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第八節「心の色 人の形 力の先」
~計画、世界はもう動き始めている~
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飛行機が飛び始めてからおおよそ三〇分。
既に関西中腹部上空へと差し掛かっており、到着はもう間も無くといった所だ。
そんな最中も勇達の情報交換は続いている。
飛行中の時間でも足りないと言わんばかりに。
「少し疑問があるんですが、聞いてもいいですか……?」
「はい、なんでしょう?」
そんな中で声を上げたのはちゃな。
彼女に珍しく、二人のやり取りの中に気になる事を見つけた様だ。
「ウィガテの時みたいに朝を待ったりする事は出来ないんですか? そうすれば相手は活動時間がずれて戦い難くなったりしそうなんですが……」
ちゃなの言う事も一理ある。
戦闘開始時刻を半日ズラすだけで優位性は大きく変わるはず。
状況が切迫しているとはいえ、場を引き延ばす事も可能ではないのだろうか。
だが、そこにはなんとも意外な落とし穴が潜んでいた様だ。
「ええ、確かにその通りです。 ですが、今回の敵は魔者だけではないのですよ」
「「えっ?」」
「実はですね、今回の一件をとある過激派マスコミに嗅ぎつけられてしまいまして。 最近彼等は魔者関連の情報を集めようと躍起になっていましてねぇ~どうにもコントロール出来ない状況になりつつあるのです。 戒厳令を引いてもジャーナリズムを盾に抵抗してくるので実に質が悪い……おっと、口が滑りました」
どうやら今回の真の強敵は魔者ではなく、現代の人間。
それも政府の意向に真っ向から反抗している一部のマスコミ。
福留もその存在には日々困らされているのだろう。
こうしてうっかり不満を漏らしてしまう程には。
「最近、魔者に関する報道多いですもんね」
「はい、そうなのです。 日本では辛うじて封鎖出来ていますが、一部海外では既に情報が流出傾向にあります。 なので証拠が出来つつあり、誤魔化す事も出来なくなっているのですよ」
勇達もニュースで何度か目にしたが、その頻度は日に日に増えている。
その時は鼻で笑うくらいのバラエティ程度にしか見ていなかったのだが。
どうやらそれも福留達にとっては頭を抱える程の深刻な問題だったらしい。
「そこで今回の一件です。 既に彼等も取材の為に四国へ向かっているとか。 なので彼等が到達する前に【オンズ族】を止めねば、日本にも危険な魔者が居るという事が公になってしまうかもしれません」
「そうなると、どうなってしまうんですか?」
「もし危険な魔者が日本に居るという事が明らかになれば、『魔者が危険』という先入観が人々に擦り込まれる事になります。 そうなればアルライ族の皆さんにも同様のイメージが付いてしまいかねません。 その場合、これから推し進めようとしている融和計画も水の泡となってしまうでしょうね」
「そんなぁ……」
「つまり今日中になんとかしないとマズいって事か」
「ええ、それも出来る限り早く。 もし相手が勇君達を見て大人しくなってくれればまだ平気でしょう。 ですがもしそうならなかった場合は―――」
ならばと、その過激派マスコミとやらを説得せずに撤退させる方法はただ一つ。
「―――この戦いで勇君達が彼等の王を倒す以外にありません」
王を倒して全てを無にする事。
それが最も単純で、誰もが納得せざるを得なくなる解決法だ。
ただ、これが最良という訳ではないが。
今回の一件で、家を捨てて避難した者も多いだろう。
人的被害を受けた者も居るかもしれない。
そんな彼等の損害を「無かった事にする」にも等しい行為なのだから。
渋谷のダッゾ族の時もそう。
勇が王を倒した事で事実は消えて。
問題が噴出しない代わりに責任の矛先も消えた。
渋谷で生き残った被害者も今回の被害者も皆、泣き寝入りする以外に道は無い。
必要以上の混乱を呼ばない為の、仕方なき犠牲として。
それが政府による拾捨選択の結果なのである。
もっとも、そんな彼等も政府から補償を受けられる訳だが。
その補償があるからこそ、福留もこうして【オンズ族】を倒す事を前提と出来るのだろう。
おまけに厄介者と下手に拘らず追い払えるとなればなおさらだ。
