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第二章
第45話 お金が無い!
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俺達はその後、西発着所から海岸沿いに北へと向かった。
ほんの少し北に街があって、そこに教習所があるらしいので。
なんでもマオ曰く、赤空界はほとんどが海沿いに街を構えているのだそう。
気候的に最も快適らしく、それで自然とこう発展したのだとか。
なので西灼海のある西海岸に全都市機能が集約されているという訳だ。
それで辿り着いたのが【リゾート都市サング・ラム】。
マオの古巣であり、保養地としても有名な場所である。
すると早速と、道端にてマオの同類を発見した。
腕と髪を拡げてじっと立ったまま動かないんだ。
とても顔が健やかだな、よほど陽光が気持ちいいんだろう。
「いやぁあの姿を見ると私もやりたくなるねぇ。ちょっとやってていいかい?」
「ダメだ。教習所まで案内してからにしてくれ」
しかし決して光合成させる為に来た訳じゃないんだ。
目的を忘れないで頂きたい。
なんならお前が運転する可能性だってあるんだからな。
なのでマオを引きずりつつ、早速と教習所へ。
すると現れたのはなかなかに大規模な建物で。
意外な迫力に、皆が揃って唸りを上げる事に。
なんたって例の高級ホテルに負けない大きさを誇っていたんだからな。
おまけに言えば魔導灯でピッカピカだよ。
なにこれ、昼間なのに眩しいくらいに輝いてるんだけど。
そういう魔法でも掛かってるのか?
「ここだよ」
「ここだよってお前、よく平然としていられるな。この規模の店舗が誇るサービスの恐ろしさを知らない訳じゃないだろ?」
これは想定外だ。
俺はただ座学と運転練習が出来るくらいのを想像していたんだが?
看板には『目指せプロレーサー!』とかいう謳い文句が書いてあるんだが??
マオよ、お前は俺達に一体何をやらせるつもりだったんだ???
――しかし尻込みしていても仕方ない。
入ってみたら意外とリーズナブルかもしれん。
それで羽振りがいいだけなのかもしれないしな。
よし、そこに期待して乗り込んでみるとするか。
「最安教育コースでしめて八〇万ウィルになります」(日本円にして約一二〇万円)
「「「高ゥい↑!」」」
それでいざ入って相談してみればこれだよ。
一体そんな大金がどこにあるって言うんだ。
その一〇分の一の金額すら持ち合わせていないんだが?
そもそも明日の食費すら不安になるくらいしか手持ちが無いんだが?
クソッ、これなら道中でケバブやアイスを買い食いするんじゃなかった……!
いや、そういう問題では無かったな。
そもそもここに入るべきじゃなかったんだ。
よし、潔く諦めよう。
という訳でひとまず建物の外へ。
皆で揃って途方に暮れつつ次の作戦を練る。
今度はお金のかからない手段を前提にな。
「せめて【ケストルコート】からの報奨金を少しでも貰っていればここまで苦労しなかったんだが」
「ノオンちゃ、報告の時とてもかっこよかた。ふんす!」
というのも、今は本気でお金が無いもので。
本当は例の盗賊討伐の件で多額の報奨金が出るはずだったんだ。
なにせ国の危機を救ったし、紫空界との戦争も回避させたし。
だからどれくらい報酬が貰えるのかって、最初は皆ウッキウキだったさ。
それでリーダーのノオンに受け取りを任せたんだけど。
そうしたらさ、全額寄付しちゃったって言うんだよ。
理由は「騎士たる者、困窮する者達からお金は貰えない!」だそうだ。
盗賊騒動のお陰で青空界の財政酷い事になってるからって。
いや、俺達の方がずっと困窮しているからな?
