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第二十二節「戦列の条件 託されし絆の真実 目覚めの胎動」
~自身の口から語られたラストコール~
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福留から魔者に関する情報が展開されると、次に表示されたのは彼等の配置表。
以前とは若干の変更が加えられたその表を元に福留が彼等へ説明を始めた。
「……という訳でして、とりあえず勇君は予備要員として配置します。 それに伴い……茶奈さんが彼とペアを組んで頂きます」
「おおっ、遂に黄金コンビ復活だなぁ~!!」
「ウム、やはり二人は共でなくてはな!!」
茶化す様にアージとマヴォの大声が部屋に響き、途端の出来事に勇と茶奈が不意に顔を赤らめ苦笑いを浮かべる。
だが場を濁したアージとマヴォを律する様に笠本から大きな咳き込みが聞こえると、彼女がどうにも苦手な二人は首を引き黙り込んでしまうのだった。
「盛り上がっている所を申し訳ありませんが……そこに現在空島の一件で忙しいジョゾウさんを組み込んだ三人のチームを、予備部隊とさせて頂きます」
「改めて……よろしくな、茶奈」
「はいっ!」
共に笑顔を浮かべ握手を交わす……そんなナチュラルな二人の姿を見慣れた仲間達も小さな笑みを浮かべて彼等を見守っていた。
そんな彼等を福留が「ウンウン」と頷きながら眺める。
場が落ち着くと、福留が再びその口を開いた。
「さて次に、モンゴルのイ・ドゥール族の説得又は討伐を行う為のチームとして……アージさんとマヴォさんのお二人に向かって頂く事にしました」
「ふむ……確かに、説得であれば同じ魔者である我々の方が理に叶っているだろうな」
「えぇ、そう思いまして。 彼等の事は御存じありませんか?」
「彼等はだな―――」
アージとマヴォは魔者という事もあり、魔者事情にも詳しい。
こういった作戦会議などでは彼等の情報が非常に有効な情報源である事が多く、この様に頼る事が多い訳であるが―――
「―――実は俺もよく知らんのだ」
途端、彼の前に座る仲間達が総崩れで机に倒れ込んだ。
「じょ、冗談上手いッスね……!!」
「ヌ、ヌウ!! 俺は冗談のつもりではないぞ……!! 決してなあッ!!」
必死に言い訳をするその姿が逆にギャップを生み、妙な可愛さを感じさせる。
恥ずかしかったのだろう、背けたその頬は若干の惚けを浮かべていた。
「イッヒッヒ……まぁさすがの俺らも、あのイ・ドゥール族に関しては何もわからないんだよ。 徹底した秘密主義を貫く魔者の里っていう噂が立つくらいでよぉ……戦いはしないが、里に入って出てきた奴は居ないってくらいにヤベェ所なんだ」
「それって……二人共大丈夫なんですか?」
マヴォの話が気に掛かったのか、勇が二人を心配する様子を見せるが……当のマヴォは牙を剥いた笑みを浮かべ、「ニシシ」と笑って返した。
「まぁ平気だろうさぁ~俺達を誰だと思ってるんだ? 噂の白の兄弟だぜ……これでも俺達は割と知られた強者って事を忘れるなよォ?」
「あはは、そうでしたね……要らぬ心配でした」
彼等の実力は勇に次ぐ程。
二人のコンビネーションであればその能力は格段に向上する。
出会ってから今までずっと二人を見てきた勇は彼等の実力を良く知っている。
だからこそ、それ以上を言う事は無いと感じたのだろう……そっと振り返り、再び福留へと視線を戻した。
「という訳で、作戦は三日後……お二人にはイ・ドゥール族への対応をよろしくお願い致します」
「了解した」
「わかったぜ」
堂々と頷き福留の話を受けると……福留も彼等に頷き、続き言葉を連ねた。
「そして調整が入り次第、残った四人……レンネィさん、心輝君、アンディ君、ナターシャさんのチームが南米へと飛んで頂く事になります」
「あら、やんちゃな子達の面倒を見ろって事ですね……了解しました」
「えぇ、面倒見のいいレンネィさんにお二人の事をよろしくお願いしたく」
前回の戦闘時も自由奔放に戦う様を見せたアンディとナターシャ。
前回はアクシデントが続いたという事もあり彼等を止める事叶わなかったが……福留はそんな彼等を御するのはレンネィが適任であるというスタンスを崩す事は無かった。
未だ勇には無い、人への慈しみという彼女の在り方があるからこそである。
「オイラ師匠と一緒がいいなぁ」
「アタイもー!!」
「ハイハイ、わがまま言わないの!」
早速お守番としてのレンネィの出番が来たようで……そう配役されるのがわかっていたのか、二人の後ろに予め座っていた彼女が騒ぐ二人の頭をむんずと掴み取った。
力の限り押し込められる二人の頭……「ううー」と唸りながら席へと押し込められた二人はどこか不満そうな表情を浮かべていた。
