320 / 1,197
第十一節「心拠りし所 平の願い その光の道標」
~頼むから戦いを仕込まないでくれぇ~
しおりを挟む
瀬玲と相談し合った日の夜。
食事も終えた所で、勇は福留に電話を掛けていた。
もちろんSNSで連絡するのも良かったかもしれない。
けど、なんだかそれも失礼と思えてならなくて。
なにせ福留との連絡と言えば大抵は電話だ。
SNSを使う事はあっても軽い連絡くらいで、大事な話の時は使わない。
情報が文字列データとして残るのを避けたいからだそうな。
秘密組織員らしい最もな理由と言えよう。
ただそうすると繋がらない時は伝えようがない。
例えば、今の様に先方が電話を取れない状態の時などは。
「繋がらないな。忙しいのかな……」
出られる時は大抵、即座に出てくれるのだが。
どうやら今は都合が悪いらしい。
だから今度は正当な理由でSNSを立ち上げて。
たった一言、「相談があります。連絡ください」とだけ送る。
これで後は返信を待つだけだ。
でもその返信は一向にやってこなくて。
それ程までに忙しいのだろうか。
コンコン……
するとそんな時、扉を叩く音が聴こえてきて。
ふと返事を返してみると、扉を開いてちゃなが現れる。
きっとお風呂上りなのだろう。
タオルに包まれた髪はまだ湿り気を帯び、僅かに甘い香りも漂ってきていて。
ピンクのパジャマも着ている辺り、寝る準備も万端な様だ。
「どうしたの、田中さん?」
「実はですね、お願いしたい事があって……」
そんな様相でもじもじとする姿はとても可愛らしい。
勇が振り返って見れば、思わず見惚れてしまうくらいには。
ただその話題の振り方から、勇としてはデジャヴを感じざるを得なかったけれども。
やはり昼間の瀬玲とのやり取りが心に残っていたらしい。
だからか、「お願い」という言葉に思わずピクリと反応する姿が。
「【嵐丸】のチケットは無理だよ?」
「えっ? らんまるって?」
「あ、いや、ごめん……こっちの話」
ついついそんな記憶に引っ張られて、余計な事まで口走るハメに。
それだけ瀬玲の豹変具合がインパクトあったもので。
ついでに【嵐丸】自体もトラウマになってしまいそうな勢いである。
「それで、お願いって?」
「えっとね、さっき愛希ちゃんから連絡があってね。『クリスマスパーティしない?』って」
「えぇ……」
「それで、皆でやれたらいいなって。だったら勇さんに相談すれば出来るかもしれないって思って」
しかし現実はどうやら予想以上にお祭り騒ぎだった様で。
まさかちゃなの方からもパーティの相談が来るとは。
しかも同日に。
そんなあまりのタイムリーさに勇も驚愕を隠せない。
おまけにどちらも任せようとしてくるのだからもう。
頼られるのは決して嫌ではないのだけれど。
当人としてはなんで頼られるのかがわからないから、気分はとても複雑だ。
パーティ開催の才能でもあるのか、などと勘違いしてしまいそうなくらいには。
「もしかしてだめ、でしょうか?」
「ううん、そういう訳じゃなくてね。実はセリからも同じ事相談されてたんだよ。だから驚いちゃって」
「あ、そうだったんですね。偶然ってすごい!」
なのでここで早速ネタばらし。
これにはちゃなもとても嬉しそう。
過去の事からパーティなんてずっと疎遠だったに違いない。
だからきっと楽しみにしていたのだろう。
「まぁセリと愛希ちゃんに接点無いから口裏合わせは無いよな」
「そうですね。電話番号とRAINのIDくらいは知ってると思いますけど」
偶然の一致にも感謝を隠せない様だ。
感激の余りにスマートフォンを胸に抑え込んでいて。
そんな姿はまるで神に感謝を捧げる聖女か。
元々の柔らかさもあってか、なんだか後光が輝き見えてくるかのよう。
どうやら、新時代の聖女はスマートフォンを十字架の代わりとするらしい。
「それで折角だから知り合い皆集めたいなって思って。カプロとかもさ。だから今、福留さんに連絡中。繋がらないけどね」
「はわぁ! そうなんですね。凄い楽しみです……!」
これでちゃんと神に祈りが届けばいいのだけど。
うっかり創世の女神にでも届いてしまえば惨事は免れそうもない。
だから勇としては戦々恐々だ。
