76 / 126
第76話 新学期がやってきた!
しおりを挟む
楽しい夏休みがとうとう終わってしまった。
色々とイベントが多過ぎて目まぐるしい一か月だったな。
でもそのおかげでモヤモヤして正体のわからなかった気持ちも解決した。
今ではつくしと手を握り合って登校するという進展っぷりだ。
「やあ間宮君、久しぶり!」
「おはよう、緒方君」
それで教室にやってくればクラスの懐かしい面々がまた姿を見せてくれる。
席に着けば緒方君もこうして声をかけてきてくれたし、二学期が来たなぁって感じがするな。
とはいえ、教室は別の事で大盛り上がりな訳だけど。
「オーホッホッホ! わたくしとルームメイトとなれる事を誇りに思いなさぁい!」
「「「おおおーっ! 本物の司条遥だーっ!」」」
「違いますわ! わたくしこそドブ川の女王、ドブ川遥ですわーっ!!」
またやってるよ。どこでも見境ないなアイツ。
そういえば遥も俺達と同じクラスに編入したんだっけか。
それにしたってみんな騒ぎ過ぎだろう。
ま、おかげで注目が彼女に移りっきりだから俺的には静かでいいんだけどな。
「やっぱり司じょ――ドブはるさんの人気はすごいね」
「ドブはるさん。今そう呼ばれてるんだなアイツ」
「うん、前よりずっと砕けた感じがして割とウケがいいみたい。元々人気だったからね、前とのギャップもすごくて新しいファンも増えてるんだって」
さすがだな、遥は。
まさか最悪なまでの評判をここまで持ち返すなんて。
「アイツそこまで人気だったの?」
「そりゃそうだよ! だってナンバーワンだし、戦い方も美しいし、参戦当初は小学四年生だったのに、それでも恐れずに敵に立ち向かう。ダンジョン攻略を見る僕らにとってはヒーローみたいなものだったんだからさ!」
ヒーローねぇ。女子なんだけど。
とはいえ、そういう性別とかを乗り越えた格好良さがあったんだろう。
一部のクラス女子も盛り上がりをみせているくらいだし。
「あ、そうだ! ねぇねぇ間宮君、ちょっと自慢していい?」
「え、別にいいけど……?」
ん、唐突になんだろう?
謙虚な緒方君が自慢なんて珍しい。
なんだ、通学鞄とは別の大きな鞄から何か取り出した。
おお、なんだかすごいデカい物が出てきたんだが!?
「へへ、これね、ビューチューバーも使う事があるくらいの結構高いビデオカメラなんだ!」
「おおー、すごいな! かっこいいし高そう!」
「うん! 実は兄さんが新しい機材買うからって、お古のこの機材を譲ってもらったんだよ!」
ほうほう、いい兄を持っているんだなぁ緒方君は。
お高い機材を譲ってくれるなんて、きっと仲の良い兄弟なんだろう。
そういえばすえつぐも動画で「機材を買い換えました! 古い機材は弟に譲渡する予定でーす!」とか言ってたし、兄弟ってきっとこれが普通なんだろうなぁ。
いいなぁ兄弟。一人っ子の俺にはうらやましい話だ。
「そ、それでね間宮君、実はお願いがあって……」
「うん?」
「もしよかったらなんだけど、この機材でダンジョン部の映像を撮らせてくれないかな? も、もちろん動画投稿サイトには載せないからさ」
「それならいいんじゃないかな? 収益化すると色々うるさいみたいだけど、個人用なら別に平気だと思うよ」
「ホント!?」
「うん、部長に聞いてみるからあとで一緒に部室行こう」
「やった! ありがとう!」
緒方君、なんか思った以上に喜んでくれているみたいだ。
キラッキラでピュアッピュアな笑顔がとても眩しい。
俺はなんとなしに応えたつもりなんだけどね……。
――と、そんな訳で放課後。
承諾した以上は裏切りたくない。
なのでつくしと緒方君を連れて部室へと赴いた。
そうしたら遥がすでに部屋の中でソファーに座っていた。
あと澪奈部長やモモ先輩が部屋の隅においやられている。何があったの。
「あ、彼方っち達来たねぇ」
「ども。どうしたんっすか、そんな端で」
「いやね、本当に遥がウチの学校に編入してくるとか思わなかったからさぁ」
「寝耳に水魔術……くふふ、びっくりね」
まぁ二人はまだ遥に慣れてないもんなぁ。
澪奈部長もすでに二回ほど共闘はしてるはずなのだけれど。
「やはりわたくしの存在感が引き立つゆえの事でしょうね、ふふっ」
遥は遥で優雅にお紅茶を嗜んでいらっしゃるようだし。
……あ、違う。
この香りはただの白湯だ。リーズナブル!
「ところで部長、実は友達が個人的に動画撮りたいらしいんで連れてきたんですけど――」
「あ、ヒロ君じゃーん、久しぶりぃ!」
「早矢川先輩ど、どうも」
「あれ、二人とも知り合いだったの?」
「うん、こないだちょっと会ってねぇ」
「実は兄さんが家に招待したみたいで、その時に会ったんだよ」
ほう……澪奈部長、緒方君の兄とも仲が良いとは。
これはすえつぐに意外なライバルが現れたようだぞ、あいつ大丈夫か~?
