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第三十二節「熱き地の再会 真実は今ここに 目覚めよ創世」
~目覚めし創世力の唄~
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一連の出来事を前に、剣聖すらも絶句する。
いや、どちらかと言えば……勇自身がその力を見せつけた事に。
「アイツ……まさか……ッ!!」
剣聖にとって勇の力が正体不明である事には変わりはない。
だが、圧倒的力の奔流を前に……最も真理に近い剣聖だけがその力の本質に気付く。
それ程までの力を放出していたからこそ……気付けたのだ。
異形には自身に何が起きたのかさっぱりわかっていなかった。
自分は無敵だと思っていた。
全ては思い通りだと思っていた。
しかし目の前に立つ者は違う。
渾身の一撃でも避けられ。
相手の動きも見えず。
そして今、凄まじき力の奔流を打ち放っている。
それを目前にした異形の体が動きを止める。
大地を握り締める拳が……震えていた。
今で前のめりだった頭が……引いていた。
強大な相手を写し込む瞳が……揺れていた。
その時感じていたのは―――恐怖。
追撃を躊躇してしまう程に。
震えに準じるかの様に。
もはや異形に、目前の相手を止める手立てが思い浮かぶ事は……無い。
勇の打ち放つ光がなお激しさを増す。
際限無く放出され続けた光は無形……波の様に揺れ動き、それでいて弾け飛ぶ程に強烈。
そんな光が揺らめきながらも、一空間で次第に形を描き始める。
光の揺らめきは人の様な姿を映し込み、勇と並ぶ様に形成されていった。
まるでそれは……女性の様な細い容姿を象り、長き髪を流し揺らめかせるかの如く。
『彼の体を形象するのは負の思念。 あそこまで深く繋がった肉体と思念を断ち切るには、理そのものを断つ力を使うしかありません』
「わかってる……だから使わせてもらう!! 貴女が今まで護って来たこの力を……!!」
途端、握り締めた勇の右拳が光を放つ。
体から放出される光と同じ、しかもそれよりも更に激しく迸る光。
光の剣……勇の持つ力の一端がその姿を再び晒す。
空間を突きささんばかりの圧倒的な放出量は、以前のそれよりもなお強い。
それだけでも目の前の異形を屠るには十分と思える程に。
その光の剣を自身の前へと水平に掲げ、左手が光の剣の刃を掴み取る。
たちまち迸っていた光がなお強烈に放出し始めた。
もはや天井などありはしないと言わんばかりに。
「天士と世界が願ってやまない希望を……今、力に換えるッ!!」
それは周囲全てを光で包まんばかりの……青の太陽が如く。
太陽を携えし青年は今、己の全てを注ぎ込む。
「目覚めろ創世ッ!! たった一人の世界を救う為にッ!!」
その瞬間……光の剣を形成する奔流が突如として剣そのものを包む様に伸び始めた。
幾多もの光の筋が剣を覆い、まるで螺旋の繭の如く勇の手ごと覆い尽くす。
そして間も無く光の繭の末端が光の粒子へと姿を変え、弾け飛ぶように霧散していった。
そこから覗くのは、勇の手に握られた……物質剣。
それこそは力の羽化。
それこそは光の開花。
秘めたる全ての力が集約された時……それは遂に顕現する。
茶奈が。
心輝が。
瀬玲が。
イシュライトが。
異形が。
そして剣聖が。
眩い光を放ちながら顕現した一本の剣を前にその視線を奪われる。
留まる事の無い虹色の光を打ち放ちし一振り。
今ここに、世界を断ちし力の根源が息吹を上げた。
希望を胸に抱き続けた勇の手によって。
たった一人の……少年の命を救う為に。
勇には聞こえていたのだ。
少年の悲痛の叫びが。
言葉にも声にもならない、心の叫びが。
彼を再び目前にした時からずっと。
もはや異形の意思は彼とは違う意思。
もう一つの異質なる意思。
本当の心はずっと、苦しんでいた。
体が張り裂けそうな痛みと、心を突く様な苦しみを絶えず受けていた。
茶奈達と戦っている時も、彼はずっと外側で見ていた。
助けてほしかった。
救ってほしかった。
そして今、目の前の人に自分の心が届いた気がしたから―――
「行くぞ、ア・リーヴェ!! 彼の心を取り戻す為にッ!!」
―――少年は心の中で……笑顔を浮かべられたのだ。
勇が創世剣を振り翳し、その力を余す事無く発揮する。
たちまち虹色の光が天を突き、夕暮れの空を無限の色彩で覆い尽くす。
