576 / 1,197
第二十一節「器に乗せた想い 甦る巨島 その空に命を貫きて」
~強者魅せて、緋色の女帝~
しおりを挟む
乗員乗客達を引き連れ、勇達が来た道を戻っていく。
そんな中、インカムに飛び交う声……。
「そういえば、賢人ってどんな人達なんだ?」
「賢人とは、王を支える六人の将であり、カラクラ族にて古くから続く特殊な血族の末裔よ」
途中、かち合った魔者を張り倒し、二人が会話を交わしながら駆けていく。
「民を統べる王とは異なり、別の視点から里を支える賢人達……その力の方向性こそまちまちではあるが一部の者は武に長け、その実力は王すら凌駕する。 特に魁将メズリは武闘派……実力はカラクラ随一を争うと呼ばれる程の腕前よ」
「ロゴウより強いのか……」
「左様……賢人達は王に成る事を拒み、己の地位に拘らぬ。 それ故に好きに出来るという訳よ」
ジョゾウがそれを口に出した途端、ぶるりと体を震わす……それ程までに賢人とは実力を誇る者達なのだろう。
―――
僅かに時を遡り……勇達が主管制室で空島の事実を見ていた頃……。
茶奈達は研究員達と共に、辿り着いた部屋で調査を行っていた。
恐らく元々居住空間であったのだろう、その場所は様々な家財道具らしき物が乱雑に散らばっていた。
どうやらこの場所は使われておらず、埃が溜まっており……彼女達が歩く度に埃が舞い上がる。
広々とした空間ではあったが、かつてこの地に住んでいたであろう者達の痕跡を見つけると、研究員達が歓びの声を上げていた。
そんな中、茶奈と心輝は敵の居ないその空間で……敵がやってこないかを見張りつつ、彼等の行動を見守る。
「楽しそうですね」
「そりゃもうあれよ、未知の技術が目の前にあんだ……興奮するのも無理ないんだろうなぁ」
かくいう心輝も目の前に広がる『あちら側』の道具に興味持ち、しきりに周囲を眺めている。
そこにあるのは生活道具ばかりではあるが、珍妙な形を持った物も多く……それが彼の厨二病に鋭く突き刺さるのだ。
「なぁなぁ、1個くらい何か記念に持ち帰ったらダメか?」
「ダメですよ、何があるかわかりませんから」
がっくりと肩を落とし項垂れる心輝。
そんな彼の様子を「フフフ」と笑い声を上げて笑顔を向ける茶奈……彼女達はここに至るまでに戦闘は行っていなかった。
どうやら魔者達が居るスペースとは遠く離れていたのか、人が歩いた形跡すら見かけなかったのだ。
研究員達が同伴している為、それも幸運であろうが。
すると突然、何かを叩く様な音が聞こえ始め、二人が警戒する。
途端、茶奈達が入って来た道から二人の魔者が姿を現した。
「来やがった!!」
だが、ふとその手に持った物に気付いた茶奈が咄嗟に心輝の前に立ち塞がった。
ダダダダダッ!!
チュインチュインッ!!
それは銃器の発射音。
茶奈はそれが何であるかを一瞬で判断し、命力の盾を展開していた。
突然の出来事に研究員達が腰を落とし脅える姿を見せる中……空かさず心輝が飛び上がり、二人の魔者へ上空から襲い掛かった。
「うおらぁッ!!」
ドッゴォーーーン!!
