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第69話 ボスの真なる正体
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「なんやさっきの爆音波は!? 死ぬかと思ったやんけ!」
「僕達を殺す気か!?」
「ほんっとすんまっせぇーーーんッ!!!」
引き続き、匠美さん達にも謝る事になった。
うーん、必要以上にマナを込め過ぎてしまったようだ。失敗失敗。
ただ、おかげで全員が戻って来てくれた。
これでダンジョン攻略が先に進めればいいんだが。
「これで全員ですわね。ではさっそくですが単刀直入に言わせていただきます」
「な、なんや藪から棒に!?」
「このダンジョンは……果てなどありません」
「「「!?」」」
「それってエンドレスって事かしら?」
「平たく言えばそうですわね」
な、なんだって……!?
あの道がエンドレスだって!?
だが、どうしてそれが……?
「少し聞きたいのですが、この中に気味の悪い生腕が落ちているのを見掛けた方はいらっしゃいますか?」
「あ、私の所で見ました」
「では剣の切っ先は?」
「たしか俺、見かけたと思います」
遥の質疑にプレイヤーの誰かが答えてくれている。
すると遥が何かわかったように頷いているぞ?
それらが一体何を意味するんだ……?
「やはりそうですわね。あの通路は察するに、つど入れ替わっているのでしょう」
「「「えっ!?」」」
「誰かがいなくなったのを見計らい、ダンジョンそのものが道を繋ぎ変えて新しい道を作っているのですよ」
あ、そうか!
きっと遥はこう確信できる証拠を残したんだろうな。
そうやって調べながら進んでいたって事か。
さすがは元トップ、俺でも気付かなかったっていうのに。
だが、それでどういう答えが出た?
「そこでわたくしは考えました。ダンジョンそのものが我々を惑わしているのならば、その根源は一体何なのか、と」
「俺達を惑わして追い返すためとかじゃ?」
「それならばダンジョンとして出現した意味がありませんわ。だからといって帰り道を塞ぐ訳でもない。それは塞ぐ必要が無いから」
「それって一体どういう意味なんだ?」
「仕組みがバレない、という確固たる自信があるのでしょう。このダンジョンの主にはね」
ダンジョンの主……? ボスの事か?
ダンジョンそのものが俺達を惑わしているのに?
まるでダンジョンを動かせる奴がいるみたいな話に聞こえるんだが……?
「……では、みなさんは〝ミミック〟という存在をご存知で?」
「ミミックって言えばあれやな。宝箱に化け、うっかり開けた冒険者を食べてしまうっていうファンタジー物語に出てくる魔物やろ」
「そう、それですわ。まさに今回の主こそそのミミックなのです」
「「「えっ!?」」」
「けど宝箱なんてこのダンジョンには出ぇへんやん? それはおかしいわ」
「いいえ、今回の相手は箱なんかではありませんのよ」
「え……」
俺はミミックという存在は知らない。
軒下魔宮でもそういうのは出てこなかったからな。
けど遥はそれが何かわかっているから今、踵を返したのだろう。
ダンジョンへと再び戻るためにと。
そんな彼女が手招きしている。
今からその正体を教えてくれるって事なのか?
みんながついていく中、今度は遥が武器庫へと入っていく。
そこに一体何の用が? もうみんな武器は持っているんだが?
「ではみなさんに答えを見せる事にしましょう。わざわざ外で話をした理由がすぐにわかると思いますわ」
すると全員が集まった所で、遥が片手剣を一本拾い上げる。
そして何を思ったのか、奥の壁へと向けて投げた!?
剣が壁に刺さる。
しかもドズンと深く重く。
なんだ、これは一体どういう――
「ギョエエエエエエ!!!!!」
「「「な、なんだ!!?」」」
叫び声が上がっただって!? 一体どこから!?
ま、まさか……!
この武器庫の壁から叫び声が上がっているのか!