「それと、あともう一つ―――」
しかもどうやら福留には別の目的もあるらしい。
得意気に人差し指を立て、「ウンウン」と頷いて見せていて。
そしてその口が再び開いた時、勇達は驚くべき事実を耳にする事となる。
「―――実は近日中に、国連経由で魔者の存在の公表が行われる予定です」
「「えっ!?」」
これぞまさしく最重要機密情報。
そう、魔者を正式に全世界へと公表するというのだ。
これには勇達も驚きと緊張を隠せない。
「勇君のお陰でアルライ族という友好種族と出会う事が出来ました。 なので彼等を基軸に融和路線を執り進める事となったのです。 魔者との融和を確認出来たのは日本が初めてという事もあり、我々が舵を切る形でこの計画が進み始めたのですよ。 つまり、これも勇君達の成果という訳です」
「そ、そうなんですね……驚いたなぁ」
「はは、そうでしょうねぇ。 もちろん国連にはお二人の事も報告しています。 今や君達は国際筋でも割と有名人なのですよ?」
「え、そ、そうなんですか!?」
その計画の一端が勇達の成果となれば、この様な結果になるのも当然の事。
思っても見ない高評価で、勇達は戦う前だというのに緊張しっぱなしだ。
ちゃなに至っては、まんまると目を見開いて硬直してしまう程に。
何せ、まさかここで国際的な話が出てくるなど予想だにもしなかっただろう。
「その計画を瓦解させない為にも、勇君達が信じるアルライ族の皆さんの為にも。 なんとしても今日の問題を解決してください。 それが日本の明日と、世界の未来に繋がります。 どうかよろしくお願いいたします」
「わかりました、任せてくださいッ!!」
世間に疎い勇達でも、今の話で今回の一件がどれほど重要かは充分に理解出来た。
だとすれば、後は自分達の力を信じて奮うだけだ。
勇達が抱いている自信に根拠は無い。
でも自分達の実力を決して過少にも過大にも見ず、現実的に把握しているからこそ。
故にこうしてハッキリと応える事が出来る。
〝なんとかしよう〟とするのでも無く。
〝勝てるかもしれない〟と期待するのでも無く。
自分達の信じる事の為に、〝今日は必ず勝つ〟のだという意思と共に。
間も無く、飛行機が降下をし始める。
目的地・徳島空港に到着したのである。
そう、勇達の戦う時はもう近い。
けれど得られる情報はもう揃ったから。
だから後はその時に備えて、心の刃を研ぎ続けるだけだ。
既に関西中腹部上空へと差し掛かっており、到着はもう間も無くといった所だ。
そんな最中も勇達の情報交換は続いている。
飛行中の時間でも足りないと言わんばかりに。
「少し疑問があるんですが、聞いてもいいですか……?」
「はい、なんでしょう?」
そんな中で声を上げたのはちゃな。
彼女に珍しく、二人のやり取りの中に気になる事を見つけた様だ。
「ウィガテの時みたいに朝を待ったりする事は出来ないんですか? そうすれば相手は活動時間がずれて戦い難くなったりしそうなんですが……」
ちゃなの言う事も一理ある。
戦闘開始時刻を半日ズラすだけで優位性は大きく変わるはず。
状況が切迫しているとはいえ、場を引き延ばす事も可能ではないのだろうか。
だが、そこにはなんとも意外な落とし穴が潜んでいた様だ。
「ええ、確かにその通りです。 ですが、今回の敵は魔者だけではないのですよ」
「「えっ?」」
「実はですね、今回の一件をとある過激派マスコミに嗅ぎつけられてしまいまして。 最近彼等は魔者関連の情報を集めようと躍起になっていましてねぇ~どうにもコントロール出来ない状況になりつつあるのです。 戒厳令を引いてもジャーナリズムを盾に抵抗してくるので実に質が悪い……おっと、口が滑りました」
どうやら今回の真の強敵は魔者ではなく、現代の人間。
それも政府の意向に真っ向から反抗している一部のマスコミ。
福留もその存在には日々困らされているのだろう。
こうしてうっかり不満を漏らしてしまう程には。
「最近、魔者に関する報道多いですもんね」
「はい、そうなのです。 日本では辛うじて封鎖出来ていますが、一部海外では既に情報が流出傾向にあります。 なので証拠が出来つつあり、誤魔化す事も出来なくなっているのですよ」
勇達もニュースで何度か目にしたが、その頻度は日に日に増えている。
その時は鼻で笑うくらいのバラエティ程度にしか見ていなかったのだが。
