレム。
 そこへ、

「――風の刃よ――『ウインドエッジ』!」

 緑色の魔法陣を顕現していたフェルテから、刃のように圧縮された風が吹き荒び、ゴーレムの胴体へ突き刺さると、着弾部位を中心に大きく砕ける。

 その一撃が致命打となったか、ゴーレムは砂の上へ崩れ落ちる。
 頭部の単眼(モノアイ)が弱々しく点滅し、やがて機能停止する。

 ゴーレム、撃破。
 
 機能停止と同時にゴーレ厶の巨体が消失し、大量の素材アイテムを落とす。

「よぉしっ、クリア!」

 目標達成に、アロウはグッと拳を握ってみせる。

「これで、私達もDランクに昇級ですね」

 安堵に一息つきながら、ルナも頷く。

「でも、意外と楽に勝てたね」

 上空にホバリングしていたカノラも降りてくる。

 今回、アロウ達が受けていたのは、Dランクへの昇級クエストで、デゼルト砂漠にて『ゴーレム一体の撃破』というクエストだ。
 初心者の登竜門と言われるクエストで、「頑強な岩石の巨体が繰り出す攻撃は脅威であり、防御力も高いため長期戦覚悟で挑め」と攻略サイトでは表記されている。

 しかし、それは一般的なゲーム進行を行っているプレイヤーから見た場合であり、それよりも先にベヒーモスという強敵を倒してみせたアロウ達にとっては、『強いと言えば強いが、そこまで苦戦もしない』程度のもの。

 射撃と魔術攻撃で地道にダメージを与え、ゴーレムの巨体が文字通り崩れ始めたところを攻めかかる。
 序盤の守りの硬さを乗り切れば、あとは一気に倒せるものだ。

「ボクも一度はこのクエストをやったけど、あの時は野良同士で組んでたから、けっこう苦戦したよ」

 ゴーレムとの戦闘経験のあるメイプルは以前に、ゴーレム戦で頭打ちになってしまったプレイヤー達で即席パーティを組んで、連携も何も無かったが、手数で強引に押し切ってどうにか倒せた、という。

「うむ。我らが力を合わせれば、そう容易くは敗れまい」

 宝剣を鞘に納めるフェルテは、この順調な勝利をメンバー達の連携力が為した結果だと頷く。

 昇級クエストを受けるために、いくつかのクエストをこなす必要があるのだが、そのついでにアロウ達五人は出来るだけパーティプレイでクエストを受け、互いの動きや攻撃パターンなどを確認しあっていた。

 この調子であれば、Cランクの昇級もすぐにクリア出来るだろう。

 素材アイテムを拾い集めてから、アロウ達は帰還した。
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