せめて目前の聖女の願いがしっかり届く事を祈るばかりである。
やっぱり、ちゃなの悲しむ姿はあまり見たくないので。
この間のマヴォの一件でもそれなりに心を打たれたから尚の事。
「だから結果出るまで待ってもらっていいかな?」
「はいっ!」
なので今は期待だけを与えてリリースする事に。
お陰でちゃなも満足したのだろう、ウッキウキで部屋から出て行く。
ただ、勇としてはとても複雑な様子。
辛い所は、必ずしもクリスマスパーティが実現出来るとは限らないから。
それどころか、もしかしたら最悪のケースさえ有り得るのだ。
そう、未だ福留から返信が来ていないからこそ。
だとすると、今度は不安が過ってならない。
福留が忙しいとなると、大概が戦いの話に繋がったりするもので。
これでもしも運が悪ければ。
楽しい聖夜祭り計画が一転、血祭り決行日となりかねない。
「まさかクリスマスにお正月、魔者退治って事は無いよな……?」
しかも可能性が無きにしも非ず。
国内の問題こそ大体解決したが、福留の視野は既に海外にも向けられている。
故に年末年始を海外で、しかも戦いで越す可能性だって充分に有り得るのだ。
そんな不安が勇をまたしても悩ませる事に。
「マジかーまさかそんな」などとぼやき、頭を抱えさせて。
それも余りに深く悩んでいた所為か、肘を掛けた机から軋みさえ唸る。
「田中さんにとってはクリスマスパーティなんて初めてだろうし……うわぁ、どうするかマジで」
最初は『ただパーティが出来たらいいな』というくらいの安請け合いだった。
しかし今は皆から期待を背負う大役だ。
それも今からもう失敗の可能性さえ見えるくらいの難易度という。
故に責任が物理的に重く圧し掛かる。
肘が机を歪ませるくらいに。
――福留さん、頼むから戦いを仕込まないでくれぇ……!――
でも今はこう祈るしかない。
あるいは自分を痛めつけて気を紛らわせる事しか。
そう思い付いてしまったからか、ついつい勢いで机に頭を何度も打ち付ける。
机がヘコもうがもう関係無い。
その姿、もはや荒行中の修行僧の如くストイックである。
「勇君、うるさいわよー!」
なので下から苦情が来ようが構いやしない。
そんな言葉よりも皆の期待に潰される方がずっと辛いので。
するとそんな時、図ったかの様にスマートフォンが振動する。
それからの勇は凄まじく速かった。
命力機動を駆使し、何一つ寸分なくスマートフォンを掴み取って。
ソフト&ハードに素早く手元に寄せ、即座にロックを開く。
この間僅か一秒。
機械の限界動作に挑戦する程の驚異的スピードである。
――だったのだが。
「あれ、これって……」
いざ開いてみれば、連絡を寄越したのは全く別の人物で。
『エウリィ:ちゃな様からクリスマスパーティというものがあると聞きました』
「田中さぁーん!?」
しかも更に重圧を上乗せしてくるという始末。
この余りの仕打ちに、勇の責任感はもはや瀕死の状態だ。
「ふんぬゥゥゥ!!!!!」
故に間も無く、机板が〝く〟の字へと折れ曲がる事に。
今の勇のヘッドバッドは鉄をも砕く。
命力が籠められれば威力はもはや大金槌と変わらないのだ。
「勇君、いい加減になさい!」
ならば衝撃も相応に。
階下からの苦情も過激にヒートアップである。
もちろん勇に聞く耳などもはや持ち合わせてはいないが。
「まずい、早く手を打たないと大変な事になるかもしれない……」
もう余裕などありはしない。
下手に強い責任感がある所為か、今ではガチガチと歯を震わせる程だ。
それだけの重圧に苛まれているからだろう。
こんな妄想を脳内に響かせてしまう程に。
『勇さん……信じてたのに、酷いです』
『まっさかお前が女を泣かせる奴だったとはなぁ』
『勇に期待した私がバカだったわ』
『幻滅しましたーもういいですー』
『勇さんとはもう交流したくないッス』
『所詮、お主も只の魔剣使いか』
『もはや其方は主とは呼べぬ』
『勇様って約束を破る方だったんですね。
……失望しました。もう顔も見たくありません。さようなら』
「ノォーーーウッ!!」
所詮は妄想である。
只の想い過ごしである。
だがそれでも、勇にとっては何より辛かった。
直後、机上の本が全て床へと撒き散らされる事に。
