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第十三節「想い遠く 心の信 彼方へ放て」
~青の少女との約束~
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剣聖と茶奈を乗せたヘリコプターが大空へと去り、後に残るのは勇達と福留と御味、そして数人の自衛隊員。
もう一機のヘリコプターが姿を現す頃……自衛隊員が気絶した獅堂を拘束し、担ぎ出していく。
ジョゾウ主導の下で戦う事を止めたカラクラ族達が遠目で見つめる中……獅堂を乗せたヘリコプターもまた青空を突く様に舞い上がっていった。
勇達が建造物―――王の宮殿―――に続く階段に座り込み、疲れた体を休める。
各々が安堵する表情を見せ、上がった息を整え始めていた。
「光の柱が見えた時はどうなるかと思いましたが……どうやら上手くやれた様ですね……私達も『さては!?』と思い急行しましたが……その判断は正解でした」
「……福留さん、配慮有難うございます……」
素早く駆け付けたのは福留の采配。
彼等の間髪入れぬ対応に、勇は掠れた声で感謝の意を篭めて応えた。
息は整えど、ここに至るまでに溜まりに溜まった疲れが無意識に声に乗る。
そんな彼の無事を祝福するかの様に……福留の顔には大きな笑みが浮かんでいた。
「剣聖さん……大丈夫かな……」
「えぇ、きっと大丈夫です……茶奈さんも傍に居ますし……」
「そうですね……茶奈ならきっと……」
彼等が去った空を見上げ思いを馳せる。
剣聖は無事だろうか。
茶奈は平気だろうか。
二人の事だから心配は無い……きっと近い内に剣聖は元気な姿を見せてくれるだろう。
そんな気持ちが彼の心を穏やかにさせていた。
「おや……いつの間に彼女の事を名前で呼ぶ様になったんですか?」
「ついさっきです。 茶奈が自分の名前を認めたから……過去と決別する事が出来たから……胸を張って名前で呼べる様になったんです」
「そうですか……彼女も一歩を踏み出せたんですね……」
福留がそう呟き、心に思う、
「心の枷を外した彼女だからこそ……先程の光を発する事が出来たのだろう」、と。
ベリュムを貫いた光の槍……それは【アストラルエネマ】発現の兆しだったのかもしれない。
「……福留さん……」
「ん?何ですか?」
不意に勇から声が上がり、それに気付いた福留が勇に顔を向ける。
勇は頭上に広がる大空を見上げたまま静かに口を動かし始めた。
「俺、獅堂に問われたんです……人の心は変わるのかどうかって―――」
「……それで君はなんて答えたんですか?」
「―――俺は『変わろうと思わない限り、人の心は変わらない』って答えました……俺はそう思っていたから……」
空を仰ぐ左目が空の色と変わらない青色を映し、流れる雲を映す。
だが、その瞳が映すのは……悲しみの色。
「でも……きっとそれは間違っていたんだと思います……俺は……獅堂を殴った時、『ざまぁみろ』って思ったんです……」
「勇君……」
「人の心は……無意識に変わってしまう……環境に流されて、人は気付かぬ内に心を変えていく……そう……実感しました」
空の色、瞳の色に反して勇の心は黄昏れ、目を細める。
「俺は……守りたい人を守る為に自分の命を奮ってきました……でも、それでも俺は守り切れないって事を知ってしまった……」
いつからか思い、守ろうとした自分の無力さを知り。
「だからこそ俺は……守るべき人を守る為なら……」
薄っすらと赤を帯び始めた空が彼等を見下ろし、その空が運ぶ風がほのかな温かさを含み春を呼ぶ……。
黄昏を見つめ、少年は心を揺さぶられ……そう遠くない未来を見つめる。
その先に見る自分の形……それは自分が守りたい者が居るが故の……些細であり雄大な目的を果たす為に……。
「ごめんよエウリィ……俺……君との約束を守れそうにない……」
―
――
――――
――――――
―――ある日、少年は一人の青い目の少女と出会った―――
切り立った岩山の上から見下ろす青年が一人……その面影はどこか見た事がある影を残す。
その髪を吹き荒れる風が上下左右に巻き上げていた。
―――少年は、少女と約束を交わし……己の信念の下、戦いに明け暮れた―――
突然青年は岩山を飛び降り、その体を重力に身を任せ落下させていく。
落下する先に見えるのは、車が走り去りそれを追う魔者の姿。
―――いつまでも心をそのままで在って欲しいと少女は願い続け、想い続けた―――
青年は地を這う魔者へ向けて翠色の魔剣を奮い彼等を薙ぎ払う。
地を裂き、空を斬るその斬撃は容赦なく彼等を切り刻んだ。
―――少女が光に消え、少年が現実を知ってもなお抗い続けるが為に―――
光が薄っすらと差し込む暗い洞窟の中に現れる青年の姿……。
その先には王と思われる脅えた魔者の姿があった。
―――少年が、時を経て青年となった時―――
助けてくれと懇願する魔者を前に、青年は冷たい視線を送る。
その青年が持つ翠色の剣が頭上高く掲げられ、無情にも振り下ろされた……。
―――青年は、自ら変わる事を望んだ……―――
第十三節 完
時き継幻想フララジカ 第一部 終幕
もう一機のヘリコプターが姿を現す頃……自衛隊員が気絶した獅堂を拘束し、担ぎ出していく。
ジョゾウ主導の下で戦う事を止めたカラクラ族達が遠目で見つめる中……獅堂を乗せたヘリコプターもまた青空を突く様に舞い上がっていった。
勇達が建造物―――王の宮殿―――に続く階段に座り込み、疲れた体を休める。
各々が安堵する表情を見せ、上がった息を整え始めていた。
「光の柱が見えた時はどうなるかと思いましたが……どうやら上手くやれた様ですね……私達も『さては!?』と思い急行しましたが……その判断は正解でした」
「……福留さん、配慮有難うございます……」
素早く駆け付けたのは福留の采配。
彼等の間髪入れぬ対応に、勇は掠れた声で感謝の意を篭めて応えた。
息は整えど、ここに至るまでに溜まりに溜まった疲れが無意識に声に乗る。
そんな彼の無事を祝福するかの様に……福留の顔には大きな笑みが浮かんでいた。
「剣聖さん……大丈夫かな……」
「えぇ、きっと大丈夫です……茶奈さんも傍に居ますし……」
「そうですね……茶奈ならきっと……」
彼等が去った空を見上げ思いを馳せる。
剣聖は無事だろうか。
茶奈は平気だろうか。
二人の事だから心配は無い……きっと近い内に剣聖は元気な姿を見せてくれるだろう。
そんな気持ちが彼の心を穏やかにさせていた。
「おや……いつの間に彼女の事を名前で呼ぶ様になったんですか?」
「ついさっきです。 茶奈が自分の名前を認めたから……過去と決別する事が出来たから……胸を張って名前で呼べる様になったんです」
「そうですか……彼女も一歩を踏み出せたんですね……」
福留がそう呟き、心に思う、
「心の枷を外した彼女だからこそ……先程の光を発する事が出来たのだろう」、と。
ベリュムを貫いた光の槍……それは【アストラルエネマ】発現の兆しだったのかもしれない。
「……福留さん……」
「ん?何ですか?」
不意に勇から声が上がり、それに気付いた福留が勇に顔を向ける。
勇は頭上に広がる大空を見上げたまま静かに口を動かし始めた。
「俺、獅堂に問われたんです……人の心は変わるのかどうかって―――」
「……それで君はなんて答えたんですか?」
「―――俺は『変わろうと思わない限り、人の心は変わらない』って答えました……俺はそう思っていたから……」
空を仰ぐ左目が空の色と変わらない青色を映し、流れる雲を映す。
だが、その瞳が映すのは……悲しみの色。
「でも……きっとそれは間違っていたんだと思います……俺は……獅堂を殴った時、『ざまぁみろ』って思ったんです……」
「勇君……」
「人の心は……無意識に変わってしまう……環境に流されて、人は気付かぬ内に心を変えていく……そう……実感しました」
空の色、瞳の色に反して勇の心は黄昏れ、目を細める。
「俺は……守りたい人を守る為に自分の命を奮ってきました……でも、それでも俺は守り切れないって事を知ってしまった……」
いつからか思い、守ろうとした自分の無力さを知り。
「だからこそ俺は……守るべき人を守る為なら……」
薄っすらと赤を帯び始めた空が彼等を見下ろし、その空が運ぶ風がほのかな温かさを含み春を呼ぶ……。
黄昏を見つめ、少年は心を揺さぶられ……そう遠くない未来を見つめる。
その先に見る自分の形……それは自分が守りたい者が居るが故の……些細であり雄大な目的を果たす為に……。
「ごめんよエウリィ……俺……君との約束を守れそうにない……」
―
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――――
――――――
―――ある日、少年は一人の青い目の少女と出会った―――
切り立った岩山の上から見下ろす青年が一人……その面影はどこか見た事がある影を残す。
その髪を吹き荒れる風が上下左右に巻き上げていた。
―――少年は、少女と約束を交わし……己の信念の下、戦いに明け暮れた―――
突然青年は岩山を飛び降り、その体を重力に身を任せ落下させていく。
落下する先に見えるのは、車が走り去りそれを追う魔者の姿。
―――いつまでも心をそのままで在って欲しいと少女は願い続け、想い続けた―――
青年は地を這う魔者へ向けて翠色の魔剣を奮い彼等を薙ぎ払う。
地を裂き、空を斬るその斬撃は容赦なく彼等を切り刻んだ。
―――少女が光に消え、少年が現実を知ってもなお抗い続けるが為に―――
光が薄っすらと差し込む暗い洞窟の中に現れる青年の姿……。
その先には王と思われる脅えた魔者の姿があった。
―――少年が、時を経て青年となった時―――
助けてくれと懇願する魔者を前に、青年は冷たい視線を送る。
その青年が持つ翠色の剣が頭上高く掲げられ、無情にも振り下ろされた……。
―――青年は、自ら変わる事を望んだ……―――
第十三節 完
時き継幻想フララジカ 第一部 終幕
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