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【BL】長男:人志(ひとし)の休日【R18】

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長男の人志(ひとし)の職業は、四兄弟の中で一番お堅い公務員(警察官)だ。
子供の頃から面倒見が良く、世話好きで責任感が強い人志は、兄弟で一番、一般常識を持ち合わせていた。
しかし、性についてだけは非常識と言えるくらいには奔放で自堕落で、即物的だ。

要するに、兄弟で一番の問題児。
これは自他ともに認めている。

身長は175cmと平均より少し高く、均等のとれた身体と、職業柄短髪の見た目は硬派に見える為、タチとして誘われる事も少なくないけれど、小学生の頃から始めた剣道で身についた所作やしなやかな筋肉からの色気は雄を刺激し、ネコとしてもお誘いが絶えないでいる。
人志はマグロでいれて気持ちの良いネコの方が好きではあるが、タチでも複数でも、正直気持ち良ければ何でも良いと思っている。

ある意味、淫魔として兄弟で一番、本能的に生きていると言えなくもない。

それでもやはり、越えてはいけない一線。
多少の倫理や多少の道徳は無視しても社会的、法律的に越えてはいけない境界線。
職業柄、踏み込んではいけない領域くらいは判断できると思っている。

そう、思っていた。

その日、人志は泊まり勤務明けだった。
久しぶりの、余程の事がない限り呼び出しのない非番。
そして翌日は完全なる休日。

何の悪戯か、先月異動になった管轄は相変わらず実家からは遠く、市内中心部のうえに、配属先は繁華街の交番だった。
管轄内では遊ばないと決めている人志にとって、勤務地がパラダイスとは地獄である。
特に繁華街の交番なんて最悪も最悪だ。
毎日毎日開店前の楽しいお店に顔出し様子伺い挨拶回りに、営業中は桃色パラダイスを横目に不審者探し。
青姦と遭遇した時の混ざりたい本音を押し殺す作業は人志にとって苦行でしかない。

大通りから裏通小道に通り抜けようの細道、大きい店から小さい店まで覚える事は山程ある。
一通り暗記し上司にも管内知識レベル新人扱いから半人前扱いへと昇格した記念に、人志は管轄外の繁華街へと繰り出した。


「いらっしゃいませ。当店は初めてでしょうか」
「はい」


性について、一番奔放でだらしがない問題児と自負もしている人志は、その分、利用する店や周辺のホテルのリサーチには余念がない。
客層や評判に本人確認の有無、セキュリティー面と個人情報保護の徹底は勿論、経営の元締めが暴力団である事も多い業界の為、念には念を入れて調べ上げる。

人志が一番恐れている新聞の見出しは『現役警察官!暴力団経営ハプニングバーで未成年と淫行!』である。

そんな人志が入念にリサーチした結果、新たに選んだ店は五年前にオープンした会員制ハプニングバー『Ren』。
過去に事件に関わった記録はなく、個人情報の流出も見受けられない。
一番の決め手は、SNSでも公式サイトに掲載されている以上の情報も写真も見つけられない事だった。

ココだけの話。
親族が経営しているハプニングバーもあるにはるのだが…安心安全と言えども、流石にお互い居た堪れない。
淫魔と言えども、半分は人間。
それなりの羞恥心は持ち合わせている。


「それでは会員証を発行いたしますので、運転免許証の提示をお願いいたします。番号は控えさせていただきますがよろしいですか?」
「同意しない場合はどうなりますか?」
「残念ながら当店のご利用はお断りさせていただきます」
「安心しました。お願いします」


入店早々、ハイクラスホテルのバーにでも来たのかと錯覚をした。
薄い扉一枚で、世界が区切られた錯覚。

正直、人志の綺麗めとは言えシャツとスラックスと言うラフな格好は店内の雰囲気から浮いていた。
ハプニングバーにドレスコードを求めるなと思う気持ちと、ある程度の客層を自然と振り分けている店の方針に感嘆する気持ちとが相反した。

実際にはドレスコードは存在していないので、客側の心構えの問題ではあるのだけれど。

店内は落ち着いたクラシックが流れ、重厚感のある欧州風の内装にアンティーク調のインテリア。
店員はカッチリとしたバーテン服に身を包み、相手をリラックスさせる接客に姿勢も美しかった。
運転免許証を受け渡す際、微かに触れた指先は綺麗に整えられていて好感度が上がる。


「ありがとうございます。それではコチラをご一読いただき同意書にサインをお願いいたします」
「コレは…」
「全てのお客様に安心安全に当店をご利用いただく為、店内行為についての確認事項と守秘義務及び記録媒体使用不可の規約と罰則についての同意書です」

ふわり、と表現できる笑みにも関わらず有無を言わせない圧を感じる。
この店は信用できる、と人志は確信した。
久しぶりに思い切り楽しめる場所を見つけて胸が高鳴る。


「ここまでされているお店は初めてです。本当に、きちんとされているんですね」
「おかげさまでお客様にも恵まれています。コチラが会員証と同意書の控えです。それでは簡単に当店のご案内を、」


受け取った会員証が意外にもポイントカードのように平凡で、人志が少し驚いていると店の扉が開いた。
今まで人志の対応をしていた店員が扉に視線を向ける。
人志も釣られるように手元に会員証と同意書の控えを持ったまま、視線を移した。
スーツ姿の男が一人、立っていた。


「マスター。こんばんは」
「青葉(あおば)様。いらっしゃいませ。申し訳ございませんが、少しお待ちいただいても?」


なるほど、マスターだったのか。
一人納得している間に、マスターは人志に一礼してからスーツの男を出迎えた。

人志よりも随分と高い身長。
目線の位置からして、190cm程度だろうかと兄弟で一番背の高い佳樹と比較する。
一見して鍛えている事がわかるスタイルも酷く魅力的で、熱い胸板にフィットしたスーツはオーダーメイドである事が一目瞭然だった。

ーーー美味しそう

人志は条件反射のように口内に唾液が溢れるのを感じた。

アレは絶対に美味しいに違いない。
絶対に美味しいなら、食べてみたい。
食べてみたい…絶対に、食べたい。

故意に視線を交じわらせ、溢れ出る唾液をわざと見せつけるように飲み下して、人志は舌舐めずりをした。
ニヤリと、スーツの男が笑う。


「構わないよ。彼は今夜が初めて?」
「はい。先程、ご登録いただいたばかりです」
「私が案内しようか?勿論、君さえ良ければ、だけど。コレでも古参なのでね」


先程の笑みとは違い、ニコリと爽やかに微笑まれ、人志は苦笑いで返した。
ハプニングバーは初めてではないし、このままプレイルームへ直行するなんてのはよくある事だ。
けれど、新参者である以上、念の為の確認の意味も込めて、マスターへと視線を戻す。
郷に入れば郷に従え、である。


「田中様がよろしければ、問題ありません」
「では、お願いします」


自然と腰に回された腕に、人志は自分の手を重ねた。


「ココは受付兼バーカウンター。バー利用だけの時や待ち合わせに使う。この先がプレイルーム。プレイルームは中で複数人プレイ可能な区画が分かれているから気をつけて。左奥にシャワールーム。右奥はVIPルームで予約制の個室。基本的に見たり見られたりする場だけど、見られたくない時や相手に集中したい時は右奥のVIPルームを利用する人が多いね」
「貴方も、VIPルームを使う時があるんですか?」
「それは、私を誘っているのかな?」


腰に回されている腕に力が入る。
人志はソレに気がつくと、重ねている手をスーツの男の指先へと滑らせた。


「貴方こそ、俺を誘ってますよね?」


指先で相手の指の隙間を撫でる。
視線を上げて、目を離さないまま指を絡めた。

スーツの男は、満足そうに頷くと腕を解いた。


「マスター。VIPルームに空きはあるかな?」
「今からですと…二時間でしたら、ご利用は可能です」
「では手続きを頼むよ」
「かしこまりました」


マスターは表情を変えない。
スーツの男は愉快そうに目を細め、人志は久しぶりの美味しそうなご馳走に喉を鳴らした。


「私は青葉」
「俺は人志です」
「名前で呼ばれたい?」
「田中って苗字は、雰囲気台無しでしょ?」
「それは、そうだな」


一般的な人間の食欲に例えると、目の前に、食べた事はないのに美味しいとわかる物が並べられている感覚。
今ココでスグに食べないと、もう二度と食べられないかもしれないと言う焦燥感。
手を伸ばせば食べられるなら状況なら、手を伸ばすのが大多数だろう。


「貴方の名前は?」
「私の名前は聖(せい)だよ。聖夜の聖。こっちこそ、雰囲気台無しだろう?」
「それは、そうですね」


クスクスと笑って、アルコールも性液も摂取していないのに随分と気分が良い事が人志は不思議だった。
いつもは、アルコールや性液を摂取してからフワフワと気分が良くなる。
次男の文人(ふみひと)には『馬鹿になってるだけだ』と言われ、四男の佳樹には『ギャップ萌えが過ぎるから気をつけて』と言われる。

今日はまだ、どちらも摂取していない。


「私の上に跨って」
「はい」


マスターから渡された鍵を受け取って、青葉は慣れた手つきでVIPルームへと人志を招く。
品の良い調度品は、ワンランク上のホテルの一室を思わせた。
室内には専用のバスルームも完備されている。

ソファーに深く腰掛けた青葉の上に、人志は言われるがまま跨った。
青葉の手が、人志の腰を撫でる。
条件反射か人志の体が大きく跳ねた。

フワフワと気持ちの良い感覚が襲ってくる。
人志はソレが不思議で、堪らなくて、惹き寄せられるように青葉の首筋に顔を埋めた。
フワフワが強くなり、クラクラと人志の思考を奪っていく。
まるで、いつもの行為の真っ最中のような感覚。

人志の髪が青葉の首筋を撫でる。
ソレが酷く子供っぽい行為に感じられ、青葉には焦ったい。
煽っているのか、無意識なのか…青葉は少しだけ思案して人志の頭を撫で、耳元に唇を近づけた。


「自分で脱いで見せて」
「脱がして、くれないんですか?」


また、青葉が笑う。
人志は小首を傾げて、口を小さく開く。
赤い舌がチロリと今度は意図的に青葉を誘うように動いた。


「君は、慣れているね」
「君じゃなくて、人志、です」
「そうだね。…人志、くん」


三十路を過ぎて、くん付けされるとは人志も思っていなかった。
けれど、少しもソレは嫌ではなく、不自然さもなく…ただただムズ痒い。

絡んだ視線に心臓の音が高く鳴った。

後頭部を押さえつけられ、人志は青葉と唇を重ねる。
期待に満ちて薄く開いた人志の唇に、青葉が噛み付く。
甘噛みされ小さく漏れた声を押し込めるように、熱い舌が人志の口内を貪り始めた。
青葉の唾液と熱い舌に口内を蹂躙され、人志の思考はフワフワとクラクラが増してくる。
もっと欲しい、もっと、もっと、と気持ちが逸る。


「っんん、…ぁ、はぁ…、もっ、と」
「ははっ、強欲…っ、だな」


青葉の腕に縋り付くように、人志はもっと、と繰り返す。
青葉は人志の要望を満たす為に、再び薄く開く唇に喰らい付いた。
赤い人志の舌先と、熱い青葉の舌先が触れ合ったかと思うと、ソレは磁石のよう引かれ合い、絡み合う。
グチュグチュと遠慮のない唾液が交わり、お互いがお互いに交わしきれない唾液が溢れる。
糸を引く唇を離し、青葉は人志のシャツに手をかけた。
人志は先に自分のベルトを緩めると、青葉のベルトへと手をかける。

くすくすっ、と青葉が笑った。


「即物的だね。好きだよ。そういうの」


人志の腰を持ち上げ、青葉は器用に人志のスラックスを脱がす。
既にシャツを脱がされた人志は、今はボクサーパンツ一枚の姿になっていた。


「青葉さん、舐めさせて」


ワイシャツのボタンとベルトを外されただけの、まだ乱れているとは言いがたい青葉の前に、ボクサーパンツ一枚の人志が跪く。
青葉の両足を左右に少し開いて、その間に体を滑り込ませた人志は慣れた様子でスラックスのチャックに歯を立てた。
青葉の匂いが、人志の鼻腔を擽る。
薄いピンク色の唇から覗く白い歯がガッチリとスラックスのチャックを噛んでいる様は、青葉の加虐心を煽った。
手を伸ばして、人志の髪をクシャクシャと崩すと、見上げてきた人志の唇を親指の腹でなぞった。


「味見程度で頼むよ。逝くなら、人志くんの中で逝きたいからね」


青葉の低い声が、人志の耳を犯していく。
ゾワッと背筋に電流が走ったように、駆け抜けていく。
まるで初めての、初心な子のように、人志はボクサーパンツを濡らした。


「上手だね。人志くん、は」


ピチャピチャと、水音にも似た音が室内に響く。
反り勃った青葉自身に合わせて、人志は膝立ちになっている。
くぐもった声と、何かを飲み込むように嘔吐(えず)く人の気配。
人志の頭は前後に緩やかに動き、躊躇なく根元まで咥え込んでいる。
今や用のない両手は条件反射で閉じようとする青葉の太ももを押さえつけていた。

貧欲に施される人志の口淫に、青葉は眉を寄せる。
開ききっていなかった喉の奥が開かれ、スルっと嘘のように青葉の自身が飲み込まれた。
細く熱い人志の咽頭内で、ソレは一回り大きくなる。

青葉の呼吸が荒くなった。


「っ、そこまで、だ。人志、くっ」


短く息を吐いて、青葉は自身を口いっぱいに頬張る人志の頭を再び撫でる。
人志はチラリと青葉に視線を向けて、見せつけるように口を大きく開ける。
隙間なく青葉自身で埋め尽くされた口内の奥深く、下り坂に飲み込まれた先が震えた。
そのまま舌を器用に這わせ裏筋を撫で上げながら、更に喉の奥で締め付ける。
一心不乱と言えなくもない姿に、青葉はミルクを必死に舐める、腹ペコの子猫を思い出す。
けれど、腹ペコの子猫ほど人志に純粋な可愛さはなかった。


「っ、んん」
「人志くん!」


青葉の焦った声が聞こえているのかいないのか、人志に口を離す気配はない。
無理矢理引き剥がそうと、青葉は人志の両肩を押し返すが、驚くほどにびくともしない。
青葉の必死な形相とは対照的に、人志はうっとりとした表情で青葉自身を咽頭の奥で締め上げる。


「んふ、ふふっ、」
「ひ、とっし…くんっ」


先走りが咽頭を伝って食道へと流れ落ちる。
粘膜を通じて感じる直接的な性液に、人志の瞳がとろん…と、溶けた。


「ひゃおばひぁんっ、くだひゃぁい」
「な、に、ぃっ!?」


咽頭は狭められ、吸い込まれる感覚は強くなる。
人志は青葉の全てを吸い尽くす勢いで、飲み込んでいく。


「人志くんっ!もう、離せっ」
「ぃゃ、だひぃて、ひゃおばひゃん」
「っ、く、そっ…!!」


溶けた瞳で青葉を見上げて、切なく強請るくせにキュンキュンと音がしそうな程に咽頭奥に誘い込む。
耐えかねた青葉は人志の後頭部に両手を回すと、そのまま自身の方へと抱き抱えるように押しつけた。


