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第十九節「Uの世界 師と死重ね 裏返る力」
~U no Se Ka i~
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エウリィの声が途切れた。
静寂が包み、彼の心の声だけが脳裏に響く。
考え事をしているから?
周りに意識を配っていないから?
……それは違った。
「―――福留さん、統也の奴……平気なのかよ……?」
「えっ?」
突然、その場に相応しくない声が響いた。
閉じていた目をゆっくり開くと、再び光が舞い込み景色を映す。
つい今しがたまでフェノーダラ城に居たはずが……そこに映るのは、阿蘇山麓の変わり果てた山肌。
耳を澄ますと聞こえてくる、様々な人々の掛け声や叫び声。
ふとそこに目をやると、多くの魔者達……ザサブ族の大群の中を突き抜けていく統也の姿が見えた。
「こ、ここって……」
「福留さん、大丈夫ですか?」
その声に気付き、視線を周囲へ移す。
そこに居たのは、当時の心輝と瀬玲、そして自衛隊の隊員達であった。
彼の戸惑う姿を心配した瀬玲が声を掛けたのだ。
それを認識し、彼女に頷くと……再び周囲を伺う。
そしてまたしても違和感が彼の中に再び浮き上がる。
「あれ、あずは……」
そこにある違和感……居るはずのあずーの姿が無い事。
「何言ってるんスか福留さん……あずーは来ないって言ってたじゃないっすか」
心輝が双眼鏡を覗き、統也の戦いを眺めながらそう返す。
―――そうか……あずは来るはず無いのか……―――
統也が生きているという事、それは「勇」が死んだという事実の延長。
つまりこの出来事は彼の事が好きだった園部亜月という存在にとってのターニングポイントでもあるのだろう。
「うおっ、なんだ!!」
突然心輝が声を上げ、双眼鏡を降ろしながら何かを見つめる。
それに気付き再び山麓へと目を移すと……山肌一杯に光が溢れていた。
「え、まさかもう……」
その光……王が倒れた証。
王が倒れた事でその部下達が光となって消えていったのだ。
光が落ち着き始めると……まるで何事も無かったかの様に統也が黒い砂に塗れた坂をゆっくり降りて来ていた。
それを確認し……皆が揃って迎える様に彼の元へ駆け始めた。
茶奈もまた力を出し切る前に戦いが終わったのだろう、歩く余裕もあるのか……彼の元へ歩み寄る。
だがその顔はどこか不安げで。
皆が合流しようとした時、不意に声が上がる。
「オイお前、なんで言った通りにやらなかったんだ!!」
「ヒッ!?」
それは統也の怒号、そして茶奈の小さな悲鳴。
皆がその一部始終を無言で見守る中……統也の声が強く上がる。
「お前がしっかりやらねェと……俺も、他の奴らも皆死ぬかもしれないってェのに!?」
「ご、ごめんなさい……」
パァン!!
途端、高い音が上がり茶奈の顔が横に逸れる。
統也が彼女の頬を叩いた音であった。
「お、おい統也お前いくら何でもそれは……」
「シンは黙ってろ、これは俺達の問題だ」
堪らず心輝が苦言を施すが……統也の顔は変わらず強張ったまま彼の言葉を受け流す。
そんな統也の側で、茶奈はただ震え立ち尽くしていた。
彼の心の中で、「彼女に声を掛けてあげたい」「慰めてあげたい」そんな気持ちがふつふつと沸き起こるが、統也の剣幕を前に声が出ない。
―――統也……お前は何故そこまで……―――
ズキッ……
突然頭痛が彼を襲い、頭を抱える。
そして再び訪れる視界が暗転していく感覚……。
―――またか……!! 何故こんなものを見せる……何故ッ!?―――
頭痛の折に閉じた目が開かない。
体の自由が制限されている様にも感じる。
まるでそれは意図的なモノであろうが如く。
―――いい加減にしろ……!! 俺は……こんなものを見せられたって……!!―――
心の中で叫び、闇の中でしきりに周囲へと気を張り巡らせる。
幾多もの現実らしくない現実を見せられ、彼自身も違和感を持ち始めていたのだ。
再び暗闇が光の筋を帯び、景色を呼び起こす。
「―――殺せ……もう私には何も無いのだ……」
その言葉を聞いた途端、閉じていた彼の目が一気に見開いた。
そこに映る光景……薄暗い森の中、湿気のあるその中に映る光景……グゥが木にもたれかかる姿、そしてその目の前にいる統也の姿。
その統也の手に握られる大地の楔……それが静かに持ち上がる。
「そうかよ、なら死ねよ……」
―――やめろ……やめろォ!!―――
その場に居たはずのレンネィであろう自身の体を動かし手を伸ばす……だがその甲斐も無く魔剣が振り下ろされた。
ヒュンッ!!
ドッ……バシャッ……
質量を持った物が地面に転がる音が聞こえた。
―――ああっ……ああああ!!!―――
そしてそれが何であるかすらわからないまま再び暗闇が包み込む。
―――やめろ……やめてくれ……この先は……この先はぁッ!!―――
その想いも届くはずも無く……光が……広がっていく……。
静寂が包み、彼の心の声だけが脳裏に響く。
考え事をしているから?
周りに意識を配っていないから?
……それは違った。
「―――福留さん、統也の奴……平気なのかよ……?」
「えっ?」
突然、その場に相応しくない声が響いた。
閉じていた目をゆっくり開くと、再び光が舞い込み景色を映す。
つい今しがたまでフェノーダラ城に居たはずが……そこに映るのは、阿蘇山麓の変わり果てた山肌。
耳を澄ますと聞こえてくる、様々な人々の掛け声や叫び声。
ふとそこに目をやると、多くの魔者達……ザサブ族の大群の中を突き抜けていく統也の姿が見えた。
「こ、ここって……」
「福留さん、大丈夫ですか?」
その声に気付き、視線を周囲へ移す。
そこに居たのは、当時の心輝と瀬玲、そして自衛隊の隊員達であった。
彼の戸惑う姿を心配した瀬玲が声を掛けたのだ。
それを認識し、彼女に頷くと……再び周囲を伺う。
そしてまたしても違和感が彼の中に再び浮き上がる。
「あれ、あずは……」
そこにある違和感……居るはずのあずーの姿が無い事。
「何言ってるんスか福留さん……あずーは来ないって言ってたじゃないっすか」
心輝が双眼鏡を覗き、統也の戦いを眺めながらそう返す。
―――そうか……あずは来るはず無いのか……―――
統也が生きているという事、それは「勇」が死んだという事実の延長。
つまりこの出来事は彼の事が好きだった園部亜月という存在にとってのターニングポイントでもあるのだろう。
「うおっ、なんだ!!」
突然心輝が声を上げ、双眼鏡を降ろしながら何かを見つめる。
それに気付き再び山麓へと目を移すと……山肌一杯に光が溢れていた。
「え、まさかもう……」
その光……王が倒れた証。
王が倒れた事でその部下達が光となって消えていったのだ。
光が落ち着き始めると……まるで何事も無かったかの様に統也が黒い砂に塗れた坂をゆっくり降りて来ていた。
それを確認し……皆が揃って迎える様に彼の元へ駆け始めた。
茶奈もまた力を出し切る前に戦いが終わったのだろう、歩く余裕もあるのか……彼の元へ歩み寄る。
だがその顔はどこか不安げで。
皆が合流しようとした時、不意に声が上がる。
「オイお前、なんで言った通りにやらなかったんだ!!」
「ヒッ!?」
それは統也の怒号、そして茶奈の小さな悲鳴。
皆がその一部始終を無言で見守る中……統也の声が強く上がる。
「お前がしっかりやらねェと……俺も、他の奴らも皆死ぬかもしれないってェのに!?」
「ご、ごめんなさい……」
パァン!!
途端、高い音が上がり茶奈の顔が横に逸れる。
統也が彼女の頬を叩いた音であった。
「お、おい統也お前いくら何でもそれは……」
「シンは黙ってろ、これは俺達の問題だ」
堪らず心輝が苦言を施すが……統也の顔は変わらず強張ったまま彼の言葉を受け流す。
そんな統也の側で、茶奈はただ震え立ち尽くしていた。
彼の心の中で、「彼女に声を掛けてあげたい」「慰めてあげたい」そんな気持ちがふつふつと沸き起こるが、統也の剣幕を前に声が出ない。
―――統也……お前は何故そこまで……―――
ズキッ……
突然頭痛が彼を襲い、頭を抱える。
そして再び訪れる視界が暗転していく感覚……。
―――またか……!! 何故こんなものを見せる……何故ッ!?―――
頭痛の折に閉じた目が開かない。
体の自由が制限されている様にも感じる。
まるでそれは意図的なモノであろうが如く。
―――いい加減にしろ……!! 俺は……こんなものを見せられたって……!!―――
心の中で叫び、闇の中でしきりに周囲へと気を張り巡らせる。
幾多もの現実らしくない現実を見せられ、彼自身も違和感を持ち始めていたのだ。
再び暗闇が光の筋を帯び、景色を呼び起こす。
「―――殺せ……もう私には何も無いのだ……」
その言葉を聞いた途端、閉じていた彼の目が一気に見開いた。
そこに映る光景……薄暗い森の中、湿気のあるその中に映る光景……グゥが木にもたれかかる姿、そしてその目の前にいる統也の姿。
その統也の手に握られる大地の楔……それが静かに持ち上がる。
「そうかよ、なら死ねよ……」
―――やめろ……やめろォ!!―――
その場に居たはずのレンネィであろう自身の体を動かし手を伸ばす……だがその甲斐も無く魔剣が振り下ろされた。
ヒュンッ!!
ドッ……バシャッ……
質量を持った物が地面に転がる音が聞こえた。
―――ああっ……ああああ!!!―――
そしてそれが何であるかすらわからないまま再び暗闇が包み込む。
―――やめろ……やめてくれ……この先は……この先はぁッ!!―――
その想いも届くはずも無く……光が……広がっていく……。
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