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第32話 レベルがあまり重要じゃないってホント?(つくし視点)
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彼方いわく、レベルは頼りにならないんだって。
おかしいよね、あたし達プレイヤーはみんなレベルにこだわってるのに。
まるであたし達が構築して来た理論が間違っていたと言わんばかりだ。
「昨日も戦ってみて、軒下魔宮との共通性もある事がわかったからハッキリ言える。
ダンジョンはそこまでレベルに意味はないってね」
「それって一体どういう事さ? レベルが高くないと魔物とまともに戦えやしないけど?」
これには澪奈パイセンもちょっと反抗気味だ。
やっぱりこだわってきたのはみんな一緒だしね。
それを否定されたら確かに気分はよくないかも。
でも彼方が言うとすごく説得力を感じる。
澪奈パイセンでも真っ向から否定しきれないくらいに。
「たとえばだけどさ、世界一の武術の達人がいたとする」
「うん」
「じゃあその達人が安心しきって眠っている時に一キロ先から狙撃されて避けられると思う?」
「殺気を感じ取れればワンチャン!」
「……まぁ無理だよな?」
「う、うん、まぁねぇ~」
彼方お願いだからスルーしないで!
「それと同じでさ、魔物にもあるんだよ。戦っている最中でも狙える、いわば狙い目の弱点ってやつがさ」
「弱点……!?」
「そう。闇雲に攻撃してもほとんど当たらない急所がどの敵にも存在するんだよ。人間にもあるようにね」
そっか、弱点。
そういえば昨日も彼方は敵をほぼほぼ一撃で倒してた。
レベルがまだ10ちょっとなのに、レベル30で苦戦するような相手を。
言われて見ればそれってすごい変な話だ。
イカサマって言われてもおかしくないくらいに。
いくらステータスが高いっていったって、あれはちょっと異様過ぎたもん。
「そしてダンジョンも軒下魔宮と同じく、その弱点を突けるようにできている。つまり低レベルでも高レベルの相手を倒せるような仕組みになっているって事なんだ」
「じゃあつまり、今までのあーしらはただごり押ししてたからレベルが高くないといけなかったって事?」
「そうだね。しかも人数で押せるからそれでいいって結論に落ち着いたんだと思う」
けどそれは弱点の事を知らなかったから。
たまには突けていたと思うけど、誰もまったく気にしてなかったんだ。
ただ彼方はその特性を熟知してる。
軒下魔宮で何回も敵と戦ってきたから、もう癖で読み取れちゃうんだ。
たとえ初見の相手でも、基本的な仕組みは変わらないからこそ。
「だけど高レベルの人だって低レベルの魔物に負けるだろ?」
「う、うん、たしかにぃ。特にゴブリンとかは顕著だねぇ。あいつらレベル5くらいのはずなのにやたら被害出すくらい強いから、委員会公式見解での対処可能レベルが20くらいになってるんさぁ~」
「それはさ、彼等が俺らと同じで知能があるからなんだよ。それでもって人間との戦い方を熟知しているんだ。どこをどう攻めれば人間が倒れるかをね」
「だから強いん……!?」
「そそ。そこにステータス値なんて関係無い。たしかに堅ければ事故は減るけど、急所を突かれれば防御があろうがなかろうが人は死ぬ。外の現実と一緒でね」
だから彼方はそれと同じ事をしたんだね。
大量のゴブリンを殲滅した時もただパワーで押したんじゃなくて、全部弱点を狙ってたんだって。しかもウルトラステータスで。
そのせいでゴブリンはみんな跡形もなく吹き飛んでたって事かー。
「もちろん俺だって例外じゃない。油断をすればゴブリンにだってやられると思う。レベルやステータス値はその確率を減らすためなだけに過ぎないんだ」
「なるほどねぇ……なんか一気に腑に落ちたわ。目から鱗ってやつ?」
「んふ、普通気付かない事だと思うの。ゲームだったら数値とか解説とかあるけど、現実じゃそんなものないもの」
「軒下魔宮と違ってダンジョンは何度も入れないからな。気付けないのも無理はないよ」
「けどさ、知ったなら試したいよねー!」
「それもありだけど、無理に狙わない方がいいぞ。隙を突かれて逆にやられる事もあるから。見極めが大事だ」
「う、うん、がんばる!」
ひゃー澪奈パイセンが本当に納得させられちゃったよ!
さすが真の意味での経験値が高い彼方、説得力が段違いだ!
