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第十二節「折れた翼 友の想い 希望の片翼」
~疾風 対 戦神~
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「マヴォさん、こっちの事は心配しないでください!」
「わかったぜ勇殿ォ! なら全力でやらせてもらうッ!!」
「是非も無しィ!!」
【白の兄弟】の疾風マヴォと、【ナイーヴァ族】の戦神サヴィディア。
この二人の戦いが遂に始まろうとしていた。
その戦いを邪魔しない様にと勇が咆え、その身に命力を巡らせる。
先にマヴォが見せたのと同様に、周囲の雑兵達を薙ぎ払いながら。
「セリッ!! 田中さんを頼むッ!!」
「わ、わかったッ!!」
そうして出来た隙に乗じてちゃなを託す。
瀬玲はもう命力の残り少なく、回避に徹していたから。
「あずッ!! マヴォさんが野郎をぶちのめすまでここを死守すんぞッ!!」
「おっけー!!」
その一方で心輝とあずーはまだ余力充分だ。
自ら砦壁面までの道を切り拓き、退路を確保していて。
そこに向かって瀬玲が走る中、勇が凄まじい勢いで周囲の敵を切り裂いていく。
その速度はまさに雷光の如し。
敵の体さえ足場にして、縦横無尽に跳び斬り回る。
そんな勇の姿を、サヴィディアはマヴォ越しに眺めていて。
何を思ったのか、「フッ」と愉快そうに片笑窪を吊り上げる様子が。
「あの人間も面白い。なれば貴公を討った後、彼奴とも死合うとしようか」
「成せると思いて成せど無しッ!! 俺が突破出来ると思ったら大間違いだぜえッ!!」
「なれば我が成して見せようッ!! こぉいッッ!!!」
ただ、そんな余裕も間もなく消える。
二人が同時に動いた事によって。
マヴォが飛び出し、サヴィディアが後退する。
共に凄まじい速さだ。
これもまるで雷光の如く、大集団を押し退けんばかりの距離と勢いで。
マヴォの駆ける速さは巨体に似付かわしく無くとても素早い。
サヴィディアの側面を取らんばかりに高速で抜けていて。
だがその一方でサヴィディアは余裕さえ見せつける。
笑みを浮かべ、追って来るマヴォに身体全体を向けて備えながら。
そう、サヴィディアは背面走行していたのだ。
それも一切背後に気を懸ける事さえ無く。
まるで後ろにも目があるかの様な自信さえ見せつけて。
しかもそれでいてマヴォ並みに速いという。
いや、違う。
これはマヴォもまだトップスピードではないから。
サヴィディアの速さを測っているのだ。
その上で背後を狙おうとジグザグに駆け巡って回り込もうとしている。
「いいなその動き!! ではこれならどうだあッ!!」
でもそれをただやらせるサヴィディアではない。
途端、右手に掴む槍を高速二転――その勢いのままに槍先が空を裂く。
そうして繰り出された一撃はもはや閃光の如し。
瞬きすらさせる暇さえ与えはしない。
しかし、それでもマヴォは躱していた。
その動きはまるで羽毛か。
貫かれた槍周りを回る様にして体を捻り、空中へと飛び上がっていて。
更には槍先をも魔剣で滑らせ、片腕逆立ちさえして見せる。
「速いなあッ!! だがこんなモンで俺は止められんぜッ!!」
そんな魔剣が更に槍を弾き、己をも弾かせ宙を貫く。
そして再び雷光の軌跡を刻み、今度は槍の無い左側へと攻め込んでいた。
――が。
気付けばサヴィディアの左手が、既に槍を掴んでいる。
なんと今の一瞬で槍を持ち換えていたというのだ。
「ッ!?」
「伊達にこの槍が長い訳では無いッ!! これこそ我が真骨頂ッ!! この槍捌きに利き手など拘りはせぇん!!」
それでいて槍を立て、マヴォの斬撃を防いで。
更なる追撃までも、槍そのものを左手だけで剛回転させて弾くという。
その上で、なんと反撃までして見せたのである。
「かあああーーーーーーッッッ!!!!」
「何ッ!? うおおおーーーッ!?」
そうやって見せたのはなんと無数の刺突。
瞬時にして視界を埋め尽くさんばかりの乱れ突きがマヴォへと襲い掛かる。
ガガガガガッ!!!
