実家が先行実装ダンジョンだった俺、同級生の女子に誘われたので今度は正式実装版で無双をやってみた。え、配信された攻略動画がバズってるって!?

日奈 うさぎ

文字の大きさ
45 / 126

第45話 これが俺達の〝技〟だ!

しおりを挟む
 たとえ精鋭部隊でも突っ込めば大被害はまぬがれない。
 だったら俺が一人で対処すればいい。
 それがもっとも効率的で、安全で安心だ。

『カナタ、やるんだよね?』
『ああ。あの部屋の魔物をすべて蹴散らすぞ、コン!』
『おっけー!』

 だから今、俺は一歩を踏み出す。
 ゆっくりと意識を集中させながら、肩に乗ったコンの額をそっと撫でつつ。

「一人なんて無茶よ! 死ぬつもりなの!?」
「んふふー、違うんだなー。彼方ならできちゃんだなーこれが!」
「えっ?」
「ステ値は見たっしょ? その上で彼方っちはさぁ、その実力を限界を越えて発揮できるんだよねぇ~」
「それぁどういうこっちゃ!?」
「フフフ、私達も聞いただけで詳しくは知らないわ」
「知らないンかぁーいっ!」

 つくし達は落ち着いて俺を見守ってくれているようだ。
 あらかじめ俺達の能力を説明しておいてよかった。

 おかげで余計な気をつかわずに披露できそうだよ。

「その名も〝絆ライディング〟! 彼方とコンちゃんが二人でじゃないと使えないスゴ技なのだー!」
「な、なんやそのけったいな名前の技は!?」
「っつうかダンジョンに技なんてあったのかよ!? スキルじゃなくてか!?」
「まぁ大人しく見てなってぇ、驚かさせてくれるだろぉからさぁ!」
「私達も含めてね……!」

 肩を通してコンのマナが俺と繋がっていく。
 いつやってもこの感覚はいい。心が重なっていくのがわかるから。
 まるで一心同体となっていく――それが心地良くてならなくて。

「いけない、そんな前に出過ぎたら矢が来るわ! ああっ!?」
「――んなっ!? 矢が弾かれたやとぉ!?」
「あれはコンちゃんのバリアだねー。あの子、特性でバリア展開ができるんだー」
「ま、同等以上だとあまり役に立たないらしいから普段はあまり使わないって言ってたねぇ~」
「で、でもまったく通る気配が無い……それってもしかして」
「雑兵とはいえあのレッドオークを三下扱いかいな……!」

 オークどもが抵抗してきているが無駄だ。
 お前達の実力じゃコンのバリアは突破できない。

 よし、人質の女子の所まで辿り着けたぞ。
 でも少し待っていてくれ、あとですぐに回復してあげるから。
 とりあえず今は繋げられたツタ縄を引き千切っておこう。

 そしてついでに板壁を部屋の奥へと蹴り飛ばしておく。

『やるぞ、コン!〝アームドライド〟……!』
『わかった!』

 俺達の心はもう繋がっている。
 発揮するための力の形はもう見えた!

 あとは形成されたこの力で、奴らを殲滅するだけだ!

「なんだ!? あの肩の獣が光って!?」
「コンちゃんの姿が変わっていくよ!」
「それだけやない! 大きくなって彼方の腕に移動しとる! なんやあれは!?」
「ま、まさかあの形って……!?」

 それを可能とするのがアームドライド。
 コンを俺自身の武器として変身させ、二人のマナを解き放つ切り札。

 この力で俺達は、軒下魔宮でも数々の困難を乗り越えてきたんだ!

「あ、あれって……ガトリング砲やないの!!??」
「ガトリングゥ!? 銃火器やとおおおーーーーーー!!!??」
「そ、そうよ間違い無いわあの六連回転式砲塔はバルカンという製品名でも有名で機種によっては分速千発の銃弾を発射できる上に対地対空どちらにも応用可能だから戦闘機などにも装備されており白兵戦などでは爆発兵器を使うよりもずっと有用とさえされている兵器の中の兵器ミリオタのユッメ!!!!!」
「あかーん! 先に凜のミリオタ魂に火が点いたーっ!」

 ……力説ありがとうな凜さん。

 そうさ、その通り。
 コイツは俺の想像力を糧にコンの体で形成した、いわば魔法式ガトリング砲。

 その名も、【コン式・殲滅打破せしマナティクス孤獣の咆哮ガトリングランチャー】!
 俺達が持つ切り札の一つだ!

 そいつを今、解き放つ!

「こうなったらもう止まらないからなあッ!! 理不尽が、まかり通るッ!!!」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?

くまの香
ファンタジー
 いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...