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第三十六節「謀略回生 ぶつかり合う力 天と天が繋がる時」
~Début de croyance <信念の始まり>~
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――
―
僕の名前はレミエル=ジュオノ。
やがてデュランと名乗る様になる者だ。
かつての僕はなんて事の無い普通の男だった。
影の薄い人間だなんて鼻で笑われた事もあったくらいにね。
でも僕はそんなの気にした事は無いし、暗いとは思った事も無いけれど。
そんな僕に変わるキッカケを与えたのは当然、あの日の出来事。
今でも忘れられない衝撃的な日だったよ。
当時まだ僕が就職して間も無い頃の事。
その頃とある商社に勤めていて、僕は新人教育も兼ねた営業に回されていた。
とはいえ先輩の同伴も無しの、実践教育という名のほっぽりだったけどね。
その僕が迎えた相手は、日本のとある財閥一家の御曹司で起業もしている若社長さん。
きっとそんなボンボンの相手が嫌だからと、会社は僕に厄介を押し付けたんだろうね。
まぁ話してみると意外といい人だったけども。
「迎えに来てくれてありがとう。 車まで出してもらっちゃって申し訳ないね」
「いえ、これが僕のお仕事ですから……」
これが獅堂との出会いだった。
この時はまだ僕が平社員で、彼が商談相手の社長。
でも彼は威張る事も無く、こんな僕でも気軽に話してくれたものさ。
「でもなんでフランスに? 日本には何でもありそうな気がするんですが」
「うーん、そうだねぇ。 何でもある……けど無いものなのさ。 ウチが求めているのはそこを埋める何か。 例えばお菓子だ。 同じ様な銘柄でも、素材の産地が違うだけで大きく味も変わるものでね。 フランス産のどこにでも置いてあるお菓子が日本では珍しい味だって思われる程に。 求めているのはそういうモノさ。 そういう商品が並んだら嬉しいって思わないかい?」
「はぁ。 あんまりお菓子食べないんで……」
「君、それでよく営業出来るね。 ハハ……まぁ僕は気にしないけど」
多分先輩が同伴していたらすぐさま車外に放り投げられただろうね。
営業という仕事が向いてなかったのかもしれない。
ただ、獅堂はそんな僕でも関係無く普通に接してくれて。
移動中はずっと個人的な事まで色々と話したものさ。
特にアニメの話になれば盛り上がったもので。
フランスでは日本のアニメは馴染み深くて、凄く話が合うんだ。
『電光戦士ジャスティオン』の話題になれば、たちまち車が揺れるくらいさぁ。
何でも子供の頃に見てて正義に憧れたんだとか。
あ、僕もその一人だよ。
そんな話が盛り上がる中で、僕達はようやく目的に辿り着いた。
郊外のとある食品工場さ。
僕は彼等との仲介役として付いて来たってワケ。
でもその時、あの事件が起きた。
そう、フララジカだ。
丁度駐車場に入った時だった。
その時突然、車が大きく揺れてね。
中に居る僕達までが揺れてしまうくらいに。
「これってもしかして地震かい!?」
「ひいっ!? うわあああ!?」
フランスじゃ地震なんて滅多に起きないからね。
突然の事に、僕もびっくりして怯えたものさ。
工場がグニャグニャ揺れるくらいだったんだから当然だろ?
