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第三十二節「熱き地の再会 真実は今ここに 目覚めよ創世」
~星を辿りし者達の唄~
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「もしかしたら……そこに創世の鍵に直接繋がる何かがあるかもしれねぇんだ」
「……どうしてそう思うんですか?」
剣聖のさりげない一言が勇の衝撃を呼び込む。
しかし……それと同時に、懐疑的でもあった。
剣聖の言う事が確実性に乏しいのもあるだろう。
だが何より……そこに至る根拠が気になったからである。
もう間違える訳にはいかないから。
この数日で得た経験が彼に思考する事を覚えさせ、慎重にさせていたのだ。
そんなスタンスを見せる勇を前に、剣聖もまんざらではなかった。
「……俺達が世界を回っていたのは、とある道筋を辿っていたからだ。 命脈って呼ばれる星の道筋の事を言う」
「命脈……」
「ああ。 命力が万物に宿るってのはわかっているな? それは星そのものも例外じゃねぇ。 まるで人間の血液と同じ様に、星にも命力が通っているんだ。 俺達の世界じゃその命力の辿る道を命脈と呼んでいる」
そう語る剣聖と聞き入る勇。
一人の人影が近づいている事に気付かぬまま。
「つまり、『こちら側』で言う所の龍脈と言った所でしょうか」
そんな時、二人の耳に聴き慣れた声が響く。
彼等の前に現れたのは福留……剣聖の帰還を知り、こうやって訪れたのである。
「風水などでもよく使われる話ですね。 星の力の集まる場所に幸運が舞い込む、とね」
「ああ、そんな感じだな。 だがそれは決してまじないでも虚言でもねぇ……俺達は命力を鍛える事で命脈の流れを感じ取る事が出来る様になったんだ。 特にラクアンツェはな」
彼が言うには、ラクアンツェは命力を感じ取る能力に長けているのだとか。
そのおかげで、命脈の力が強い場所でならぼんやりとした形ではあるが未来を見る事が出来るのだそうだ。
フララジカが始まるほんの数年前、彼女はこの出来事を察知して伝えていたという事も剣聖は教えてくれた。
だから彼等は知った。
そして個々に動き始めたのだろう。
もう時間は言う程残されていないと理解したから。
「創世の鍵は世界の理をも断つ。 使う為には命脈の様な人知を超えた力が必要なハズだ。 それは【終わりト始まりノ書】にも書かれていた事だがな。 だから俺達はずっと辿ってたんだ……命力の道筋の先に答えがあるってな」
この三百年……彼はずっと星の道を辿って来たのだ。
力が最も強いその先に創世の鍵がある……その確信が彼等にはあったのだから。
「だが命脈ってのは全て繋がっているとは限らねぇ。 少なくとも『あちら側』ではそうだった。 まるで千切れてバラバラにされたかの様に……力の道はまばらだったんだ。 だから辿るのも難しくて難航してたって訳だ」
対象は見えない力の流れでしかない存在。
しかも途方も無く巨大で果てしない星が相手なのだ。
剣聖の様な者達でもたった三百年では追いきれはしなかった。
「でもな、フララジカが始まって状況は一転した。 今までバラバラになってた命脈が突如として繋がったかのようにしっかりとした道になりやがった。 理由はわからねぇが、これのお陰で進む道が見え始めたってこった」
「なるほど……」
「そしてこの地に命脈が集まってきてるってぇ訳だ。 力が収束する場所……そこに何かが有るのはわかるだろうよ」
そう、それこそが剣聖達の探す場所。
そして勇達が見つけた場所……隠れ里である。
「実はな、隠れ里は漏れなく命脈の上に存在しているもんなんだ。 何かしらの理由があるんだろうがな。 そして集約地点も隠れ里……それが何を意味しているのか、お前等にもわかるよな?」
「ふむ……」
いつだか心輝が言っていた事もあながち間違いでは無かったのかもしれない。
「答えは意外と近くにあるのかもしれない」のだという事を。
「ここまで来たらラクの感性が頼りだったんだが……そんな時にアイツがやられちまった。 けどお前等が見つけてくれた。 それのお陰でようやく進めるって訳だ」
「そうだったんですね……なら、落ち着いたら一緒に行きましょう。 俺達も剣聖さん達と同じ様に世界を救う方法を探していたんです。 お二人の探す方法が俺達の希望だから……」
