17 / 18
2
しおりを挟む
そっと引き出しを開ける。
なぜだかわからないけど、この引き出しを開ける時はお淑やかな気分になるわ。
色別アイテム別に並んだ宝石。
実家の公爵家でよく用いられるサファイアが多い。
生まれた時に贈られたもの、誕生日ごとのプレゼント。
社交に出ないのに他の兄弟に劣らないものがいただけていたので、社交に出るためのものが一通り揃っていて、宝石類だけで引き出しがいっぱいです。
売り払えばわたしとマウリーなら一生暮らせるわね。
一番大きいのは母方の祖父が杖につけていたという大きな黄水晶をリメイクしたブローチ。
子供の頃はよくこれであそんだっけ。
妹と光に当ててきらきらをながめたり、お兄様とプリンセスごっこしたり。
指輪は二つだけ。
前の結婚の婚約指輪と結婚指輪。
どちらも私のだけれど、私の指には合わないぶかぶかの指輪。
婚約指輪の宝石は大粒なアレキサンドロイド。
所有する宝石がこの国では序列を表す。
爵位や社会的地位とは関係ない、ただの昔からの慣習ですが。
その宝石を持つことになったその人の縁への敬意、だったかしら。
このアレキサンドライトは以前は王妃が持っていたこともある由緒あるもの。
私の序列は何番なのだろうか。
そっと引き出しをしめる。
そもそも学園にも行かず、公式の場に出たこともない私に序列があるのだろうか。
気になったことはあるけど、誰にも聞いたことはなかったけど、私の夫だった人は何者だったんだろうか。
お母様かお兄様に今度聞いてみようかしら。
あら、痛い。
よく見たら指先が傷ついています。
先日ジュリア様と茂みを抜けた時に引っ掛けたところ。
ふさがっていたのにまた開いたみたい。
軟膏を塗っておきましょう。
ジュリア様と過ごした日の夜は時々、もやもやとします。
そういえば、あの人形をセナ様はどうなさるのだろうか。
すごくよくできていました。
座れるし、ぱっと見はほんとに私たち二人に見えます。
本体はジュリア様が作りましたが、衣装は私が作りました。
あのドレスの刺繍とても気合を入れたんです。
それに上手く切り離せば「ジュリア様」のドレスからはショールが「ミラ夫人」のドレスは7枚のハンカチに作り替えできるようにしてあるのです。
ああ、せっかくあのお宅ですごして初めて形となった学びでしたのに、なんとかならないものでしょうか。
軟膏を塗りながら思い出しました。
なんで引き出しを開けたのか。
感傷に浸るためではなくマウリーの初めての婚約のためでした。
ただ私の宝石は格が高すぎて伯爵令息に送る婚約の品としては参考になりませんね。
馴染みの宝石商に相談しましょう。
なぜだかわからないけど、この引き出しを開ける時はお淑やかな気分になるわ。
色別アイテム別に並んだ宝石。
実家の公爵家でよく用いられるサファイアが多い。
生まれた時に贈られたもの、誕生日ごとのプレゼント。
社交に出ないのに他の兄弟に劣らないものがいただけていたので、社交に出るためのものが一通り揃っていて、宝石類だけで引き出しがいっぱいです。
売り払えばわたしとマウリーなら一生暮らせるわね。
一番大きいのは母方の祖父が杖につけていたという大きな黄水晶をリメイクしたブローチ。
子供の頃はよくこれであそんだっけ。
妹と光に当ててきらきらをながめたり、お兄様とプリンセスごっこしたり。
指輪は二つだけ。
前の結婚の婚約指輪と結婚指輪。
どちらも私のだけれど、私の指には合わないぶかぶかの指輪。
婚約指輪の宝石は大粒なアレキサンドロイド。
所有する宝石がこの国では序列を表す。
爵位や社会的地位とは関係ない、ただの昔からの慣習ですが。
その宝石を持つことになったその人の縁への敬意、だったかしら。
このアレキサンドライトは以前は王妃が持っていたこともある由緒あるもの。
私の序列は何番なのだろうか。
そっと引き出しをしめる。
そもそも学園にも行かず、公式の場に出たこともない私に序列があるのだろうか。
気になったことはあるけど、誰にも聞いたことはなかったけど、私の夫だった人は何者だったんだろうか。
お母様かお兄様に今度聞いてみようかしら。
あら、痛い。
よく見たら指先が傷ついています。
先日ジュリア様と茂みを抜けた時に引っ掛けたところ。
ふさがっていたのにまた開いたみたい。
軟膏を塗っておきましょう。
ジュリア様と過ごした日の夜は時々、もやもやとします。
そういえば、あの人形をセナ様はどうなさるのだろうか。
すごくよくできていました。
座れるし、ぱっと見はほんとに私たち二人に見えます。
本体はジュリア様が作りましたが、衣装は私が作りました。
あのドレスの刺繍とても気合を入れたんです。
それに上手く切り離せば「ジュリア様」のドレスからはショールが「ミラ夫人」のドレスは7枚のハンカチに作り替えできるようにしてあるのです。
ああ、せっかくあのお宅ですごして初めて形となった学びでしたのに、なんとかならないものでしょうか。
軟膏を塗りながら思い出しました。
なんで引き出しを開けたのか。
感傷に浸るためではなくマウリーの初めての婚約のためでした。
ただ私の宝石は格が高すぎて伯爵令息に送る婚約の品としては参考になりませんね。
馴染みの宝石商に相談しましょう。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
貴方の幸せの為ならば
缶詰め精霊王
恋愛
主人公たちは幸せだった……あんなことが起きるまでは。
いつも通りに待ち合わせ場所にしていた所に行かなければ……彼を迎えに行ってれば。
後悔しても遅い。だって、もう過ぎたこと……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。
小さな親切、大きな恩返し
よもぎ
恋愛
ある学園の交流サロン、その一室には高位貴族の令嬢数人と、低位貴族の令嬢が一人。呼び出された一人は呼び出された理由をとんと思いつかず縮こまっていた。慎ましやかに、静かに過ごしていたはずなのに、どこで不興を買ったのか――内心で頭を抱える彼女に、令嬢たちは優しく話しかけるのだった。
蝋燭
悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。
それは、祝福の鐘だ。
今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。
カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。
彼女は勇者の恋人だった。
あの日、勇者が記憶を失うまでは……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる