実家が先行実装ダンジョンだった俺、同級生の女子に誘われたので今度は正式実装版で無双をやってみた。え、配信された攻略動画がバズってるって!?

日奈 うさぎ

文字の大きさ
68 / 126

第68話 みんな、戻ってこぉーーーーーーいっ!!!

しおりを挟む
 遥がなんか可愛い走り方でやってきた時は衝撃を受けた。
 もしかして魔物肉を食べたせいで性格が変わってしまったのかと。

 でもそんな事は無かった。
 走り方かわいいって正直に言ったら頬を叩かれてしまったし。とても解せない。

「それどころではありませんのよ。彼方、母桃さん、今すぐ出口へ引き返しましょう」
「えっ、何かわかったのか?」
「はい。ですが今はひとまず、訳を聞かずにわたくしを信じてくださいませ」
「……わかった。みんな、出口に戻ろう」

 しかしまさかあの遥が「自分を信じて」と言うなんてな。
 以前は有無を言わさず従わせようとしていたのに。

 でもこう言われたら信じてみたくなるじゃないか。
 何か事情があるのだろうし、遥が無駄な事をするとは思えないから。

 そこで俺達はひとまず出口へと戻る事に。
 とはいえ帰りはすぐで、あっという間に辿り着いてしまったが。

 それで遥が一旦外に出てお花を摘んできた後、再び入口前に集まる。
 外で委員会の人達が不安そうに見守る中、やっと遥が口を開いてくれた。

「ではメンバー全員を入口に呼び戻したいのですが、何か手段はありますか?」
「探索は中止するって事か?」
「ええ。そもそも探索など無意味だったのです。それを証明するためにも、まずは全員を戻さなければなりません」
「遥がそう言うならやってみる事にしよう。そうだな、どうするか……」

 全員を戻すのにも何かしら理由があるんだろうな。
 なんでその理由を喋らないのかはとても気になるが、今は黙って従う事にしよう。

 さて、みんなを呼び戻すにはどうするか。とても悩ましい。
 メガホン一つ持ち込むのでも裸に剥かれるのは嫌だしなぁ。
 外からだと音が遮られて届かないから拡声器は使えないし。

 ――いや、待てよ?
 拡声器か、それならなんとかなるかもしれないぞ。

「つくし、ちょっと協力してくれるか?」
「うん? いいよー!」
「二人で何をする気ですの?」
「ちょっと試したい事があってね」
「?」

 もしもあの時つくしと絆ライディングができていたのなら、今回も可能なはず。
 だったらコンとは違うアプローチで彼女の能力を最大限に引き出す事ができるかもしれない。

 そう考えた俺は二人でまたダンジョンへと入る。
 それで少し進んだ辺りで立ち止まり、つくしへと頷いた。

「合図をしたらみんなを呼んでほしい。俺がマナを使って声を強化させるから。君の発声量ならおそらくできるはずだ」
「叫べばいいんだね?」
「ああ。それじゃあ準備を始めるぞ!」
「うん!」
「い、一体何を始めるつもりですの?」
「何かしら、私にもわからないわ」

 まず俺がつくしの背後に立ち、両肩へ手を乗せる。
 その上で集中し、マナを練り、彼女へと送り込むイメージを脳内で固めた。

 マナティクスライド――あの力がもし本当につくしとも発揮できるなら。

 なら、今度は俺が彼女に乗る。
 マナを通じて二人の力を合わせ、能力を純粋に強化するんだ。
 変化能力を持つコンが俺の意思に合わせて武器へと変わるのと同じように。

「彼方の体が光って……!?」
「つくしに流れていく!?」

 そうだ、この感じだ。
 間違い無い。俺は今、つくしと力を一つにできている。
 それはきっと彼女も同じように感じられているはず。

 だったら今から何をしたいのかも、もうわかっているだろう?

 そんな俺の心の揺れ動きに気付いたのか、つくしが両腕を広げる。
 果てしないほどに大きく息を吸い込み、自慢の胸をさらに膨らませ始めたんだ。

 そう、これこそがつくしの真価。
 体力お化けの正体である、異常なまでの肺活量!

 ――つくしの肺活量は常軌を逸している。
 カラオケで絶叫系の歌を一〇分連続で歌い続けても息切れしないほどに。
 加えてマイク無しでルームを無視する程の発声量まで実現可能だ。

 なら俺がその声を最大限に強化してやれば、こんなダンジョンの果ての果てにまで届かせる事など造作も無いはず!

「よし、つくし、準備ができたぞ!」
「んっ!」

 さぁ実現してみせろ、つくし!
 君にしかできない、君だけの叫びをダンジョン中に響かせるんだ!

 つくしが首を引きつつ口を開く。
 後ろからでもそうわかるくらいのマナの波動が光となって漏れ出しているんだ。

 ああそうさ、この輝きこそ君の力――

「みぃんなあああああーーーーーーもどってぇこおおおおおおいっっっっっ!!!!!!!!!」

 ――これが【つくし式・清澄破哮たるマナティクス乙女の喧伝ハイパーヴォイス】だッ!!!

 突如、場が激震する!
 周囲の壁に亀裂が走る!
 それも崩れる程に強く激しく!

 あまりの強烈だったがゆえに、さらには壁がひしゃげ、押し広げられた!

 しかも放たれた声が通路を突き抜ければ、無数の石破片を撒き散らす。
 まるで超弩級の台風に晒されたかのようだ!
 景色さえ歪ませるほどにすさまじいとは!?

 ……想像以上の威力だ。
 こうなるともはや攻撃の域だな。
 みんな、この声に吹き飛ばされてなければいいけど。

 あ!

 そう思って、緊張のまま振り返ってみたのだけど。

「ぎいやぁああああああ!!!!! 耳が! 鼓膜があぁあぁあ!!!!!」
「くかかっ!? か、かはっ……」

 遥とモモ先輩がダンジョンの外で転がってのたうち回ってた。
 今の一撃を近くでモロ喰らってしまったからか吹き飛ばされたようだ。
 ああすいません、外にいてって言うの忘れていましたね……。
 待機ヒーラー二人は外にいてくれて無事だったのが不幸中の幸いか。

 なので仕方なく二人を引きずってダンジョンの中へ。
 すかさずつくしの回復魔法で無事治癒する事に成功。
 もちろんその後は二人して箱型のお花畑に直行した訳だけども。

 そんな訳で戻って来た二人にはおとなしく土下座する事になった。
 ほんっとすんまっせぇーーーんッ!

 と、とにかくだ!
 あとはみんなが戻ってくるのを待つだけ。
 そうすればきっと遥が何かをしてくれるはずなのだから。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~

仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。  そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。   しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。   ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。   武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」  登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。   これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。 なお、シリーズ第二作目が、現在なろう様、カクヨム様で連載しています。 2月13日完結予定。 その後、アルファポリス様にも投稿する予定でいます。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

処理中です...