もし剣聖達が名誉や名声の為に創世の鍵を探していたのならば、勇達の様に後から来た存在はいわば便乗の様なもので、認める訳も無いだろう。
だが彼等は決してそんなものの為に戦ってはいない。
彼等はただ純粋に世界を救う為に戦い続けて来たからこそ……こう言いきれる。
「おう、そいつぁ助かるぜ。 仲間は一人でも多い方がいいからなぁ!!」
フララジカを阻止する事が彼等の目的。
それさえ解決出来ればいい……彼等には体裁や手段などに拘らないのだから。
「しかし……おめぇがそこまで言うたぁな。 見違えたぜ」
「俺が今まで動かなさ過ぎたんですよ。 でももう動くと決めたから……剣聖さん、俺達にも手伝わせてください。 俺達は少しでも早く、答えが欲しい!」
勇の決意は命力が無くとも心を乗せて伝わる。
少なくとも、目の前に居る剣聖達には……その一言だけで十分だったのだから。
「おう!! クハハッ、頼もしいじゃあねぇかぁ!! なぁ!?」
途端、剣聖が先程までのしんみりとした雰囲気を吹き飛ばし、大きな喜びの声を上げて勇の背中を「バシバシ」と叩く。
カプロとは違って全身に力が漲る勇には、そのはたきもほんの少し痛い程度にしか感じない。
それ以上に剣聖の好意が身に入るで……勇の顔にはにこやかな笑顔が浮かんでいた。
「じゃあ今はラクアンツェさんが治る事を祈るだけですねぇ。 その為には我々も尽力は惜しみませんので、何かありましたら遠慮なくおっしゃってください」
「おう、助かるぜ」
途端、剣聖から大きな溜息が漏れ出る。
殆ど態度に見せなかったが……ここでようやく疲労の色を露わにした。
勇にこう吐き出す事が出来たから、彼も安心する事が出来たのだろう。
ラクアンツェが謎の相手にやられ、彼女を回収した後……剣聖はただひたすら飲まず食わずで彼女の延命に力を注いでいた。
そんな時、視界に現れたのはアルクトゥーン。
そこで彼は僅かな可能性を胸に、そこへと向かっていたという訳である。
しかしこうして剣聖と勇……師弟とも言える二人は再会を果たした。
互いに大きな土産を持って。
彼等の出会いがどの様な結果を生むのか、まだ誰にもわかりはしない。
それでも彼等の持つ可能性は合わさり……現実味を帯びる。
そこに誰しもが期待せずにはいられない。
「……どうしてそう思うんですか?」
剣聖のさりげない一言が勇の衝撃を呼び込む。
しかし……それと同時に、懐疑的でもあった。
剣聖の言う事が確実性に乏しいのもあるだろう。
だが何より……そこに至る根拠が気になったからである。
もう間違える訳にはいかないから。
この数日で得た経験が彼に思考する事を覚えさせ、慎重にさせていたのだ。
そんなスタンスを見せる勇を前に、剣聖もまんざらではなかった。
「……俺達が世界を回っていたのは、とある道筋を辿っていたからだ。 命脈って呼ばれる星の道筋の事を言う」
「命脈……」
「ああ。 命力が万物に宿るってのはわかっているな? それは星そのものも例外じゃねぇ。 まるで人間の血液と同じ様に、星にも命力が通っているんだ。 俺達の世界じゃその命力の辿る道を命脈と呼んでいる」
そう語る剣聖と聞き入る勇。
一人の人影が近づいている事に気付かぬまま。
「つまり、『こちら側』で言う所の龍脈と言った所でしょうか」
そんな時、二人の耳に聴き慣れた声が響く。
彼等の前に現れたのは福留……剣聖の帰還を知り、こうやって訪れたのである。
「風水などでもよく使われる話ですね。 星の力の集まる場所に幸運が舞い込む、とね」
「ああ、そんな感じだな。 だがそれは決してまじないでも虚言でもねぇ……俺達は命力を鍛える事で命脈の流れを感じ取る事が出来る様になったんだ。 特にラクアンツェはな」
彼が言うには、ラクアンツェは命力を感じ取る能力に長けているのだとか。
そのおかげで、命脈の力が強い場所でならぼんやりとした形ではあるが未来を見る事が出来るのだそうだ。
フララジカが始まるほんの数年前、彼女はこの出来事を察知して伝えていたという事も剣聖は教えてくれた。
だから彼等は知った。
そして個々に動き始めたのだろう。
もう時間は言う程残されていないと理解したから。
「創世の鍵は世界の理をも断つ。 使う為には命脈の様な人知を超えた力が必要なハズだ。 それは【終わりト始まりノ書】にも書かれていた事だがな。 だから俺達はずっと辿ってたんだ……命力の道筋の先に答えがあるってな」