それに付き添いのフィーも意見する様な娘じゃない。
なので結果そのまま寄付され、手ぶらで帰って来たという訳だ。
しかし父曰く。
〝得拒厄損。貰える物は貰え。徳を拒めば時として自他共に蟠りを産むものなり。己が腕を安売りする事なかれ〟
なにも寄付するなとは言わないさ。
けどせめて一〇分の一くらいは持ち帰って欲しかった。
そうすれば明日も明後日もケバブが食べれたんだ。美味しかったから。
――けど結果をどうこう言っても仕方がない。
そんなにお金が無いならすぐ稼げばいいだけだ。
なにせ皆合わせて五人もいる。
皆で力を合わせれば生活費くらいはどうにか出来るさ。
それに明日のケバブの為になら、俺は如何に全力を出そうとも構わん。
「日雇いの仕事? そんなの無いね」
それで今度は【ケストルコート】にやってきたんだけども。
相談して早々、ドワーフのお姉さんから厄介そうに手を払われた。
何だか雑種よばわりされるよりずっと辛いんだが?
しかし決して俺達を蔑ろにした訳じゃあない。
なんでも、日雇いの仕事は奪い合い状態なのだそうな。
というのも、この国では全てが業態化しているから。
工場勤務から街の掃除まで何もかも。
最近では料理のデリバリー業まで始めたとか。
そんなあらゆる仕事を何かしらの企業が仕切っているらしい。
それは【ケストルコート】への依頼も同じで、定期的に一括受領されるそう。
店側としても安定してこなしてくれるから助かるんだとさ。
ま、得体の知れない奴に頼むよりずっと信頼出来るだろうしな。
「つまり俺達みたいなのは厄介払いされる存在って事か。赤空界を舐めてたな、明日から何食べて生きればいいんだ?」
「テッシャ土掘ってミミズとってこれるよ! とってくる? くるるーん!」
「それ食べちゃダメな奴だから。絶対不味い奴だから味覚的にもビジュアル的にも」
しかしこうなると俺達がいよいよもってまずい。
赤空界まで苦労して来たのは良いが、このままでは餓死しかねん。
脱出不可能な上に仕事まで無しと来たら成す術も無いぞ。
全員がマオみたいに光合成出来る訳じゃないんだ。
それにミミズコースだけはなんとしても避けたいし。
さて、ホントこれからどうしたものか。
リゾート地で虚しく野垂れ死にとか冗談にもならないからな。
ほんの少し北に街があって、そこに教習所があるらしいので。
なんでもマオ曰く、赤空界はほとんどが海沿いに街を構えているのだそう。
気候的に最も快適らしく、それで自然とこう発展したのだとか。
なので西灼海のある西海岸に全都市機能が集約されているという訳だ。
それで辿り着いたのが【リゾート都市サング・ラム】。
マオの古巣であり、保養地としても有名な場所である。
すると早速と、道端にてマオの同類を発見した。
腕と髪を拡げてじっと立ったまま動かないんだ。
とても顔が健やかだな、よほど陽光が気持ちいいんだろう。
「いやぁあの姿を見ると私もやりたくなるねぇ。ちょっとやってていいかい?」
「ダメだ。教習所まで案内してからにしてくれ」
しかし決して光合成させる為に来た訳じゃないんだ。
目的を忘れないで頂きたい。
なんならお前が運転する可能性だってあるんだからな。
なのでマオを引きずりつつ、早速と教習所へ。
すると現れたのはなかなかに大規模な建物で。
意外な迫力に、皆が揃って唸りを上げる事に。
なんたって例の高級ホテルに負けない大きさを誇っていたんだからな。
おまけに言えば魔導灯でピッカピカだよ。
なにこれ、昼間なのに眩しいくらいに輝いてるんだけど。
そういう魔法でも掛かってるのか?
「ここだよ」
「ここだよってお前、よく平然としていられるな。この規模の店舗が誇るサービスの恐ろしさを知らない訳じゃないだろ?」
これは想定外だ。
俺はただ座学と運転練習が出来るくらいのを想像していたんだが?
看板には『目指せプロレーサー!』とかいう謳い文句が書いてあるんだが??
マオよ、お前は俺達に一体何をやらせるつもりだったんだ???
