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第三十六節「謀略回生 ぶつかり合う力 天と天が繋がる時」
~Discipline due à la violence <暴力による規律> ディックと黒鷲①~
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デュランの屋敷内部、閑静な主通路。
しかしその重厚な静けさも、断続的な銃声によって掻き消される事となる。
ダォンッ!! ドォン!!
その度に豪華な内装へと穴が空き、亀裂が走る。
もはや建物の事など一切考えていない応酬だ。
「相変わらず鼻が利くじゃあないかあ!! 軍属時代の勘は鈍ってはいないようで何よりだよ!!」
「チッ―――こちとらそれ以上の死線を潜り抜けて来たんでねぇ!! むしろ成長を讃えて姿を見せてくださいよぉ、ジェロール軍曹殿ォ!!」
そう叫びを発するのと同時にディックが再び弾丸を解き放ち。
その度に姿勢を変え、別の場所へと飛び退き再び隠れ。
ようやくその身が、強固な壁に守られた個室へと到達する。
銃撃戦において、相手に位置を悟らせないのも大事な戦術だ。
こうして声を上げるのも、響かせて相手を攪乱するため。
この建物が音をふんだんに跳ね返す構造になっているので、居場所が察知され難くなるのである。
それは当然、相手も同様に行っている事だが。
「残念だがディーーークッ!! 今の俺は曹長だ!! あの一件で功績が認められてな、こうしてデュラン達との連絡役にも抜擢されたんだッ!!」
「そうかいそうかい、お偉いこって……」
その最中にも銃弾は撃ち放たれ、ディックの隠れる部屋の扉枠が容赦なく削られていく。
とはいえそこは安全圏、その様子はとても落ち着いたものだが。
「【救世同盟】は素晴らしいぞぉ!! これが秩序だ!! やはり人は暴力によって支配されねばならないッ!! どうだディック!? お前もこっちに来ないか!? 今なら俺が口を利いてやってもいい!!」
「お誘いは嬉しいがぁ!! 俺の信じる神様がねぇ!! アンタらはヤバイ奴等だって言ってるんで聞けないよッ!! 悪いが俺は信仰深いんでねえッ!!」
無駄に弾を撃ち過ぎれば、相手に押し込まれて負けは必至。
相手の戦力がわからない今、迂闊に反撃は出来ない。
弾倉を確認し、残り弾数を改めて認識する。
魔導具をによって予備弾倉は余計に持ち合わせているが、それでも心もとない。
相手がどんな人物かを良く知るからこそ。
それでも、撃たねばならないから。
ダォンッ!! ガォンッ!!
だから撃つ。
牽制と、あわよくば傷を負わせる為に。
誰よりも何よりも速く、正確に。
その意思に抵抗以外の道は無いのだから。
「それよかジェロールさんよ!! 創世の女神教に入信しないかい!? 今なら美男美女達がアンタを迎えてくれてお得だよッ!!」
「ハッハッハ!! ならば是非ともポテトとドリンクも付けてくれ!! あーでもナゲットは要らんぞ、肉は国産と決めているんでなぁ!!」
「減らず口は相変わらずだね、アンタはッ……!!」
しかしその攻撃のお返しとばかりに銃弾が見舞われていて。
的確に、声を挟む隙も無く。
その上で跳ねる様に叫ぶ黒鷲の声はどこか楽しそうだ。
これだけの叫びを成せる肺活量は、もはや無尽蔵とさえ思わせる。
交わす会話は陽気的だが、戦場は打って変わり殺伐だ。
度重なる銃撃により、壁は削れて穴だらけで。
一部の隠れられそうだった家具までが砕け潰れゆく。
相手の銃弾は相応の威力を秘めているのだろう。
対命力弾でも相当の上質品、命力で弾速を加速させる徹甲弾タイプだ。
決戦だからか、使う武器はもはや惜しみない様で。
当たり所が悪ければ、隠れている壁ごと背中を撃ち抜かれかねない。
ディックもまた魔霊装を纏っているが、防ぎきれる保証がある訳でも無く。
上げる声とは別に、その顔に浮かぶ不安を隠せない。
だが―――
「ッ!? 攻撃が……止んだ?」
―――突如として、断続的に聴こえていた銃声が途絶えた。
たちまち、それがディックに様々な憶測をもたらす。
弾が切れたのか?
