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第三十八節「反旗に誓いと祈りを 六崩恐襲 救世主達は今を願いて」
~超々重厚幼女 ナターシャ達 対 劣妬②~
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絶えず迫るペルペインの角達による猛攻。
それを躱し、薙ぎ払うナターシャとアンディ。
双方の応酬は凄まじいものだった。
角一本一本はまるで追跡光線の如く超速・執追で。
例え躱そうと斬り飛ばそうと、次の瞬間には再び追って来るという。
並の人間どころか、普通の魔剣使いならば目視すら出来ず貫かれる事だろう。
例え躱せても、即時旋回してくるからこそ次は無い。
でも二人にはそれらの動きが全て、手に取る様に見えていた。
正面から襲い掛かって来れば、紙一重で躱しつつも刻んで消し飛ばし。
前後左右から襲い掛かれば、絶え間無い鋭角軌道で隙間を縫い進み。
背後からの接近も、螺旋回避機動で避けては纏めて薙ぎ払う。
四方八方からの攻撃も、背中合わせの二人による防御を前にはもはや無力だ。
だからこその〝稲妻〟。
真っ直ぐ落ちずに不規則な軌道を描いているからこそ。
それも決して昇る事は無く。
故に、激戦になると思われたその攻防も間も無く終わりを告げる。
二人が大地へと突き抜けた事によって。
それはもう、どちらにも見えていたから。
迫る角達の根本、ペルペインの幼な姿が。
「一気にケリをつけるぞナッティーーーッ!!」
「うあああーーーーーーッッ!!」
そして閃光が、命燐光が目を覆わんばかりの輝きを発した時―――その瞬間が遂に訪れる。
ズッダァァァーーーーーーンッ!!
二人の垂直斬撃が、ペルペインの両角を根本から切り取ったのである。
落ちていくままに、勢いのままに。
しかもそれだけではない。
その瞬間にも、ペルペインの小さな体に無数の斬り傷が遅れて刻まれていく。
今のたった一瞬のすれ違いで、幾多もの斬撃を見舞っていたのだ。
その間も無く、二人が着地を果たす。
道路上へと軽やかに、それもほぼ同時で。
本体ではなく角を狙ったのは、相手の正体がまだ掴めていないから。
だから今はまずはうっとおしい角の除去を優先した。
角自体は大した事無いからこそ、これ以上の被害を増やさない為に。
その狙いはどうやら正解だったらしい。
間も無く、一面を覆っていた角が纏めて光粒子と成って弾け飛ぶ。
本体から切り離された事で形を維持できなかったのだろう。
となれば光源を失った街は途端に闇夜へと堕ちる事となる。
以前の様な静けさを伴ったモスクワの夜景に。
ただ、相手の正体が掴めない、という予測もまた正解だった様だ。
二人が見上げてみれば、ペルペインはなお空に浮いていて。
腕を広げたまま、目を見開かせた笑顔のままに固まっている。
それに、斬られた箇所からは一切の出血が無い。
髪や服ならともかく、肌どころか眼球にさえも傷痕がしっかりと刻まれていたにも拘らず。
不気味だ。
余りにも不可解過ぎて。
まるで目の前に浮かんでいるのが人形なのではないかと思える程に。
そんな相手に警戒心を向けつつ、二人が再び身構える。
命力を溜め込み、渾身の一撃を見舞う為に。
隙を見て、決定打を撃ち込む為にも。
するとそんな時、ようやくペルペインに動きが。
広げていた腕ごと、上半身をたらりと前傾させていて。
それも空中でふらりふらりと揺れ動き、吊り下げた糸があるなら今にも切れて落ちてきそうだ。
「……ペルね、ペルね、にくがだいすきなの。 おいしくて、よわくて、でもあつまってつよくなって、こわいからすきなの……すき、なの」
おまけにこうもブツブツと独り言を漏らし、視線を泳がせている。
そんな姿は見た限りでは明らかに隙だらけ。
それがナターシャとアンディにこれ以上無い焦りをもたらしていて。
「このままアイツの首を切っちゃえば……!!」
そんな焦りが、ナターシャの脚に一歩を踏み出す為の力を込めさせる。
少しでもキッカケが有れば、今にも飛び出してしまいそうだ。
「待てナッティ、嫌な予感がする」
「でも、でも今なら……!」
「前の師匠に言われただろ? 〝直感を信じろ、それがお前の答えだ〟ってよ?」
しかしなお冷静なアンディが空かさず手と言葉で制止させていて。
前の師匠とはすなわち、【レイデッター】と【ウェイグル】を授けてくれた老魔剣使いの事だ。
