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第3章:新たな冒険
45.第10階層紫エリア - ラットライダーズのアジト -
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「てめえらどっから来やがった!」
「レベル100睡眠」
「おい、出てこい!敵だぞ!」
「レベル100睡眠」
「クソ、ふざけやがって!」
「レベル100睡眠」
アジトに入るとそこはごろつき共の巣窟になっていた。
しかし向かってくる連中は美那の魔法で次々と行動不能になっていく。
倒れた敵はナナと灯美が縛り上げていった。
「美那さん、非戦闘員という割には滅茶苦茶強いじゃないですか」
「戦いは苦手だよ。だからこうして魔法で無力化しているのさ」
美那がすまし顔で答える。
(鑑定士ってのは相手の特性を掴むのが得意だからな。補助呪文の効果が段違いになるんだよ)
リングが補足してきた。
(なるほど、だから睡眠魔法でもこんなにあっさり効くわけか)
その時、不意に殺気が襲ってきた。
「危ない!」
翔琉が押し倒すように美那に覆いかぶさるのと巨大な影が襲い掛かってくるのはほぼ同時だった。
「な、なんだこいつは!?」
それは巨大なネズミともいうようなモンスターだった。
全身から巨大な棘が何本も突き出ていて口からも2本の牙が飛び出している。
そしてその上には男たちがまたがっていた。
「あれはスパイクラットだな。本来は13層よりも下に生息しているモンスターなのだが。あれを手懐けられるのか」
美那が興味深そうに呟く。
「てめえらか!俺たちラットライダーズのアジトに侵入してきたって命知らずは!」
スパイクラットに跨った男の1人が吠えた。
手にはアサルトライフルを握っている。
「君が親玉かね」
美那は全く動じる様子もなくその男をスマホで撮影した。
「どれどれなるほど、君は羅桐 紋柄というのだね。元は日本最大の広域暴力団の構成員で組の金を持ち逃げして絶縁された上に賞金もかけられているというわけか。更に警察からも指名手配を受けているんだね」
スマホの画面を見ながら美那が呟いた。
「そんなことまでわかるんですか」
「ダンジョンに逃げた犯罪者は賞金をかけられているからね。賞金稼ぎや失せ人探索用のアプリには顔認識機能も付いているのだよ。それにしてもスパイクラットに乗るとはね。ラットライダーズという名前はそこから来ているのか」
「ごちゃごちゃうるせえんだよ!」
羅桐は吠えると銃を乱射してきた。
「てめえらは賞金稼ぎか!くだらねえ真似をしやがって!返り討ちにしてやる!」
翔琉はみんなを抱えて物陰に飛び込んだ。
「ちょ、銃を持ってるなんて聞いてないですよ!」
「あれは自衛隊の使っている89式だね。昔自衛隊が大規模にダンジョン探索を行ったことがあるんだよ。残念ながら一個大隊が全員行方不明になってしまったためにその計画は打ち切られてしまったのだがね。その時の銃が今もダンジョンで流通しているのだよ」
「いや、そういうことを言ってるんじゃなくて!」
その時、翔琉の目の前に何かが転がってきた。
それは安全ピンが抜かれた手りゅう弾だった。
「危ない!」
翔琉はとっさに飛び出すて投げ返すために手りゅう弾を掴んだ。
掴んだその瞬間、これがただの模造品であることを悟る。
(これは囮か!)
振り返った目の前に銃を構えた羅桐が飛び込んでくる。
「馬鹿が!」
三連射で撃たれた弾丸が翔琉に向かって殺到する。
「うおおおおおっ」
翔琉はその全てをかわした。
(マ、マジか、本当にかわせるなんて思わなかったぞ)
(あのくらい避けられて当然だぜ)
冷や汗を流す翔琉にリングがなんてことないというように答える。
「てめえ!何者だ!」
羅桐が再び銃を構えて撃ってきた。
今度は連射だ。
「ぬあああああっ」
翔琉は羅桐に向かって突っ込んでいった。
頭上を弾丸がかすめていく。
そのまま滑り込むようにスパイクラットの横をすり抜け、回り込むように飛び上がると羅桐の後頭部を殴りつけた。
「ぐばっ」
悲鳴ともつかない叫び声をあげて羅桐が昏倒する。
「ギィイイイィィッ」
スパイクラットが金切声と共に立ち上がった。
全身の棘が震えて不気味な音を立てる。
(やばい!怒らせたか!?)