予備弾倉に換装中なのか?
ただのブラフなのか?
それとも、逃げたのか。
そう脳裏に巡らせたのは僅か一、二秒。
戦闘においては、この様に鋭く素早い思考を持つ事が生に繋がる。
戦場に身を置いて久しいディックにとっては、もはや当たり前の思考速度である。
ただ、導き出した答えが正解しているとは限らないが。
「ディーーーック!! 俺は嬉しいぞぉ、お前が戦場に帰って来てくれてなぁ!! あの不幸な出来事がお前の闘争心を削ぎ取ってしまったのかと残念でならなかったあ!!」
そして返って来たのは、まるでかつてを懐かしむ様なそんな声だけで。
さっきまでは続いて放たれていた弾丸も襲いはしない。
それはまるで、対話を望むかの様に。
でもディックがそれを素直に応じる訳も無い。
戦場においてそんな隙を見せる事は死を意味するから。
それに何より、相手が相手だから。
「ジェロールッ!! それはアンタがあの時的確な指示を出してりゃこんな事にはならなかったってねェ!!」
その相手、ジェロール曹長とは―――かつてのディックの上司。
つまり、運命のあの日にデモ対応時にディック達へ指示を送っていた人物という事。
親友二人を見捨て、娘リューシィを失うキッカケを導いたあの声の主なのである。
だからディックは今、静かに憤っているのだ。
あの行いを許せる訳も無かったから。
「俺は忘れんぜッ!! あの時のアンタの判断がリューシィを殺したッ!! 俺に殺させたッ!! 仲間も見殺しにさせようとしたッ!!」
「あれは事故だよディーック!! お前に罪はなぁい!! あの二人も仕方なかったんだ。 軍の機密を持ち出そうとしたんだ!! 反乱分子になぁ!!」
故に、もう耳を貸すつもりは毛頭無い。
何が真実で、何が過ちか、ディックにはもうどうでも良かったから。
罪の意識に苛まれている訳でも、無実を証明したい訳でも無いから。
もうディックは受け入れた上で覚悟しているのだ。
リューシィの命を奪った事を認め、その上で罪を背負って生きていく事を。
国に逆らってでも親友を救った事を誇り、己の信念を貫き続ける事を。
そんな覚悟を持つ彼には、黒鷲―――ジェロールの言葉など全て戯言となる。
「国はもう【救世同盟】の在り方にズブズブなのだよ!! 政府も、国民も、秩序が根付いてWIN-WINだ!! これくらい強引にねじ伏せた方が幸せな人間は多いッ!! その為の軍隊だ、わからんかディーック!?」
「わからんね!! それじゃ軍事政権と何ら変わらん!! 民主的でも王政的でも無い、それはただの恐怖支配主義なだけさあッ!!」
たしかにジェロールの言う事も一理はあるだろう。
現にこうして、フランスという国は理性を押し出した秩序に包まれている。
犯罪率も激減し、不満を述べる者もほぼ居なくなり、誰もが税金を納めて笑い合う。
国の名の下に一致団結し、発展と進歩に注力を注ぐ様になった。
でもそれは表層上の事に過ぎない。
人々の心の中には常に恐怖が取り巻いているからだ。
もしも失敗して、失言して、覆せなくて、それがバレてしまったら。
きっと周囲の人間が一瞬にして敵になるだろう。
この国の全てがその者を許さないだろう。
生きる事さえ出来なくなるかもしれない。
そんな恐怖が常に人々の心を縛っている。
それはもはや民主的ではない。
民主国家だった頃の面影はもはや残されていないのである。
あるのはもはや恐怖政治。
SNSで愚痴の一つすら呟く事の出来ない世界がここにあるのだ。
それはもう、自由とは呼べない。
「例えルールに縛られてもねッ!! 人の自由ってモンは縛っちゃいけないッ!! 秩序ってのは人が守るモンで、ルールで守るもんじゃないんだってねぇ!!」
「ならルール無しで人が秩序を守れると思うかぁ!? 出来んねぇ!! 能の無い奴は猿だ!! いいや、ルールを記載してやらんとわからん猿以下の存在なんだからなぁ!!」
