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第三章
第31話 悠然たるエルフの女王
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降参した野盗を縛り上げて拘束。
これでなんとか窮地は脱せたようだ。
後は攫われた人たちを保護して火事さえどうにかすれば万事解決なのだが。
なんかもう積まれていた人たちが勝手に出てきてしまった。
ここまでは炎が行き届いていないとはいえ自由過ぎないか?
「ねぇピクト、これは一体どういうことなのかしらン? 何なのその珍妙なお面は?」
「訳を話すと長いんだが、この野盗どもが彼らを攫おうとしていたんだよ。だから助けてあげることになったんだ」
「あぁなんて不届き者なのかしら! エルフを攫うなんておこがましいいいっ!」
エルフ? ああ、そういう人種だったのか。
そういえばよく見たら耳がやたら長いし美形が多い。夢中で気付かなかった。
それでもってギネスは両膝を突き、彼らから目を背けて顔を手で覆っている。
どうやら見たらいけないとかそういう迷信もあるようだ。
「それでお前ら、どうして彼らを攫おうとしたんだ?」
「「「……」」」
一方の野盗はだんまりで簡単には口を割ろうとはしない。
随分と芯の図太い奴らだな、まるでスパイさながらだよ。
仕方も無く途方に暮れていると、途端に森の方から「ワッ!」とした声が上がる。
それが気になってふと振り向いてみると、思わず目を惹かれてしまった。
綺麗な女性が立っていたのだ。
元々綺麗なエルフたちに囲まれているのに、それでもさらに際立たせながら。
真っ白な肌と朱色の髪。
肌が透き通って見えるような白く薄いヴェールのような衣服。
そんな彼女が見せる穏やかな微笑みはまさに女王のそれだ。
ただ髪が赤いのはきっと斜陽を受けたからだろう。
それくらいに淡く透き通っていて、キラキラとした輝きを放っているかのようで。
そんな幻想的な横顔姿に、俺は堪らなく見惚れてしまっていた。
「「「女王様!」」」
「良かった、御無事で……」
「どうなることかと」
確かに、あんな女王様だったら慕うのもわかる気がする。
なんだか異世界に来て初めて「異世界!」って実感を持てた気がするよ。
見ただけで女王だとわかる人なんてそう滅多に居やしないだろうさ。
「あの方が」
「そうですか」
すると一人がなんか俺を指し示す。
そんな指に誘われ、女王の視線もがこちらへと向けられた。
それどころかこっちに向かって歩いて来るんだが……?
「あなたがわたくし達を助けてくださった方ですね」
「お、おう……」
「知らない緑の御方、此度は助けていただき、誠にありがとうございます。この女王エーフェニミス、心より感謝いたします」
さ、さすが女王というだけあってやはり貫禄がすごい。
しかもその女王様が頭を下げると、周りの人たちも一斉に続く。
こんな盛大に感謝されるのは初めてで思わず戸惑ってしまった。
「え、えっと僕はピクトです。その、セリエーネとウルリーシャに頼まれたので力を貸すことになりまして……」
「まぁ、あのお二人から。そうだったのですね。ピクト様のお力添え、ありがたく思います。危うく彼奴らに利用させられてしまう所でした」
そのせいでつい「僕」とかいう言葉も使ってしまった。
なんだか妙に恥ずかしい!
「しかしあなた様に出会えたことは星神様の思し召しなのでしょう。おかげでわたくしたちはまだ世界に見捨てられてはいないと実感することができました。本当にありがとうございます……!」
でもそんな時、彼女が俺の右手を掴み上げて両手で優しく包み込む。
素肌の感覚が夕焼けの暖かさと共に滲んできて、とても心地良い。
そしてこの万遍の笑顔も、素敵だ……!
「ピクト~~~!」
「ピクト殿~~~!」
ただそんな幸せの時間も長くは続かず、こんな声と共に手がするりと離れていく。
そうして女王が振り返り、それと共に俺も森へと視線を向けると、知った顔が走って来るのが見えた。
セリエーネとウルリーシャ、それとリディス。
みんなもどうやら無事だったらしい。
知る彼らが合流を果たした所で人々もようやく喜びを露わにし始めた。
良かった、これだけの人数が助かって。
……ただ犠牲者も数知れない。
それに森も燃えているし、これでは帰る所も失いかねない。
完全勝利、だなんて言える訳もないな。
ホント、この意味のわからない野盗どものしでかしたことと言ったら。
「では皆さん、森へ戻るとしましょう。歩けない者はどなたか手助けを」
……え?
森に戻る、だって?
今現在進行形で燃えているっていうのにか!?