「それで動画の方は――」
「いいんじゃん? 収益化したらソッコーで徴収すっけどォ」
「そこんとこは容赦ないんすね」
「とーぜん! ルールは守らないとねぇ~♪」
「澪奈パイセン、お金が絡むとあたしらよりうるさいよね!」
「つくし、言い方ァ!」
ま、まぁ動画に関しては問題無いかな。
緒方君がルールを破るような奴には見えないし。
むしろ今のメンバー達の反応の方がずっと心配だよ……。
色々とイベントが多過ぎて目まぐるしい一か月だったな。
でもそのおかげでモヤモヤして正体のわからなかった気持ちも解決した。
今ではつくしと手を握り合って登校するという進展っぷりだ。
「やあ間宮君、久しぶり!」
「おはよう、緒方君」
それで教室にやってくればクラスの懐かしい面々がまた姿を見せてくれる。
席に着けば緒方君もこうして声をかけてきてくれたし、二学期が来たなぁって感じがするな。
とはいえ、教室は別の事で大盛り上がりな訳だけど。
「オーホッホッホ! わたくしとルームメイトとなれる事を誇りに思いなさぁい!」
「「「おおおーっ! 本物の司条遥だーっ!」」」
「違いますわ! わたくしこそドブ川の女王、ドブ川遥ですわーっ!!」
またやってるよ。どこでも見境ないなアイツ。
そういえば遥も俺達と同じクラスに編入したんだっけか。
それにしたってみんな騒ぎ過ぎだろう。
ま、おかげで注目が彼女に移りっきりだから俺的には静かでいいんだけどな。
「やっぱり司じょ――ドブはるさんの人気はすごいね」
「ドブはるさん。今そう呼ばれてるんだなアイツ」
「うん、前よりずっと砕けた感じがして割とウケがいいみたい。元々人気だったからね、前とのギャップもすごくて新しいファンも増えてるんだって」
さすがだな、遥は。
まさか最悪なまでの評判をここまで持ち返すなんて。
「アイツそこまで人気だったの?」
「そりゃそうだよ! だってナンバーワンだし、戦い方も美しいし、参戦当初は小学四年生だったのに、それでも恐れずに敵に立ち向かう。ダンジョン攻略を見る僕らにとってはヒーローみたいなものだったんだからさ!」
ヒーローねぇ。女子なんだけど。
とはいえ、そういう性別とかを乗り越えた格好良さがあったんだろう。
一部のクラス女子も盛り上がりをみせているくらいだし。
「あ、そうだ! ねぇねぇ間宮君、ちょっと自慢していい?」
「え、別にいいけど……?」
ん、唐突になんだろう?
謙虚な緒方君が自慢なんて珍しい。
なんだ、通学鞄とは別の大きな鞄から何か取り出した。
おお、なんだかすごいデカい物が出てきたんだが!?
「へへ、これね、ビューチューバーも使う事があるくらいの結構高いビデオカメラなんだ!」
「おおー、すごいな! かっこいいし高そう!」
「うん! 実は兄さんが新しい機材買うからって、お古のこの機材を譲ってもらったんだよ!」
ほうほう、いい兄を持っているんだなぁ緒方君は。
お高い機材を譲ってくれるなんて、きっと仲の良い兄弟なんだろう。
そういえばすえつぐも動画で「機材を買い換えました! 古い機材は弟に譲渡する予定でーす!」とか言ってたし、兄弟ってきっとこれが普通なんだろうなぁ。
いいなぁ兄弟。一人っ子の俺にはうらやましい話だ。
「そ、それでね間宮君、実はお願いがあって……」
「うん?」
「もしよかったらなんだけど、この機材でダンジョン部の映像を撮らせてくれないかな? も、もちろん動画投稿サイトには載せないからさ」
「それならいいんじゃないかな? 収益化すると色々うるさいみたいだけど、個人用なら別に平気だと思うよ」
「ホント!?」
「うん、部長に聞いてみるからあとで一緒に部室行こう」
「やった! ありがとう!」
緒方君、なんか思った以上に喜んでくれているみたいだ。
キラッキラでピュアッピュアな笑顔がとても眩しい。
俺はなんとなしに応えたつもりなんだけどね……。
――と、そんな訳で放課後。
承諾した以上は裏切りたくない。
なのでつくしと緒方君を連れて部室へと赴いた。
そうしたら遥がすでに部屋の中でソファーに座っていた。
あと澪奈部長やモモ先輩が部屋の隅においやられている。何があったの。
「あ、彼方っち達来たねぇ」
「ども。どうしたんっすか、そんな端で」
「いやね、本当に遥がウチの学校に編入してくるとか思わなかったからさぁ」
「寝耳に水魔術……くふふ、びっくりね」
まぁ二人はまだ遥に慣れてないもんなぁ。
澪奈部長もすでに二回ほど共闘はしてるはずなのだけれど。
「やはりわたくしの存在感が引き立つゆえの事でしょうね、ふふっ」
遥は遥で優雅にお紅茶を嗜んでいらっしゃるようだし。
……あ、違う。
この香りはただの白湯だ。リーズナブル!
「ところで部長、実は友達が個人的に動画撮りたいらしいんで連れてきたんですけど――」
「あ、ヒロ君じゃーん、久しぶりぃ!」
「早矢川先輩ど、どうも」
「あれ、二人とも知り合いだったの?」
「うん、こないだちょっと会ってねぇ」
「実は兄さんが家に招待したみたいで、その時に会ったんだよ」
ほう……澪奈部長、緒方君の兄とも仲が良いとは。
これはすえつぐに意外なライバルが現れたようだぞ、あいつ大丈夫か~?
「それで動画の方は――」
「いいんじゃん? 収益化したらソッコーで徴収すっけどォ」
「そこんとこは容赦ないんすね」
「とーぜん! ルールは守らないとねぇ~♪」
「澪奈パイセン、お金が絡むとあたしらよりうるさいよね!」
「つくし、言い方ァ!」
ま、まぁ動画に関しては問題無いかな。
緒方君がルールを破るような奴には見えないし。
むしろ今のメンバー達の反応の方がずっと心配だよ……。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる