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【BL】三男:充(みつる)の性活【R18】

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三男の充(みつる)の恋人は、クズである。
誰がどう見ても、クズである。
淫魔(人ならざるモノ)から見ても、クズなのだから本当の正真正銘のクズである。


「なんで別れないかな」
「俺には理解できない」
「充兄(みつにい)はもっと自分を大切にした方が良いよ」


充は苦笑いしか返せない。
恋人であるから、好きと言う感情はあるし、ずっと一緒にいたいと思わなくもない。
視線が絡むとドキドキするし、壊れ物のように触れてくる指先には愛しさが込み上げてくる。


「ひぃっ、あ!あ、ぁっ!」
「すげー締まるっ」
「可愛い声もいいけど、俺の方もご奉仕してもらおうか」
「ふっ、ん、ぐっ、ん!」


あまり表情は変わらないけれど、時折見せるふわりと微笑んだ顔が好き。
拗ねた時は薄い唇を少しだけ震わせて可愛い。
悲しい時は、表情は変わらないのに震える手が痛々しくて、抱きしめたくなる。
怒った時は泣きそうな顔をするのも可愛いけど、あまり見たくない。

胸がチリチリと痛むから。


「ほら腰、もっと上げろ」
「うっ、ん!ぅ、んっ!お、ぐっんん!」


背後に陣取る男が、充の腰を容赦無く持ち上げる。
反動で男との結合部分が深くなり、乱暴に根元まで咥え込まされた秘部からは、ぐちゅりぐちゅりと音が鳴り、ガツガツと打ち付けられる男の腰使いに、充は口で咥えていた別の男の自身を放してしまった。


「あー、咥えてなきゃダメだろ?まぁ、いいか。コッチも弄ってやるよ」
「ぃっ!あ、あっ…だ、め!ああっ」


男は前屈みの体制で器用に充の胸に両手を伸ばす。
ぴくんっと立ち上がっている乳首を摘むと、くりくりと指の腹で愛撫を繰り返し始めた。
充の腰の位置が更に高くなる。
悶える充に、男は気を良くした様子で乳搾りの要領で充の胸全体を弄ぶ。


「胸、気持ちいいなぁ」
「ぁっ、や、めっ、あ!い、ぁ!」


ぎゅっ、と絞り切った刺激に充が逝く。
その内壁の締まりに、挿入していた男も呆気なく充の中に吐き出した。


「くっ………はぁ、逝っちまっただろーが」
「次、俺が挿れる番な」


ずるりっ、と抜け落ていく感覚に充が震える。
そんな充にはお構いなしに、胸を弄っていた男は片手を引くと乱暴に仰向けにした。
開かされた両足と、割り込んでくる男に充は顔を引き攣らせる。
けれど、ソレすらも男を煽る要因にしかならず、男は猛りきった自身を性液でぐちょぐちょの秘部に充てがった。


「まっ、て、ぃ、逝った、ばっ、ああっっっ!!!」


充の言葉を最後まで待たずに、男は一気に奥まで突き入れた。
敏感になっている充は、ソレだけで中逝きを繰り返す。
内壁は激しい収縮を繰り返し、自分勝手に欲望をぶつける男を更に喜ばせた。
充の白い首が、ひくひくとひゅーひゅーと音を鳴らす。


「はぁー、すげぇー痙攣してんの」
「ぁ、あ、ぅ、あっ、ぁ、あー、」
「中逝きしちゃって、可愛い」
「やべ、俺もまた勃ってきた。責任とって、お口で飲んでくれよ」
「んっぐ!んん、ぁ、ふぁっ」


仰向けの充の顎を抑え、最初に挿入していた男は今度は充の口に自身を押し込む。
気道が綺麗に開かれ、男の自身は奥へ奥へと入り込む。
充は息苦しさから涙が溢れる。
下世話な笑みを浮かべた男二人は、より深く充を犯していった。


「ヤベッ、もうすぐ時間じゃん」
「延長すればいいだろ?こんなに具合がいいんだし」
「ここ、延長ねーんだよ。だから、一気にいくな」


ごりっ、と内壁の奥を重く突かれ充が悲鳴をあげる。
ぎりぎりまで引き抜かれ、突き入れられる挿入に充は甘逝きを繰り返す。
秘部が抉られるような刺激と、ソレに合わせて無遠慮に動く口内の男の自身に喉の奥まで貫かれる。

