星の王〜能力覚醒で無双開始。もう遅いなんて事ないから首を洗って待ってろよ殺してやるからな。

草間保浩

文字の大きさ
49 / 87

第四十八話

しおりを挟む
 セナは冒険者として受付を済ませてから、ある程度説明と注意喚起を受けて鉱山に入った。
 セナが手を大きく振り回しても手が当たらないくらいには大きな穴で進んでいた。
 緩やかな傾斜の穴で左巻きのカーブを、もうかれこれ数百メートルは歩いている。

 ベルモットとユゥリは別行動中。
耳を澄ませてもほとんど音は聞こえないが、鉱山内について事前に聞いている一つのうわさがあった。

 それは、行方不明者の話。
今年に入ってから急激に増えた行方不明者数。正確な数はわからないが、明らかにこの鉱山内で消えた人が多いらしい。

 それは、受付での注意にも含まれていた。
内部に凶悪な魔物が発生している可能性や、不審者の可能性について説明され、もし出会った場合は交戦せずに逃げることを推奨され、もし原因を突き止めたら報酬まで出るらしい。

 となれば、セナはそれも考慮して探索するわけだが。

「この道長いな。誰にも会わないし。」

 そう呟く声も反響し、奥から自分の声が聞こえる。
少しずつ息が苦しくなっている気もする。

 そして、そのあたりで変なことに気づく。

「横穴が無い?」

 ここまでずっと直進してきた。
もっと横に向かって穴を掘っている分岐路や、そもそも掘ったものを運び出すトロッコも線路もいつの間にか無くなっている。

「もしかして」

 セナは今になってやっと、自分が行方不明に巻き込まれたのではないかと気づいた。

◇◆◇

 歩き続けて一時間が経過した。
息の苦しさは増しているが、セナは全然平気だ。
 そして、まだまだ道は続いている。

◇◆◇

 更に一時間経過。
もう人間の生存できる酸素濃度ではないのにも関わらず、セナは問題なく歩き続ける。

◇◆◇

 更に追加で二時間が経過。
 セナはもう無呼吸という域なのに、まるで問題ないかのように歩き続けている。

「がはぁっ!!なんで気絶しねぇんだよ!!クソがぁ!!」

 静寂を破るようにそんな声がした。
セナが振り返ると、そこには一匹のモグラのようなものが地面から顔を出してセナを見ていた。

「くっ、仕方ねぇ、今ここで始末してやる!」

 そう言いながらモグラは体を地面から出して、セナに向かって突進してくる。
 未だ酸素はほぼゼロの状態。
しかし、セナにとってそれは問題ではない。

 相手は魔物ではなさそうだが、亜人でもなさそうな雰囲気だ。
この終わらない坑道も、こいつが展開していると考えるなら、殺しておくのが手っ取り早いが、それでも行方不明の犯人がこいつなら、情報を聞き出すのも重要。

「【結界】」

 一度、結界での捕獲を試みる。

「んだコイツ、同じタイプの魔法使いか?クソゥ、ボンド!!」

 モグラが何かの名前を呼んだと同時に、坑道の内装に変化が起きる。

明らかに坑道らしくない広さに空間が広がり、何人か倒れている人を発見した。
 大きなドーム状になった空間。
見る限りでは、説明にあった中継地点。
 長い坑道の休憩地点的スポット。

「何故あんな息のできない空間内で活動できたのでしょうか。不明」
「知るかクソ!俺達の仕事が無駄に増えちまったじゃねぇかコンチキショー!」

 モグラの隣に現れたのは、変な見た目の鳥。
全身が灰色の羽毛で覆われていて、クチバシが顔と同じくらいの大きさの、足が長い鳥。

 ボンドと呼ばれたらしいその鳥は、そのクチバシで【結界】の中に入ったモグラを

 ごくり

と飲み込んでしまった。

「……え?」
「我々の目的は失敗。非戦闘員の我々では冒険者には勝てません。撤退。」
「……ちょ、待て!」
「残念ながら、ワタシは足、いえ、翼が速いのです。失敬。」

 そう言いながら、本当に超高速で坑道の出口に飛んでいく鳥。
セナは周囲の人間の安否を確認したいのと鳥の追跡の二つの選択肢で一瞬悩む。

「【結界】で位置は特定できない。距離が離れれば強制的に消える。かといって意識不明の奴らをここに放置。それはダメだろう。くそっ」

 自分会議は五秒で終了。
セナはその場に残り、倒れている人を一か所に集めて治療する。

 幸い死人はいなかったが、飢餓や脱水で瀕死の状態の人が多すぎる。

「【四季スライム】強制帰還。再召喚。」

 ベルモットとユゥリの護衛につけているスライムをセナのもとに呼び戻す。
そして、四体に分裂させて重症者を運ぶ準備をする。

「ん……んん。」

 軽症者の1人が目を覚ます。
少しの間ボーッとしていたが、セナが目の前で手を振ってみせたり、声をかけると、次第に意識をはっきりと取り戻していった。

「こ、ここは?アレックス?マーシャ?」

 最初に目覚めた女は、近くで気絶していた男と女に近づいて肩を揺さぶる。
その声に呼応するように、何人かの軽症者は目を覚ました。
 目を覚ました全員に魔法で出した水を飲ませ、歩ける人は自分で、元気そうな男手には、まだ気絶から目覚めていない人を運んでもらった。

 その日、セナは冒険者ギルドの人間から詳しい話を聞かれて、夜になるまで宿に戻れなかった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

処理中です...