「亜月さんは現在試験勉強中という事もあり、アージさんとマヴォさんのチームには組み込めませんが、今後何かあった場合の協力要請は出来るようにしておきます」
勇と茶奈が精力的に動いていた時と違い、魔特隊という地盤があるからこそ、あずーの様な学生が本分に徹するを許されている。
その所為か……最近どうにも彼女も出番が少ないと嘆いている訳ではあるが。
「以上で今回の作戦会議を終わりに致します。 何かありましたら手短にお願い致しますねぇ」
「福留さん、ちょっといいですか?」
その時真っ先に質問を投げかけたのは……瀬玲であった。
「はい瀬玲さん、なんでしょうか?」
「少し提案なんですが、いいですか?」
「えぇ、どうぞ」
いつになく真剣な面持ちを浮かべる彼女。
その口から語られる言葉を待つ様に誰しもが閉口する中……そっと彼女が口を開いた。
「モンゴル行きのチームに私を入れれば万全かと思います。 チーム編成に加えてください」
その一言を前に……福留も意外だったのだろう、その声を詰まらせる。
「……いいんですか?」
静かにそう一言だけ返すと、瀬玲は小さく頷き真剣な表情を彼に向けた。
「はい。 辞めると勢いで言いましたけど……だからといってすっぱり切れる程、私はさすがにそこまでドライにはなりきれなくて……なのでけじめを付けたいと思って今日この場へ来ました」
すぅ……と一呼吸を付き……静まったその場に彼女の声が響く。
「この戦いを最後に……私は魔特隊を去ろうと思います」
遂に彼女の口からその決意が直接語られた瞬間であった。
その彼女の潔い在り方……それは見紛う事無き相沢瀬玲という人物らしき様。
そんな自信と決意に満ち溢れた彼女を咎める者などいようはずがない。
「……わかりました。 瀬玲さん、最後の戦いのお力添え、何卒よろしくお願い致します」
そう彼女へと言葉を贈ると……福留が深く頭を下げる。
彼女もまたそんな彼を前にそっと一礼すると……彼が頭を上げきる前に、静かに会議室から立ち去っていった。
そんな彼女を福留が視線で追う。
その瞳はどこか寂しげな……そんな雰囲気を感じる面持ちであった。
「それでは皆さん……今回の作戦も是非よろしくお願い致しますねぇ」
一言を贈ると、福留もまた会議室を発つ。
その足取りはいつものなんら変わりはしないが……彼の心に潜む感情は僅かに揺れ動いていた。
静寂が包む会議室の中で、勇達は「瀬玲の事を頼む」と想いをアージとマヴォへと託す。
彼等もまたその想いを強く受け取ると、来たるべき戦いに備えてそれぞれの想いに馳せるのであった。
間も無く……山麓を劈く高原の嵐が吹き荒れようとしていた―――
以前とは若干の変更が加えられたその表を元に福留が彼等へ説明を始めた。
「……という訳でして、とりあえず勇君は予備要員として配置します。 それに伴い……茶奈さんが彼とペアを組んで頂きます」
「おおっ、遂に黄金コンビ復活だなぁ~!!」
「ウム、やはり二人は共でなくてはな!!」
茶化す様にアージとマヴォの大声が部屋に響き、途端の出来事に勇と茶奈が不意に顔を赤らめ苦笑いを浮かべる。
だが場を濁したアージとマヴォを律する様に笠本から大きな咳き込みが聞こえると、彼女がどうにも苦手な二人は首を引き黙り込んでしまうのだった。
「盛り上がっている所を申し訳ありませんが……そこに現在空島の一件で忙しいジョゾウさんを組み込んだ三人のチームを、予備部隊とさせて頂きます」
「改めて……よろしくな、茶奈」
「はいっ!」
共に笑顔を浮かべ握手を交わす……そんなナチュラルな二人の姿を見慣れた仲間達も小さな笑みを浮かべて彼等を見守っていた。
そんな彼等を福留が「ウンウン」と頷きながら眺める。
場が落ち着くと、福留が再びその口を開いた。
「さて次に、モンゴルのイ・ドゥール族の説得又は討伐を行う為のチームとして……アージさんとマヴォさんのお二人に向かって頂く事にしました」
「ふむ……確かに、説得であれば同じ魔者である我々の方が理に叶っているだろうな」
「えぇ、そう思いまして。 彼等の事は御存じありませんか?」
「彼等はだな―――」
アージとマヴォは魔者という事もあり、魔者事情にも詳しい。
こういった作戦会議などでは彼等の情報が非常に有効な情報源である事が多く、この様に頼る事が多い訳であるが―――
「―――実は俺もよく知らんのだ」
途端、彼の前に座る仲間達が総崩れで机に倒れ込んだ。
「じょ、冗談上手いッスね……!!」
「ヌ、ヌウ!! 俺は冗談のつもりではないぞ……!! 決してなあッ!!」
必死に言い訳をするその姿が逆にギャップを生み、妙な可愛さを感じさせる。
恥ずかしかったのだろう、背けたその頬は若干の惚けを浮かべていた。