「ひぃ、ぐっ!んんん!」


人志が声にならない声をあげる。
けれどソレは悲鳴ではなく、歓喜のように聞こえた。


「ッ、出すよ」


青葉の声に、人志が首を縦に振った。
同時に、青葉は人志の咽頭奥に吐精した。
長く続く吐精に、人志は苦しむ様子もなくゴクゴクと青葉の性液を飲み下していく。
最後の一滴まで搾り取るように、人志は青葉自身に更に舌を絡めていき切先に唇を這わせ吸い上げた。
惚けた表情の青葉が、人志の後頭部を押さえつけたまま動きに合わせるように腰を打ちつける。
何度か残りを吐き出すように吐精をした後、青葉は両手で人志の頬を包むと、上を向かせた。

不満気な顔で、青葉は人志と視線を合わせる。


「あおば、さ、ん?」
「っ…悪い」


それだけ言うと、青葉は意識を失った。
人志は慌てて、青葉をベッドに寝かせる。
顔色は青白く、体も冷たくなっていた。


「え!?あ、青葉さん!」


呼びかけても反応はなく、呼吸も荒い。
人志は一先ず室内の暖房を最大にする。
ベッドのシーツだけでは心許なくクローゼットにあったブランケットとバスローブを重ねて青葉を包んだ。

そうしてようやく、深呼吸を数回繰り返した所で、ポロポロと涙が溢れてきた。
ポロポロと止まらない涙を零しながら、人志は歪む視界のままスマホを手に取った。
発信履歴の一番上。
鳴らした電話は、数十コール後にようやく相手が出た。


『うっせーよ人志!俺は仕事中っ』
「幸彦(ゆきひこ)!食べ過ぎた!」
『は?』


不機嫌さを隠そうともしない電話の相手は國定(くにさだ)幸彦。
田中四兄弟の再従兄弟(はとこ)で人志と同い年の悪友である。


「本当なんだ…凄い美味しいって思う匂いがして、そんなの初めてで、そしたらもう欲しくて欲しくて」
『とりあえず落ち着け。はぁ…で、何回したんだ?』
「フェラしかしてない」
『は…?相手、何回逝った?』
「長かったけど…一回だけ」
『………』


電話の向こうが静かになる。
人志は頭を抱えている幸彦の姿を想像したのも束の間。

微かに聞こえた音は、麺類を啜る音だった。


「幸彦!?何食べてんだよ!??」
『え?社食の肉うどんだけど』
「そうじゃなくて!死活問題なんだよ!?現役警察官ハプニングバーで同性相手に失神プレイとか書かれる!」
『そうなる前に懲戒免職なんじゃね?』
「やめろぉぉぉ!だから、そうならないように電話したんだろ!?」


いつの間にか止まっていた涙が再びポロポロと溢れてくる。
唯一の憧れだった警察官になって、ようやく巡査部長になった矢先に…懲戒免職。
想像しただけで、胸が締め付けられた。
人志は思わず、自分のシャツを握りしめると振り返って背後で眠る青葉を見た。

心なしか、顔に血色が戻っている気がする。


『安心しろ。お前の話だと、食べ過ぎとは考え難い。相手の体調が悪かったか、相性が良過ぎたか』
「相性?そんなのあんの?」
『あ~、ソレについては親父に確認しとく。今はお前の唾液でも飲ませとけ。それで回復するだろ』
「わかった。ありがと」


少し濁された会話の内容は、けれど人志にとっては目の前の気を失っている青葉の方が重要だった。
新聞の一面と懲戒免職だけは免れたい人志は幸彦に言われた通り、青葉に唾液を飲ませるべく唇を重ねようとベッドへ乗り上げる。
控えめに体重を預けて、両手で青葉の頬を包む。
顔を近づけて、チロチロと赤い舌で青葉の唇を舐める。
反射的に少しばかり開いた隙間から舌を滑り込ませ、人志はせっせと唾液を絡めた。


「…ひとし、くん?」


目を覚ました青葉が最初に見たのは、自分を抱き枕のようにして寝る泣き腫らした顔の人志だった。
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