時き継幻想フララジカ

日奈 うさぎ

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第九節「人が結ぶ世界 白下の誓い 闇に消えぬ」

第九節 後日談1 ~大爆発~

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※このお話は後日談につき、物語となんら関係はありませんので読み飛ばしても支障ありません。



///第九節 後日談1 ~大爆発~///



 オンズ王との戦いから数日後の土曜日の昼頃。
 勇とちゃなは福留に呼ばれ、特事部の本部へ向かう為に東京行きの列車へと乗り込んでいた。

「うぅ……やっぱりあの時やり過ぎたんでしょうか……」

 ちゃなはそうさりげなく呟き顔を俯かせる。

 オンズ戦の際、福留に「とことんやりましょう」と言われ調子に乗ったちゃなは、無人とはいえそこにあった建物を片っ端から壊していた。
 そこに魔者が潜んでいる可能性があるとはいえ、少しやり過ぎた感も否めなくも無く……ちゃなはそこが気になっていた様だ。

 とはいうものの、福留から何かしらそういった事をほのめかす様な口ぶりがあった訳ではなく。

「田中さん気にしすぎだよ……福留さん何も言ってないし……」
「でもやっぱり……はぁ」

 何度目の溜息だろうか。

 勇自身も「確かにあれは思い返せばやり過ぎだったのかもしれない」と思う所もあるようで。
 二人はこの後何か言われてしまうのではないか……そう心配しながら目的地へと向かっていた。



 しかし事態は思ったよりも二人が心配していた事にはなっていない様であった。



「おぉ、お二人共ご苦労様です、ささこちらに」

 二人が到着した時、福留はいつもの笑顔と雰囲気で二人を迎え、事務所の傍らにあったソファーへと案内する。

「お二人共、何かお飲み物をお出ししましょうか、何か飲みたい物ありますか?」

 というよりも、どちらかと言えば機嫌が良いようにも見える。

「あ、いや……そこまでは大丈夫ですよ」
「はい、私も……」
「おや、そうですか」

 勇達の遠慮をすんなり受け入れると、福留は勇達の前に座る様に机を挟んだ対面のソファーへと自身の体を座らせた。

「オンズの時はご苦労様でした。 お二人の活躍のおかげで大事にも至らず……まぁ村の方もほぼ壊滅しましたが……ハハ」

 そう冗談交じりに話す福留の前で、途端ちゃなの顔が沈む。

「あぁ、そんなに気になさらないでください。 村の生き残った方々は無事ですし、家も再び建て直せばいい事ですから」

 人がいれば村は蘇る……オンズが居なくなった事で村の者達も遠慮なく村に戻る事が出来るのだ。
 畑などの農作物にも一部被害は有るものの、大事には至っていない。
 建物等は恐らくこれから政府指導の元、復元していく事になるだろう。
 勇達が思う程深刻な状況では無い様だった。

「それよりも……折り入ってお願いがありまして……特にちゃな君に」
「私……ですか?」
「えぇ」

 沈んだ顔を上げたちゃなは、静かに福留の話に聞き耳を立てる。

「先日オンズ戦で使った……【弾丸】ですか、そちらを少々見せて頂きたいのです」
「弾丸を……?」

 【弾丸】とはオンズ戦の折、住居に潜伏・散策していたオンズ兵達を撃ち抜いた攻撃の事である。
 まるで戦車の砲弾の如き破壊力を見せたその攻撃方法は、今回その戦闘に同伴出来なかった為に政府報告用の記録に残っていない。

「先日の戦いの記録をとっておかないと報告書としては纏まらなくて……」

 【ぼん】やザサブ戦で見せた炎弾とは異なる威力を見せたその攻撃方法の記録は、福留が上司である鷹峰総理に報告する上で欠かせない材料となる。
 ちなみに……今までの攻撃方法に関してはしっかりと様々な記録が残っている。

