実家が先行実装ダンジョンだった俺、同級生の女子に誘われたので今度は正式実装版で無双をやってみた。え、配信された攻略動画がバズってるって!?

日奈 うさぎ

文字の大きさ
106 / 126

第106話 パーソナリアルライド!

しおりを挟む
『もぉー幻聴じゃないってばー! えいえーい!』
「うおおッ!? 待って髪引っ張らないで!? ていうかどうやって引っ張ってんの!?」

 つくしが自力で絆ライディングを行い、俺のための装備へと変化した。
 それも成功し、俺は今つくしだった服を着れている。

 なのに、なぜかその服がしゃべってるんだけど?
 それどころかつくしの意識がまんま残っているんだけど?

 コンでもここまでダイレクトに残らないよ? なんで!?

『服の形がわかるのはあたしと記憶が繋がってる証拠! つまりこれが彼方との人格共有同化――名付けて〝パーソナリアルライド!〟』
「い、いやそうじゃなくて! なんで喋れてるんだよぉ!?」
『彼方ぁ、ちょっとノリ悪いよ?』
「ご、ごめん……」

 服に――いや、つくしに怒られてしまった。
 せっかくの感動的な変身だったのに雰囲気が台無しなんだが?
 もしかしてこれって俺のせいなの?

「それで、なんで?」
『そこはほらぁ、あたしの記憶を辿ってよぉ~……まぁいっか。あのね、こういうシチュエーションっていうのは大概、変身した人はしゃべれるものなの!』
「そ、そうなの? その根拠は?」
『アニメで見た!』
「そ、そう……」

 そうですか。アニメで着想を得たんですか。
 それでイメージ通りにやったらできてしまったと。

 ――天才かッ!!!

『いやーそれほどでもありますよー! にゅふふふ!』
「君の才能が怖いよ。とっても怖い」

 しかも俺の思考をすべて読み取ってくれている。
 その代わり俺もつくしの記憶も意識すれば見る事ができるんだろうな。
 たしかにこれならアームドライドと同等の事ができるかもしれない。

 まさか着想を得ただけで実現可能なんて。
 おまけにこの再現度……つくしは本当に天才なんだな。

 さしずめ思考した事を何でも体現させられる、実行力の天才ってやつか……! 

「ウフフフフフ……悪いんだけどイチャラブはまた後にして欲しいの」
「うおおっ!? モモ先輩いつのまにっ!?」
『いやーバレてしまいましたかー!』
「割とみんな必死だから、ね? 今回ばかりはちょっと控えて?」
「『すんませーん!」』

 くっ、だがあまりにも驚きすぎてモモ先輩に怒られてしまった。
 俺としては真面目に行きたかったけどつくしがそうさせてくれないっ!

 ごめんなさーい! パイセンズー!

 ……おっとまずい、俺の意識がつくしに乗っ取られそうになった。
 これは俺も油断してはいけないやつだな。

『それじゃー一発ブチかましますかー!』
「ああ、やってやろう。魔物遥を倒すために!」
「って事はもう見つけたのね? 遥を助け出す手段を」
「ええ。俺達はあいつを助けますよ。絶対に」
「うん、わかった。なら気を付けてね」
『ありがとー!』

 モモ先輩はそう聞くと、疲れたように尻餅を突いてしまった。
 もうだいぶ消耗してしまっているのだろう。
 体力がないから仕方がないし、そっとしておいてあげよう。

 ……となると、澪奈部長達も割とギリギリか。
 俺達はちょっとみんなに甘えすぎていたみたいだ。
 そこはあとであらためて反省するとしよう。

 だが今は、魔物遥を倒す事に集中させてもらう!

 そこで俺は右腕を頭上にかざして意識を向ける。
 すると手元に光が集まり、一本の長い錫杖が姿を現した。
 服と同じく虹色に輝く水晶杖が。

 これは俺とつくしのイメージが合わさったヒーラーロッド。
 それもダンジョンの特性に合わせて装備変化を起こしたものだ。

 すなわち、俺とつくしのレベルに合わせて超強化された武器という事である。

『どう? 相応の武器を持つってやっぱいいでしょ?』
「ああ、こうなるとダンジョンも軒下も変わらない。やっぱりもっとも相性の合った武器は……イイ!」
『今までは使えなかったもんねー!』

 軒下ではある一定のレベル帯を越えると、武器が急激な成長を遂げる。
 使用者の意思に合わせて力を加減してくれたり、限界を越えたりしてくれるんだ。

 そしてその特性はダンジョン製の武器にもしっかりと引き継がれている!

 よって試しに振り回してみたが、とても調子がいい。
 くるりと回しただけで光粒子が弾け飛び、足元が真空波で深く切り刻まれた。
 そうだよな、俺のレベルならこれくらいはなんて事なく可能だから。

 それにこの手に吸い付く感じ、もうすごく懐かしい。
 ヒーラーをやらなくなったのはたしか中一くらいの時だったか。
 あの時はもう回復すらいらなくなって片手棍だけで周回無双してたっけ。

 だからもう飽きて執着も無くて、ダンジョンでも使う気は起きなかった。

『んじゃーぶっとばせぇー! ヒーラーレベル〝999+X〟、カンストオーバーのパワーでっ!』
「ああ、今度こそ格の違いってのを見せつけてやるぞ!」

 だが今は久々にとてもワクワクしている!
 ずっと前にカンストさせたこの力が正しい形で活用できる事に喜んで! 

 遥、待ってろよ!
 今すぐお前をその憎悪の中から解き放ってやるからな!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...