「一本では足りませんでしたか。ではもっといってみるとしましょう」
「ギィィィエエエエエ!!!??」
二本、三本、遥の投げた剣が壁に突き刺さり、その度に叫びが木霊する!
遂には壁が波を打って歪んだだって!? 何が起きているんだ!?
うっ!? 壁が、落ちていくだと!?
「倒れた壁がへなへなとしおれていくわ!」
「見て! 壁の先にさっきまで無かった武器がある!」
「それだけじゃないで!? 奥の壁見てみぃ!」
「ダ、ダンジョンコア……だって!?」
じょ、冗談だろ!?
入口の武器庫にダンジョンコアがあるってどういう事なんだ!?
じゃあま、まさかこのしおれて倒れた壁が、ダンジョンのボス!?
「そう、この壁こそダンジョンを動かした正体であり、ここのボスでもある主ですわ。さしずめダンジョンミミックとでも言うべきかしら」
「まさかダンジョンを動かすボスなんてものがいたなんてな……」
「そんな事も知らずに私達、武器庫で騒いでたんだ。こ、怖い」
正直驚いた。ここまで常識外れの魔物がいたなんて。
普通に考えればこんな答えになんて辿り着かない。
武器庫のサイズだってダンジョンの気まぐれだと思い込んでしまえばもう。
「今回は彼方の理不尽、まかり通らなかったね」
「ああ、いい所全部持っていかれたよ。さすが元ナンバーワンだよな」
それなのに気付いた遥は本当にすごい奴だ。
まさかこれほどに勘が鋭いなんてな、ただ強いだけと思って舐めていたよ。
今回も身体も張っていたみたいだし、見直した。
やっぱり彼女は伊達やイカサマでトップになった訳じゃないんだってな。
実力と知能、その二つを兼ね揃えていたからこそだったんだ。
おしむらくはダンジョン以外に興味を持てなかった事か。
きっとそのせいで常識をも逸脱してしまったんだろう。
そうも考えると、今の遥は本当に俺とそっくりだと思う。
やっと他に興味を持ち、色んな事に挑戦しようとしている所も。
そんな奴が次にどうなるか、もう楽しみでしょうがないな。
「僕達を殺す気か!?」
「ほんっとすんまっせぇーーーんッ!!!」
引き続き、匠美さん達にも謝る事になった。
うーん、必要以上にマナを込め過ぎてしまったようだ。失敗失敗。
ただ、おかげで全員が戻って来てくれた。
これでダンジョン攻略が先に進めればいいんだが。
「これで全員ですわね。ではさっそくですが単刀直入に言わせていただきます」
「な、なんや藪から棒に!?」
「このダンジョンは……果てなどありません」
「「「!?」」」
「それってエンドレスって事かしら?」
「平たく言えばそうですわね」
な、なんだって……!?
あの道がエンドレスだって!?
だが、どうしてそれが……?
「少し聞きたいのですが、この中に気味の悪い生腕が落ちているのを見掛けた方はいらっしゃいますか?」
「あ、私の所で見ました」
「では剣の切っ先は?」
「たしか俺、見かけたと思います」
遥の質疑にプレイヤーの誰かが答えてくれている。
すると遥が何かわかったように頷いているぞ?
それらが一体何を意味するんだ……?
「やはりそうですわね。あの通路は察するに、つど入れ替わっているのでしょう」
「「「えっ!?」」」
「誰かがいなくなったのを見計らい、ダンジョンそのものが道を繋ぎ変えて新しい道を作っているのですよ」
あ、そうか!
きっと遥はこう確信できる証拠を残したんだろうな。
そうやって調べながら進んでいたって事か。
さすがは元トップ、俺でも気付かなかったっていうのに。
だが、それでどういう答えが出た?
「そこでわたくしは考えました。ダンジョンそのものが我々を惑わしているのならば、その根源は一体何なのか、と」
「俺達を惑わして追い返すためとかじゃ?」
「それならばダンジョンとして出現した意味がありませんわ。だからといって帰り道を塞ぐ訳でもない。それは塞ぐ必要が無いから」
「それって一体どういう意味なんだ?」
「仕組みがバレない、という確固たる自信があるのでしょう。このダンジョンの主にはね」
ダンジョンの主……? ボスの事か?