爆炎が撒き上がり、部屋の上部を煤で僅かに黒く染める。
その一撃により、魔者二人は焼かれ吹き飛んでいた。
「あっぶねぇあっぶねぇ……茶奈ちゃん助かったぜ……」
「魔者が銃器を使う事も有り得ますからね」
以前茶奈が中国で戦った時も、銃撃による攻撃が驚異となった経緯がある。
それを見据えていたのだろう……茶奈はその対処方法を既に頭に叩き込んでいた為、咄嗟ではあったがすんなり体が動いてくれた様だ。
命力の力が自分の身体の動かし方もより正確にしてくれる事を証明した一瞬でもあった。
「でもよ、銃を持ってるっつう事はあれか? また中国の時みたいに誰かが横流しでもしたってのかよ?」
「いえ、それは違うと思われます……」
そう言ってやってきたのは研究員の一人……彼は魔者達が持っている銃を見るや首を横に振った。
「二人共持っている銃の規格が異なるメーカー製の銃を使用しています。 共に軍事用ですが……共通点が無い国同士の武器なので、おそらく使用していた武器を奪った物かと思われます。 その証拠にほら、手入れが行き届いてない様です」
魔者の傍に歩み寄ると、そっと屈み……魔者が手に持っていた銃を掴み取り、その様子を二人に見せつける。
当然、それが何であるか心輝すらも理解出来ず……ただ「ハハハ……」と笑う事しか出来なかった。
「随分詳しいんすね」
「えぇ、ミリオタなので……フフ」
誰も聞いていない情報ではあったが……少なくとも中国での様な事には成らないだろうと、茶奈がほっと胸をなでおろす。
「余興は終わったかぇ?」
途端、甲高い声が部屋に響き渡った。
「なんだっ!?」
突然の声に茶奈と心輝が警戒し魔剣を構える。
そんな彼等の前に……その声の主であろう人影が部屋のずっと先、茶奈達の対面側とも言える方にあった入口から姿を現した。
広場の光に当てられ、姿を現したのは緋色の翼を持ちしカラクラ族の者の姿。
その背後には先程の魔者同様、銃を携えた雑兵が二人付き添っていた。
「皆さん、私の後ろに隠れてください!!」
突然の敵の襲来に脅えていた研究員達も、その声を聞くと素早く彼女の背後へと回り込んだ。
「わらわの名は……魁将メズリ、元カラクラが賢人の一人……これ以上の紹介は要るまい?」
不敵な笑みを浮かべ、見下す様にその嘴を高々と上げる。
その姿たるや、王者が如し風貌。
「やべぇの来たぜコイツぁ……!!」
その者、命力の波動を高め二人を威圧しながら佇む。
耳から勇の声が聞こえて来るが……見せつけるかの様な力を前に、インカムに手を当てる事すら出来ない程に茶奈も心輝も警戒し、構えを解く事が出来ないでいた。
「ハハハ……貴公らの噂は常々聞いておるぞ。 わらわの暇潰しには持って来いの相手よ」
緋色の羽根に長身の身なり、ジョゾウと同じ様な姿を有し、あからさまな敵意を向けて来る。
その力は未知数であるが、当人の自信の表れから……二人が確信を以って彼女を見つめる。
『コイツは王並みの強さを誇っている』と。
そんな中、インカムに飛び交う声……。
「そういえば、賢人ってどんな人達なんだ?」
「賢人とは、王を支える六人の将であり、カラクラ族にて古くから続く特殊な血族の末裔よ」
途中、かち合った魔者を張り倒し、二人が会話を交わしながら駆けていく。
「民を統べる王とは異なり、別の視点から里を支える賢人達……その力の方向性こそまちまちではあるが一部の者は武に長け、その実力は王すら凌駕する。 特に魁将メズリは武闘派……実力はカラクラ随一を争うと呼ばれる程の腕前よ」
「ロゴウより強いのか……」
「左様……賢人達は王に成る事を拒み、己の地位に拘らぬ。 それ故に好きに出来るという訳よ」
ジョゾウがそれを口に出した途端、ぶるりと体を震わす……それ程までに賢人とは実力を誇る者達なのだろう。
―――
僅かに時を遡り……勇達が主管制室で空島の事実を見ていた頃……。
茶奈達は研究員達と共に、辿り着いた部屋で調査を行っていた。
恐らく元々居住空間であったのだろう、その場所は様々な家財道具らしき物が乱雑に散らばっていた。
どうやらこの場所は使われておらず、埃が溜まっており……彼女達が歩く度に埃が舞い上がる。
広々とした空間ではあったが、かつてこの地に住んでいたであろう者達の痕跡を見つけると、研究員達が歓びの声を上げていた。
そんな中、茶奈と心輝は敵の居ないその空間で……敵がやってこないかを見張りつつ、彼等の行動を見守る。
「楽しそうですね」
「そりゃもうあれよ、未知の技術が目の前にあんだ……興奮するのも無理ないんだろうなぁ」
かくいう心輝も目の前に広がる『あちら側』の道具に興味持ち、しきりに周囲を眺めている。
そこにあるのは生活道具ばかりではあるが、珍妙な形を持った物も多く……それが彼の厨二病に鋭く突き刺さるのだ。
「なぁなぁ、1個くらい何か記念に持ち帰ったらダメか?」
「ダメですよ、何があるかわかりませんから」
がっくりと肩を落とし項垂れる心輝。
そんな彼の様子を「フフフ」と笑い声を上げて笑顔を向ける茶奈……彼女達はここに至るまでに戦闘は行っていなかった。
どうやら魔者達が居るスペースとは遠く離れていたのか、人が歩いた形跡すら見かけなかったのだ。
研究員達が同伴している為、それも幸運であろうが。
すると突然、何かを叩く様な音が聞こえ始め、二人が警戒する。
途端、茶奈達が入って来た道から二人の魔者が姿を現した。
「来やがった!!」
だが、ふとその手に持った物に気付いた茶奈が咄嗟に心輝の前に立ち塞がった。
ダダダダダッ!!