「わ、わかりました……それでどうしたらいいですか?」
「なぁに、トレーニング施設でちょっと一発ドカンとお願いしたいのですよ」

 気軽にそう言う福留ではあったが、トレーニング施設と言ってもただのコンクリートの壁作りの建物……そんなものを撃ち出してまともに耐えられるとは思わなかった。

 そう思いながらも二人が福留に連れられて施設へ向かうとその心配は直ぐに消え去った。

「な、なにこれ……」

 トレーニング施設の大部屋に設置された様々な機器、そして防護設備……いずれも建物内にてちゃなの弾丸を計測する為に用意された設備であった。
 数人の技師の姿がちらほら……彼等は彼女の撃つ弾丸を分析する為に派遣されてきた技術者の様だ。

「ちゃな君にはあの場所で一発弾丸を撃って頂くだけで構いません。 あとはここの機器を使用して分析等を行いそれを記録として残す予定です」

 【ぼん】は基本はただの爆発炎上する火の玉、炎弾に関しては高速で飛び交う炎の玉である。
 基本的にはどちらも普通の攻撃として分類される為大規模な記録は必要ないと福留は言う。
 しかし、弾丸に関しては兵器としても実に実用性の高い攻撃である事が想定される為、この様な計測が必要だという事らしい。

「わ、わかりました。 今からですか?」
「もう少し待っていただけますか、間も無く調整完了すると思われますので」

 福留にそう言われ時を待つ。
 間も無くして準備が整った事が報告されると……技術者達の合図の元、早速計測が始まった。

 専用の台座にドゥルムエーヴェを固定し、それに力を込める。
 狙いは正面に見える分厚い鉄板を使用したサッカーのゴールポストの様な受け場。

「では、ちゃなさんお願い致します」
「はいっ」

 福留から声が掛かると、ちゃなは魔剣に力を籠めて命力を通わせる。
 見る見るうちに弾丸が形成され、彼等の前にその弾丸の形状がハッキリ判る様を見せつけると……技術者達が「おぉ……」と声を漏らしまじまじと見つめていた。

「いきますっ!」

 そう叫び声を上げ、ちゃなは遂に弾丸を解き放った。



ドォゥンッ!!



 その一瞬、彼等の前を弾丸が突き抜けた。



チュオンッ!!



 これは弾丸が鉄板に当たった音だ。
 だが何かがおかしい。



ドゴォオオオンッ!!



 そして次の瞬間、地響きと共に弾丸が炸裂する音が籠る様に周囲に響き渡った。
 だが、決してゴールポスト・・・・・・が燃えている訳では無い。
 その様子を見ていた誰しもが目を疑う様に見開き、弾丸が撃ち込まれた先を見て唖然とする。



 弾丸はゴールポストを貫通し、施設の外へと着弾していたのだ。



ゴォォォォウッ!!



 決してゴールの音ではない。
 燃え盛る炎の音だ。

 大きな煙を吹き出し敷地内の一部が燃え盛る。

「各員素早く外の炎を鎮火してください!!」

 福留号令の元、技術者達は燃え盛る炎を消す為に予め用意されていた化学消火剤を持ち施設の横を回り込んで燃え盛る炎へ向かっていく。

 程なくして炎は鎮火し、施設の壁とアスファルトの黒く焼け焦げた跡がくっきりと残っていた。

「す……すいません……やりすぎました……」
「うーん、想定外でしたねぇ……これほどまでとは」

 鉄板と言っても、鉄のブロックに近い厚さを有したものであり……まさか貫通するとは思ってもみなかった様である。

「これはまたとんでもない威力の攻撃を考え付いたものですねぇ……ちゃな君の成長が色んな意味で楽しみです……」

 結局この日、二人は特にお咎めも無く帰宅していった。
 福留は今回の反省と今後のちゃなの命力を使用した攻撃訓練が出来る施設を建造する必要が有ると判断した様だ。
 ちゃなにとっては少し引け目を感じる事ではあったが、結果的には福留にそう思い切らせた点を挙げればプラスだったのかもしれない。

 今回の事がきっかけでこの施設は改築を行い、ある程度の命力を使った訓練が出来る様に改造された。
 しかしこの時点ではまだちゃなが本気を出せる様な建物にはなっておらず……彼女の心労はまだまだ溜まりそうだ。


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