彼と共に生活していた時、この言葉を教えて貰ったのだろう。
心が繋がっている今、アンディの予感はナターシャの予感でもある。
つまり、ナターシャも同様の不穏を抱いているという事で。
そこで精神的に成熟したアンディなら自制を促して引き留められる。
こうして相互作用出来るのもまたこの兄妹だからこそと言えよう。
その予感が正しいかどうかはわからない。
でも相手が不気味である事には変わりないからこそ、己の直感を信じる。
〝この相手が何なのかがわかるまでは迂闊に潜り込んではいけない〟のだと。
なお、この直感の要因は二つ存在する。
一つは【六崩世神】である事だが、もう一つは血が吹き出ない事―――ではない。
実はその傷を付けた事にこそ要因が潜んでいたのだ。
ペルペインの容姿は本物の子供の様に柔らかと見える。
それこそ断裂する事など容易だと思える程に。
でも、何故か切れなかった。
あのすれ違いの際放った連撃は、本来なら体をバラバラにするはずのものだったのに。
でも切れたのは僅か表皮だけに留まっていて。
それというのも、ペルペインの身体が異様に硬かったから。
まるで鉄かと思う程に重く、硬くて刃が潜り込めない。
斬った感触こそ、「ブツブツ」と繊維を切ったかの様な断裂感はあったのだが。
少なくとも、軽く斬っただけではどうしようもない。
そう直感出来る程に、相手の強度が明らかにおかしかったのである。
そしてその直感の答え合わせの如く、ペルペインが遂に落下し着地を果たす。
それもまともな着地とは言い難い、一帯の舗装路を纏めて陥没させる程の衝撃を以って。
ズズンッ!!
メキキキッ!!
ゴゴゴゴ……
とても幼女とは思えない重量感だ。
それこそまさに、超重量の重機が高高度から落ちて来たと思える程の。
ナターシャもアンディも、それを避ける様に背後へと跳ね飛んでいて。
空中からその様子を目の当たりにする事となる。
〝やはりか〟と苦悶の表情を浮かべながら。
余りの衝撃故に、地表どころか地下施設まで粉砕したのだろう。
たちどころにして周辺が断続的に陥没していき、遂には水までもが噴き出し始めていて。
遂には一部で大穴までもが開き、建物までが倒壊・沈下していく。
あの小さな体にどれだけの比重が篭められているのか、もはや計り知れもしない。
「ペルね、よわーいおにくがだいすきなの。 でもね、でもね、つよーいおにくは―――だいっきらい」
そんな瓦礫の山と化した窪みの中心で、小さな体から怪しい光が二つ灯る。
殺意の輝きをその目に灯らせ、見下しているナターシャとアンディを睨み付けていたのだ。
どうやらようやく、ペルペインが二人を敵だと認識したらしい。
「来るよアニキッ!!」
「うおおッ!?」
その間も無く、再び頭部が輝いては二本の角が二人へ向けて急激に伸びていく。
根本から斬られても、その力が失われた訳では無かった様だ。
しかも、その輝きはおろか角自体が先程までとは全く違う。
触手の様な柔らかさが失われ、突き抜けるかの如く鋭い軌道を刻んでいて。
まさに角と言わんばかりの剛性さを見せつけていたのだ。
それも分かれる事無く、その二本のままで。
でもそれが全てでは無い。
更にはなんと、ペルペインの背後から八束もの鋭い自在光線が打ち放たれる。
紛れも無い超収束光線だ。
それも周囲の瓦礫を瞬時に焼き切る程の超出力を以って。
命中精度こそ皆無だが、一度巻き込まれれば幾らこの兄妹とて無事では済まされないだろう。
その破壊行動、もはや無差別である。
ナターシャとアンディを襲うのは角だけで、レーザーで貫く対象は定まっていない。
ありとあらゆる在物を焼き切り刻む、その徹底ぶりは一切の容赦無しという。
これは敵意が消えるまでどうにも止まらなさそうだ。
「コイツッ!! やべぇ奴だッ!!」
「でも、これくらいならまだ―――ボク達ならいけるよッ!!」
だが二人も止まらない。
本性を現した今ならわかるから。
その殺意だけは間違い無く感じ取れるから。
超重厚の幼体の奥に潜む殺意。
それを見つけた今、二人はそれ目掛けて戦意を迸らせるだけだ。
「行くぞナターシャァァァーーー!!」
「わかったよアニキィーーー!!」
そしてその戦意が最高潮へと達した時、二人の心はまたあの時へと舞い戻る。
かつて子供でありながら戦士だった、かつての頃へと。
脅威目掛けて駆けるその後ろ姿はまさしく、あの時の面影を映していて。