――しかし尻込みしていても仕方ない。
入ってみたら意外とリーズナブルかもしれん。
それで羽振りがいいだけなのかもしれないしな。
よし、そこに期待して乗り込んでみるとするか。
「最安教育コースでしめて八〇万ウィルになります」(日本円にして約一二〇万円)
「「「高ゥい↑!」」」
それでいざ入って相談してみればこれだよ。
一体そんな大金がどこにあるって言うんだ。
その一〇分の一の金額すら持ち合わせていないんだが?
そもそも明日の食費すら不安になるくらいしか手持ちが無いんだが?
クソッ、これなら道中でケバブやアイスを買い食いするんじゃなかった……!
いや、そういう問題では無かったな。
そもそもここに入るべきじゃなかったんだ。
よし、潔く諦めよう。
という訳でひとまず建物の外へ。
皆で揃って途方に暮れつつ次の作戦を練る。
今度はお金のかからない手段を前提にな。
「せめて【ケストルコート】からの報奨金を少しでも貰っていればここまで苦労しなかったんだが」
「ノオンちゃ、報告の時とてもかっこよかた。ふんす!」
というのも、今は本気でお金が無いもので。
本当は例の盗賊討伐の件で多額の報奨金が出るはずだったんだ。
なにせ国の危機を救ったし、紫空界との戦争も回避させたし。
だからどれくらい報酬が貰えるのかって、最初は皆ウッキウキだったさ。
それでリーダーのノオンに受け取りを任せたんだけど。
そうしたらさ、全額寄付しちゃったって言うんだよ。
理由は「騎士たる者、困窮する者達からお金は貰えない!」だそうだ。
盗賊騒動のお陰で青空界の財政酷い事になってるからって。
いや、俺達の方がずっと困窮しているからな?
それに付き添いのフィーも意見する様な娘じゃない。
なので結果そのまま寄付され、手ぶらで帰って来たという訳だ。
しかし父曰く。
〝得拒厄損。貰える物は貰え。徳を拒めば時として自他共に蟠りを産むものなり。己が腕を安売りする事なかれ〟
なにも寄付するなとは言わないさ。
けどせめて一〇分の一くらいは持ち帰って欲しかった。
そうすれば明日も明後日もケバブが食べれたんだ。美味しかったから。
――けど結果をどうこう言っても仕方がない。
そんなにお金が無いならすぐ稼げばいいだけだ。
なにせ皆合わせて五人もいる。
皆で力を合わせれば生活費くらいはどうにか出来るさ。
それに明日のケバブの為になら、俺は如何に全力を出そうとも構わん。
「日雇いの仕事? そんなの無いね」
それで今度は【ケストルコート】にやってきたんだけども。
相談して早々、ドワーフのお姉さんから厄介そうに手を払われた。
何だか雑種よばわりされるよりずっと辛いんだが?
しかし決して俺達を蔑ろにした訳じゃあない。
なんでも、日雇いの仕事は奪い合い状態なのだそうな。
というのも、この国では全てが業態化しているから。
工場勤務から街の掃除まで何もかも。
最近では料理のデリバリー業まで始めたとか。
そんなあらゆる仕事を何かしらの企業が仕切っているらしい。
それは【ケストルコート】への依頼も同じで、定期的に一括受領されるそう。
店側としても安定してこなしてくれるから助かるんだとさ。
ま、得体の知れない奴に頼むよりずっと信頼出来るだろうしな。
「つまり俺達みたいなのは厄介払いされる存在って事か。赤空界を舐めてたな、明日から何食べて生きればいいんだ?」
「テッシャ土掘ってミミズとってこれるよ! とってくる? くるるーん!」
「それ食べちゃダメな奴だから。絶対不味い奴だから味覚的にもビジュアル的にも」
しかしこうなると俺達がいよいよもってまずい。
赤空界まで苦労して来たのは良いが、このままでは餓死しかねん。
脱出不可能な上に仕事まで無しと来たら成す術も無いぞ。
全員がマオみたいに光合成出来る訳じゃないんだ。
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