あたし達、レベルに頼り過ぎてたんだなぁ。
「まぁでも逆に上手くいけばみんなでもゴブリンエリート程度ならどうにかなるってわかったろ? だったら次はきっともっと上手くやれるさ」
「そうだねぇ、体験できたのが一番大きいかもぉ」
「まぁあの弱体魔法祭りは人数が多い時だとできないけどねー」
「他にもやりようはあるよ。穴に落とすとか、転ばせるとか」
「発想と仲間の力次第って訳ね……ククク、面白そうだわぁ……!」
「んだねぇ、そういう戦いほどモモっちの本領が発揮できそぉ」
「こんな日のために! 私は! 数々の暗黒魔法を習得してきたのよぉーッホホホォ!」
あーだからモモパイセン、弱体魔法ばかりしか覚えてなかったんだ。
他はスタンダートな強化魔法と攻撃魔法が数個と、普通の魔術士っぽくないって思ってたんだよねー。
ま、あたしも人の事言えないけど!
「そうだなーモモ先輩は結構重要な魔法ばかり覚えてるから、扱い次第では化けるかもしれない」
「来たわ! 私の! 時代が! アッヒャッヒャッヒャ!!!!」
「モモっちうっさい! ヘイッ!」
「あっあっ、れいにゃちゃん、めがね、とっちゃ、らめぇ~……!」
「眼鏡とったらモモ先輩が豹変した……!」
「この子、素顔見られるのがすごい恥ずかしいみたいなんよ~。あ、これ伊達メガネね」
「か~え~し~てぇ~~~! やぁ~~~!」
おおう、モモパイセン、眼鏡取った方がずっとかわゆし。
いきなりフワモコ系になってポイント高いんですけどー!
どおりでこないだ着替えた後、ずっと無言だった訳かー。
その後も全然しゃべらなかったし、俯いて隠れてたんだねぇ。
よし、今度から時々眼鏡を奪ってみよう!
「なんだったら弱点を見極めるコツを可能な範囲で教えるよ。それだけで多分だいぶ戦いやすくなると思う」
「「「おねがいしまーす!」」」
「なら先生はその間に改めてご両親に挨拶をしてくるとしよう」
「母さんは居間にいると思うので案内しますよ。父さんは今、たぶん畑の方かな」
ちょっと目的変わっちゃったけど、ちゃんとダンジョンの話題で落ち着いてよかった。
こうなると合宿みたいでなんだかワクワクしちゃうなぁ!
まだ色々と教えてもらえそうだし、次回のダンジョン攻略が楽しみ!
査定アップの期待値が上がってると思うとたまりませんなぁ~~~!
おかしいよね、あたし達プレイヤーはみんなレベルにこだわってるのに。
まるであたし達が構築して来た理論が間違っていたと言わんばかりだ。
「昨日も戦ってみて、軒下魔宮との共通性もある事がわかったからハッキリ言える。
ダンジョンはそこまでレベルに意味はないってね」
「それって一体どういう事さ? レベルが高くないと魔物とまともに戦えやしないけど?」
これには澪奈パイセンもちょっと反抗気味だ。
やっぱりこだわってきたのはみんな一緒だしね。
それを否定されたら確かに気分はよくないかも。
でも彼方が言うとすごく説得力を感じる。
澪奈パイセンでも真っ向から否定しきれないくらいに。
「たとえばだけどさ、世界一の武術の達人がいたとする」
「うん」
「じゃあその達人が安心しきって眠っている時に一キロ先から狙撃されて避けられると思う?」
「殺気を感じ取れればワンチャン!」
「……まぁ無理だよな?」
「う、うん、まぁねぇ~」
彼方お願いだからスルーしないで!