「落ち着くんだ!! これくらいはどうってこと―――どうって事無くない!? うおお!?」
日本から来た獅堂さえもこうして怯えるくらいに強い地震でさ。
建物も今にも崩壊しそうで、本当に怖かったよ。
ただ、そのまま車の中に居続けた事が僕らの運命を分けた。
車の中に居た事で転移に巻き込まれなかったんだ。
その結果、僕らは突如として草原の中に放り込まれる事となる。
工場もあるけど、妙な家とか小屋があるっていう不思議な草原に。
そして、そこには当然彼等も居たんだ。
そう、魔者さ。
僕らはただただ車の中で脅えるしかなかったよ。
工場から出て来た人達が次々と殺されていたからね。
絶望的だった。
相手は何十人も居て、一人一人が簡単に人間を殺してしまうんだから。
工場から出てくる人を片っ端からさ。
だから僕達は逃げようとしたんだ。
魔者達が獲物に気を取られている間に、二人でそっと静かにね。
でも見つかってしまった。
そこからはもう必死だったよ。
二人で必死に走って、追い掛けられて。
そして追い付かれて。
もうダメだと思ったよ。
これで僕の人生は終わりなんだって。
だけどその時、あの人が颯爽と現れたのさ。
突然現れては魔者達を片っ端から殺していって。
その後、僕達に手を差し伸べてくれた。
まるであの『電光戦士ジャスティオン』の様に鮮烈だったよ。
それがデュゼローさんとの最初の出会いだったんだ。
助けられた僕達はその後、デュゼローさんと共に僕の家に帰った。
こんな一大事に仕事なんてしてられないしね。
街中が混乱していたし、デュゼローさん自体も状況がわかっていないみたいだったから。
空港も一時閉鎖で帰れないって事で、獅堂さんもとりあえず一緒に。
デュゼローさんはもうこの時点で既にフララジカが始まった事を示唆していた。
そこで僕らは情報を出し合って、互いの世界を知ったんだ。
『こちら側』が地球という星で、高度な物理文明を誇っている事を。
『あちら側』が魔者と魔剣使い、魔剣を巡る戦いが続く世界だという事を。
そして二つの世界が混じり合った事も。
「なるほどな。 では落ち着くまでここを拠点にさせてもらうとしよう。 ミル坊、よろしく頼む」
「ミル坊って……」
「お前の名前は非常に聞き取り難い。 そう聴こえたのだからそう呼ばせてもらう」
せめて「坊」は抜いて欲しかったよ。
まぁそんなこんなでデュゼローさんは僕の家に居候する事になった。
獅堂もついでにね。
独り暮らしの家に男三人はちょっとキツかったけども。
こんな状況下だったけど、悪い事ばかりじゃない。
デュゼローさんの物凄い適応力を目の当たりに出来たからさ。
あの後、インターネットの使い方を教えたらすぐに覚えてね。
そのまま語学学習まで始めちゃって。
気付いたら、たった一週間でヨーロッパ主要言語全部をマスターしていたんだ。
もちろんそれだけじゃない。
獅堂も居たからかな、日本語や中国語とかもしっかり覚えていてね、ビックリだったよ。
それでその頃かな、僕が買い出しから帰ったら獅堂は居なくなっていた。
デュゼローさん曰く、「彼には野心があるから、後々の為に力を託して去ってもらった」のだそうな。
という訳で、僕とデュゼローさんの奇妙な共同生活が始まった。
あくまでも生活拠点は僕の居る場所で。
時々どこかに出掛けても、ちゃんと帰ってきて。
なんで僕に拘るのかって訊いたら「今、一番信頼出来る現代人だから」だってさ。
ちょっと複雑だったけど、頼られたのは嬉しかったなぁ。
それで僕に寝る間も惜しんで魔剣の事を教えてくれたよ。
強くなる為に必要な一番の方法までもね。
惜しみなく、僕に全てを教えてくれたんだ。
その間もデュゼローさんは精力的に動いてて。
ホント寝てるのかさえわからないってくらいにさ。
でも家に帰ってくると、普段着に着替えてはソファーでゆっくり読書。
すっかり現代に馴染んで、フランス人だって宣っても違和感無いくらいだったよ。
そんな感じで二ヶ月後、突然デュゼローさんが「家を引っ越すぞ」と僕を引っ張った。
そんで連れて来られたのが超豪邸。
一体どうやってそんな家を手に入れたのか。
でもそれもわからないまま、結局僕もそこに居つく事に。
おまけに仕事も辞めさせられて。
しかもついでに、どこから拾ってきたのかもわからない女の子まで付けて。
半ばベビーシッターの役割を押し付けられてね。
それからというものの、僕の人生は急激にデュゼロー色に染まっていったんだ。
まぁでも悪いとは思わなかったかな。
それでもデュゼローさんは僕を頼ってくれて、色々任せたりもしてくれた。
一緒に魔者退治に出掛けたり、時には一人で行くよう言われたり。
ピューリーを連れて戦いに行く時は『子連れロンリーウルフ ダンジロー』みたいでなんか気分良かったよ。
そんな事もあって約一年。
僕はその頃、既に一流の魔剣使いにも負けないくらいの力を得ていた。
そんでその頃に、デュゼローさんが何をしていたのかがわかるキッカケが訪れたんだ。
その日、僕らの家に仰々しい形を誇ったとある封筒が送られてきてね。