それと同時に、これ以上無い衝撃音が家中へと響き渡る。
これにはさすがの母親もキレた様で。
間も無くドスドスと駆け上り、勇の部屋へと突撃だ。
「アンタ何してるの!! いい加減に――って、ええ!?」
しかし途端の惨状を目の当たりにして驚きを隠せない。
本当に何が起きたのかさっぱりわからなかったのだ。
何せ、勇の机が縦真っ二つに引き千切れて倒れていたのだから。
もちろん鉄製である。
昔から使っているとはいえ、とても丈夫に出来た良品である。
でもそれが今や瞬時にしてスクラップに。
しかもその中央には項垂れる勇の姿があるのだからもう。
情報量が多過ぎて把握が追い付かない。
唖然とするばかりで掛ける言葉も思い付かない様だ。
「勇君、大丈夫?」
「なんか、色々ダメかもしんない……」
「あっそう……ダメそうならちゃんと相談するのよ?」
「そうする」
母親に出来るのは精々これくらいか。
どう考えても、相談した所でどうにもならなさそうだけれど。
とはいえ、今はその優しさだけでも救いにはなるだろう。
少なくとも、重圧まみれの今の勇には。
もっとも、勝手に一人で思い違いしてるだけの痛々しい状況には変わりないが。
食事も終えた所で、勇は福留に電話を掛けていた。
もちろんSNSで連絡するのも良かったかもしれない。
けど、なんだかそれも失礼と思えてならなくて。
なにせ福留との連絡と言えば大抵は電話だ。
SNSを使う事はあっても軽い連絡くらいで、大事な話の時は使わない。
情報が文字列データとして残るのを避けたいからだそうな。
秘密組織員らしい最もな理由と言えよう。
ただそうすると繋がらない時は伝えようがない。
例えば、今の様に先方が電話を取れない状態の時などは。
「繋がらないな。忙しいのかな……」
出られる時は大抵、即座に出てくれるのだが。
どうやら今は都合が悪いらしい。
だから今度は正当な理由でSNSを立ち上げて。
たった一言、「相談があります。連絡ください」とだけ送る。
これで後は返信を待つだけだ。
でもその返信は一向にやってこなくて。
それ程までに忙しいのだろうか。
コンコン……
するとそんな時、扉を叩く音が聴こえてきて。
ふと返事を返してみると、扉を開いてちゃなが現れる。
きっとお風呂上りなのだろう。
タオルに包まれた髪はまだ湿り気を帯び、僅かに甘い香りも漂ってきていて。
ピンクのパジャマも着ている辺り、寝る準備も万端な様だ。
「どうしたの、田中さん?」
「実はですね、お願いしたい事があって……」
そんな様相でもじもじとする姿はとても可愛らしい。
勇が振り返って見れば、思わず見惚れてしまうくらいには。
ただその話題の振り方から、勇としてはデジャヴを感じざるを得なかったけれども。
やはり昼間の瀬玲とのやり取りが心に残っていたらしい。
だからか、「お願い」という言葉に思わずピクリと反応する姿が。
「【嵐丸】のチケットは無理だよ?」
「えっ? らんまるって?」
「あ、いや、ごめん……こっちの話」
ついついそんな記憶に引っ張られて、余計な事まで口走るハメに。
それだけ瀬玲の豹変具合がインパクトあったもので。
ついでに【嵐丸】自体もトラウマになってしまいそうな勢いである。
「それで、お願いって?」
「えっとね、さっき愛希ちゃんから連絡があってね。『クリスマスパーティしない?』って」
「えぇ……」
「それで、皆でやれたらいいなって。だったら勇さんに相談すれば出来るかもしれないって思って」
しかし現実はどうやら予想以上にお祭り騒ぎだった様で。
まさかちゃなの方からもパーティの相談が来るとは。
しかも同日に。
そんなあまりのタイムリーさに勇も驚愕を隠せない。
おまけにどちらも任せようとしてくるのだからもう。
頼られるのは決して嫌ではないのだけれど。
当人としてはなんで頼られるのかがわからないから、気分はとても複雑だ。
パーティ開催の才能でもあるのか、などと勘違いしてしまいそうなくらいには。
「もしかしてだめ、でしょうか?」
「ううん、そういう訳じゃなくてね。実はセリからも同じ事相談されてたんだよ。だから驚いちゃって」
「あ、そうだったんですね。偶然ってすごい!」
