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第十七節「厳しき現実 触れ合える心 本心大爆発」
~カノジョ ノ イザナイ~
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リジーシア領国での出来事が終わったその日……勇達は疲れた体を癒す為にトルコ政府が用意したホテルへと身を寄せていた。
歴史遺産が多く観光地として有名なイスタンブール。
彼等が留まるのはその場所にある少し上級観光客向けのホテル……内装は元より、一般向けに造られた構造が下手な高級な作りよりも安心感を呼び起こさせる。
一人一人に部屋を充てられ、それぞれがプライベートな時間を過ごしながら体を癒していた。
勇もまた一人……部屋に備えられたクィーンサイズのベッドに横たわり、白い三枚の扇風機がくるくると回る天井をぼーっと見つめ夢想する。
一つの悟りを開いた勇ではあったが……昼間に体験した柔らかさを思い出し、おもむろにその指を動かす。
しかしその顔は真顔……やましい感情での行動ではない事を伺わせていた。
―――今日は色々あったけど……茶奈になんて言うかな―――
不意にその指が動きを止めると……ゆっくりと拳を作り、その視界に映りこませる。
そして握られた拳には僅かに力が篭められ、「グッ」と引き締まる筋肉の音が僅かに響いた。
「とにかく謝ろう……嫌われ続けたとしても」
ぼそり……誰が聴いてる筈も無い声を漏らし、勇はその拳を再びベッドへと埋める。
謝れば解決するかどうかなど定かではない。
そもそも何に対して謝るのか。
何故謝るのか。
その意図すら勇には計りかねていた。
ただ自分の痴態を払拭したかったから。
茶奈に不快な思いをさせてしまったから。
想いが巡る。
だが答えは決まらない。
気付けば時は既に夜の11時を示し、彼を眠りへと誘おうと睡魔が語り掛ける。
勇の両瞼がゆっくりと沈み始め……閉じようとしていた。
ウーーーッ ウーーーッ
「ん……なんだ?」
そんな時、小さく鳴り響く音が勇の耳に飛び込んで来た。
その音源は、寝転がる彼の頭上に当たる場所にある机の上……彼の持つスマートフォンの振動が机を叩く音であった。
それを便りに、気怠そうに腕を伸ばして机の上をまさぐる。
すると不意に指がスマートフォンに当たり……そっと掴み取っては画面を自分の顔に向けた。
画面に映るのは瀬玲のRAINメッセージ通知。
「なんだよ……隣に居るだろ……」
瀬玲の泊まる部屋は勇の隣。
SNSで通話するよりも直接話をする派と言える勇にとって、そのまどろっこしさは少々鼻につく様だ。
ぼやきながらも待機画面を解除しメッセージを開く……すると映りこんだ文を見た途端、勇の目が大きく見開いていく。
『セリ:私の部屋に来て』
―――ちょっと待て……これってどういう……どういうこと―――
昼間のアレがあったからこそ……再び勇の鼓動が高鳴っていく。
―――相手はセリだ。
あの面食いのセリだ!!
変な期待をするな!!
そして仲間だ!!
仲間に手を出すなんて……
え、仲間に手を出すのって悪い事なのか……?―――
勇の頬に一滴の汗が伝いしたたり落ちる。
温暖気候の土地柄が彼の体温に反応し湿気を纏わせていた。
―――いやいや、そもそもそんなつもりと決まった訳じゃない。
でももし本当にそうだったら……
昼間の俺の言葉を聞いて欲情しているとか……?
そんなバカな……
いくらなんでもそんなバカな事がある訳が……―――
ウーーーッ、ウーーーッ
「ヒャッ!?」
再びのスマートフォンの振動。
突然の事に驚き、いつの間にか象られていたアヒル口からつい珍妙な悲鳴が上がる。
またしても画面に映る瀬玲からのRAINメッセージの通知。
勇は筋一杯に伸びた腕の先にある指を震わせながら……待機モードへ戻った画面を復元させた。
そこに映った文字を前に……勇の目はこれまでに無い程、大きく目を見開く事となる。
『セリ:はやくきて』
意図が有るにしろ無いにしろ、そんな言葉を投げかけられて動かぬ男など居るだろうか。
震える腕を抑える様に、もう片方の腕でその手首を掴み力を篭める。
ギリギリと軋む様な音が筋肉と骨を通して痛みと共に頭に伝わっていく。
―――耐えろ俺、彼女はそんなつもりなんて一切無い……
……けどもし「そう」だったら俺は……受け入れたっていい―――
そう思い立った勇はその足をベッドの上から床へと降ろし……その勢いのまま立ち上がる。
自分の服装がおかしくないか、そう確かめながらも部屋の外へと歩いていった。
別の部屋に泊まる平野とアンディとナターシャ、それと他の宿泊客に迷惑を掛けないようゆっくりと扉を開くと……チラチラと如何にも怪しい様子で警戒し、周囲に人が居ないかを確かめながら「のそりのそり」と部屋を出て静かに扉を閉める。
オートロックである扉には目も暮れず、そっと隣の瀬玲の部屋の前に立つと……その指を部屋に備え付けられたチャイムへと埋めた。
小さな「チーン」という音が鳴り響くと、間も無く手に掴んだスマートフォンが三度振動を伝える。
その画面を素早く開くと……そこには『鍵は開いてる』という文字が。
―――行くぞ……!!―――
ドアノブを手に取り、軽い造りのノブが力に負けて傾くと……ホテル独特の重さを含む扉が開いていく。
途端に鼻に漂う甘い香りが彼女の存在感を引き立たせる様に脳に刺激を与えた。
扉の先の通路は狭く……その先にある部屋の全容は壁角に遮られ見る事は叶わない。
ゆっくりとその体を部屋へと進め、その扉をゆっくりと閉める。
閉まった事をわざわざ確認すると勇はそっと声を上げた。
「来たよ」
「うん、遠慮しないでいいからさ」
空かさず聞こえてくる瀬玲の声。
そんな感情が含んでいるからか、それとも勇がそんな感情だからか……勇には妙にその声が色っぽく感じていた。
歴史遺産が多く観光地として有名なイスタンブール。
彼等が留まるのはその場所にある少し上級観光客向けのホテル……内装は元より、一般向けに造られた構造が下手な高級な作りよりも安心感を呼び起こさせる。
一人一人に部屋を充てられ、それぞれがプライベートな時間を過ごしながら体を癒していた。
勇もまた一人……部屋に備えられたクィーンサイズのベッドに横たわり、白い三枚の扇風機がくるくると回る天井をぼーっと見つめ夢想する。
一つの悟りを開いた勇ではあったが……昼間に体験した柔らかさを思い出し、おもむろにその指を動かす。
しかしその顔は真顔……やましい感情での行動ではない事を伺わせていた。
―――今日は色々あったけど……茶奈になんて言うかな―――
不意にその指が動きを止めると……ゆっくりと拳を作り、その視界に映りこませる。
そして握られた拳には僅かに力が篭められ、「グッ」と引き締まる筋肉の音が僅かに響いた。
「とにかく謝ろう……嫌われ続けたとしても」
ぼそり……誰が聴いてる筈も無い声を漏らし、勇はその拳を再びベッドへと埋める。
謝れば解決するかどうかなど定かではない。
そもそも何に対して謝るのか。
何故謝るのか。
その意図すら勇には計りかねていた。
ただ自分の痴態を払拭したかったから。
茶奈に不快な思いをさせてしまったから。
想いが巡る。
だが答えは決まらない。
気付けば時は既に夜の11時を示し、彼を眠りへと誘おうと睡魔が語り掛ける。
勇の両瞼がゆっくりと沈み始め……閉じようとしていた。
ウーーーッ ウーーーッ
「ん……なんだ?」
そんな時、小さく鳴り響く音が勇の耳に飛び込んで来た。
その音源は、寝転がる彼の頭上に当たる場所にある机の上……彼の持つスマートフォンの振動が机を叩く音であった。
それを便りに、気怠そうに腕を伸ばして机の上をまさぐる。
すると不意に指がスマートフォンに当たり……そっと掴み取っては画面を自分の顔に向けた。
画面に映るのは瀬玲のRAINメッセージ通知。
「なんだよ……隣に居るだろ……」
瀬玲の泊まる部屋は勇の隣。
SNSで通話するよりも直接話をする派と言える勇にとって、そのまどろっこしさは少々鼻につく様だ。
ぼやきながらも待機画面を解除しメッセージを開く……すると映りこんだ文を見た途端、勇の目が大きく見開いていく。
『セリ:私の部屋に来て』
―――ちょっと待て……これってどういう……どういうこと―――
昼間のアレがあったからこそ……再び勇の鼓動が高鳴っていく。
―――相手はセリだ。
あの面食いのセリだ!!