「イッヒッヒ……まぁさすがの俺らも、あのイ・ドゥール族に関しては何もわからないんだよ。 徹底した秘密主義を貫く魔者の里っていう噂が立つくらいでよぉ……戦いはしないが、里に入って出てきた奴は居ないってくらいにヤベェ所なんだ」
「それって……二人共大丈夫なんですか?」
マヴォの話が気に掛かったのか、勇が二人を心配する様子を見せるが……当のマヴォは牙を剥いた笑みを浮かべ、「ニシシ」と笑って返した。
「まぁ平気だろうさぁ~俺達を誰だと思ってるんだ? 噂の白の兄弟だぜ……これでも俺達は割と知られた強者って事を忘れるなよォ?」
「あはは、そうでしたね……要らぬ心配でした」
彼等の実力は勇に次ぐ程。
二人のコンビネーションであればその能力は格段に向上する。
出会ってから今までずっと二人を見てきた勇は彼等の実力を良く知っている。
だからこそ、それ以上を言う事は無いと感じたのだろう……そっと振り返り、再び福留へと視線を戻した。
「という訳で、作戦は三日後……お二人にはイ・ドゥール族への対応をよろしくお願い致します」
「了解した」
「わかったぜ」
堂々と頷き福留の話を受けると……福留も彼等に頷き、続き言葉を連ねた。
「そして調整が入り次第、残った四人……レンネィさん、心輝君、アンディ君、ナターシャさんのチームが南米へと飛んで頂く事になります」
「あら、やんちゃな子達の面倒を見ろって事ですね……了解しました」
「えぇ、面倒見のいいレンネィさんにお二人の事をよろしくお願いしたく」
前回の戦闘時も自由奔放に戦う様を見せたアンディとナターシャ。
前回はアクシデントが続いたという事もあり彼等を止める事叶わなかったが……福留はそんな彼等を御するのはレンネィが適任であるというスタンスを崩す事は無かった。
未だ勇には無い、人への慈しみという彼女の在り方があるからこそである。
「オイラ師匠と一緒がいいなぁ」
「アタイもー!!」
「ハイハイ、わがまま言わないの!」
早速お守番としてのレンネィの出番が来たようで……そう配役されるのがわかっていたのか、二人の後ろに予め座っていた彼女が騒ぐ二人の頭をむんずと掴み取った。
力の限り押し込められる二人の頭……「ううー」と唸りながら席へと押し込められた二人はどこか不満そうな表情を浮かべていた。
「亜月さんは現在試験勉強中という事もあり、アージさんとマヴォさんのチームには組み込めませんが、今後何かあった場合の協力要請は出来るようにしておきます」
勇と茶奈が精力的に動いていた時と違い、魔特隊という地盤があるからこそ、あずーの様な学生が本分に徹するを許されている。
その所為か……最近どうにも彼女も出番が少ないと嘆いている訳ではあるが。
「以上で今回の作戦会議を終わりに致します。 何かありましたら手短にお願い致しますねぇ」
「福留さん、ちょっといいですか?」
その時真っ先に質問を投げかけたのは……瀬玲であった。
「はい瀬玲さん、なんでしょうか?」
「少し提案なんですが、いいですか?」
「えぇ、どうぞ」
いつになく真剣な面持ちを浮かべる彼女。
その口から語られる言葉を待つ様に誰しもが閉口する中……そっと彼女が口を開いた。
「モンゴル行きのチームに私を入れれば万全かと思います。 チーム編成に加えてください」
その一言を前に……福留も意外だったのだろう、その声を詰まらせる。
「……いいんですか?」
静かにそう一言だけ返すと、瀬玲は小さく頷き真剣な表情を彼に向けた。
「はい。 辞めると勢いで言いましたけど……だからといってすっぱり切れる程、私はさすがにそこまでドライにはなりきれなくて……なのでけじめを付けたいと思って今日この場へ来ました」
すぅ……と一呼吸を付き……静まったその場に彼女の声が響く。
「この戦いを最後に……私は魔特隊を去ろうと思います」
遂に彼女の口からその決意が直接語られた瞬間であった。
その彼女の潔い在り方……それは見紛う事無き相沢瀬玲という人物らしき様。
そんな自信と決意に満ち溢れた彼女を咎める者などいようはずがない。
「……わかりました。 瀬玲さん、最後の戦いのお力添え、何卒よろしくお願い致します」
そう彼女へと言葉を贈ると……福留が深く頭を下げる。
彼女もまたそんな彼を前にそっと一礼すると……彼が頭を上げきる前に、静かに会議室から立ち去っていった。
そんな彼女を福留が視線で追う。
その瞳はどこか寂しげな……そんな雰囲気を感じる面持ちであった。
「それでは皆さん……今回の作戦も是非よろしくお願い致しますねぇ」
一言を贈ると、福留もまた会議室を発つ。
その足取りはいつものなんら変わりはしないが……彼の心に潜む感情は僅かに揺れ動いていた。
静寂が包む会議室の中で、勇達は「瀬玲の事を頼む」と想いをアージとマヴォへと託す。
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