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第二十節「心よ強く在れ 事実を乗り越え 麗龍招参」
~アレムグランダ~
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殴り合いが熾烈を極め、互いの攻撃が空を切る。
だが、徐々にその均衡は崩れつつあった。
当初は当たっていた勇の拳が躱され始めていたのだ。
ギオは決して戦闘センスが高い訳ではない。
だからこそ勇は彼の攻撃を捌く事が出来ていた。
しかし、その力は攻撃を当てれば当てる程増していき、そして……慣れていく。
勇の攻撃が見切られ始めていたのだ
「クッ!!」
そして勇自身からも余裕が消える……ギオの拳が鋭さを増しているからである。
仮に防御力が上がっていたとしても、連続でダメージを受ければ蓄積していく。
それが敗北に繋がる事などわかりきった事……だからこそ勇はその一発一発に意識を集中し可能な限り躱す。
しかしその均衡が破れつつある今……遂にギオの一撃が勇の頭部へ向けて見舞われた。
直撃の瞬間……勇が体全体を捻り回転運動を行うと、拳の軌道から僅かに逸れ……鋭い突きが頬を擦る距離を通り抜けた。
その拍子に回転の慣性を利用し勇が回転蹴りを見舞う。
突然の切り返しに対応出来なかったギオの頭部へと直撃すると……体が大きく仰け反る。
その隙に勇がバックステップを繰り返し一気に距離を離した。
「勇さんッ!! 受け取ってくださいッ!!」
突然の声と共に勇へと翠星剣が投げられる。
勇が回転しながら飛び来る翠星剣を器用にキャッチすると、おもむろに腰に硬く備え付けられていたポシェットから命力珠を取り出し「ガチリ」と嵌め込んだ。
ギィーーーーーンッ!!
共鳴音と共に光り輝く翠星剣。
その視認出来る程の力を前にギオが再び笑みを浮かべた。
「クハハッ!! 凄イナソノ魔剣ハッ!! サァ振ルエヨ!! 僕ニソノ力ヲ喰ワセテクレヨ!!」
その一言を聞いた時、「ハッ」とした勇が翠星剣の力を弱めていく。
ギオが放った失言が彼の特性を気付かせてしまったのだ。
「アアッ、クソッ……迂闊ダッタ……デモイイカ……楽シミノ時間ハ増エルンダカラサ……!!」
―――命力を抑えても、コイツに決定打を与える事は出来ない……どうすれば―――
勇は悩む……どんどんと強くなってくるギオの力が命力を吸われているからだとすれば、今までの攻撃で決定打を与える事が出来るのは恐らく【片翼の光壁】のみであろう。
だがその攻撃は諸刃の剣……放てば最後、翠星剣の全ての力を使いきる事になる。
もし通用しなかった場合……その時点で勇の敗北は必死。
「片翼の光壁」の力を吸い取ったギオと、力を使い切った勇とでは比べるまでも無いだろう。
「けどッ……やるしかないんだッ!!」
覚悟を決めた勇はおもむろに大地を蹴り上げ走り出した。
その視界に映るのは、先程落とした魔甲。
すると何を思ったのか……その魔甲をつま先で蹴り上げた。
宙を舞う魔甲。
だがその時……浮き上がって腕の挿入部が見えた途端に勇の左腕が伸び、ダイレクトに装着を果たしたのだった。
ズササッ!!
大地を滑り込み、僅かに砂埃が舞い上がる。
走った勢いを殺し振り返ると、勇は再びギオを睨み付けた。
右手に握る翠星剣、左腕に装着した魔甲、そして二つの装備を繋ぐ魔装。
剣が構えられ切っ先がギオに向けられると、剣から放たれた命力の光が各々の命力珠を繋ぎ光の弦を形成した。
「完璧ッス……あれが茶奈さんの命力全域鎧の特性を参考に作り上げた……その名も【疑似外装】ッス!!」
【疑似外装】……それは命力製の外装骨格。
柔軟性と強靭性を併せ持ったその弦は、物理的干渉すら可能な力の塊。
そして使用者の腕部駆動の補助を行うサポーターの役目も果たす。
だが使用者当人の力に関わらず、魔装ジャケット内蔵の命力珠の命力を循環利用する事で形成される為、使用時において使用者へのデメリットは存在しない。
「魔装の命力珠は使い捨てッスけどね!!」
だからといって勇が優勢になる訳ではない……ギオが慣れてしまえばその力など何の意味も持たなくなるのだから。
だが、それでも勇は相対する。
ギオが先程言った事は彼を炊きつける為の振りであった事は薄々気付いてはいた。
だが、相手の言った事が本心であろうが無かろうか……敢えて敵意を剥き出しにして襲い掛かるのであれば、彼は全力を以って応える。
それが戦士の在り方。
自身の信念を守る為に、戦士で在るが為に、勇は剣を奮う。
「わかったよギオ……こうなったらもうトコトンまでやってやる……!!」
「ハハーーーァッ!! 来イィーーーッ!! 」
覚悟を決めた勇が翠星剣に力を篭め、力強く大地を蹴り上げた。
それに対しギオは全てを受け入れんばかりに両手を広げ……雄叫びを上げて勇を迎え撃つ。
二人の戦士の影が重なり合う時……途端にその間から眩い光が溢れ出す。
命力を篭め振り下ろされた斬撃がギオの体を一閃し、「ババッ!!」と血飛沫が地面へと舞い散る。
そしてその傷口が強く輝き……猛烈な光を放ち始めた。
「ウオォォォォッ!? 僕ノ体ガッ!? 焼ケルッ!?」
怯むギオに跡目も引く事無く……途端その顔へと魔甲による拳撃が再び見舞われる。
ドッガァッ!!