咄嗟にナイフを構える翔琉。
しかしスパイクラットが攻撃してくることはなかった。
立ち上がったままピクリとも動かない。
「よくやってくれたね。流石は私が見込んだ通りだ」
物陰から手を叩きながら美那が現れた。
「これは美那さんが…?」
「鑑定士にはテイムのスキルもあるからね。もうこの子たちは安全だよ」
そう言いながらスパイクラットの顎を撫でる。
スパイクラットも目を細めて美那に顔をすり寄せている。
「そ、そういえば他の奴らは?」
翔琉が振り返ると他のスパイクラットに乗った男たちが力なく床に崩れ落ちたところだった。
驚いて目を見張るとそこに灯美が姿を現した。
その手にはスタンガンが握られている。
「忍法スタンガンの術」
「いやそれもう忍法じゃないだろ」
翔琉が思わず苦笑を漏らす。
「ざっと見てきたけどこのアジトに残ってる奴はいないみたいだよ」
「それじゃあこの男の目を覚まして奪った吸熱石をどこに隠したのか聞きだすとしようか」
美那がにっこりと笑った。
「レベル100睡眠」
「おい、出てこい!敵だぞ!」
「レベル100睡眠」
「クソ、ふざけやがって!」
「レベル100睡眠」
アジトに入るとそこはごろつき共の巣窟になっていた。
しかし向かってくる連中は美那の魔法で次々と行動不能になっていく。
倒れた敵はナナと灯美が縛り上げていった。
「美那さん、非戦闘員という割には滅茶苦茶強いじゃないですか」
「戦いは苦手だよ。だからこうして魔法で無力化しているのさ」
美那がすまし顔で答える。
(鑑定士ってのは相手の特性を掴むのが得意だからな。補助呪文の効果が段違いになるんだよ)
リングが補足してきた。
(なるほど、だから睡眠魔法でもこんなにあっさり効くわけか)
その時、不意に殺気が襲ってきた。
「危ない!」
翔琉が押し倒すように美那に覆いかぶさるのと巨大な影が襲い掛かってくるのはほぼ同時だった。
「な、なんだこいつは!?」
それは巨大なネズミともいうようなモンスターだった。
全身から巨大な棘が何本も突き出ていて口からも2本の牙が飛び出している。
そしてその上には男たちがまたがっていた。
「あれはスパイクラットだな。本来は13層よりも下に生息しているモンスターなのだが。あれを手懐けられるのか」
美那が興味深そうに呟く。
「てめえらか!俺たちラットライダーズのアジトに侵入してきたって命知らずは!」
スパイクラットに跨った男の1人が吠えた。
手にはアサルトライフルを握っている。
「君が親玉かね」
美那は全く動じる様子もなくその男をスマホで撮影した。
「どれどれなるほど、君は羅桐 紋柄というのだね。元は日本最大の広域暴力団の構成員で組の金を持ち逃げして絶縁された上に賞金もかけられているというわけか。更に警察からも指名手配を受けているんだね」
スマホの画面を見ながら美那が呟いた。
「そんなことまでわかるんですか」
「ダンジョンに逃げた犯罪者は賞金をかけられているからね。賞金稼ぎや失せ人探索用のアプリには顔認識機能も付いているのだよ。それにしてもスパイクラットに乗るとはね。ラットライダーズという名前はそこから来ているのか」
「ごちゃごちゃうるせえんだよ!」
羅桐は吠えると銃を乱射してきた。
「てめえらは賞金稼ぎか!くだらねえ真似をしやがって!返り討ちにしてやる!」
翔琉はみんなを抱えて物陰に飛び込んだ。
「ちょ、銃を持ってるなんて聞いてないですよ!」
「あれは自衛隊の使っている89式だね。昔自衛隊が大規模にダンジョン探索を行ったことがあるんだよ。残念ながら一個大隊が全員行方不明になってしまったためにその計画は打ち切られてしまったのだがね。その時の銃が今もダンジョンで流通しているのだよ」
「いや、そういうことを言ってるんじゃなくて!」
その時、翔琉の目の前に何かが転がってきた。
それは安全ピンが抜かれた手りゅう弾だった。
「危ない!」
翔琉はとっさに飛び出すて投げ返すために手りゅう弾を掴んだ。
掴んだその瞬間、これがただの模造品であることを悟る。
(これは囮か!)
振り返った目の前に銃を構えた羅桐が飛び込んでくる。
「馬鹿が!」
三連射で撃たれた弾丸が翔琉に向かって殺到する。
「うおおおおおっ」
翔琉はその全てをかわした。
(マ、マジか、本当にかわせるなんて思わなかったぞ)
(あのくらい避けられて当然だぜ)
冷や汗を流す翔琉にリングがなんてことないというように答える。
「てめえ!何者だ!」
羅桐が再び銃を構えて撃ってきた。
今度は連射だ。
「ぬあああああっ」
翔琉は羅桐に向かって突っ込んでいった。
頭上を弾丸がかすめていく。
そのまま滑り込むようにスパイクラットの横をすり抜け、回り込むように飛び上がると羅桐の後頭部を殴りつけた。
「ぐばっ」
悲鳴ともつかない叫び声をあげて羅桐が昏倒する。
「ギィイイイィィッ」
スパイクラットが金切声と共に立ち上がった。
全身の棘が震えて不気味な音を立てる。
(やばい!怒らせたか!?)
咄嗟にナイフを構える翔琉。
しかしスパイクラットが攻撃してくることはなかった。
立ち上がったままピクリとも動かない。
「よくやってくれたね。流石は私が見込んだ通りだ」
物陰から手を叩きながら美那が現れた。
「これは美那さんが…?」
「鑑定士にはテイムのスキルもあるからね。もうこの子たちは安全だよ」
そう言いながらスパイクラットの顎を撫でる。
スパイクラットも目を細めて美那に顔をすり寄せている。
「そ、そういえば他の奴らは?」
翔琉が振り返ると他のスパイクラットに乗った男たちが力なく床に崩れ落ちたところだった。
驚いて目を見張るとそこに灯美が姿を現した。
その手にはスタンガンが握られている。
「忍法スタンガンの術」
「いやそれもう忍法じゃないだろ」
翔琉が思わず苦笑を漏らす。
「ざっと見てきたけどこのアジトに残ってる奴はいないみたいだよ」
「それじゃあこの男の目を覚まして奪った吸熱石をどこに隠したのか聞きだすとしようか」
美那がにっこりと笑った。
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