だからこそ、負けられない。
あの時の様な無様を晒さない為にも。
今度こそ二人で、普通に生きていきたいから。
それを躱し、薙ぎ払うナターシャとアンディ。
双方の応酬は凄まじいものだった。
角一本一本はまるで追跡光線の如く超速・執追で。
例え躱そうと斬り飛ばそうと、次の瞬間には再び追って来るという。
並の人間どころか、普通の魔剣使いならば目視すら出来ず貫かれる事だろう。
例え躱せても、即時旋回してくるからこそ次は無い。
でも二人にはそれらの動きが全て、手に取る様に見えていた。
正面から襲い掛かって来れば、紙一重で躱しつつも刻んで消し飛ばし。
前後左右から襲い掛かれば、絶え間無い鋭角軌道で隙間を縫い進み。
背後からの接近も、螺旋回避機動で避けては纏めて薙ぎ払う。
四方八方からの攻撃も、背中合わせの二人による防御を前にはもはや無力だ。
だからこその〝稲妻〟。
真っ直ぐ落ちずに不規則な軌道を描いているからこそ。
それも決して昇る事は無く。
故に、激戦になると思われたその攻防も間も無く終わりを告げる。
二人が大地へと突き抜けた事によって。
それはもう、どちらにも見えていたから。
迫る角達の根本、ペルペインの幼な姿が。
「一気にケリをつけるぞナッティーーーッ!!」
「うあああーーーーーーッッ!!」
そして閃光が、命燐光が目を覆わんばかりの輝きを発した時―――その瞬間が遂に訪れる。
ズッダァァァーーーーーーンッ!!
二人の垂直斬撃が、ペルペインの両角を根本から切り取ったのである。
落ちていくままに、勢いのままに。
しかもそれだけではない。
その瞬間にも、ペルペインの小さな体に無数の斬り傷が遅れて刻まれていく。
今のたった一瞬のすれ違いで、幾多もの斬撃を見舞っていたのだ。
その間も無く、二人が着地を果たす。
道路上へと軽やかに、それもほぼ同時で。
本体ではなく角を狙ったのは、相手の正体がまだ掴めていないから。
だから今はまずはうっとおしい角の除去を優先した。
角自体は大した事無いからこそ、これ以上の被害を増やさない為に。
その狙いはどうやら正解だったらしい。
間も無く、一面を覆っていた角が纏めて光粒子と成って弾け飛ぶ。
本体から切り離された事で形を維持できなかったのだろう。
となれば光源を失った街は途端に闇夜へと堕ちる事となる。
以前の様な静けさを伴ったモスクワの夜景に。
ただ、相手の正体が掴めない、という予測もまた正解だった様だ。
二人が見上げてみれば、ペルペインはなお空に浮いていて。
腕を広げたまま、目を見開かせた笑顔のままに固まっている。
それに、斬られた箇所からは一切の出血が無い。
髪や服ならともかく、肌どころか眼球にさえも傷痕がしっかりと刻まれていたにも拘らず。
不気味だ。
余りにも不可解過ぎて。
まるで目の前に浮かんでいるのが人形なのではないかと思える程に。
そんな相手に警戒心を向けつつ、二人が再び身構える。
命力を溜め込み、渾身の一撃を見舞う為に。
隙を見て、決定打を撃ち込む為にも。
するとそんな時、ようやくペルペインに動きが。
広げていた腕ごと、上半身をたらりと前傾させていて。
それも空中でふらりふらりと揺れ動き、吊り下げた糸があるなら今にも切れて落ちてきそうだ。
「……ペルね、ペルね、にくがだいすきなの。 おいしくて、よわくて、でもあつまってつよくなって、こわいからすきなの……すき、なの」
おまけにこうもブツブツと独り言を漏らし、視線を泳がせている。
そんな姿は見た限りでは明らかに隙だらけ。
それがナターシャとアンディにこれ以上無い焦りをもたらしていて。
「このままアイツの首を切っちゃえば……!!」
そんな焦りが、ナターシャの脚に一歩を踏み出す為の力を込めさせる。
少しでもキッカケが有れば、今にも飛び出してしまいそうだ。
「待てナッティ、嫌な予感がする」
「でも、でも今なら……!」
「前の師匠に言われただろ? 〝直感を信じろ、それがお前の答えだ〟ってよ?」
しかしなお冷静なアンディが空かさず手と言葉で制止させていて。
前の師匠とはすなわち、【レイデッター】と【ウェイグル】を授けてくれた老魔剣使いの事だ。
彼と共に生活していた時、この言葉を教えて貰ったのだろう。
心が繋がっている今、アンディの予感はナターシャの予感でもある。
つまり、ナターシャも同様の不穏を抱いているという事で。
