輝操士は儚き虹色世界にX(ジクス)を刻む

日奈 うさぎ

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第三章

第127話 銀麗巨神

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 俺達は遂に一体化し、輝く巨人へと進化した。
 それも業魔に負けない程の大きさの。

 それでも俺達の意識はまだ個々に存在している。
 思考がただ共有されているだけで、話し合う事も可能だ。

 しかしその意志はしっかりと一つに纏まっているよ。
 業魔を倒して世界を守るとな。

『クホォォォ……やはり、来たか、アークィン=ディル=ユーグネス……!』

 そんな俺達に奴も気付く。
 なにせ黄金の砂漠を瞬かせるくらいに眩しかったからな。
 だからと尾で機空船を叩き落としつつ、こちらへと顔を向けていて。

『違うな、今の俺達はアークィンじゃあない!』
『なにィ……?』
『名乗るならば【銀麗巨神】とでも呼ばせてもらおうか!』

 そんな奴に、俺達は恐れずこう応えた。
 これ以上に相応しい名前は無いと思ったから。

 この姿はいわば俺達の象徴なんだ。
 今日この日まで共に生きて来た同志達、その名を体現したからこそ。

『もうこれ以上世界を破壊させはしない。例えどんなに悪意に満ちていても、懸命に生きる人々がいる限りはなッ!!』

 そんな姿へと進化した今だからこそ自信を持って言える。
 俺達は、今こそ救世主になるのだと。

 だって、それが望みだったんだろう? なぁアルケティ……!

『この我を前にして、よく言う! 全てを破壊し尽くす業魔と知って尚!』
『伝説を越えてこそ次がある! 古の獣よ、お前の存在はもう歴史に埋もれて消え去るべきなんだッ!!』

 互いに思う事は多いだろう。
 この世界に絶望したのはアルケティだけじゃないから。
 何度も悪意や敵意を目の当たりにして、心を荒ませたのは皆も同じだから。

 だからこそ止める。
 だからこそ進むんだ。
 世界はまだ、それほど腐ってはいないのだと訴える為にも。

 その意志の下に、俺達はとうとう一歩を踏み出した。
 アルケティもまた同様に歩み寄る中で。

 そうして次第にその歩幅も広がり、共に駆け始めていく。
 大地を揺らし、鳴り響かせる程に力強く踏みしめながら。

『アァァーークィィィーーーンッッッ!!!』
『アルケティィィーーーッッッ!!!』

 故にたちまち肉迫し、拳を構えて牙を剥いて。
 互いに意志の赴くまま、戦意をぶつけようと己の武器を奮う。

 先に仕掛けて来たのは業魔の方。
 その鋭い牙を、首を真っ直ぐ突き出して襲って来た。

 しかし俺達はそんな首を空かさず掴み、大地へと叩き付ける。
 それも二度、三度と力の限りに激震させながら。
 ジャンボフォームのマオの力を存分に発揮させてもらってな。

 更には体をも引き込み、地面に擦らせる様に振り回して。
 その勢いのまま、業魔を空へと高々に放り投げた。

 だがこの時、業魔は姿勢構わず何かを飛ばしてくる。

 体毛の針だ。
 赤黒いオーラを纏う体毛を銃弾の如く飛ばしてきたのだ。

 そんな針の雨に晒され、俺達の身体が無数と刻まれる事に。
 大したダメージではないが、晒され続ければ後が怖い。

 だからと今度はこちらからも反撃だ。
 周囲を舞う砂を固め、無数の岩棘へと変えて撃ち放つ。
 テッシャの大地魔法を応用した力でな。

 この反撃が壁となり、体毛針が弾かれ無為となる。
 それどころか大気を突き抜け、業魔の肌を叩いていて。

 攻撃そのものは通用しないが弾く分には充分。
 お陰で業魔が空中で姿勢を崩し、大地へと叩き付けられていた。

 その隙を狙って距離を一気に詰める。
 フィーの能力によって強化された瞬足によって。
 進化した今、俺達に限界はもはや存在しないのだから。

 そして勢いのまま、業魔の頭部へとハンマーパンチだ。
 拳と大地のサンドイッチ、この一撃は伊達じゃない。
 
 故にたちまち大地が歪み、周囲の砂を弾く程に打ちあがる。
 無数の岩塊までをも跳ね上げて。

 しかしこのまま一気に叩き潰させてもらう!
 イニシアチブを取らせる訳にはいかないんでな!

 そんな想いが拳に更なる力を与えて押し込まさせた。
 まるで拳に推進器が付いているかの如く。
 クアリオの能力が働いたお陰なのだろう。

 その威力が業魔の顔を歪ませる。
 軋みを上げ、大地へと深々に突き刺さらせて。

 しかしその途端、俺達の首に衝撃が走った。

 業魔の尾が絡み取っていたのだ。
 しかも俺達の身体を浮かせる程に力強く。

 更には先程のお返しと言わんばかりに振り回し、頭部を大地へ叩き付けて。
 その反動のままに放り投げ、大地へと転がさせた。

 それでも追い込まないのはきっと、奴が怖れているからだろう。
 俺達がまだ何かを隠していると考えているから。

 ――その通りだ。
 俺達にはまだ切り札がある。
 よってこうして即座に手離したのは正解だったのかもしれんな。

『俺達は世界を救う。それはアルケティ、お前も例外じゃないッ!!』 

 ならば今こそ奮おう、その切り札を。
 世界とアルケティ、そのどちらをも救う為にも。

 それを成せなければ、救世主なんて到底名乗れないからな。
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