なのでここで早速ネタばらし。
これにはちゃなもとても嬉しそう。
過去の事からパーティなんてずっと疎遠だったに違いない。
だからきっと楽しみにしていたのだろう。
「まぁセリと愛希ちゃんに接点無いから口裏合わせは無いよな」
「そうですね。電話番号とRAINのIDくらいは知ってると思いますけど」
偶然の一致にも感謝を隠せない様だ。
感激の余りにスマートフォンを胸に抑え込んでいて。
そんな姿はまるで神に感謝を捧げる聖女か。
元々の柔らかさもあってか、なんだか後光が輝き見えてくるかのよう。
どうやら、新時代の聖女はスマートフォンを十字架の代わりとするらしい。
「それで折角だから知り合い皆集めたいなって思って。カプロとかもさ。だから今、福留さんに連絡中。繋がらないけどね」
「はわぁ! そうなんですね。凄い楽しみです……!」
これでちゃんと神に祈りが届けばいいのだけど。
うっかり創世の女神にでも届いてしまえば惨事は免れそうもない。
だから勇としては戦々恐々だ。
せめて目前の聖女の願いがしっかり届く事を祈るばかりである。
やっぱり、ちゃなの悲しむ姿はあまり見たくないので。
この間のマヴォの一件でもそれなりに心を打たれたから尚の事。
「だから結果出るまで待ってもらっていいかな?」
「はいっ!」
なので今は期待だけを与えてリリースする事に。
お陰でちゃなも満足したのだろう、ウッキウキで部屋から出て行く。
ただ、勇としてはとても複雑な様子。
辛い所は、必ずしもクリスマスパーティが実現出来るとは限らないから。
それどころか、もしかしたら最悪のケースさえ有り得るのだ。
そう、未だ福留から返信が来ていないからこそ。
だとすると、今度は不安が過ってならない。
福留が忙しいとなると、大概が戦いの話に繋がったりするもので。
これでもしも運が悪ければ。
楽しい聖夜祭り計画が一転、血祭り決行日となりかねない。
「まさかクリスマスにお正月、魔者退治って事は無いよな……?」
しかも可能性が無きにしも非ず。
国内の問題こそ大体解決したが、福留の視野は既に海外にも向けられている。
故に年末年始を海外で、しかも戦いで越す可能性だって充分に有り得るのだ。
そんな不安が勇をまたしても悩ませる事に。
「マジかーまさかそんな」などとぼやき、頭を抱えさせて。
それも余りに深く悩んでいた所為か、肘を掛けた机から軋みさえ唸る。
「田中さんにとってはクリスマスパーティなんて初めてだろうし……うわぁ、どうするかマジで」
最初は『ただパーティが出来たらいいな』というくらいの安請け合いだった。
しかし今は皆から期待を背負う大役だ。
それも今からもう失敗の可能性さえ見えるくらいの難易度という。
故に責任が物理的に重く圧し掛かる。
肘が机を歪ませるくらいに。
――福留さん、頼むから戦いを仕込まないでくれぇ……!――
でも今はこう祈るしかない。
あるいは自分を痛めつけて気を紛らわせる事しか。
そう思い付いてしまったからか、ついつい勢いで机に頭を何度も打ち付ける。
机がヘコもうがもう関係無い。
その姿、もはや荒行中の修行僧の如くストイックである。
「勇君、うるさいわよー!」
なので下から苦情が来ようが構いやしない。
そんな言葉よりも皆の期待に潰される方がずっと辛いので。
するとそんな時、図ったかの様にスマートフォンが振動する。
それからの勇は凄まじく速かった。
命力機動を駆使し、何一つ寸分なくスマートフォンを掴み取って。
ソフト&ハードに素早く手元に寄せ、即座にロックを開く。
この間僅か一秒。
機械の限界動作に挑戦する程の驚異的スピードである。
――だったのだが。
「あれ、これって……」
いざ開いてみれば、連絡を寄越したのは全く別の人物で。
『エウリィ:ちゃな様からクリスマスパーティというものがあると聞きました』
「田中さぁーん!?」
しかも更に重圧を上乗せしてくるという始末。
この余りの仕打ちに、勇の責任感はもはや瀕死の状態だ。
「ふんぬゥゥゥ!!!!!」
故に間も無く、机板が〝く〟の字へと折れ曲がる事に。
今の勇のヘッドバッドは鉄をも砕く。
命力が籠められれば威力はもはや大金槌と変わらないのだ。
「勇君、いい加減になさい!」