チュインチュインッ!!
それは銃器の発射音。
茶奈はそれが何であるかを一瞬で判断し、命力の盾を展開していた。
突然の出来事に研究員達が腰を落とし脅える姿を見せる中……空かさず心輝が飛び上がり、二人の魔者へ上空から襲い掛かった。
「うおらぁッ!!」
ドッゴォーーーン!!
爆炎が撒き上がり、部屋の上部を煤で僅かに黒く染める。
その一撃により、魔者二人は焼かれ吹き飛んでいた。
「あっぶねぇあっぶねぇ……茶奈ちゃん助かったぜ……」
「魔者が銃器を使う事も有り得ますからね」
以前茶奈が中国で戦った時も、銃撃による攻撃が驚異となった経緯がある。
それを見据えていたのだろう……茶奈はその対処方法を既に頭に叩き込んでいた為、咄嗟ではあったがすんなり体が動いてくれた様だ。
命力の力が自分の身体の動かし方もより正確にしてくれる事を証明した一瞬でもあった。
「でもよ、銃を持ってるっつう事はあれか? また中国の時みたいに誰かが横流しでもしたってのかよ?」
「いえ、それは違うと思われます……」
そう言ってやってきたのは研究員の一人……彼は魔者達が持っている銃を見るや首を横に振った。
「二人共持っている銃の規格が異なるメーカー製の銃を使用しています。 共に軍事用ですが……共通点が無い国同士の武器なので、おそらく使用していた武器を奪った物かと思われます。 その証拠にほら、手入れが行き届いてない様です」
魔者の傍に歩み寄ると、そっと屈み……魔者が手に持っていた銃を掴み取り、その様子を二人に見せつける。
当然、それが何であるか心輝すらも理解出来ず……ただ「ハハハ……」と笑う事しか出来なかった。
「随分詳しいんすね」
「えぇ、ミリオタなので……フフ」
誰も聞いていない情報ではあったが……少なくとも中国での様な事には成らないだろうと、茶奈がほっと胸をなでおろす。
「余興は終わったかぇ?」
途端、甲高い声が部屋に響き渡った。
「なんだっ!?」
突然の声に茶奈と心輝が警戒し魔剣を構える。
そんな彼等の前に……その声の主であろう人影が部屋のずっと先、茶奈達の対面側とも言える方にあった入口から姿を現した。
広場の光に当てられ、姿を現したのは緋色の翼を持ちしカラクラ族の者の姿。
その背後には先程の魔者同様、銃を携えた雑兵が二人付き添っていた。
「皆さん、私の後ろに隠れてください!!」
突然の敵の襲来に脅えていた研究員達も、その声を聞くと素早く彼女の背後へと回り込んだ。
「わらわの名は……魁将メズリ、元カラクラが賢人の一人……これ以上の紹介は要るまい?」
不敵な笑みを浮かべ、見下す様にその嘴を高々と上げる。
その姿たるや、王者が如し風貌。
「やべぇの来たぜコイツぁ……!!」
その者、命力の波動を高め二人を威圧しながら佇む。
耳から勇の声が聞こえて来るが……見せつけるかの様な力を前に、インカムに手を当てる事すら出来ない程に茶奈も心輝も警戒し、構えを解く事が出来ないでいた。
「ハハハ……貴公らの噂は常々聞いておるぞ。 わらわの暇潰しには持って来いの相手よ」
緋色の羽根に長身の身なり、ジョゾウと同じ様な姿を有し、あからさまな敵意を向けて来る。
その力は未知数であるが、当人の自信の表れから……二人が確信を以って彼女を見つめる。
『コイツは王並みの強さを誇っている』と。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜
加瀬 一葉
ファンタジー
王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。
実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?
過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる