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第十一節「心拠りし所 平の願い その光の道標」
~アンタ、見損なったッスよ……!!~
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冬休みも終わりに近づいてきた。
すると自然と、あの毛玉とお別れの時もやってくる。
だからと今日、ホームステイ最終日。
一同は最後まで遊ぼうと園部家に訪れていた。
そのはずだったのだけれども。
「シンッ! アンタ、見損なったッスよ!!」
「ハッ!! 騙されていた奴が悪いんだよ……ッ!!」
険悪なムードが園部家の一室を覆い尽くす。
仲良かったはずの二人が火花を散らさせた事によって。
心輝とカプロ。
この二人は今、とてつもない程に熱くぶつかり合っていた。
こうして怒号までをも咆え上げる程に。
互いが鋭い目付きで睨み合い、声を張り上げ、そして罵り合う。
もはや敵意を伴った言い争いは留まる所を知らない。
「もうお前に抗う余地なんて無いんだよ。精々後悔しろフハハハ!!」
「おのれ外道がぁっ!!」
その激しい争いには、勇やちゃなのみならず、あずーでさえ入る事も叶わない。
誰しもが歯を食い縛り、不安を抱きながらただ見守る事しか。
遂には激しい拳が、蹴りが飛ぶ。
激しい打撃音までをも掻き立てて。
だが苦痛を伴っていたのは、何故か魔者であるカプロだった。
遂には息を乱し、焦燥感さえその顔に滲ませていて。
それでも通用しない打撃を繰り返し、必死に抗う。
一方で心輝はかなりの余裕だ。
相手を見下し、邪悪な笑みで絶対的自信を露わにするという。
カプロの攻撃をいなし、躱し、完璧に受け流し続ける。
その攻防、一方的だが――
「うおあああーーーーーーッッッ!! シィィィーーーンッ!!!」
カプロにもはや抗う術無し。
宣言通り、心輝に付け入る隙など一切ありはしなかったのだ。
『タイムアーップ!』
そしてこの争いは突如として終了する事となる。
この謎の一声が響くと共に。
するとたちまちカプロが項垂れ、心輝が両手を激しく掲げ上げる。
そんな二人の両手には白いコントローラーが握られていて。
目前のテレビに映る攻防の結果で一喜一憂する姿がここに。
「んあーーー!! 卑怯ッスよシン!! 守りに入るのは男としてどうかと思うッス!!」
「これが真剣勝負なんだよォ。勝てなけりゃ結局負け惜しみなんだウッヒッヒ!」
そう、今の攻防はあくまでテレビの中での話。
二人がプレイしていたゲームソフト【パニッシングファイターズVI】での勝負だったのだ。
このゲーム、いわゆる一般的な対戦格闘ゲーム。
二次元式のフィールドで選んだキャラクター同士を戦わせるといった感じの。
シンプルながら緻密な操作を要求され、その要求速度は1/16秒と驚異的。
その深いゲーム性が人気を呼び、世界で愛され続けているシリーズだという。
加えてオンラインでも自由に対戦する事が可能な、とても遊びやすい造りとなっている。
で、なんで二人がこんなゲームをしていたのかと言うと。
実はカプロ、正月初日にして勇の家に飽きた模様。
なにせ、何も無い。
テレビゲームどころか遊ぶ物そのものが。
しかも家に居ると、勇に筋トレやロードワークに付き合わされそうになる。
それに両親の趣味も車の雑誌や美容品などと、子供には微妙過ぎて。
ちゃなに至っては部屋に入れて貰えないのでそれどころじゃない。
子供が遊ぶような場所では無いのだ。
少なくとも勇の家は。
なので正月早々、白旗が上がる事に。
それで二日から颯爽と心輝の家に上がり込んだのだが。
そこで心輝の持つゲームコレクションにハマり込んで今日までに至る。
特にハマったのがこのゲームで、毎日訪れてはずっと対戦していたという始末。
心輝は心輝で楽しかった様なので問題は無いが。
なお心輝はちゃんと勉強もするし結果を残すので自室にテレビがある。
万年赤点スレスレなあずーとは違い、そこは優遇されている模様。
「くぅ~~~! 納得いかねッス! もう一回勝負するッス!!」
「おいおい、良いのかよ? これ以上戦った所で負け数が増えるだけだぜ?」
それでホームステイ最後の日だからこそ、有終の美を飾りたくて。
真剣勝負を挑んだのだけれど、現在負け越し中――というか一度も勝てない。
やはりそこは年季の違いか。
心輝もそこそこやり込んでいる様で、カプロの勝ち目は薄い。
一朝一夕ではいかないやりこみゲームだからこそ尚更だ。
「関係ねぇッス!! もう一回、真の真剣勝負をやるッスよ……!!」
「まぁ俺は構わないけどよ、いいのかよ? もう時間だいぶ過ぎてるぜ?」
それでも勝てそうな雰囲気までには行ける様になったのだけれども。
そこへ至るまでに費やした時間は、既に許容値を超えていたらしい。
そんな中、ふと勇が窓から家の外へ覗き込めば。
軒先では瀬玲と話を交わす御味の姿が。
一応、カプロの荷物は全て車に詰め込み済み。
しっかりと例の金槌もトランクに収まっている。
で、後は当人待ちなのだけど全く降りてこないもので。
なんとか瀬玲が時間稼ぎしているが、さすがに限界が近い。
御味も笑ってはいるが、ちょっと顔が引きつっている。
チラチラと階上を覗く辺り、相当イラついている様だ。
まぁそれも当然か。
関西から単身ここまでやってきて、寒空の下でずっと待たされているのだから。
「カプロ、御味さんもうかなり怒ってるみたいだぞ」
「うぐぐ……」
こうなったらもうカプロに選択肢は無い。
後一戦分やろうものなら御味がカプロをKOしかねないので。
もちろん物理的にではなく立場的に。
「シン、次に戦う時は絶対に叩き潰してやるッスよ!! ボクも【ワンダーアクト】買ってもらって練習しておくッスからね!!」
「おう、楽しみに待っててやるぜ、ウヒヒ」
仕方ないのでしぶしぶ帰る事に。
勝者とは思えないくらいの汚い笑いを浮かべる心輝に見送られ、家を後にする。
なのでカプロからは最後まで悔し顔が抜けなかった。
で、そんなカプロが去った後はと言えば。
「あっぶねぇあっぶねぇ。魔者ってのは反射神経まで命力で強化されてるのかよ。初心者とは思えねぇな……」
たちまちホッと胸を抑え、冷や汗を拭う姿が。
どうやら心輝も一杯一杯の戦闘を繰り広げていた様だ。
今の笑い顔は安いプライドが見栄を通そうとした結果なのだろう。
となると次回は本当にどうなる事やら。
長き戦いを終え、遂にカプロが園部家を後にする。
待ち構えていた御味へ無駄に熱い眼差しを向けながら。
「やっと来たか。このまま来なかったらどうしようかと思ってたんだよ?」
「すまねッス。汚い戦いを前に闘志を燃やして熱くなってたら時間が掛かったッス」
「ならせめて御味さんの身体もその闘志で温めてやれよ」
「で何、時間稼いでた私には労い無いワケ?」
こんな総ツッコミの中でも、煮え滾る闘志は変わらない。
未だ晴れない悔しさに「ギリリ」と歯を食い縛らせていて。
遂には勇達へ、親指を横に向けた拳を見せつけていて。
「シンの野郎に言っといて欲しいッス。次は必ず勝つと」
「いや、それさっき自分で言ってただろ」
そのまま御味に押し込まれる様に車内へと。
それでも手が引っ込まないので、最後は丁寧に肘を曲げられて扉が閉められる。
更には窓が開いてまた拳が飛び出してくる、驚異のしつこさである。
よほど悔しかったに違いない。
「それじゃまたッス。今度また里に遊びに来てくださいッスよ」
「ああ、また皆で遊びに行くよ」
「あっ、それと勇さん」
「えっ?」
それでもやっぱり最後はちゃんとお別れを。
心輝を除いた皆でしっかりと別れを交わす。
でもそんな時、カプロが窓から身を乗り出してきて。
「村長から言伝頼まれてたの忘れてたッス。もし里に来るような事があったら、例の日誌を持ってきて欲しいそうッスよ」
「あぁ、わかったよ」
今更ながらの伝言をようやく勇へと伝える事に。
アルライの里を拓いた時に用いたグゥの日誌。
あの存在はジヨヨ村長達も大いに興味を示していた。
もしかしたら何か中身について思う事があったのかもしれない。
なら持っていく事も吝かではない。
そんな事もあって、勇も笑顔で頷く。
あの日誌で更に親交を深められる可能性があるなら、使わない手は無いのだと。
こうして伝える事を伝え、カプロ達は去って行った。
勇達が手を振る中で。
心輝が自室から見守る中で。
いつもと違う年末年始ではあったけれど。
皆、例年よりずっと楽しめたに違いない。
それだけ、エウリィもカプロも愉快なくらいに楽しんでくれていたから。
だからこそ願わずにはいられない。
また来年も同じ様に過ごせますように、と。
普通に過ごせるよう、無事にまた一年を過ごせるよう。
今はただただ、そう願うしかないのだから。
だが、それでも世界は不幸を生み続ける。
そんな儚い願いなど聞く耳も持たずに。
それから数日後。
アメリカ合衆国南部、アリゾナ州グランドキャニオンのとある地域にて。
陽の光が沈み、大地を暗い青が染め上げていたその時だった。
突如、何も無い赤の荒野で光が弾む。
幾つも幾つも、まるで蛍の様に淡く輝いて。
けれどそれらは決して生物などでは無く。
そんな光が渦を巻き、空へとグルグル舞い上がる。
すると地表の岩もが追う様にして浮き上がっていて。
たちまち、大地が揺れた。
軋みを上げ、突風さえも唸らせて。
それも、巨大な影を浮かび上がらせながら。
そこで何が起きているのかはまだ誰にもわからない。
いや、わかるはずもないのだ。
その新しい脅威は、もはや人の想像さえ遥かに超えていたのだから。
すると自然と、あの毛玉とお別れの時もやってくる。
だからと今日、ホームステイ最終日。
一同は最後まで遊ぼうと園部家に訪れていた。
そのはずだったのだけれども。
「シンッ! アンタ、見損なったッスよ!!」
「ハッ!! 騙されていた奴が悪いんだよ……ッ!!」
険悪なムードが園部家の一室を覆い尽くす。
仲良かったはずの二人が火花を散らさせた事によって。
心輝とカプロ。
この二人は今、とてつもない程に熱くぶつかり合っていた。
こうして怒号までをも咆え上げる程に。
互いが鋭い目付きで睨み合い、声を張り上げ、そして罵り合う。
もはや敵意を伴った言い争いは留まる所を知らない。
「もうお前に抗う余地なんて無いんだよ。精々後悔しろフハハハ!!」
「おのれ外道がぁっ!!」
その激しい争いには、勇やちゃなのみならず、あずーでさえ入る事も叶わない。
誰しもが歯を食い縛り、不安を抱きながらただ見守る事しか。
遂には激しい拳が、蹴りが飛ぶ。
激しい打撃音までをも掻き立てて。
だが苦痛を伴っていたのは、何故か魔者であるカプロだった。
遂には息を乱し、焦燥感さえその顔に滲ませていて。
それでも通用しない打撃を繰り返し、必死に抗う。
一方で心輝はかなりの余裕だ。
相手を見下し、邪悪な笑みで絶対的自信を露わにするという。
カプロの攻撃をいなし、躱し、完璧に受け流し続ける。
その攻防、一方的だが――
「うおあああーーーーーーッッッ!! シィィィーーーンッ!!!」
カプロにもはや抗う術無し。
宣言通り、心輝に付け入る隙など一切ありはしなかったのだ。
『タイムアーップ!』
そしてこの争いは突如として終了する事となる。
この謎の一声が響くと共に。
するとたちまちカプロが項垂れ、心輝が両手を激しく掲げ上げる。
そんな二人の両手には白いコントローラーが握られていて。
目前のテレビに映る攻防の結果で一喜一憂する姿がここに。
「んあーーー!! 卑怯ッスよシン!! 守りに入るのは男としてどうかと思うッス!!」
「これが真剣勝負なんだよォ。勝てなけりゃ結局負け惜しみなんだウッヒッヒ!」
そう、今の攻防はあくまでテレビの中での話。
二人がプレイしていたゲームソフト【パニッシングファイターズVI】での勝負だったのだ。
このゲーム、いわゆる一般的な対戦格闘ゲーム。
二次元式のフィールドで選んだキャラクター同士を戦わせるといった感じの。
シンプルながら緻密な操作を要求され、その要求速度は1/16秒と驚異的。
その深いゲーム性が人気を呼び、世界で愛され続けているシリーズだという。
加えてオンラインでも自由に対戦する事が可能な、とても遊びやすい造りとなっている。
で、なんで二人がこんなゲームをしていたのかと言うと。
実はカプロ、正月初日にして勇の家に飽きた模様。
なにせ、何も無い。
テレビゲームどころか遊ぶ物そのものが。
しかも家に居ると、勇に筋トレやロードワークに付き合わされそうになる。
それに両親の趣味も車の雑誌や美容品などと、子供には微妙過ぎて。
ちゃなに至っては部屋に入れて貰えないのでそれどころじゃない。
子供が遊ぶような場所では無いのだ。
少なくとも勇の家は。
なので正月早々、白旗が上がる事に。
それで二日から颯爽と心輝の家に上がり込んだのだが。
そこで心輝の持つゲームコレクションにハマり込んで今日までに至る。
特にハマったのがこのゲームで、毎日訪れてはずっと対戦していたという始末。
心輝は心輝で楽しかった様なので問題は無いが。
なお心輝はちゃんと勉強もするし結果を残すので自室にテレビがある。
万年赤点スレスレなあずーとは違い、そこは優遇されている模様。
「くぅ~~~! 納得いかねッス! もう一回勝負するッス!!」
「おいおい、良いのかよ? これ以上戦った所で負け数が増えるだけだぜ?」
それでホームステイ最後の日だからこそ、有終の美を飾りたくて。
真剣勝負を挑んだのだけれど、現在負け越し中――というか一度も勝てない。
やはりそこは年季の違いか。
心輝もそこそこやり込んでいる様で、カプロの勝ち目は薄い。
一朝一夕ではいかないやりこみゲームだからこそ尚更だ。
「関係ねぇッス!! もう一回、真の真剣勝負をやるッスよ……!!」
「まぁ俺は構わないけどよ、いいのかよ? もう時間だいぶ過ぎてるぜ?」
それでも勝てそうな雰囲気までには行ける様になったのだけれども。
そこへ至るまでに費やした時間は、既に許容値を超えていたらしい。
そんな中、ふと勇が窓から家の外へ覗き込めば。
軒先では瀬玲と話を交わす御味の姿が。
一応、カプロの荷物は全て車に詰め込み済み。
しっかりと例の金槌もトランクに収まっている。
で、後は当人待ちなのだけど全く降りてこないもので。
なんとか瀬玲が時間稼ぎしているが、さすがに限界が近い。
御味も笑ってはいるが、ちょっと顔が引きつっている。
チラチラと階上を覗く辺り、相当イラついている様だ。
まぁそれも当然か。
関西から単身ここまでやってきて、寒空の下でずっと待たされているのだから。
「カプロ、御味さんもうかなり怒ってるみたいだぞ」
「うぐぐ……」
こうなったらもうカプロに選択肢は無い。
後一戦分やろうものなら御味がカプロをKOしかねないので。
もちろん物理的にではなく立場的に。
「シン、次に戦う時は絶対に叩き潰してやるッスよ!! ボクも【ワンダーアクト】買ってもらって練習しておくッスからね!!」
「おう、楽しみに待っててやるぜ、ウヒヒ」
仕方ないのでしぶしぶ帰る事に。
勝者とは思えないくらいの汚い笑いを浮かべる心輝に見送られ、家を後にする。