そこにはこう書かれていたんだ。
「デューク=デュラン様へ」ってね。
もちろんそんな名前は知らないし、きっと投函し間違えたのだろうって思った。
家の周辺住人は皆お金持ちばかりだし、こんな封筒が送られてきても不思議では無かったしね。
だから宛先を探そうとしたんだけど。
「待てミル坊、それは私の偽名だ。 対フランス政府用のな」
「なるほどフランス政府用の。 でもデュゼローさん偽名なんて―――え、フランス政府!?」
そう、デュゼローさんは既にフランス政府と大きな繋がりがあったんだ。
しかも公爵なんていう爵位まで貰うくらいに。
通りでこんな家を持てるはずだ、なんてこの時ようやく理解出来たものさ。
ちなみにその手紙の内容は、デュゼローさんへの招待状。
もちろん僕もセットでね。
そうして招かれたのは、晩餐会を交えた話し合い。
僕もピューリーも、その場に連れて来られた時は堪らず眼をひん剥いたっけなぁ。
だって豪華過ぎて、住んでる世界の違いを見せつけられたんだからさ。
ちなみに、フランス政府が僕らを招待した理由はただ一つ。
政府直属の問題対策班として、正式に僕らを雇いたいという事だった。
そしてデュゼローさんはそれを快く引き受けていて。
まぁそれはあくまでも形式上の話で、実際は半年前から契約済みだったのだそう。
もちろん……僕もセットでね。
半ば強引だったけど、僕ももう魔剣使いとしてやってくつもりだったし。
デュゼローさんの頼みも断れないから、潔く受諾する事にしたんだ。
それからまた一年、今度はフランス政府の下で国内問題の解決に当たったんだ。
時には同盟国に飛んで対処したりもしたよ。
そう、彼等と同じ様に。
それからはあっという間に時が過ぎ去っていったよ。
戦いに行った先でエクィオと知り合って、仲間に引き入れて。
アルバと出会って意気投合したら付いてきて。
気付けば心強い仲間が増えていた。
家族とも思える、心地良い仲間達が。
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僕の名前はレミエル=ジュオノ。
やがてデュランと名乗る様になる者だ。
かつての僕はなんて事の無い普通の男だった。
影の薄い人間だなんて鼻で笑われた事もあったくらいにね。
でも僕はそんなの気にした事は無いし、暗いとは思った事も無いけれど。
そんな僕に変わるキッカケを与えたのは当然、あの日の出来事。
今でも忘れられない衝撃的な日だったよ。
当時まだ僕が就職して間も無い頃の事。
その頃とある商社に勤めていて、僕は新人教育も兼ねた営業に回されていた。
とはいえ先輩の同伴も無しの、実践教育という名のほっぽりだったけどね。
その僕が迎えた相手は、日本のとある財閥一家の御曹司で起業もしている若社長さん。
きっとそんなボンボンの相手が嫌だからと、会社は僕に厄介を押し付けたんだろうね。
まぁ話してみると意外といい人だったけども。
「迎えに来てくれてありがとう。 車まで出してもらっちゃって申し訳ないね」
「いえ、これが僕のお仕事ですから……」
これが獅堂との出会いだった。
この時はまだ僕が平社員で、彼が商談相手の社長。
でも彼は威張る事も無く、こんな僕でも気軽に話してくれたものさ。
「でもなんでフランスに? 日本には何でもありそうな気がするんですが」
「うーん、そうだねぇ。 何でもある……けど無いものなのさ。 ウチが求めているのはそこを埋める何か。 例えばお菓子だ。 同じ様な銘柄でも、素材の産地が違うだけで大きく味も変わるものでね。 フランス産のどこにでも置いてあるお菓子が日本では珍しい味だって思われる程に。 求めているのはそういうモノさ。 そういう商品が並んだら嬉しいって思わないかい?」
「はぁ。 あんまりお菓子食べないんで……」
「君、それでよく営業出来るね。 ハハ……まぁ僕は気にしないけど」
多分先輩が同伴していたらすぐさま車外に放り投げられただろうね。
営業という仕事が向いてなかったのかもしれない。
ただ、獅堂はそんな僕でも関係無く普通に接してくれて。
移動中はずっと個人的な事まで色々と話したものさ。
特にアニメの話になれば盛り上がったもので。
フランスでは日本のアニメは馴染み深くて、凄く話が合うんだ。
『電光戦士ジャスティオン』の話題になれば、たちまち車が揺れるくらいさぁ。
何でも子供の頃に見てて正義に憧れたんだとか。
あ、僕もその一人だよ。
そんな話が盛り上がる中で、僕達はようやく目的に辿り着いた。
郊外のとある食品工場さ。
僕は彼等との仲介役として付いて来たってワケ。
でもその時、あの事件が起きた。
そう、フララジカだ。
丁度駐車場に入った時だった。
その時突然、車が大きく揺れてね。
中に居る僕達までが揺れてしまうくらいに。
「これってもしかして地震かい!?」
「ひいっ!? うわあああ!?」
フランスじゃ地震なんて滅多に起きないからね。
突然の事に、僕もびっくりして怯えたものさ。
工場がグニャグニャ揺れるくらいだったんだから当然だろ?