ならば衝撃も相応に。
階下からの苦情も過激にヒートアップである。
もちろん勇に聞く耳などもはや持ち合わせてはいないが。
「まずい、早く手を打たないと大変な事になるかもしれない……」
もう余裕などありはしない。
下手に強い責任感がある所為か、今ではガチガチと歯を震わせる程だ。
それだけの重圧に苛まれているからだろう。
こんな妄想を脳内に響かせてしまう程に。
『勇さん……信じてたのに、酷いです』
『まっさかお前が女を泣かせる奴だったとはなぁ』
『勇に期待した私がバカだったわ』
『幻滅しましたーもういいですー』
『勇さんとはもう交流したくないッス』
『所詮、お主も只の魔剣使いか』
『もはや其方は主とは呼べぬ』
『勇様って約束を破る方だったんですね。
……失望しました。もう顔も見たくありません。さようなら』
「ノォーーーウッ!!」
所詮は妄想である。
只の想い過ごしである。
だがそれでも、勇にとっては何より辛かった。
直後、机上の本が全て床へと撒き散らされる事に。
それと同時に、これ以上無い衝撃音が家中へと響き渡る。
これにはさすがの母親もキレた様で。
間も無くドスドスと駆け上り、勇の部屋へと突撃だ。
「アンタ何してるの!! いい加減に――って、ええ!?」
しかし途端の惨状を目の当たりにして驚きを隠せない。
本当に何が起きたのかさっぱりわからなかったのだ。
何せ、勇の机が縦真っ二つに引き千切れて倒れていたのだから。
もちろん鉄製である。
昔から使っているとはいえ、とても丈夫に出来た良品である。
でもそれが今や瞬時にしてスクラップに。
しかもその中央には項垂れる勇の姿があるのだからもう。
情報量が多過ぎて把握が追い付かない。
唖然とするばかりで掛ける言葉も思い付かない様だ。
「勇君、大丈夫?」
「なんか、色々ダメかもしんない……」
「あっそう……ダメそうならちゃんと相談するのよ?」
「そうする」
母親に出来るのは精々これくらいか。
どう考えても、相談した所でどうにもならなさそうだけれど。
とはいえ、今はその優しさだけでも救いにはなるだろう。
少なくとも、重圧まみれの今の勇には。
もっとも、勝手に一人で思い違いしてるだけの痛々しい状況には変わりないが。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜
加瀬 一葉
ファンタジー
王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。
実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?
過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~
下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。
二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。
帝国は武力を求めていたのだ。
フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。
帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。
「ここから逃げて、田舎に籠るか」
給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。
帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。
鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。
「私も連れて行ってください、お兄様」
「いやだ」
止めるフェアに、強引なマトビア。
なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。
※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる