強くて転生わからせ魔戦王!~最強魔力を得た私は最年少で女帝を目指す。もう大人?いいえ三歳児です。ざぁこな大人どもを逆に蹴散らし屈服無双!

日奈 うさぎ

文字の大きさ
29 / 45

第29話 シャルウィドレス無双?

しおりを挟む
 甲虫人モドキへと進化した寄生型魔物が私達に襲い掛かる。
 その数は国王ふくめて七体。
 いずれも屈強な肉体を誇り、その腕だけでも私の胴回りより太い。
 こんなもので打たれでもしたら、私どうなっちゃうのかしら。

 ゆえに複数からの鉄拳を寸前で飛んでかわす。
 レスティと呼ばれた近衛兵も一匹からの拳撃を剣で受け止めていた。

 ――が、直後にはレスティの剣がへし折られていて。

「ぎゃあああ! ミスリルの剣がァァァ! これすっごい高いのにィィィ!!?」

 あの剣は近衛騎士団が使う最高品質の物のはず。
 強化魔術エンチャントも施されているから鋼鉄より硬いのに、まさかこうもたやすくへし折ってしまうなんて……!

 しかし彼女も腐っても近衛兵に選ばれた人間らしい。
 半分になった剣で応戦しながら逃げまどっている。

 なら、一匹だけでも任せるしかない!

 残念ながらもう私に余裕は無かったのだ。
 なぜなら、跳ねていた私を五匹の魔物が取り囲んでいたのだから。

 なんて反応速度!
 なんて身体能力!
 こいつら、私の跳躍に合わせて一緒に跳ねていたっていうの!?

 しかも羽根をすばやく羽ばたかせ、遂にはまっすぐ飛んで来るという。

「くっ、飛行能力までッ!?」

 その姿には嫌悪感さえ憶える。
 ただでさえ無駄に筋肉質で気色悪いっていうのに!

 そこで私はドレスギアを風船状に変形させて対応。
 五体同時攻撃を受け止め、直後に刃に変形させて叩き切る。

 ――が、斬りきれない。
 二匹ほどの腕は切り落とせたものの、残りは傷を負った程度だ。
 反応速度も速くなっているが、肉体強度も半端じゃない。

 だが私がタダで転ぶと思うなよ!

 そこで敵を弾いた後、ドレスギアを一本の巨大なドリルへと変形。
 一匹の胴を貫き、そのまま展開して四肢・頭部を吹き飛ばしてやった。

「ギギィ!!」
「ヨッグッモ!」
「仲間意識はあるのね、さすがだわ!」

 そんな私の着地を狙おうとしても無駄よ。
 今度はドレスギアを私の両腕へまとわせ、巨大な腕へと変形。
 そのまま近づいて来た二匹を潰して一気にミンチに。

 紫色の体液が気色悪いけれど、この際仕方がないわ!

 その隙を狙って残り二匹も来ていたけれど、もう遅い。
 既に両腕のドレスギアは変質、リボン状へと姿を変えて彼等を囲んでいる。

 そして一気に縛り上げ、その根っこを掴んだ右手を一気に振り下ろした。

 たちまち細切れになる二匹の甲虫人。
 無数の血飛沫が舞うが、それも全てドレスリボンで防いで弾く。
 その上で体液全てを跳ね飛ばし、ドレス本来の姿へと戻した。

「これで全――」
「たっ助けてぇ~~~い!!」
「グゥオオオ!!」
「……まったくもう」

 あとはレスティを追う個体に、転がっていた剣を投げつけて頭を貫く。
 するとグッシャアと倒れ込み、もう動かなくなった。
 どうやらあの身体になると人間と同じく頭が弱点となるみたいね。

 まぁ普通の人間じゃあの硬い頭を貫くのは厳しいかもしれないけれど。

「ギギィ! オノレェ!」
「さて、あとはお前一人よ。知能があるならもうわかるでしょう? いい加減諦めなさい」
「諦メルモノカ、貴様達ヲ殲滅スルマデハァ!」

 ここまで強くなるのは私も想定外だった。
 確かにものすごい進化だと思う。

 ただ、それ以上に知能の成長幅が大き過ぎる。
 まるで人と同じくらいかと思えるくらいね。

 それだけの知能があるなら対話だってできるでしょうに。

 けど彼等は本能を未だ取り払う事ができていない。
 戦意が、敵意が、殺意がまだ根底に残って戦いを否定できないんだ。

 もし対話ができるなら私も興味があるし試したいとも思う。
 けどその可能性が万が一にも無いとするならば。

 ――奴等はこの世に存在してはいけない、害悪よ。

 だからこそ私は今、両手に魔力を籠めた。
 たった一匹が対象なら、追尾能力無しの霊子砲エンス・ミデンを撃てばいいからと。

 だったのだけど。

「ゴッゲゲッ! 許スマジ、許スマジィィィ!!!!!」
「えっ……ちょ、ちょっと待って!?」
「ヒィィィゥエェェェ!! 陛下虫が巨大化してりゅゥゥゥ!!!??」

 想定外の相手がさらなる想定外を引き起こす。
 なんかよくわからないけど、相手の身体が急激に巨大化し始めたのだ。
 どんだけ内側に力を溜め込んでいたっていうのよぉ!?

 しかも巨大化はもはやとめどない。
 高かった天井へも到達し、更には貫き破壊していく。
 更には謁見の間を拡げ壊し、内壁をも崩し始めていて。
 倒れていた仲間も飲み込んでいく――取り込んでいるのだ。

「いけないわ! 脱出するわよ!」
「脱出!? どこからァ!?」
「そんなの決まっているわ! 窓からよぉぉぉーーーーーーッ!!!!!」

 その速度は顕著で、すでに空間の半分以上が奴の身体で埋め尽くされた後。
 なので私はレスティの下へ走り、その腕を掴み取る。
 そうしてそのまま窓へと走って突き破り、外へと飛び出した。

「イィィィヤァァァ!!! 落ちて死ぬゥゥゥ!!!!!」
「そう簡単に死ぬものですか!」

 ただここはアウスティア城の中腹階層。
 地上は遥か下にあり、このまま落ちてしまえば落下死はまぬがれない。

 そこで私はドレスギアに魔力を送り、その本領を発揮させた。
 フリルからの魔力放出を利用した推進能力を。

 実はこのドレスギア、使い方次第では空も飛べるのです!
 フフン、さすが設計した通りの性能ね!

 ただし今は一人分の余計な重量があるから今は滑空が限度。
 それでも城からは離れられ、無事に一般市民街へと降り立てた。

「た、たすかった……」
「良かったわね。後はさっさとどこへなり逃げなさい」
「貴女はどどどうするの!?」
「決まっているでしょう? あれをどうにかしないといけないもの」

 それでレスティを突き離して振り返ってみたのだけど。
 そんな私の視界にはとんでもないモノが映り込む事となる。

 超巨大な甲虫人である。
 あの元国王が城を内側から押し出し、潰していたのだ。
 ただしほぼほぼ胴体だけが大きくなったような丸々しい姿で、だが。

「今回ばかりは、私だけじゃどうにかするにもギリギリかもしれないわね……!」

 その圧倒的な光景を見上げ、私は覚悟を決める。
 場合によっては自身の何かを犠牲にしなければならないかもしれないと。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

処理中です...