ピクトグラム君とバーチャルヘルパーちゃん ~異世界転生した底辺絵師ですが自由気ままに世界の常識を描き直そうと思います~

日奈 うさぎ

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第三章

第25話 異変に包まれた聖なる森

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「近隣の国が、滅ぶ!? なんだそれ冗談じゃないぞ!?」

「でも昔話でも有名な話で、知らない人なんていないくらいなのよ!」

 あんな森が焼けたら?
 エルフってなんだ?
 わからないことだらけだ。

 だが皆が狼狽えている。
 だからこれはきっと妄言でも何でもないのだろう。

「なら俺が様子を見てくる! 燃えている原因がわかればスキルで対処できるかもしれない!」

 そう思い立ち、身を乗り出すように駆け出す。
 だがその直後、途端に肩が抑え付けられて勢いを殺されてしまった。

「ギネスッ!?」 

 思わず振り向けば、必死に掴んで離そうとしないギネスの姿が。

「ダ、ダメよ! 人間はエルフと関わってはいけないわ! それだけでも大いなる天罰が降り注ぐっていう伝説もあるの!」

「じゃああの森は素直に焼かれろっていうのかよ!?」

「そ、それは……」

「自然の力でどうにかなるような規模じゃないだろっ!?」

 だが必死に言い返し、怯んで力が緩まった所で無理矢理抜け出す。
 それで少し離れると振り返り、ギネスたちに指示を飛ばす。

「行くのは俺だけでいい! だが心配すんな、無茶をするつもりはない! だからギネス、マイゼル、俺が戻るまで皆を頼む!」

「ちょっ……」

「ただ、もし一時間くらいしても戻らなかったら、お前たちは自分たちの力で好きに生きてくれ! 教えた生き方も、金もあるからお前たちだけでもやれるはずだ!」

「「「ピクト!?」」」

 俺はこれだけ伝えると踵を返して森へと走った。
 今はこうするしかないんだ。
 伝承を信じて守ろうとする彼らを無理に連れて行く訳にはいかないのだから。



 さすがに森の前までやってくると煙の臭いが鼻を突く。
 ただそれでも微かというほどだけで、森の中に入ることはできそうだ。

 ……しかし聖域、か。

 オカルト的な話は信じていないが、なにせもう世界観が違う。
 スキルのような意味のわからない力がある以上、幽霊がいたっておかしくはないんだ。

 だったら足を踏み入れればバチが当たることも……?

 そうも思うと足が止まってしまったが、覚悟を決めてさらに一歩を踏み出す。
 しかし問題はない。やはりデマだったようだ。

 よし、何も起きないならこのまま行ってしまおう。
 だけどその前に準備だけはしておかなければ。

「まずは力を組み立てる!」

 広げた両掌を正面に掲げて意識を集中。
 自分の意識の中で、掌の間に球状のイメージ空間を構築。

『おっけー! ではどんな物を創りますかぁ!?』

「想定はスロットレベル1、通常大気以外を通さないガスマスク!」

 次にイメージを頭の中に流し、球状空間に投射。
 顔に密着し、かつ吸収缶を備えた防毒性に優れるタイプのマスクを連想だ。

 するとたちまち実際にもイメージと同じ形状の物体が描かれ始めていく。

『おおっ、できていくぅ~! イメージ通りっ!』

 サイズは完璧。
 効果は使って確かめる。

 ――さぁ創造されろ、新しい力よ!

 その心の声とともに左腕へと刻まれたのはフェイスマスクのアイコン。 
 さらには左掌を頭上に掲げて念じれば、即座に物体が形成・顕現した。

 緑色のフルフェイスタイプガスマスク、創造完了である。

 それを早速と顔に備えると、ペタッという感触が輪郭の皮膚に伝わって来る。
 実際はゴムバンドとかで留めるのだろうが、今は細かいこと抜きだ。

「シュコー、シュコー、呼吸は問題なし。よし、行くぞ!」

 本当は防火服も付けたいが、まだ今の経験じゃ軟性の物は創れない。
 だから怪我しない程度に進んで、どうにもならないなら引き返そう。

 そんな想いで走って数分で燃えている木に遭遇。
 火の勢いは弱い。森自体が湿気を帯びているからか。
 地面を見ればぬかるみもあるし、これならまだ全焼まで猶予はありそうだ。

 とはいえ火の中に突っ込むほど俺も愚かじゃない。
 迂回するようにして進んでみよう。

 するとそんな時、いきなり頭上から木が倒れてきた。
 しかし咄嗟に非常口・放を放ってなんとか対処する。

「ふぅ、あっぶねぇ! これはちと盾代わりに非常口・放を備えていた方がいいか」

 ただ非常口・放を毎度撃つにも瞬発性に欠ける。
 そこでサクッとイメージして右腕に小さめのマークをピトッとくっつけることにした。

 そうして防御手段も身に着け、さらに先に進む。
 割と深くまで来たが、火の手はまだそこまで強くない感じだな。

 それにしても思っていたよりもずっと大きい森だ。
 なにより木一本一本が図太くて高い。
 気付けばそんな木ばかりに囲まれてしまっていた。

 しかしそんな木々に感心していた時だった。

「助けて! 助けて! いやああああ!!!」
「苦労かけさせやがって……! 大人しくしろ、このクソガキ!」

 炎に包まれた中に突如として相応しくない悲鳴が響いてきた。
 それもだいぶ近いぞ!

 なんだ、この森の中でいったい何が起きている!?
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