アレムグランダによる威力強化が乗ったその一撃は、先程の初撃の威力を遥かに超え……強くなっているはずのギオの体が大きく吹き飛んだ。
「ゴアッ!?」
間髪入れず、宙を舞うギオの体に刻まれた傷口から閃光が走る。
ギィィーーーーンッ!!
先程の斬撃の折に、片翼の光壁に似た力をギオの体内に撃ち込んだのだ。
強烈な破壊力を伴う光に見舞われ、胸を押さえて苦しみながら舞い飛んでいくギオの体。
そんな彼に追い付く様に飛び上がった勇が翠星剣を両手で握り高く掲げる。
その刀身には命力珠に残った力を全て振り絞った巨大な光の剣を形成していた。
「これで全部だッ!! 持っていけェーーーーーーッ!!!!」
雄叫びが張り上がり、光の剣が振り下ろされ……圧倒的な破壊力を誇る力がギオへとぶつかり二つの閃光が交わる。
その瞬間……昼間にも拘らず目を開けている事すら困難な程の光が周囲を包み込んだ。
コォォォォーーーーー……!!
余りの光量に誰しもが腕で目を覆う。
目が開けられない程の光と甲高い鳴音。
それだけがただ周囲を支配していた。
徐々に収まっていく光と鳴音。
静寂が次第に周囲を包み、光もその輝きを弱め……辺りの風景がその輪郭を映していく。
茶奈達が腕で覆った顔を少しづつ覗かせながら、恐る恐る二人が居た場所へと視線を向けると……大地に足を付け、しっかりと立つ勇の姿がそこにハッキリと映り込んだのであった。
だが、徐々にその均衡は崩れつつあった。
当初は当たっていた勇の拳が躱され始めていたのだ。
ギオは決して戦闘センスが高い訳ではない。
だからこそ勇は彼の攻撃を捌く事が出来ていた。
しかし、その力は攻撃を当てれば当てる程増していき、そして……慣れていく。
勇の攻撃が見切られ始めていたのだ
「クッ!!」
そして勇自身からも余裕が消える……ギオの拳が鋭さを増しているからである。
仮に防御力が上がっていたとしても、連続でダメージを受ければ蓄積していく。
それが敗北に繋がる事などわかりきった事……だからこそ勇はその一発一発に意識を集中し可能な限り躱す。
しかしその均衡が破れつつある今……遂にギオの一撃が勇の頭部へ向けて見舞われた。
直撃の瞬間……勇が体全体を捻り回転運動を行うと、拳の軌道から僅かに逸れ……鋭い突きが頬を擦る距離を通り抜けた。
その拍子に回転の慣性を利用し勇が回転蹴りを見舞う。
突然の切り返しに対応出来なかったギオの頭部へと直撃すると……体が大きく仰け反る。
その隙に勇がバックステップを繰り返し一気に距離を離した。
「勇さんッ!! 受け取ってくださいッ!!」
突然の声と共に勇へと翠星剣が投げられる。
勇が回転しながら飛び来る翠星剣を器用にキャッチすると、おもむろに腰に硬く備え付けられていたポシェットから命力珠を取り出し「ガチリ」と嵌め込んだ。
ギィーーーーーンッ!!