際限無く放たれ続ける光は、空の彼方で剣の動きに合わせて螺旋を描き……突如として大地へと振られ落とされた。
勇が剣を水平に構え、その身を屈めさせたのだ。
刃が僅かに大地へ傾けられ、虹の光が遥か地平の先へと伸びていく。
地平すら貫く虹の光はなお収まる事無く放たれ続け、勇の構えに順応していた。
彼の意思のままに。
赴くままに。
ただその一歩を踏み出すままに。
虹の光も、放たれし青の光も……全てが加速の礎となる。
もはやその速度を前に、ありのままを見届けられる者などその場に居ない。
撃ち放たれし一閃は……天地を分かつが如く。
虹の光が空を斬り裂く。
巨大な異形の胴体ごと。
勇を力の波に乗せたまま。
気付いた時には全てが終わっていた。
勇が大地へ滑り立ち、その背後には異形が立ち尽くして。
瞬きする間も、認識する間も無く。
勇の手に握られていた創世剣が光の粒子と姿を換え、体から放たれていた天力と共に大気へと消えていく。
茶奈達はそんな様だけを見届ける事が出来ていた。
「今のは……一体……」
「あれは……そうか、あれが……命力っつう事か……クハハ……」
剣聖だけは何かがわかったかの様に笑みを浮かべ、枯れた笑いが僅かに零れる。
事情も理解も知り得ぬ茶奈達は、剣聖が零した事もわからずただ呆けるのみ。
そんな時、異形の体に変化が起き始めた。
途端、異形の体が異常なまでにガクガクと震え、その身を空へと向くかの如くしならせる。
様子はもはや震えと言うよりも震わしているのかと思う程に大きい振り幅。
頭も唾液を待ち散らさんばかりに左右に大きく振られ、血走った目を剥き出しにしていた。
すると……突如として、胴体に刻まれた水平の傷から黒い煙の様な何かが噴き出していく。
それはまるで黒い光。
周囲の空間を夜に包んでしまわんばかりの黒い光が、たちまち血飛沫の様に放たれたのである。
たちまちそれは全身に波及し、同時に虹の光の亀裂が走り始めた。
亀裂から吹き出す黒の光は瞬く間にその勢いを弱め、次第に落ち着きを見せる。
そしてその放出が全て終わった時……異形の体が灰の如く崩れ始めたのだった。
「バサバサ」と音を立て、粒子の細かい砂へと形を変えていく。
形が維持出来ぬ程に散った時……自重に引かれるまま、「ボサリ」と塊ごと大地へと落ちていった。
それすらも落ちた途端に崩れて。
あっという間に……異形を象っていた全てが砂へと変わり果てたのであった。
砂まみれで倒れた少年を残して……。
いや、どちらかと言えば……勇自身がその力を見せつけた事に。
「アイツ……まさか……ッ!!」
剣聖にとって勇の力が正体不明である事には変わりはない。
だが、圧倒的力の奔流を前に……最も真理に近い剣聖だけがその力の本質に気付く。
それ程までの力を放出していたからこそ……気付けたのだ。
異形には自身に何が起きたのかさっぱりわかっていなかった。
自分は無敵だと思っていた。
全ては思い通りだと思っていた。
しかし目の前に立つ者は違う。
渾身の一撃でも避けられ。
相手の動きも見えず。
そして今、凄まじき力の奔流を打ち放っている。
それを目前にした異形の体が動きを止める。
大地を握り締める拳が……震えていた。
今で前のめりだった頭が……引いていた。
強大な相手を写し込む瞳が……揺れていた。
その時感じていたのは―――恐怖。
追撃を躊躇してしまう程に。
震えに準じるかの様に。
もはや異形に、目前の相手を止める手立てが思い浮かぶ事は……無い。
勇の打ち放つ光がなお激しさを増す。
際限無く放出され続けた光は無形……波の様に揺れ動き、それでいて弾け飛ぶ程に強烈。
そんな光が揺らめきながらも、一空間で次第に形を描き始める。
光の揺らめきは人の様な姿を映し込み、勇と並ぶ様に形成されていった。
まるでそれは……女性の様な細い容姿を象り、長き髪を流し揺らめかせるかの如く。
『彼の体を形象するのは負の思念。 あそこまで深く繋がった肉体と思念を断ち切るには、理そのものを断つ力を使うしかありません』
「わかってる……だから使わせてもらう!! 貴女が今まで護って来たこの力を……!!」
途端、握り締めた勇の右拳が光を放つ。
体から放出される光と同じ、しかもそれよりも更に激しく迸る光。
光の剣……勇の持つ力の一端がその姿を再び晒す。
空間を突きささんばかりの圧倒的な放出量は、以前のそれよりもなお強い。
それだけでも目の前の異形を屠るには十分と思える程に。
その光の剣を自身の前へと水平に掲げ、左手が光の剣の刃を掴み取る。