「ちょ、ちょっと待ってください女王様!?」
「なんでしょう?」
「今戻ったら危険ですよ! 森が燃えているんですよ!?」
「ええそうですね」
「そうですねって……」
しかし妙な落ち着き具合だ。それも女王だけでなく誰しもが。
まるで誰しも火を恐れてはなく、まるで受け入れているかのように。
一部は笑顔まで見せていて何の躊躇もない。
しかも女王様までもが俺に微笑みかけていて。
「ふふっ、問題ありませんよ。間も無く祈りの雨が降りましょう」
「えっ、祈りの、雨……?」
「ほぅら、話をすれば。お空を御覧なさい?」
そんな時、王女様がふと天へと腕を伸ばす。
そのしなやかな彼女の手の動きに誘われ、つい釣られてしまった。
いつの間にか暗雲に閉ざされていた空を見上げる形で。
「え……あ、いつの間にあんな暗い雲が!?」
変化にまったく気付かなかった……!
それどころかさっきまで斜陽が綺麗だと思うくらいに晴れていたはず。
それがなぜ――
「あ、雨が降ってきた……!?」
すると途端、頭に、体に水滴がポツポツと。
そしてすぐさま周囲が大粒の雨に見舞われることとなる。
大雨だ! まるでゲリラ豪雨かと思えるほどの!
「な、なによこれええええ!!?」
「お、おいギネス、そういえば皆は!?」
「も、もうすぐこっちに来るはずだけどぉ!」
さすがにこの大雨に晒され続けるのはまずい!
中には子どもや老人もそれなりにいるんだ!
「それでしたら是非わたくしたちの里へ。長い長い雨宿りが必要となるでしょうから」
「本当ですか!? 助かります! よし、ならギネス、皆をこの道の先に行くよう誘導してくれ!」
「ピクトはどうするのよぉ!?」
「俺は道を作りつつこいつらを連行する!」
「わ、わかったわ!」
しかし王女様の采配のおかげで助かった。
これなら長旅にもならずに済みそうだし、せっかくだからちょいと滞在させてもらうとしよう。
好意に甘えてギネスを送り出し、野盗どもを引きずって女王様たちの後を追う。
リディスやセリエーネも引くのを手伝ってくれたので助かった。
おかげで俺たちは無事、エルフの里へと迎え入れてもらうことに。
ギネスたちの怯え具合は酷かったが、今はとりあえず我慢してもらうことにしよう。
これでなんとか窮地は脱せたようだ。
後は攫われた人たちを保護して火事さえどうにかすれば万事解決なのだが。
なんかもう積まれていた人たちが勝手に出てきてしまった。
ここまでは炎が行き届いていないとはいえ自由過ぎないか?
「ねぇピクト、これは一体どういうことなのかしらン? 何なのその珍妙なお面は?」
「訳を話すと長いんだが、この野盗どもが彼らを攫おうとしていたんだよ。だから助けてあげることになったんだ」
「あぁなんて不届き者なのかしら! エルフを攫うなんておこがましいいいっ!」
エルフ? ああ、そういう人種だったのか。
そういえばよく見たら耳がやたら長いし美形が多い。夢中で気付かなかった。
それでもってギネスは両膝を突き、彼らから目を背けて顔を手で覆っている。
どうやら見たらいけないとかそういう迷信もあるようだ。
「それでお前ら、どうして彼らを攫おうとしたんだ?」
「「「……」」」
一方の野盗はだんまりで簡単には口を割ろうとはしない。
随分と芯の図太い奴らだな、まるでスパイさながらだよ。
仕方も無く途方に暮れていると、途端に森の方から「ワッ!」とした声が上がる。
それが気になってふと振り向いてみると、思わず目を惹かれてしまった。
綺麗な女性が立っていたのだ。
元々綺麗なエルフたちに囲まれているのに、それでもさらに際立たせながら。
真っ白な肌と朱色の髪。
肌が透き通って見えるような白く薄いヴェールのような衣服。
そんな彼女が見せる穏やかな微笑みはまさに女王のそれだ。
ただ髪が赤いのはきっと斜陽を受けたからだろう。
それくらいに淡く透き通っていて、キラキラとした輝きを放っているかのようで。
そんな幻想的な横顔姿に、俺は堪らなく見惚れてしまっていた。
「「「女王様!」」」
「良かった、御無事で……」
「どうなることかと」
確かに、あんな女王様だったら慕うのもわかる気がする。
なんだか異世界に来て初めて「異世界!」って実感を持てた気がするよ。
見ただけで女王だとわかる人なんてそう滅多に居やしないだろうさ。
「あの方が」
「そうですか」
すると一人がなんか俺を指し示す。
そんな指に誘われ、女王の視線もがこちらへと向けられた。
それどころかこっちに向かって歩いて来るんだが……?
「あなたがわたくし達を助けてくださった方ですね」
「お、おう……」
「知らない緑の御方、此度は助けていただき、誠にありがとうございます。この女王エーフェニミス、心より感謝いたします」
さ、さすが女王というだけあってやはり貫禄がすごい。
しかもその女王様が頭を下げると、周りの人たちも一斉に続く。
こんな盛大に感謝されるのは初めてで思わず戸惑ってしまった。
「え、えっと僕はピクトです。その、セリエーネとウルリーシャに頼まれたので力を貸すことになりまして……」
「まぁ、あのお二人から。そうだったのですね。ピクト様のお力添え、ありがたく思います。危うく彼奴らに利用させられてしまう所でした」
そのせいでつい「僕」とかいう言葉も使ってしまった。
なんだか妙に恥ずかしい!
「しかしあなた様に出会えたことは星神様の思し召しなのでしょう。おかげでわたくしたちはまだ世界に見捨てられてはいないと実感することができました。本当にありがとうございます……!」
でもそんな時、彼女が俺の右手を掴み上げて両手で優しく包み込む。
素肌の感覚が夕焼けの暖かさと共に滲んできて、とても心地良い。
そしてこの万遍の笑顔も、素敵だ……!
「ピクト~~~!」
「ピクト殿~~~!」
ただそんな幸せの時間も長くは続かず、こんな声と共に手がするりと離れていく。
そうして女王が振り返り、それと共に俺も森へと視線を向けると、知った顔が走って来るのが見えた。
セリエーネとウルリーシャ、それとリディス。
みんなもどうやら無事だったらしい。
知る彼らが合流を果たした所で人々もようやく喜びを露わにし始めた。
良かった、これだけの人数が助かって。
……ただ犠牲者も数知れない。
それに森も燃えているし、これでは帰る所も失いかねない。
完全勝利、だなんて言える訳もないな。
ホント、この意味のわからない野盗どものしでかしたことと言ったら。
「では皆さん、森へ戻るとしましょう。歩けない者はどなたか手助けを」
……え?
森に戻る、だって?
今現在進行形で燃えているっていうのにか!?
「ちょ、ちょっと待ってください女王様!?」
「なんでしょう?」
「今戻ったら危険ですよ! 森が燃えているんですよ!?」
「ええそうですね」
「そうですねって……」
しかし妙な落ち着き具合だ。それも女王だけでなく誰しもが。
まるで誰しも火を恐れてはなく、まるで受け入れているかのように。
一部は笑顔まで見せていて何の躊躇もない。
しかも女王様までもが俺に微笑みかけていて。
「ふふっ、問題ありませんよ。間も無く祈りの雨が降りましょう」
「えっ、祈りの、雨……?」
「ほぅら、話をすれば。お空を御覧なさい?」
そんな時、王女様がふと天へと腕を伸ばす。
そのしなやかな彼女の手の動きに誘われ、つい釣られてしまった。
いつの間にか暗雲に閉ざされていた空を見上げる形で。
「え……あ、いつの間にあんな暗い雲が!?」
変化にまったく気付かなかった……!
それどころかさっきまで斜陽が綺麗だと思うくらいに晴れていたはず。
それがなぜ――
「あ、雨が降ってきた……!?」
すると途端、頭に、体に水滴がポツポツと。
そしてすぐさま周囲が大粒の雨に見舞われることとなる。
大雨だ! まるでゲリラ豪雨かと思えるほどの!
「な、なによこれええええ!!?」
「お、おいギネス、そういえば皆は!?」
「も、もうすぐこっちに来るはずだけどぉ!」
さすがにこの大雨に晒され続けるのはまずい!
中には子どもや老人もそれなりにいるんだ!
「それでしたら是非わたくしたちの里へ。長い長い雨宿りが必要となるでしょうから」
「本当ですか!? 助かります! よし、ならギネス、皆をこの道の先に行くよう誘導してくれ!」
「ピクトはどうするのよぉ!?」
「俺は道を作りつつこいつらを連行する!」
「わ、わかったわ!」
しかし王女様の采配のおかげで助かった。
これなら長旅にもならずに済みそうだし、せっかくだからちょいと滞在させてもらうとしよう。
好意に甘えてギネスを送り出し、野盗どもを引きずって女王様たちの後を追う。
リディスやセリエーネも引くのを手伝ってくれたので助かった。
おかげで俺たちは無事、エルフの里へと迎え入れてもらうことに。
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