決して見切れない訳では無かった。
だがそれ以上に予想を越える突力もがあったのだ。
故に防いでも防ぎきれず。
たちまちマヴォが後方へと弾かれる事に。
手足を僅かと切り裂かれる中で。
ただそれでも戦いに支障無い程度。
防御を解いたマヴォから戦意は一切衰えていない。
けれど既に先の余裕は消えている。
それだけの実力がサヴィディアにあると踏んだからだろう。
お陰で今、二人はまた立ち止まっていて。
またしても睨み合い、己の体から命力を立ち昇らせている。
まだまだ戦い足りないと言わんばかりに。
「いいぞマヴォとやらッ!! そうだ、これこそが戦いなのだあッ!! 魔剣などに頼り、力が有ると勘違いしたボンクラとの児戯とは訳が違うッ!!」
「ははぁッ!! そこは俺も同感だぜ!! 戦いってなぁ、こうでなくちゃなぁ!!」
その最中でマヴォが鼻を「ブッ」と吹き、己の腕で拭う。
するとそんな腕は赤色で染まっていて。
今の一撃にはそれだけの力があったから。
余りの衝撃に、防いだ魔剣が鼻に強く打ち当たったらしい。
しかしそれであろうとニヤリと笑う。
心底楽しくて仕方が無くて。
己の力を存分に奮える好敵手が現れたからこそ。
きっとマヴォも彼等【ナイーヴァ族】と同じなのだろう。
心底では戦いを望み、己を高め、暴れ回りたいのだと。
それを兄に戒められ、己でも律して抑え込んでいる。
それは、必要以上の暴力が他者を苦しめるとよく知っているから。
だが今は違う。
戦いを望まれ、律する必要も無いのだ。
その上で負けるのであれば仕方ないと、死んで言い訳も付く。
けれど、勝てば官軍。
そこにもはや異論を説かれる謂れなど、無い。
「ここからが俺の本気だあッ!! 刻むぜ、テメーの命をッ!!」
故に今、またマヴォは飛び出していた。
この戦いに勝ち、己が強い事を証明する為に。
「よかろう、やってみるがいいッッッ!!!!」
故に今、サヴィディアは迎え撃っていた。
この戦いに勝ち、己が誇りを強固とせんが為に。
そして間も無く斧と槍が火花を散らす。
超高速の斬撃・突撃応酬を繰り広げる事によって。
その戦いにはもはや、互いに付け入る隙などありはしない。
力と力、速さと速さ。
互いの持つ全てをぶつけ、強い側へと高めるだけである。
「わかったぜ勇殿ォ! なら全力でやらせてもらうッ!!」
「是非も無しィ!!」
【白の兄弟】の疾風マヴォと、【ナイーヴァ族】の戦神サヴィディア。
この二人の戦いが遂に始まろうとしていた。
その戦いを邪魔しない様にと勇が咆え、その身に命力を巡らせる。
先にマヴォが見せたのと同様に、周囲の雑兵達を薙ぎ払いながら。
「セリッ!! 田中さんを頼むッ!!」
「わ、わかったッ!!」
そうして出来た隙に乗じてちゃなを託す。
瀬玲はもう命力の残り少なく、回避に徹していたから。
「あずッ!! マヴォさんが野郎をぶちのめすまでここを死守すんぞッ!!」
「おっけー!!」
その一方で心輝とあずーはまだ余力充分だ。
自ら砦壁面までの道を切り拓き、退路を確保していて。
そこに向かって瀬玲が走る中、勇が凄まじい勢いで周囲の敵を切り裂いていく。
その速度はまさに雷光の如し。
敵の体さえ足場にして、縦横無尽に跳び斬り回る。
そんな勇の姿を、サヴィディアはマヴォ越しに眺めていて。
何を思ったのか、「フッ」と愉快そうに片笑窪を吊り上げる様子が。
「あの人間も面白い。なれば貴公を討った後、彼奴とも死合うとしようか」
「成せると思いて成せど無しッ!! 俺が突破出来ると思ったら大間違いだぜえッ!!」
「なれば我が成して見せようッ!! こぉいッッ!!!」
ただ、そんな余裕も間もなく消える。
二人が同時に動いた事によって。
マヴォが飛び出し、サヴィディアが後退する。
共に凄まじい速さだ。
これもまるで雷光の如く、大集団を押し退けんばかりの距離と勢いで。
マヴォの駆ける速さは巨体に似付かわしく無くとても素早い。
サヴィディアの側面を取らんばかりに高速で抜けていて。
だがその一方でサヴィディアは余裕さえ見せつける。
笑みを浮かべ、追って来るマヴォに身体全体を向けて備えながら。
そう、サヴィディアは背面走行していたのだ。
それも一切背後に気を懸ける事さえ無く。
まるで後ろにも目があるかの様な自信さえ見せつけて。
しかもそれでいてマヴォ並みに速いという。
いや、違う。
これはマヴォもまだトップスピードではないから。
サヴィディアの速さを測っているのだ。
その上で背後を狙おうとジグザグに駆け巡って回り込もうとしている。
「いいなその動き!! ではこれならどうだあッ!!」
でもそれをただやらせるサヴィディアではない。
途端、右手に掴む槍を高速二転――その勢いのままに槍先が空を裂く。
そうして繰り出された一撃はもはや閃光の如し。
瞬きすらさせる暇さえ与えはしない。
しかし、それでもマヴォは躱していた。
その動きはまるで羽毛か。
貫かれた槍周りを回る様にして体を捻り、空中へと飛び上がっていて。
更には槍先をも魔剣で滑らせ、片腕逆立ちさえして見せる。
「速いなあッ!! だがこんなモンで俺は止められんぜッ!!」
そんな魔剣が更に槍を弾き、己をも弾かせ宙を貫く。
そして再び雷光の軌跡を刻み、今度は槍の無い左側へと攻め込んでいた。
――が。
気付けばサヴィディアの左手が、既に槍を掴んでいる。
なんと今の一瞬で槍を持ち換えていたというのだ。
「ッ!?」
「伊達にこの槍が長い訳では無いッ!! これこそ我が真骨頂ッ!! この槍捌きに利き手など拘りはせぇん!!」
それでいて槍を立て、マヴォの斬撃を防いで。
更なる追撃までも、槍そのものを左手だけで剛回転させて弾くという。
その上で、なんと反撃までして見せたのである。
「かあああーーーーーーッッッ!!!!」
「何ッ!? うおおおーーーッ!?」
そうやって見せたのはなんと無数の刺突。
瞬時にして視界を埋め尽くさんばかりの乱れ突きがマヴォへと襲い掛かる。
ガガガガガッ!!!
決して見切れない訳では無かった。
だがそれ以上に予想を越える突力もがあったのだ。
故に防いでも防ぎきれず。
たちまちマヴォが後方へと弾かれる事に。
手足を僅かと切り裂かれる中で。
ただそれでも戦いに支障無い程度。
防御を解いたマヴォから戦意は一切衰えていない。
けれど既に先の余裕は消えている。
それだけの実力がサヴィディアにあると踏んだからだろう。
お陰で今、二人はまた立ち止まっていて。
またしても睨み合い、己の体から命力を立ち昇らせている。
まだまだ戦い足りないと言わんばかりに。
「いいぞマヴォとやらッ!! そうだ、これこそが戦いなのだあッ!! 魔剣などに頼り、力が有ると勘違いしたボンクラとの児戯とは訳が違うッ!!」
「ははぁッ!! そこは俺も同感だぜ!! 戦いってなぁ、こうでなくちゃなぁ!!」
その最中でマヴォが鼻を「ブッ」と吹き、己の腕で拭う。
するとそんな腕は赤色で染まっていて。
今の一撃にはそれだけの力があったから。
余りの衝撃に、防いだ魔剣が鼻に強く打ち当たったらしい。
しかしそれであろうとニヤリと笑う。
心底楽しくて仕方が無くて。
己の力を存分に奮える好敵手が現れたからこそ。
きっとマヴォも彼等【ナイーヴァ族】と同じなのだろう。
心底では戦いを望み、己を高め、暴れ回りたいのだと。
それを兄に戒められ、己でも律して抑え込んでいる。
それは、必要以上の暴力が他者を苦しめるとよく知っているから。
だが今は違う。
戦いを望まれ、律する必要も無いのだ。
その上で負けるのであれば仕方ないと、死んで言い訳も付く。
けれど、勝てば官軍。
そこにもはや異論を説かれる謂れなど、無い。
「ここからが俺の本気だあッ!! 刻むぜ、テメーの命をッ!!」
故に今、またマヴォは飛び出していた。
この戦いに勝ち、己が強い事を証明する為に。
「よかろう、やってみるがいいッッッ!!!!」
故に今、サヴィディアは迎え撃っていた。
この戦いに勝ち、己が誇りを強固とせんが為に。
そして間も無く斧と槍が火花を散らす。
超高速の斬撃・突撃応酬を繰り広げる事によって。
その戦いにはもはや、互いに付け入る隙などありはしない。
力と力、速さと速さ。
互いの持つ全てをぶつけ、強い側へと高めるだけである。
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