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リリの場合6

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とある女性
夫が、夫が、浮気した。
許せない。
私を誰だと思っているのか。
隣国の王女、現国王の妹。
国同士の関係あっての婚姻だというのに。
そちらがその気ならこちらにも考えがある。
母国との国境沿いに適当な屋敷を構える。
そこを「修道院」と名付けて引きこもる。
私の仲の良い夫人たちがわたしが修道院にいると拡めてくれる。
慌てた夫は浮気相手と別れ謝罪に次ぐ謝罪。
政略結婚の相手を修道院に押し込めた。
アウトですね。
がっつり搾り取ってやりました。
ところで、意外なところで「修道院」が好評です。
将来を考える令嬢がお試し体験に宿泊したいと依頼してきたのは驚きました。
裕福な平民が行儀見習いや結婚前の箔付け。
はたまた若い恋人の相引きに、家族に望まれない妊娠をした女性を匿って出産まで見守ったり。
本来の修道院の役割に加えて、そういった利用法があったなんて目から鱗でした。
あと一つ、産業のない近隣の村の若者の雇用といった効果もあり、「修道院」はこのまま運営されて行くことになった。
対外的には修道院その実態はただの貴族の別邸という「修道院」の成立。

7代ほど前の先祖の「修道院」を子孫であるリリが利用することになったのは偶然ではない。
断罪され、修道院送りと宣言されたリリーナを慕う者たちが行き先をあえてここにしたのだ。
ここで平穏に暮らすもよし、そうでないなら神に身を捧げていないことでリリーナを守れるのではないかと願って。



国王
ショルーズが種無しで、子供を作ることはできない。
ショルーズは一人っ子で、ショルーズに子が出来なければどうなる。
1番考えられるのは弟に王位がいく。
それはだめだ。
あれはそんな器じゃない。
王は元々弟を自身より数段劣る存在としか思っていなかった。
ましてや自分の血統ではない者が王位につくなど考えられない。
そもそもあれはもう王籍を離れている。
だが自分にはショルーズしかいない。
王妃はもう子が産める歳ではない。
そこで閃いた。
自分が子を作ればいいではないか。
それをショルーズの子とすればいい。
だがあの伯爵令嬢はだめだ。
親が何かと口を出す。
社交好きですこし口が軽い。
それに自分の好みはもっとこう、そうどうせなら。
想像する。
王は王妃しか知らなかった。
王妃はもちろん大切だ。
だが、若い娘に子を産ませるというのはとても魅力的な考えだった。
誰がいいか、考えるまでもなかった。
一人しかいない。
完璧な血統、王家に相応しい教育を受けた娘。
彼女なら秘密は守られるだろう。
リリーナ。


あと少し続きます
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