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第25話 私達は一体何を相手にしているの?
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ラギュース達やママ上、叔母上が私のために駆け付けてくれた。
こんなに慕われていたなんて思ってもみなかったわ。
だから、なんだかとても嬉しい。
まぁ、これから血みどろの戦いになるだろうから浮かれてなんていられないけど。
なにせ祖国に反旗を翻そうっていうんだから。
ラギュース達だって本当は不本意でしょうに。
「礼には及ばぬ。いずれにせよこういう時が来るとは思っていた」
「どういう事です?」
「最近の王はどこかおかしい――いや、今の王になってから妙なのだ。前王は民を想う優しき方だったのだが、四年前に継承した現王は一方的な圧政を敷いている。民がいくら苦しもうとも一向に改善せんのだ。王になる前のあの方はそうでもなかったのに」
ただ、どうやらラギュース達は彼等なりに思う所があったみたい。
私への信頼の他にも、国への不信感も相当募っているようだ。
確かに、王都の惨状は本当にひどかった。
あれなら国民が不満に思うのも理解できる。
となるとひょっとして、攻めてきた兵士が少なかったのもそれが理由なのでは?
「もしかしてその不満は兵にも?」
「無論。今は兵を辞めて冒険者に転向する者も増えている。国外へ逃げる者も少なくは無い」
「やっぱりそうなのね」
つまり派兵できる人数はこれが限度だったんだ。
だから穴埋めを半端な魔導人形で行ったのだろう。
国力が相当に落ち込んでいる証拠ね。
でもなぜ?
なぜそうしてまで圧政を敷く?
その理由だけはどうしてもわからない。
王や執政官がそれほどまでに大馬鹿なのだろうか。
その疑問は私にも、ラギュース達にもわからない。
叔母上も事情を知らず、聞いても首を横に振るだけで。
何か妙な事が起きているのではないか、と思わせるには充分過ぎた。
「ウオ、オオオ……」
「「「ッ!?」」」
だが、皆がこう頭を抱えていた時だった。
突如として場に奇妙なうめき声が聞こえ始めて。
けどその途端、誰かが指を差し示した事ですぐに正体がわかった。
「オオオ」「ウオオ……!」「国王陛下ノ為ニィ……」
「こ、こいつらはッ!?」
「なんなんだこりゃあ!」「気色わりぃ!」
先ほどの王国軍の兵士達である。
グチャグチャになったはずの一部の兵士がうめき、動き始めていたのだ。
あのバルバーレも同様にして。
ただどう見ても正気とは思えない。
目玉が残っている者も、まるで焦点が合っていないから。
「これは……まさかッ!?」
「心当たりがあるのかミルカ殿!?」
「……えぇ。しかもこれなら確かに圧政を敷く理由もわかるわ。ただ状況はかなりヤバいかもしれないけれど」
そんな状況から考えられる答えはもうたった一つしかないわ。
彼等はもう、人ではないんだ。
それどころか、もしかしたら王都グランマルスの市民でさえも。
それらすべて、あの王が元凶となっている可能性がある。
なら急いで対処しなければ。
時間を置けば置くほど被害は大きくなってしまう。
そこで私はうめく肉塊達に炎を放った。
燃えていく中でも動こうとする姿は本当に見るにたえないわね。
まぁそのまもなく、どいつもこいつも焼けて動かなくなったけれど。
「悪いけど、事態は急を要するわ。私は今すぐ王都グランマルスへ向かう!」
「では我等も共に向かいましょう」
「共犯になるけど、いいのね?」
「構わん。民を救えずして何が貴族か」
「よかったわ、私のスポンサーがまともな人で」
そんな徹底ぶりを前にしてラギュースもなんとなく察したらしい。
だからか、その部下達も含めて揃って頷いていて。
「ご主人様! ご褒美に頭をなでなでしてほしいです!」
「待て、それは僕が先。君は僕より役立ってない」
「なんですってぇ!? 今すぐ燃やされたいのかしらあああ!?」
「その前に僕の槍がその胸板を貫く」
「殺してやる! 絶対に殺してやるゥゥゥ!!!」
「あらあら二人ともやる気十分ねぇ~」
一部変人がいるが、この人達はもう放っておこう。
構っている暇はないし。
でも出発する前に一つだけ、やっておきたい事がある。
「皆、今まで色々騙していてごめんなさい。色々と思う所があるかもしれないけれど、今だけは信じて欲しい。そしてどうかこの領地だけでなく、国を守るために力を貸してください!」
「当然だ! このラギュースは最初から君を信じていたとも!」
「最初は生意気だと思ったがな!」「熱意は本物だった!」
「ご主人様愛してるゥ!」「僕の方が愛している!」
「あらぁミルカちゃん随分とファンが増えたものねぇ~」
ここまできたらもう謝罪なんてなんの意味も無いかもしれない。
けどけじめをつけておかないと私自身が納得できそうにないから。
ここにいる皆は全員、私が心から信じてもいい人達なんだって。
彼等をもう裏切りたくはないんだ。
この愛する故郷へ、揃って再び帰る為にも。
「みんな……ありがとう……っ!」
「「「お、おおう……!」」」
そんな想いを巡らせていたら、つい笑顔がこぼれてしまった。
みんな驚いているみたいだけど、本当は私だってこう笑ったりしたいんだから。
けどこれからは存分に笑って暮らせそうだから、とても楽しみね。
「さぁ~ミルカ殿我が馬にぜひィ!」
「閣下ずるい!」「いいや俺の所がいいね!」「俺ン所だァ!」
「大丈夫、歩いて行けるから」
「「「そ、そんなぁ~~~!」」」
なんか皆いきなり叔母上にみたいになってしまったけれどまぁいいわ。
それだけ士気が上がってるって事だと思うし!
さぁ待っていなさいアウスティア国王。
アンタの化けの皮、爪先にいたるまで全部引っぺがしてやる!
こんなに慕われていたなんて思ってもみなかったわ。
だから、なんだかとても嬉しい。
まぁ、これから血みどろの戦いになるだろうから浮かれてなんていられないけど。
なにせ祖国に反旗を翻そうっていうんだから。
ラギュース達だって本当は不本意でしょうに。
「礼には及ばぬ。いずれにせよこういう時が来るとは思っていた」
「どういう事です?」
「最近の王はどこかおかしい――いや、今の王になってから妙なのだ。前王は民を想う優しき方だったのだが、四年前に継承した現王は一方的な圧政を敷いている。民がいくら苦しもうとも一向に改善せんのだ。王になる前のあの方はそうでもなかったのに」
ただ、どうやらラギュース達は彼等なりに思う所があったみたい。
私への信頼の他にも、国への不信感も相当募っているようだ。
確かに、王都の惨状は本当にひどかった。
あれなら国民が不満に思うのも理解できる。
となるとひょっとして、攻めてきた兵士が少なかったのもそれが理由なのでは?
「もしかしてその不満は兵にも?」
「無論。今は兵を辞めて冒険者に転向する者も増えている。国外へ逃げる者も少なくは無い」
「やっぱりそうなのね」
つまり派兵できる人数はこれが限度だったんだ。
だから穴埋めを半端な魔導人形で行ったのだろう。
国力が相当に落ち込んでいる証拠ね。
でもなぜ?
なぜそうしてまで圧政を敷く?
その理由だけはどうしてもわからない。
王や執政官がそれほどまでに大馬鹿なのだろうか。
その疑問は私にも、ラギュース達にもわからない。
叔母上も事情を知らず、聞いても首を横に振るだけで。
何か妙な事が起きているのではないか、と思わせるには充分過ぎた。
「ウオ、オオオ……」
「「「ッ!?」」」
だが、皆がこう頭を抱えていた時だった。
突如として場に奇妙なうめき声が聞こえ始めて。
けどその途端、誰かが指を差し示した事ですぐに正体がわかった。
「オオオ」「ウオオ……!」「国王陛下ノ為ニィ……」
「こ、こいつらはッ!?」
「なんなんだこりゃあ!」「気色わりぃ!」
先ほどの王国軍の兵士達である。
グチャグチャになったはずの一部の兵士がうめき、動き始めていたのだ。
あのバルバーレも同様にして。
ただどう見ても正気とは思えない。
目玉が残っている者も、まるで焦点が合っていないから。
「これは……まさかッ!?」
「心当たりがあるのかミルカ殿!?」
「……えぇ。しかもこれなら確かに圧政を敷く理由もわかるわ。ただ状況はかなりヤバいかもしれないけれど」
そんな状況から考えられる答えはもうたった一つしかないわ。
彼等はもう、人ではないんだ。
それどころか、もしかしたら王都グランマルスの市民でさえも。
それらすべて、あの王が元凶となっている可能性がある。
なら急いで対処しなければ。
時間を置けば置くほど被害は大きくなってしまう。
そこで私はうめく肉塊達に炎を放った。
燃えていく中でも動こうとする姿は本当に見るにたえないわね。
まぁそのまもなく、どいつもこいつも焼けて動かなくなったけれど。
「悪いけど、事態は急を要するわ。私は今すぐ王都グランマルスへ向かう!」
「では我等も共に向かいましょう」
「共犯になるけど、いいのね?」
「構わん。民を救えずして何が貴族か」
「よかったわ、私のスポンサーがまともな人で」
そんな徹底ぶりを前にしてラギュースもなんとなく察したらしい。
だからか、その部下達も含めて揃って頷いていて。
「ご主人様! ご褒美に頭をなでなでしてほしいです!」
「待て、それは僕が先。君は僕より役立ってない」
「なんですってぇ!? 今すぐ燃やされたいのかしらあああ!?」
「その前に僕の槍がその胸板を貫く」
「殺してやる! 絶対に殺してやるゥゥゥ!!!」
「あらあら二人ともやる気十分ねぇ~」
一部変人がいるが、この人達はもう放っておこう。
構っている暇はないし。
でも出発する前に一つだけ、やっておきたい事がある。
「皆、今まで色々騙していてごめんなさい。色々と思う所があるかもしれないけれど、今だけは信じて欲しい。そしてどうかこの領地だけでなく、国を守るために力を貸してください!」
「当然だ! このラギュースは最初から君を信じていたとも!」
「最初は生意気だと思ったがな!」「熱意は本物だった!」
「ご主人様愛してるゥ!」「僕の方が愛している!」
「あらぁミルカちゃん随分とファンが増えたものねぇ~」
ここまできたらもう謝罪なんてなんの意味も無いかもしれない。
けどけじめをつけておかないと私自身が納得できそうにないから。
ここにいる皆は全員、私が心から信じてもいい人達なんだって。
彼等をもう裏切りたくはないんだ。
この愛する故郷へ、揃って再び帰る為にも。
「みんな……ありがとう……っ!」
「「「お、おおう……!」」」
そんな想いを巡らせていたら、つい笑顔がこぼれてしまった。
みんな驚いているみたいだけど、本当は私だってこう笑ったりしたいんだから。
けどこれからは存分に笑って暮らせそうだから、とても楽しみね。
「さぁ~ミルカ殿我が馬にぜひィ!」
「閣下ずるい!」「いいや俺の所がいいね!」「俺ン所だァ!」
「大丈夫、歩いて行けるから」
「「「そ、そんなぁ~~~!」」」
なんか皆いきなり叔母上にみたいになってしまったけれどまぁいいわ。
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