どうやらそれも福留達にとっては頭を抱える程の深刻な問題だったらしい。
「そこで今回の一件です。 既に彼等も取材の為に四国へ向かっているとか。 なので彼等が到達する前に【オンズ族】を止めねば、日本にも危険な魔者が居るという事が公になってしまうかもしれません」
「そうなると、どうなってしまうんですか?」
「もし危険な魔者が日本に居るという事が明らかになれば、『魔者が危険』という先入観が人々に擦り込まれる事になります。 そうなればアルライ族の皆さんにも同様のイメージが付いてしまいかねません。 その場合、これから推し進めようとしている融和計画も水の泡となってしまうでしょうね」
「そんなぁ……」
「つまり今日中になんとかしないとマズいって事か」
「ええ、それも出来る限り早く。 もし相手が勇君達を見て大人しくなってくれればまだ平気でしょう。 ですがもしそうならなかった場合は―――」
ならばと、その過激派マスコミとやらを説得せずに撤退させる方法はただ一つ。
「―――この戦いで勇君達が彼等の王を倒す以外にありません」
王を倒して全てを無にする事。
それが最も単純で、誰もが納得せざるを得なくなる解決法だ。
ただ、これが最良という訳ではないが。
今回の一件で、家を捨てて避難した者も多いだろう。
人的被害を受けた者も居るかもしれない。
そんな彼等の損害を「無かった事にする」にも等しい行為なのだから。
渋谷のダッゾ族の時もそう。
勇が王を倒した事で事実は消えて。
問題が噴出しない代わりに責任の矛先も消えた。
渋谷で生き残った被害者も今回の被害者も皆、泣き寝入りする以外に道は無い。
必要以上の混乱を呼ばない為の、仕方なき犠牲として。
それが政府による拾捨選択の結果なのである。
もっとも、そんな彼等も政府から補償を受けられる訳だが。
その補償があるからこそ、福留もこうして【オンズ族】を倒す事を前提と出来るのだろう。
おまけに厄介者と下手に拘らず追い払えるとなればなおさらだ。
「それと、あともう一つ―――」
しかもどうやら福留には別の目的もあるらしい。
得意気に人差し指を立て、「ウンウン」と頷いて見せていて。
そしてその口が再び開いた時、勇達は驚くべき事実を耳にする事となる。
「―――実は近日中に、国連経由で魔者の存在の公表が行われる予定です」
「「えっ!?」」
これぞまさしく最重要機密情報。
そう、魔者を正式に全世界へと公表するというのだ。
これには勇達も驚きと緊張を隠せない。
「勇君のお陰でアルライ族という友好種族と出会う事が出来ました。 なので彼等を基軸に融和路線を執り進める事となったのです。 魔者との融和を確認出来たのは日本が初めてという事もあり、我々が舵を切る形でこの計画が進み始めたのですよ。 つまり、これも勇君達の成果という訳です」
「そ、そうなんですね……驚いたなぁ」
「はは、そうでしょうねぇ。 もちろん国連にはお二人の事も報告しています。 今や君達は国際筋でも割と有名人なのですよ?」
「え、そ、そうなんですか!?」
その計画の一端が勇達の成果となれば、この様な結果になるのも当然の事。
思っても見ない高評価で、勇達は戦う前だというのに緊張しっぱなしだ。
ちゃなに至っては、まんまると目を見開いて硬直してしまう程に。
何せ、まさかここで国際的な話が出てくるなど予想だにもしなかっただろう。
「その計画を瓦解させない為にも、勇君達が信じるアルライ族の皆さんの為にも。 なんとしても今日の問題を解決してください。 それが日本の明日と、世界の未来に繋がります。 どうかよろしくお願いいたします」
「わかりました、任せてくださいッ!!」
世間に疎い勇達でも、今の話で今回の一件がどれほど重要かは充分に理解出来た。
だとすれば、後は自分達の力を信じて奮うだけだ。
勇達が抱いている自信に根拠は無い。
でも自分達の実力を決して過少にも過大にも見ず、現実的に把握しているからこそ。
故にこうしてハッキリと応える事が出来る。
〝なんとかしよう〟とするのでも無く。
〝勝てるかもしれない〟と期待するのでも無く。
自分達の信じる事の為に、〝今日は必ず勝つ〟のだという意思と共に。
間も無く、飛行機が降下をし始める。
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