「落ち着くんだ!! これくらいはどうってこと―――どうって事無くない!? うおお!?」
日本から来た獅堂さえもこうして怯えるくらいに強い地震でさ。
建物も今にも崩壊しそうで、本当に怖かったよ。
ただ、そのまま車の中に居続けた事が僕らの運命を分けた。
車の中に居た事で転移に巻き込まれなかったんだ。
その結果、僕らは突如として草原の中に放り込まれる事となる。
工場もあるけど、妙な家とか小屋があるっていう不思議な草原に。
そして、そこには当然彼等も居たんだ。
そう、魔者さ。
僕らはただただ車の中で脅えるしかなかったよ。
工場から出て来た人達が次々と殺されていたからね。
絶望的だった。
相手は何十人も居て、一人一人が簡単に人間を殺してしまうんだから。
工場から出てくる人を片っ端からさ。
だから僕達は逃げようとしたんだ。
魔者達が獲物に気を取られている間に、二人でそっと静かにね。
でも見つかってしまった。
そこからはもう必死だったよ。
二人で必死に走って、追い掛けられて。
そして追い付かれて。
もうダメだと思ったよ。
これで僕の人生は終わりなんだって。
だけどその時、あの人が颯爽と現れたのさ。
突然現れては魔者達を片っ端から殺していって。
その後、僕達に手を差し伸べてくれた。
まるであの『電光戦士ジャスティオン』の様に鮮烈だったよ。
それがデュゼローさんとの最初の出会いだったんだ。
助けられた僕達はその後、デュゼローさんと共に僕の家に帰った。
こんな一大事に仕事なんてしてられないしね。
街中が混乱していたし、デュゼローさん自体も状況がわかっていないみたいだったから。
空港も一時閉鎖で帰れないって事で、獅堂さんもとりあえず一緒に。
デュゼローさんはもうこの時点で既にフララジカが始まった事を示唆していた。
そこで僕らは情報を出し合って、互いの世界を知ったんだ。
『こちら側』が地球という星で、高度な物理文明を誇っている事を。
『あちら側』が魔者と魔剣使い、魔剣を巡る戦いが続く世界だという事を。
そして二つの世界が混じり合った事も。
「なるほどな。 では落ち着くまでここを拠点にさせてもらうとしよう。 ミル坊、よろしく頼む」
「ミル坊って……」
「お前の名前は非常に聞き取り難い。 そう聴こえたのだからそう呼ばせてもらう」
せめて「坊」は抜いて欲しかったよ。
まぁそんなこんなでデュゼローさんは僕の家に居候する事になった。
獅堂もついでにね。
独り暮らしの家に男三人はちょっとキツかったけども。
こんな状況下だったけど、悪い事ばかりじゃない。
デュゼローさんの物凄い適応力を目の当たりに出来たからさ。
あの後、インターネットの使い方を教えたらすぐに覚えてね。
そのまま語学学習まで始めちゃって。
気付いたら、たった一週間でヨーロッパ主要言語全部をマスターしていたんだ。
もちろんそれだけじゃない。
獅堂も居たからかな、日本語や中国語とかもしっかり覚えていてね、ビックリだったよ。
それでその頃かな、僕が買い出しから帰ったら獅堂は居なくなっていた。
デュゼローさん曰く、「彼には野心があるから、後々の為に力を託して去ってもらった」のだそうな。
という訳で、僕とデュゼローさんの奇妙な共同生活が始まった。
あくまでも生活拠点は僕の居る場所で。
時々どこかに出掛けても、ちゃんと帰ってきて。
なんで僕に拘るのかって訊いたら「今、一番信頼出来る現代人だから」だってさ。
ちょっと複雑だったけど、頼られたのは嬉しかったなぁ。
それで僕に寝る間も惜しんで魔剣の事を教えてくれたよ。
強くなる為に必要な一番の方法までもね。