なのでカプロからは最後まで悔し顔が抜けなかった。
で、そんなカプロが去った後はと言えば。
「あっぶねぇあっぶねぇ。魔者ってのは反射神経まで命力で強化されてるのかよ。初心者とは思えねぇな……」
たちまちホッと胸を抑え、冷や汗を拭う姿が。
どうやら心輝も一杯一杯の戦闘を繰り広げていた様だ。
今の笑い顔は安いプライドが見栄を通そうとした結果なのだろう。
となると次回は本当にどうなる事やら。
長き戦いを終え、遂にカプロが園部家を後にする。
待ち構えていた御味へ無駄に熱い眼差しを向けながら。
「やっと来たか。このまま来なかったらどうしようかと思ってたんだよ?」
「すまねッス。汚い戦いを前に闘志を燃やして熱くなってたら時間が掛かったッス」
「ならせめて御味さんの身体もその闘志で温めてやれよ」
「で何、時間稼いでた私には労い無いワケ?」
こんな総ツッコミの中でも、煮え滾る闘志は変わらない。
未だ晴れない悔しさに「ギリリ」と歯を食い縛らせていて。
遂には勇達へ、親指を横に向けた拳を見せつけていて。
「シンの野郎に言っといて欲しいッス。次は必ず勝つと」
「いや、それさっき自分で言ってただろ」
そのまま御味に押し込まれる様に車内へと。
それでも手が引っ込まないので、最後は丁寧に肘を曲げられて扉が閉められる。
更には窓が開いてまた拳が飛び出してくる、驚異のしつこさである。
よほど悔しかったに違いない。
「それじゃまたッス。今度また里に遊びに来てくださいッスよ」
「ああ、また皆で遊びに行くよ」
「あっ、それと勇さん」
「えっ?」
それでもやっぱり最後はちゃんとお別れを。
心輝を除いた皆でしっかりと別れを交わす。
でもそんな時、カプロが窓から身を乗り出してきて。
「村長から言伝頼まれてたの忘れてたッス。もし里に来るような事があったら、例の日誌を持ってきて欲しいそうッスよ」
「あぁ、わかったよ」
今更ながらの伝言をようやく勇へと伝える事に。
アルライの里を拓いた時に用いたグゥの日誌。
あの存在はジヨヨ村長達も大いに興味を示していた。
もしかしたら何か中身について思う事があったのかもしれない。
なら持っていく事も吝かではない。
そんな事もあって、勇も笑顔で頷く。
あの日誌で更に親交を深められる可能性があるなら、使わない手は無いのだと。
こうして伝える事を伝え、カプロ達は去って行った。
勇達が手を振る中で。
心輝が自室から見守る中で。
いつもと違う年末年始ではあったけれど。
皆、例年よりずっと楽しめたに違いない。
それだけ、エウリィもカプロも愉快なくらいに楽しんでくれていたから。
だからこそ願わずにはいられない。
また来年も同じ様に過ごせますように、と。
普通に過ごせるよう、無事にまた一年を過ごせるよう。
今はただただ、そう願うしかないのだから。
だが、それでも世界は不幸を生み続ける。
そんな儚い願いなど聞く耳も持たずに。
それから数日後。
アメリカ合衆国南部、アリゾナ州グランドキャニオンのとある地域にて。
陽の光が沈み、大地を暗い青が染め上げていたその時だった。
突如、何も無い赤の荒野で光が弾む。
幾つも幾つも、まるで蛍の様に淡く輝いて。
けれどそれらは決して生物などでは無く。
そんな光が渦を巻き、空へとグルグル舞い上がる。
すると地表の岩もが追う様にして浮き上がっていて。
たちまち、大地が揺れた。
軋みを上げ、突風さえも唸らせて。
それも、巨大な影を浮かび上がらせながら。
そこで何が起きているのかはまだ誰にもわからない。
いや、わかるはずもないのだ。
その新しい脅威は、もはや人の想像さえ遥かに超えていたのだから。
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