「おっとそれは同感だ! でもその猿を教育して人間に仕上げるのも文明人の役目なんだってよぉ!! 指人形みたいな神様が言ってたぜ!! まだまだ俺達全体が未熟なんだとさッ!!」
本来、人とは自由であると同時に自戒も出来る生き物だ。
それがいわゆる自己抑制となり、それを自然化する事で「普通」となる。
だから犯罪抑止策なども、普段から起こしていない人間からしてみれば「今まで通り」な訳で。
だが犯罪者は、そのルールをも無視する。
更にその中でも賢い者は、提示されたルールの隙間を縫って正当化する。
「自分達にルールは適用されないから悪い事はしていない」と。
でもそれは思い違いだ。
秩序とはルールでは無く、人同士が信じる事で紡ぐ信頼文化なのだから。
ルールはそれを敢えて文面化しただけに過ぎない。
誰もが見てわかる様に。
それを破れば当然、破った者への信頼は失われる。
犯罪者が信用されないのはこういった意味があるからこそ。
刑罰など、所詮はそのおまけに過ぎない。
そしてその信用を組み立てられない人間がまだまだ多いから、天士は生まれないのだ。
文化を自然と心から理解し、自由なままで秩序を守る。
それを誰もが出来る様になって初めて、人は進化出来るのだから。
「今の俺達みたいにッ!! 銃で撃ち合ってる内はまだまだ猿だってことさね!! 猿が猿を育てたってそれにしかなりゃしないよッ!!」
「ハハハッ!!! その通りかもなぁ!! なら俺は猿でいいッ!! 猿として秩序を創る!! 猿の、猿による、猿の為の世界をなぁ!! 人間になるのはその後でいいッ!!」
その一言を最後に、再び銃声が鳴り響く。
攻防再開の狼煙として。
ディックとジェロール。
二人の理想は近くとも果てしない程に遠い。
弾丸に篭めた想いが届かない程に。
二人の心は、照準を合わせられる場所にさえも居ないだから―――
しかしその重厚な静けさも、断続的な銃声によって掻き消される事となる。
ダォンッ!! ドォン!!
その度に豪華な内装へと穴が空き、亀裂が走る。
もはや建物の事など一切考えていない応酬だ。
「相変わらず鼻が利くじゃあないかあ!! 軍属時代の勘は鈍ってはいないようで何よりだよ!!」
「チッ―――こちとらそれ以上の死線を潜り抜けて来たんでねぇ!! むしろ成長を讃えて姿を見せてくださいよぉ、ジェロール軍曹殿ォ!!」
そう叫びを発するのと同時にディックが再び弾丸を解き放ち。
その度に姿勢を変え、別の場所へと飛び退き再び隠れ。
ようやくその身が、強固な壁に守られた個室へと到達する。
銃撃戦において、相手に位置を悟らせないのも大事な戦術だ。
こうして声を上げるのも、響かせて相手を攪乱するため。
この建物が音をふんだんに跳ね返す構造になっているので、居場所が察知され難くなるのである。
それは当然、相手も同様に行っている事だが。
「残念だがディーーークッ!! 今の俺は曹長だ!! あの一件で功績が認められてな、こうしてデュラン達との連絡役にも抜擢されたんだッ!!」
「そうかいそうかい、お偉いこって……」
その最中にも銃弾は撃ち放たれ、ディックの隠れる部屋の扉枠が容赦なく削られていく。
とはいえそこは安全圏、その様子はとても落ち着いたものだが。
「【救世同盟】は素晴らしいぞぉ!! これが秩序だ!! やはり人は暴力によって支配されねばならないッ!! どうだディック!? お前もこっちに来ないか!? 今なら俺が口を利いてやってもいい!!」
「お誘いは嬉しいがぁ!! 俺の信じる神様がねぇ!! アンタらはヤバイ奴等だって言ってるんで聞けないよッ!! 悪いが俺は信仰深いんでねえッ!!」
無駄に弾を撃ち過ぎれば、相手に押し込まれて負けは必至。
相手の戦力がわからない今、迂闊に反撃は出来ない。
弾倉を確認し、残り弾数を改めて認識する。
魔導具をによって予備弾倉は余計に持ち合わせているが、それでも心もとない。
相手がどんな人物かを良く知るからこそ。
それでも、撃たねばならないから。
ダォンッ!! ガォンッ!!