そこで精神的に成熟したアンディなら自制を促して引き留められる。
こうして相互作用出来るのもまたこの兄妹だからこそと言えよう。
その予感が正しいかどうかはわからない。
でも相手が不気味である事には変わりないからこそ、己の直感を信じる。
〝この相手が何なのかがわかるまでは迂闊に潜り込んではいけない〟のだと。
なお、この直感の要因は二つ存在する。
一つは【六崩世神】である事だが、もう一つは血が吹き出ない事―――ではない。
実はその傷を付けた事にこそ要因が潜んでいたのだ。
ペルペインの容姿は本物の子供の様に柔らかと見える。
それこそ断裂する事など容易だと思える程に。
でも、何故か切れなかった。
あのすれ違いの際放った連撃は、本来なら体をバラバラにするはずのものだったのに。
でも切れたのは僅か表皮だけに留まっていて。
それというのも、ペルペインの身体が異様に硬かったから。
まるで鉄かと思う程に重く、硬くて刃が潜り込めない。
斬った感触こそ、「ブツブツ」と繊維を切ったかの様な断裂感はあったのだが。
少なくとも、軽く斬っただけではどうしようもない。
そう直感出来る程に、相手の強度が明らかにおかしかったのである。
そしてその直感の答え合わせの如く、ペルペインが遂に落下し着地を果たす。
それもまともな着地とは言い難い、一帯の舗装路を纏めて陥没させる程の衝撃を以って。
ズズンッ!!
メキキキッ!!
ゴゴゴゴ……
とても幼女とは思えない重量感だ。
それこそまさに、超重量の重機が高高度から落ちて来たと思える程の。
ナターシャもアンディも、それを避ける様に背後へと跳ね飛んでいて。
空中からその様子を目の当たりにする事となる。
〝やはりか〟と苦悶の表情を浮かべながら。
余りの衝撃故に、地表どころか地下施設まで粉砕したのだろう。
たちどころにして周辺が断続的に陥没していき、遂には水までもが噴き出し始めていて。
遂には一部で大穴までもが開き、建物までが倒壊・沈下していく。
あの小さな体にどれだけの比重が篭められているのか、もはや計り知れもしない。
「ペルね、よわーいおにくがだいすきなの。 でもね、でもね、つよーいおにくは―――だいっきらい」
そんな瓦礫の山と化した窪みの中心で、小さな体から怪しい光が二つ灯る。
殺意の輝きをその目に灯らせ、見下しているナターシャとアンディを睨み付けていたのだ。
どうやらようやく、ペルペインが二人を敵だと認識したらしい。
「来るよアニキッ!!」
「うおおッ!?」
その間も無く、再び頭部が輝いては二本の角が二人へ向けて急激に伸びていく。
根本から斬られても、その力が失われた訳では無かった様だ。
しかも、その輝きはおろか角自体が先程までとは全く違う。
触手の様な柔らかさが失われ、突き抜けるかの如く鋭い軌道を刻んでいて。
まさに角と言わんばかりの剛性さを見せつけていたのだ。
それも分かれる事無く、その二本のままで。
でもそれが全てでは無い。
更にはなんと、ペルペインの背後から八束もの鋭い自在光線が打ち放たれる。
紛れも無い超収束光線だ。
それも周囲の瓦礫を瞬時に焼き切る程の超出力を以って。
命中精度こそ皆無だが、一度巻き込まれれば幾らこの兄妹とて無事では済まされないだろう。
その破壊行動、もはや無差別である。
ナターシャとアンディを襲うのは角だけで、レーザーで貫く対象は定まっていない。
ありとあらゆる在物を焼き切り刻む、その徹底ぶりは一切の容赦無しという。
これは敵意が消えるまでどうにも止まらなさそうだ。
「コイツッ!! やべぇ奴だッ!!」
「でも、これくらいならまだ―――ボク達ならいけるよッ!!」
だが二人も止まらない。
本性を現した今ならわかるから。
その殺意だけは間違い無く感じ取れるから。
超重厚の幼体の奥に潜む殺意。
それを見つけた今、二人はそれ目掛けて戦意を迸らせるだけだ。
「行くぞナターシャァァァーーー!!」
「わかったよアニキィーーー!!」
そしてその戦意が最高潮へと達した時、二人の心はまたあの時へと舞い戻る。
かつて子供でありながら戦士だった、かつての頃へと。
脅威目掛けて駆けるその後ろ姿はまさしく、あの時の面影を映していて。
だからこそ、負けられない。
あの時の様な無様を晒さない為にも。
今度こそ二人で、普通に生きていきたいから。
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