「それと同じでさ、魔物にもあるんだよ。戦っている最中でも狙える、いわば狙い目の弱点ってやつがさ」
「弱点……!?」
「そう。闇雲に攻撃してもほとんど当たらない急所がどの敵にも存在するんだよ。人間にもあるようにね」
そっか、弱点。
そういえば昨日も彼方は敵をほぼほぼ一撃で倒してた。
レベルがまだ10ちょっとなのに、レベル30で苦戦するような相手を。
言われて見ればそれってすごい変な話だ。
イカサマって言われてもおかしくないくらいに。
いくらステータスが高いっていったって、あれはちょっと異様過ぎたもん。
「そしてダンジョンも軒下魔宮と同じく、その弱点を突けるようにできている。つまり低レベルでも高レベルの相手を倒せるような仕組みになっているって事なんだ」
「じゃあつまり、今までのあーしらはただごり押ししてたからレベルが高くないといけなかったって事?」
「そうだね。しかも人数で押せるからそれでいいって結論に落ち着いたんだと思う」
けどそれは弱点の事を知らなかったから。
たまには突けていたと思うけど、誰もまったく気にしてなかったんだ。
ただ彼方はその特性を熟知してる。
軒下魔宮で何回も敵と戦ってきたから、もう癖で読み取れちゃうんだ。
たとえ初見の相手でも、基本的な仕組みは変わらないからこそ。
「だけど高レベルの人だって低レベルの魔物に負けるだろ?」
「う、うん、たしかにぃ。特にゴブリンとかは顕著だねぇ。あいつらレベル5くらいのはずなのにやたら被害出すくらい強いから、委員会公式見解での対処可能レベルが20くらいになってるんさぁ~」
「それはさ、彼等が俺らと同じで知能があるからなんだよ。それでもって人間との戦い方を熟知しているんだ。どこをどう攻めれば人間が倒れるかをね」
「だから強いん……!?」
「そそ。そこにステータス値なんて関係無い。たしかに堅ければ事故は減るけど、急所を突かれれば防御があろうがなかろうが人は死ぬ。外の現実と一緒でね」
だから彼方はそれと同じ事をしたんだね。
大量のゴブリンを殲滅した時もただパワーで押したんじゃなくて、全部弱点を狙ってたんだって。しかもウルトラステータスで。
そのせいでゴブリンはみんな跡形もなく吹き飛んでたって事かー。
「もちろん俺だって例外じゃない。油断をすればゴブリンにだってやられると思う。レベルやステータス値はその確率を減らすためなだけに過ぎないんだ」
「なるほどねぇ……なんか一気に腑に落ちたわ。目から鱗ってやつ?」
「んふ、普通気付かない事だと思うの。ゲームだったら数値とか解説とかあるけど、現実じゃそんなものないもの」
「軒下魔宮と違ってダンジョンは何度も入れないからな。気付けないのも無理はないよ」
「けどさ、知ったなら試したいよねー!」
「それもありだけど、無理に狙わない方がいいぞ。隙を突かれて逆にやられる事もあるから。見極めが大事だ」
「う、うん、がんばる!」
ひゃー澪奈パイセンが本当に納得させられちゃったよ!
さすが真の意味での経験値が高い彼方、説得力が段違いだ!
あたし達、レベルに頼り過ぎてたんだなぁ。
「まぁでも逆に上手くいけばみんなでもゴブリンエリート程度ならどうにかなるってわかったろ? だったら次はきっともっと上手くやれるさ」
「そうだねぇ、体験できたのが一番大きいかもぉ」
「まぁあの弱体魔法祭りは人数が多い時だとできないけどねー」
「他にもやりようはあるよ。穴に落とすとか、転ばせるとか」
「発想と仲間の力次第って訳ね……ククク、面白そうだわぁ……!」
「んだねぇ、そういう戦いほどモモっちの本領が発揮できそぉ」
「こんな日のために! 私は! 数々の暗黒魔法を習得してきたのよぉーッホホホォ!」
あーだからモモパイセン、弱体魔法ばかりしか覚えてなかったんだ。
他はスタンダートな強化魔法と攻撃魔法が数個と、普通の魔術士っぽくないって思ってたんだよねー。
ま、あたしも人の事言えないけど!
「そうだなーモモ先輩は結構重要な魔法ばかり覚えてるから、扱い次第では化けるかもしれない」
「来たわ! 私の! 時代が! アッヒャッヒャッヒャ!!!!」
「モモっちうっさい! ヘイッ!」
「あっあっ、れいにゃちゃん、めがね、とっちゃ、らめぇ~……!」
「眼鏡とったらモモ先輩が豹変した……!」
「この子、素顔見られるのがすごい恥ずかしいみたいなんよ~。あ、これ伊達メガネね」
「か~え~し~てぇ~~~! やぁ~~~!」
おおう、モモパイセン、眼鏡取った方がずっとかわゆし。
いきなりフワモコ系になってポイント高いんですけどー!
どおりでこないだ着替えた後、ずっと無言だった訳かー。
その後も全然しゃべらなかったし、俯いて隠れてたんだねぇ。
よし、今度から時々眼鏡を奪ってみよう!
「なんだったら弱点を見極めるコツを可能な範囲で教えるよ。それだけで多分だいぶ戦いやすくなると思う」
「「「おねがいしまーす!」」」
「なら先生はその間に改めてご両親に挨拶をしてくるとしよう」
「母さんは居間にいると思うので案内しますよ。父さんは今、たぶん畑の方かな」
ちょっと目的変わっちゃったけど、ちゃんとダンジョンの話題で落ち着いてよかった。
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