この三百年……彼はずっと星の道を辿って来たのだ。
力が最も強いその先に創世の鍵がある……その確信が彼等にはあったのだから。
「だが命脈ってのは全て繋がっているとは限らねぇ。 少なくとも『あちら側』ではそうだった。 まるで千切れてバラバラにされたかの様に……力の道はまばらだったんだ。 だから辿るのも難しくて難航してたって訳だ」
対象は見えない力の流れでしかない存在。
しかも途方も無く巨大で果てしない星が相手なのだ。
剣聖の様な者達でもたった三百年では追いきれはしなかった。
「でもな、フララジカが始まって状況は一転した。 今までバラバラになってた命脈が突如として繋がったかのようにしっかりとした道になりやがった。 理由はわからねぇが、これのお陰で進む道が見え始めたってこった」
「なるほど……」
「そしてこの地に命脈が集まってきてるってぇ訳だ。 力が収束する場所……そこに何かが有るのはわかるだろうよ」
そう、それこそが剣聖達の探す場所。
そして勇達が見つけた場所……隠れ里である。
「実はな、隠れ里は漏れなく命脈の上に存在しているもんなんだ。 何かしらの理由があるんだろうがな。 そして集約地点も隠れ里……それが何を意味しているのか、お前等にもわかるよな?」
「ふむ……」
いつだか心輝が言っていた事もあながち間違いでは無かったのかもしれない。
「答えは意外と近くにあるのかもしれない」のだという事を。
「ここまで来たらラクの感性が頼りだったんだが……そんな時にアイツがやられちまった。 けどお前等が見つけてくれた。 それのお陰でようやく進めるって訳だ」
「そうだったんですね……なら、落ち着いたら一緒に行きましょう。 俺達も剣聖さん達と同じ様に世界を救う方法を探していたんです。 お二人の探す方法が俺達の希望だから……」
もし剣聖達が名誉や名声の為に創世の鍵を探していたのならば、勇達の様に後から来た存在はいわば便乗の様なもので、認める訳も無いだろう。
だが彼等は決してそんなものの為に戦ってはいない。
彼等はただ純粋に世界を救う為に戦い続けて来たからこそ……こう言いきれる。
「おう、そいつぁ助かるぜ。 仲間は一人でも多い方がいいからなぁ!!」
フララジカを阻止する事が彼等の目的。
それさえ解決出来ればいい……彼等には体裁や手段などに拘らないのだから。
「しかし……おめぇがそこまで言うたぁな。 見違えたぜ」
「俺が今まで動かなさ過ぎたんですよ。 でももう動くと決めたから……剣聖さん、俺達にも手伝わせてください。 俺達は少しでも早く、答えが欲しい!」
勇の決意は命力が無くとも心を乗せて伝わる。
少なくとも、目の前に居る剣聖達には……その一言だけで十分だったのだから。
「おう!! クハハッ、頼もしいじゃあねぇかぁ!! なぁ!?」
途端、剣聖が先程までのしんみりとした雰囲気を吹き飛ばし、大きな喜びの声を上げて勇の背中を「バシバシ」と叩く。
カプロとは違って全身に力が漲る勇には、そのはたきもほんの少し痛い程度にしか感じない。
それ以上に剣聖の好意が身に入るで……勇の顔にはにこやかな笑顔が浮かんでいた。
「じゃあ今はラクアンツェさんが治る事を祈るだけですねぇ。 その為には我々も尽力は惜しみませんので、何かありましたら遠慮なくおっしゃってください」
「おう、助かるぜ」
途端、剣聖から大きな溜息が漏れ出る。
殆ど態度に見せなかったが……ここでようやく疲労の色を露わにした。
勇にこう吐き出す事が出来たから、彼も安心する事が出来たのだろう。
ラクアンツェが謎の相手にやられ、彼女を回収した後……剣聖はただひたすら飲まず食わずで彼女の延命に力を注いでいた。
そんな時、視界に現れたのはアルクトゥーン。
そこで彼は僅かな可能性を胸に、そこへと向かっていたという訳である。
しかしこうして剣聖と勇……師弟とも言える二人は再会を果たした。
互いに大きな土産を持って。
彼等の出会いがどの様な結果を生むのか、まだ誰にもわかりはしない。
それでも彼等の持つ可能性は合わさり……現実味を帯びる。
そこに誰しもが期待せずにはいられない。
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