共鳴音と共に光り輝く翠星剣。
その視認出来る程の力を前にギオが再び笑みを浮かべた。
「クハハッ!! 凄イナソノ魔剣ハッ!! サァ振ルエヨ!! 僕ニソノ力ヲ喰ワセテクレヨ!!」
その一言を聞いた時、「ハッ」とした勇が翠星剣の力を弱めていく。
ギオが放った失言が彼の特性を気付かせてしまったのだ。
「アアッ、クソッ……迂闊ダッタ……デモイイカ……楽シミノ時間ハ増エルンダカラサ……!!」
―――命力を抑えても、コイツに決定打を与える事は出来ない……どうすれば―――
勇は悩む……どんどんと強くなってくるギオの力が命力を吸われているからだとすれば、今までの攻撃で決定打を与える事が出来るのは恐らく【片翼の光壁】のみであろう。
だがその攻撃は諸刃の剣……放てば最後、翠星剣の全ての力を使いきる事になる。
もし通用しなかった場合……その時点で勇の敗北は必死。
「片翼の光壁」の力を吸い取ったギオと、力を使い切った勇とでは比べるまでも無いだろう。
「けどッ……やるしかないんだッ!!」
覚悟を決めた勇はおもむろに大地を蹴り上げ走り出した。
その視界に映るのは、先程落とした魔甲。
すると何を思ったのか……その魔甲をつま先で蹴り上げた。
宙を舞う魔甲。
だがその時……浮き上がって腕の挿入部が見えた途端に勇の左腕が伸び、ダイレクトに装着を果たしたのだった。
ズササッ!!
大地を滑り込み、僅かに砂埃が舞い上がる。
走った勢いを殺し振り返ると、勇は再びギオを睨み付けた。
右手に握る翠星剣、左腕に装着した魔甲、そして二つの装備を繋ぐ魔装。
剣が構えられ切っ先がギオに向けられると、剣から放たれた命力の光が各々の命力珠を繋ぎ光の弦を形成した。
「完璧ッス……あれが茶奈さんの命力全域鎧の特性を参考に作り上げた……その名も【疑似外装】ッス!!」
【疑似外装】……それは命力製の外装骨格。
柔軟性と強靭性を併せ持ったその弦は、物理的干渉すら可能な力の塊。
そして使用者の腕部駆動の補助を行うサポーターの役目も果たす。
だが使用者当人の力に関わらず、魔装ジャケット内蔵の命力珠の命力を循環利用する事で形成される為、使用時において使用者へのデメリットは存在しない。
「魔装の命力珠は使い捨てッスけどね!!」
だからといって勇が優勢になる訳ではない……ギオが慣れてしまえばその力など何の意味も持たなくなるのだから。
だが、それでも勇は相対する。
ギオが先程言った事は彼を炊きつける為の振りであった事は薄々気付いてはいた。
だが、相手の言った事が本心であろうが無かろうか……敢えて敵意を剥き出しにして襲い掛かるのであれば、彼は全力を以って応える。
それが戦士の在り方。
自身の信念を守る為に、戦士で在るが為に、勇は剣を奮う。
「わかったよギオ……こうなったらもうトコトンまでやってやる……!!」
「ハハーーーァッ!! 来イィーーーッ!! 」
覚悟を決めた勇が翠星剣に力を篭め、力強く大地を蹴り上げた。
それに対しギオは全てを受け入れんばかりに両手を広げ……雄叫びを上げて勇を迎え撃つ。
二人の戦士の影が重なり合う時……途端にその間から眩い光が溢れ出す。
命力を篭め振り下ろされた斬撃がギオの体を一閃し、「ババッ!!」と血飛沫が地面へと舞い散る。
そしてその傷口が強く輝き……猛烈な光を放ち始めた。
「ウオォォォォッ!? 僕ノ体ガッ!? 焼ケルッ!?」
怯むギオに跡目も引く事無く……途端その顔へと魔甲による拳撃が再び見舞われる。
ドッガァッ!!
アレムグランダによる威力強化が乗ったその一撃は、先程の初撃の威力を遥かに超え……強くなっているはずのギオの体が大きく吹き飛んだ。
「ゴアッ!?」
間髪入れず、宙を舞うギオの体に刻まれた傷口から閃光が走る。
ギィィーーーーンッ!!
先程の斬撃の折に、片翼の光壁に似た力をギオの体内に撃ち込んだのだ。
強烈な破壊力を伴う光に見舞われ、胸を押さえて苦しみながら舞い飛んでいくギオの体。
そんな彼に追い付く様に飛び上がった勇が翠星剣を両手で握り高く掲げる。
その刀身には命力珠に残った力を全て振り絞った巨大な光の剣を形成していた。
「これで全部だッ!! 持っていけェーーーーーーッ!!!!」
雄叫びが張り上がり、光の剣が振り下ろされ……圧倒的な破壊力を誇る力がギオへとぶつかり二つの閃光が交わる。
その瞬間……昼間にも拘らず目を開けている事すら困難な程の光が周囲を包み込んだ。
コォォォォーーーーー……!!
余りの光量に誰しもが腕で目を覆う。
目が開けられない程の光と甲高い鳴音。
それだけがただ周囲を支配していた。
徐々に収まっていく光と鳴音。
静寂が次第に周囲を包み、光もその輝きを弱め……辺りの風景がその輪郭を映していく。
茶奈達が腕で覆った顔を少しづつ覗かせながら、恐る恐る二人が居た場所へと視線を向けると……大地に足を付け、しっかりと立つ勇の姿がそこにハッキリと映り込んだのであった。
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