変な期待をするな!!
そして仲間だ!!
仲間に手を出すなんて……
え、仲間に手を出すのって悪い事なのか……?―――
勇の頬に一滴の汗が伝いしたたり落ちる。
温暖気候の土地柄が彼の体温に反応し湿気を纏わせていた。
―――いやいや、そもそもそんなつもりと決まった訳じゃない。
でももし本当にそうだったら……
昼間の俺の言葉を聞いて欲情しているとか……?
そんなバカな……
いくらなんでもそんなバカな事がある訳が……―――
ウーーーッ、ウーーーッ
「ヒャッ!?」
再びのスマートフォンの振動。
突然の事に驚き、いつの間にか象られていたアヒル口からつい珍妙な悲鳴が上がる。
またしても画面に映る瀬玲からのRAINメッセージの通知。
勇は筋一杯に伸びた腕の先にある指を震わせながら……待機モードへ戻った画面を復元させた。
そこに映った文字を前に……勇の目はこれまでに無い程、大きく目を見開く事となる。
『セリ:はやくきて』
意図が有るにしろ無いにしろ、そんな言葉を投げかけられて動かぬ男など居るだろうか。
震える腕を抑える様に、もう片方の腕でその手首を掴み力を篭める。
ギリギリと軋む様な音が筋肉と骨を通して痛みと共に頭に伝わっていく。
―――耐えろ俺、彼女はそんなつもりなんて一切無い……
……けどもし「そう」だったら俺は……受け入れたっていい―――
そう思い立った勇はその足をベッドの上から床へと降ろし……その勢いのまま立ち上がる。
自分の服装がおかしくないか、そう確かめながらも部屋の外へと歩いていった。
別の部屋に泊まる平野とアンディとナターシャ、それと他の宿泊客に迷惑を掛けないようゆっくりと扉を開くと……チラチラと如何にも怪しい様子で警戒し、周囲に人が居ないかを確かめながら「のそりのそり」と部屋を出て静かに扉を閉める。
オートロックである扉には目も暮れず、そっと隣の瀬玲の部屋の前に立つと……その指を部屋に備え付けられたチャイムへと埋めた。
小さな「チーン」という音が鳴り響くと、間も無く手に掴んだスマートフォンが三度振動を伝える。
その画面を素早く開くと……そこには『鍵は開いてる』という文字が。
―――行くぞ……!!―――
ドアノブを手に取り、軽い造りのノブが力に負けて傾くと……ホテル独特の重さを含む扉が開いていく。
途端に鼻に漂う甘い香りが彼女の存在感を引き立たせる様に脳に刺激を与えた。
扉の先の通路は狭く……その先にある部屋の全容は壁角に遮られ見る事は叶わない。
ゆっくりとその体を部屋へと進め、その扉をゆっくりと閉める。
閉まった事をわざわざ確認すると勇はそっと声を上げた。
「来たよ」
「うん、遠慮しないでいいからさ」
空かさず聞こえてくる瀬玲の声。
そんな感情が含んでいるからか、それとも勇がそんな感情だからか……勇には妙にその声が色っぽく感じていた。
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