だから撃つ。
牽制と、あわよくば傷を負わせる為に。
誰よりも何よりも速く、正確に。
その意思に抵抗以外の道は無いのだから。
「それよかジェロールさんよ!! 創世の女神教に入信しないかい!? 今なら美男美女達がアンタを迎えてくれてお得だよッ!!」
「ハッハッハ!! ならば是非ともポテトとドリンクも付けてくれ!! あーでもナゲットは要らんぞ、肉は国産と決めているんでなぁ!!」
「減らず口は相変わらずだね、アンタはッ……!!」
しかしその攻撃のお返しとばかりに銃弾が見舞われていて。
的確に、声を挟む隙も無く。
その上で跳ねる様に叫ぶ黒鷲の声はどこか楽しそうだ。
これだけの叫びを成せる肺活量は、もはや無尽蔵とさえ思わせる。
交わす会話は陽気的だが、戦場は打って変わり殺伐だ。
度重なる銃撃により、壁は削れて穴だらけで。
一部の隠れられそうだった家具までが砕け潰れゆく。
相手の銃弾は相応の威力を秘めているのだろう。
対命力弾でも相当の上質品、命力で弾速を加速させる徹甲弾タイプだ。
決戦だからか、使う武器はもはや惜しみない様で。
当たり所が悪ければ、隠れている壁ごと背中を撃ち抜かれかねない。
ディックもまた魔霊装を纏っているが、防ぎきれる保証がある訳でも無く。
上げる声とは別に、その顔に浮かぶ不安を隠せない。
だが―――
「ッ!? 攻撃が……止んだ?」
―――突如として、断続的に聴こえていた銃声が途絶えた。
たちまち、それがディックに様々な憶測をもたらす。
弾が切れたのか?
予備弾倉に換装中なのか?
ただのブラフなのか?
それとも、逃げたのか。
そう脳裏に巡らせたのは僅か一、二秒。
戦闘においては、この様に鋭く素早い思考を持つ事が生に繋がる。
戦場に身を置いて久しいディックにとっては、もはや当たり前の思考速度である。
ただ、導き出した答えが正解しているとは限らないが。
「ディーーーック!! 俺は嬉しいぞぉ、お前が戦場に帰って来てくれてなぁ!! あの不幸な出来事がお前の闘争心を削ぎ取ってしまったのかと残念でならなかったあ!!」
そして返って来たのは、まるでかつてを懐かしむ様なそんな声だけで。
さっきまでは続いて放たれていた弾丸も襲いはしない。
それはまるで、対話を望むかの様に。
でもディックがそれを素直に応じる訳も無い。
戦場においてそんな隙を見せる事は死を意味するから。
それに何より、相手が相手だから。
「ジェロールッ!! それはアンタがあの時的確な指示を出してりゃこんな事にはならなかったってねェ!!」
その相手、ジェロール曹長とは―――かつてのディックの上司。
つまり、運命のあの日にデモ対応時にディック達へ指示を送っていた人物という事。
親友二人を見捨て、娘リューシィを失うキッカケを導いたあの声の主なのである。
だからディックは今、静かに憤っているのだ。
あの行いを許せる訳も無かったから。
「俺は忘れんぜッ!! あの時のアンタの判断がリューシィを殺したッ!! 俺に殺させたッ!! 仲間も見殺しにさせようとしたッ!!」
「あれは事故だよディーック!! お前に罪はなぁい!! あの二人も仕方なかったんだ。 軍の機密を持ち出そうとしたんだ!! 反乱分子になぁ!!」
故に、もう耳を貸すつもりは毛頭無い。
何が真実で、何が過ちか、ディックにはもうどうでも良かったから。
罪の意識に苛まれている訳でも、無実を証明したい訳でも無いから。
もうディックは受け入れた上で覚悟しているのだ。
リューシィの命を奪った事を認め、その上で罪を背負って生きていく事を。
国に逆らってでも親友を救った事を誇り、己の信念を貫き続ける事を。
そんな覚悟を持つ彼には、黒鷲―――ジェロールの言葉など全て戯言となる。