惜しみなく、僕に全てを教えてくれたんだ。
その間もデュゼローさんは精力的に動いてて。
ホント寝てるのかさえわからないってくらいにさ。
でも家に帰ってくると、普段着に着替えてはソファーでゆっくり読書。
すっかり現代に馴染んで、フランス人だって宣っても違和感無いくらいだったよ。
そんな感じで二ヶ月後、突然デュゼローさんが「家を引っ越すぞ」と僕を引っ張った。
そんで連れて来られたのが超豪邸。
一体どうやってそんな家を手に入れたのか。
でもそれもわからないまま、結局僕もそこに居つく事に。
おまけに仕事も辞めさせられて。
しかもついでに、どこから拾ってきたのかもわからない女の子まで付けて。
半ばベビーシッターの役割を押し付けられてね。
それからというものの、僕の人生は急激にデュゼロー色に染まっていったんだ。
まぁでも悪いとは思わなかったかな。
それでもデュゼローさんは僕を頼ってくれて、色々任せたりもしてくれた。
一緒に魔者退治に出掛けたり、時には一人で行くよう言われたり。
ピューリーを連れて戦いに行く時は『子連れロンリーウルフ ダンジロー』みたいでなんか気分良かったよ。
そんな事もあって約一年。
僕はその頃、既に一流の魔剣使いにも負けないくらいの力を得ていた。
そんでその頃に、デュゼローさんが何をしていたのかがわかるキッカケが訪れたんだ。
その日、僕らの家に仰々しい形を誇ったとある封筒が送られてきてね。
そこにはこう書かれていたんだ。
「デューク=デュラン様へ」ってね。
もちろんそんな名前は知らないし、きっと投函し間違えたのだろうって思った。
家の周辺住人は皆お金持ちばかりだし、こんな封筒が送られてきても不思議では無かったしね。
だから宛先を探そうとしたんだけど。
「待てミル坊、それは私の偽名だ。 対フランス政府用のな」
「なるほどフランス政府用の。 でもデュゼローさん偽名なんて―――え、フランス政府!?」
そう、デュゼローさんは既にフランス政府と大きな繋がりがあったんだ。
しかも公爵なんていう爵位まで貰うくらいに。
通りでこんな家を持てるはずだ、なんてこの時ようやく理解出来たものさ。
ちなみにその手紙の内容は、デュゼローさんへの招待状。
もちろん僕もセットでね。
そうして招かれたのは、晩餐会を交えた話し合い。
僕もピューリーも、その場に連れて来られた時は堪らず眼をひん剥いたっけなぁ。
だって豪華過ぎて、住んでる世界の違いを見せつけられたんだからさ。
ちなみに、フランス政府が僕らを招待した理由はただ一つ。
政府直属の問題対策班として、正式に僕らを雇いたいという事だった。
そしてデュゼローさんはそれを快く引き受けていて。
まぁそれはあくまでも形式上の話で、実際は半年前から契約済みだったのだそう。
もちろん……僕もセットでね。
半ば強引だったけど、僕ももう魔剣使いとしてやってくつもりだったし。
デュゼローさんの頼みも断れないから、潔く受諾する事にしたんだ。
それからまた一年、今度はフランス政府の下で国内問題の解決に当たったんだ。
時には同盟国に飛んで対処したりもしたよ。
そう、彼等と同じ様に。
それからはあっという間に時が過ぎ去っていったよ。
戦いに行った先でエクィオと知り合って、仲間に引き入れて。
アルバと出会って意気投合したら付いてきて。
気付けば心強い仲間が増えていた。
家族とも思える、心地良い仲間達が。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
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