ダンジョンそのものが俺達を惑わしているのに?
まるでダンジョンを動かせる奴がいるみたいな話に聞こえるんだが……?
「……では、みなさんは〝ミミック〟という存在をご存知で?」
「ミミックって言えばあれやな。宝箱に化け、うっかり開けた冒険者を食べてしまうっていうファンタジー物語に出てくる魔物やろ」
「そう、それですわ。まさに今回の主こそそのミミックなのです」
「「「えっ!?」」」
「けど宝箱なんてこのダンジョンには出ぇへんやん? それはおかしいわ」
「いいえ、今回の相手は箱なんかではありませんのよ」
「え……」
俺はミミックという存在は知らない。
軒下魔宮でもそういうのは出てこなかったからな。
けど遥はそれが何かわかっているから今、踵を返したのだろう。
ダンジョンへと再び戻るためにと。
そんな彼女が手招きしている。
今からその正体を教えてくれるって事なのか?
みんながついていく中、今度は遥が武器庫へと入っていく。
そこに一体何の用が? もうみんな武器は持っているんだが?
「ではみなさんに答えを見せる事にしましょう。わざわざ外で話をした理由がすぐにわかると思いますわ」
すると全員が集まった所で、遥が片手剣を一本拾い上げる。
そして何を思ったのか、奥の壁へと向けて投げた!?
剣が壁に刺さる。
しかもドズンと深く重く。
なんだ、これは一体どういう――
「ギョエエエエエエ!!!!!」
「「「な、なんだ!!?」」」
叫び声が上がっただって!? 一体どこから!?
ま、まさか……!
この武器庫の壁から叫び声が上がっているのか!
「一本では足りませんでしたか。ではもっといってみるとしましょう」
「ギィィィエエエエエ!!!??」
二本、三本、遥の投げた剣が壁に突き刺さり、その度に叫びが木霊する!
遂には壁が波を打って歪んだだって!? 何が起きているんだ!?
うっ!? 壁が、落ちていくだと!?
「倒れた壁がへなへなとしおれていくわ!」
「見て! 壁の先にさっきまで無かった武器がある!」
「それだけじゃないで!? 奥の壁見てみぃ!」
「ダ、ダンジョンコア……だって!?」
じょ、冗談だろ!?
入口の武器庫にダンジョンコアがあるってどういう事なんだ!?
じゃあま、まさかこのしおれて倒れた壁が、ダンジョンのボス!?
「そう、この壁こそダンジョンを動かした正体であり、ここのボスでもある主ですわ。さしずめダンジョンミミックとでも言うべきかしら」
「まさかダンジョンを動かすボスなんてものがいたなんてな……」
「そんな事も知らずに私達、武器庫で騒いでたんだ。こ、怖い」
正直驚いた。ここまで常識外れの魔物がいたなんて。
普通に考えればこんな答えになんて辿り着かない。
武器庫のサイズだってダンジョンの気まぐれだと思い込んでしまえばもう。
「今回は彼方の理不尽、まかり通らなかったね」
「ああ、いい所全部持っていかれたよ。さすが元ナンバーワンだよな」
それなのに気付いた遥は本当にすごい奴だ。
まさかこれほどに勘が鋭いなんてな、ただ強いだけと思って舐めていたよ。
今回も身体も張っていたみたいだし、見直した。
やっぱり彼女は伊達やイカサマでトップになった訳じゃないんだってな。
実力と知能、その二つを兼ね揃えていたからこそだったんだ。
おしむらくはダンジョン以外に興味を持てなかった事か。
きっとそのせいで常識をも逸脱してしまったんだろう。
そうも考えると、今の遥は本当に俺とそっくりだと思う。
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そんな奴が次にどうなるか、もう楽しみでしょうがないな。
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