たちまち迸っていた光がなお強烈に放出し始めた。
もはや天井などありはしないと言わんばかりに。
「天士と世界が願ってやまない希望を……今、力に換えるッ!!」
それは周囲全てを光で包まんばかりの……青の太陽が如く。
太陽を携えし青年は今、己の全てを注ぎ込む。
「目覚めろ創世ッ!! たった一人の世界を救う為にッ!!」
その瞬間……光の剣を形成する奔流が突如として剣そのものを包む様に伸び始めた。
幾多もの光の筋が剣を覆い、まるで螺旋の繭の如く勇の手ごと覆い尽くす。
そして間も無く光の繭の末端が光の粒子へと姿を変え、弾け飛ぶように霧散していった。
そこから覗くのは、勇の手に握られた……物質剣。
それこそは力の羽化。
それこそは光の開花。
秘めたる全ての力が集約された時……それは遂に顕現する。
茶奈が。
心輝が。
瀬玲が。
イシュライトが。
異形が。
そして剣聖が。
眩い光を放ちながら顕現した一本の剣を前にその視線を奪われる。
留まる事の無い虹色の光を打ち放ちし一振り。
今ここに、世界を断ちし力の根源が息吹を上げた。
希望を胸に抱き続けた勇の手によって。
たった一人の……少年の命を救う為に。
勇には聞こえていたのだ。
少年の悲痛の叫びが。
言葉にも声にもならない、心の叫びが。
彼を再び目前にした時からずっと。
もはや異形の意思は彼とは違う意思。
もう一つの異質なる意思。
本当の心はずっと、苦しんでいた。
体が張り裂けそうな痛みと、心を突く様な苦しみを絶えず受けていた。
茶奈達と戦っている時も、彼はずっと外側で見ていた。
助けてほしかった。
救ってほしかった。
そして今、目の前の人に自分の心が届いた気がしたから―――
「行くぞ、ア・リーヴェ!! 彼の心を取り戻す為にッ!!」
―――少年は心の中で……笑顔を浮かべられたのだ。
勇が創世剣を振り翳し、その力を余す事無く発揮する。
たちまち虹色の光が天を突き、夕暮れの空を無限の色彩で覆い尽くす。
際限無く放たれ続ける光は、空の彼方で剣の動きに合わせて螺旋を描き……突如として大地へと振られ落とされた。
勇が剣を水平に構え、その身を屈めさせたのだ。
刃が僅かに大地へ傾けられ、虹の光が遥か地平の先へと伸びていく。
地平すら貫く虹の光はなお収まる事無く放たれ続け、勇の構えに順応していた。
彼の意思のままに。
赴くままに。
ただその一歩を踏み出すままに。
虹の光も、放たれし青の光も……全てが加速の礎となる。
もはやその速度を前に、ありのままを見届けられる者などその場に居ない。
撃ち放たれし一閃は……天地を分かつが如く。
虹の光が空を斬り裂く。
巨大な異形の胴体ごと。
勇を力の波に乗せたまま。
気付いた時には全てが終わっていた。
勇が大地へ滑り立ち、その背後には異形が立ち尽くして。
瞬きする間も、認識する間も無く。
勇の手に握られていた創世剣が光の粒子と姿を換え、体から放たれていた天力と共に大気へと消えていく。
茶奈達はそんな様だけを見届ける事が出来ていた。
「今のは……一体……」
「あれは……そうか、あれが……命力っつう事か……クハハ……」
剣聖だけは何かがわかったかの様に笑みを浮かべ、枯れた笑いが僅かに零れる。
事情も理解も知り得ぬ茶奈達は、剣聖が零した事もわからずただ呆けるのみ。
そんな時、異形の体に変化が起き始めた。
途端、異形の体が異常なまでにガクガクと震え、その身を空へと向くかの如くしならせる。
様子はもはや震えと言うよりも震わしているのかと思う程に大きい振り幅。
頭も唾液を待ち散らさんばかりに左右に大きく振られ、血走った目を剥き出しにしていた。
すると……突如として、胴体に刻まれた水平の傷から黒い煙の様な何かが噴き出していく。
それはまるで黒い光。
周囲の空間を夜に包んでしまわんばかりの黒い光が、たちまち血飛沫の様に放たれたのである。
たちまちそれは全身に波及し、同時に虹の光の亀裂が走り始めた。
亀裂から吹き出す黒の光は瞬く間にその勢いを弱め、次第に落ち着きを見せる。
そしてその放出が全て終わった時……異形の体が灰の如く崩れ始めたのだった。
「バサバサ」と音を立て、粒子の細かい砂へと形を変えていく。
形が維持出来ぬ程に散った時……自重に引かれるまま、「ボサリ」と塊ごと大地へと落ちていった。
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