「国はもう【救世同盟】の在り方にズブズブなのだよ!! 政府も、国民も、秩序が根付いてWIN-WINだ!! これくらい強引にねじ伏せた方が幸せな人間は多いッ!! その為の軍隊だ、わからんかディーック!?」
「わからんね!! それじゃ軍事政権と何ら変わらん!! 民主的でも王政的でも無い、それはただの恐怖支配主義なだけさあッ!!」
たしかにジェロールの言う事も一理はあるだろう。
現にこうして、フランスという国は理性を押し出した秩序に包まれている。
犯罪率も激減し、不満を述べる者もほぼ居なくなり、誰もが税金を納めて笑い合う。
国の名の下に一致団結し、発展と進歩に注力を注ぐ様になった。
でもそれは表層上の事に過ぎない。
人々の心の中には常に恐怖が取り巻いているからだ。
もしも失敗して、失言して、覆せなくて、それがバレてしまったら。
きっと周囲の人間が一瞬にして敵になるだろう。
この国の全てがその者を許さないだろう。
生きる事さえ出来なくなるかもしれない。
そんな恐怖が常に人々の心を縛っている。
それはもはや民主的ではない。
民主国家だった頃の面影はもはや残されていないのである。
あるのはもはや恐怖政治。
SNSで愚痴の一つすら呟く事の出来ない世界がここにあるのだ。
それはもう、自由とは呼べない。
「例えルールに縛られてもねッ!! 人の自由ってモンは縛っちゃいけないッ!! 秩序ってのは人が守るモンで、ルールで守るもんじゃないんだってねぇ!!」
「ならルール無しで人が秩序を守れると思うかぁ!? 出来んねぇ!! 能の無い奴は猿だ!! いいや、ルールを記載してやらんとわからん猿以下の存在なんだからなぁ!!」
「おっとそれは同感だ! でもその猿を教育して人間に仕上げるのも文明人の役目なんだってよぉ!! 指人形みたいな神様が言ってたぜ!! まだまだ俺達全体が未熟なんだとさッ!!」
本来、人とは自由であると同時に自戒も出来る生き物だ。
それがいわゆる自己抑制となり、それを自然化する事で「普通」となる。
だから犯罪抑止策なども、普段から起こしていない人間からしてみれば「今まで通り」な訳で。
だが犯罪者は、そのルールをも無視する。
更にその中でも賢い者は、提示されたルールの隙間を縫って正当化する。
「自分達にルールは適用されないから悪い事はしていない」と。
でもそれは思い違いだ。
秩序とはルールでは無く、人同士が信じる事で紡ぐ信頼文化なのだから。
ルールはそれを敢えて文面化しただけに過ぎない。
誰もが見てわかる様に。
それを破れば当然、破った者への信頼は失われる。
犯罪者が信用されないのはこういった意味があるからこそ。
刑罰など、所詮はそのおまけに過ぎない。
そしてその信用を組み立てられない人間がまだまだ多いから、天士は生まれないのだ。
文化を自然と心から理解し、自由なままで秩序を守る。
それを誰もが出来る様になって初めて、人は進化出来るのだから。
「今の俺達みたいにッ!! 銃で撃ち合ってる内はまだまだ猿だってことさね!! 猿が猿を育てたってそれにしかなりゃしないよッ!!」
「ハハハッ!!! その通りかもなぁ!! なら俺は猿でいいッ!! 猿として秩序を創る!! 猿の、猿による、猿の為の世界をなぁ!! 人間になるのはその後でいいッ!!」
その一言を最後に、再び銃声が鳴り響く。
攻防再開の狼煙として。
ディックとジェロール。
二人の理想は近くとも果てしない程に遠い。
弾丸に篭めた想いが届かない程に。
二人の心は、照準を合わせられる場所にさえも居ないだから―――
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