男二人の逝き声を聞きながら、充の視界は白く弾けた。


「ぃっ、ぁ、ぅっっっー…」


どうしてこうなったのか、原因に心当たりがないと言えば嘘になる。
多分、きっと、いつかのタイミングで見たり、聞いたりしてしまったんだと充は思っている。

充の恋人は、佳樹と同じ大学に通っている。
新入生代表を務めていた事から、面識はなくとも佳樹の記憶にも残っていた。
経営学部の大川健人(おおかわたけと)。
大企業大川コーポレーションの創業一族で読者モデルもしている。

新入生代表と言う事は、主席であって。
大企業の創業一族と言う事は、大金持ちであって。
読者モデルをしていると言う事は、眉目秀麗であって。

要するに、一般的にはハイスペックな恋人だと言われる筈なのだ。


「充さん。大丈夫?」
「健人…お風呂」
「うん。その前に、漏れちゃうから栓しとこうね」
「ひゅぅっ、ぁっ、ん、ん」
「プラグで甘逝きしちゃったね。でも、少し我慢して」
「ふぅ、ぅん」


優しく抱き抱えられて、風呂場に運ばれる。
そのまま、ゆっくりと湯船に沈められ、歯磨きセットを手渡される。
健人が入浴の支度をしている間に、充は歯磨きをすませる。
健人が戻ると、歯磨きの仕上げをされる。
そしてそのままシャンプータイム。
シャンプーが終わると、一人の湯船が二人の湯船になる。


「もう少し、温まったら、顔と体を洗いましょう」
「うん。今日の匂い好き」
「朝摘みオレンジのオイルです。うちの試供品ですけど、気に入ったのなら貰ってきます」
「うん。これ、好き」


ほわほわと茹っていく。
ふわふわと湯船のお湯に溶かされる。


「そろそろ、顔と体を洗いましょう。充さん」
「う、ん」


顔を洗われるのは好きだけど、体を洗われる時間は好きじゃない。


「プラグ、抜きますね」
「っあ、ぁ、っ」
「いっぱい出してもらいましたね」
「たけ、と」
「しっかり、綺麗にしましょう」


プラグは引き抜かれたまま、パクパクと動く秘部は勝手に浅い部分の性液を吐き出していく。
流れ落ちていく性液を見つめながら、健人は両手で洗顔を泡立てる。


「目、瞑って」
「ん」


きめ細やかな泡が、充の顔を包む。
泡で洗うのが摩擦が少なくて肌に良いそうですよ、と楽しそうに笑って健人が言ったのはいつだっただろう。
多分きっと、初めて健人に見知らぬ男達の相手をさせられた時だ。


「流しますね」
「うん」


サッパリとした心地と、健人の温かい手の感触に頬を擦り寄せる。
健人は充の両頬を優しく包んで、鼻先に触れるだけのキス。
そして、視線を絡めて唇を重ねた。


「良かった、充さんの味がする」


健人のいつもの台詞には、充はなんとも言えない気持ちになる。

ソレを追い出すように、舌先を触れ合わせて、軽く吸い合う。
溢れ出る唾液は無視をして、充は舌を絡める事に夢中になり、健人は顎を伝う唾液を啜った。
充の体から力が抜ける。


「体を洗いますね」
「…ん」


健人はボディーソープを両手で温めてから、充の体を滑っていく。
体全体にボディーソープを塗り終わると、首筋から順番に充の体を綺麗にしていく。
優しく撫で上げられる感覚に、充は震える。


「あぁ、痕がついてるね」
「っ、たけ、と」


鎖骨の辺りを、健人の手が何度か往復する。
爪を立てられ、充は声を上げた。


「少し、我慢してください」
「っんん」


健人は痕を見つけるたびに、目印をつけるように場所を記憶するように爪を立てる。
男達の愛撫が激しい場所程、健人はより丁寧に執拗に洗う。


「中、洗浄しましょうか」
「…う、ん」


この洗浄が、充は特に嫌いだった。
人間ならセックスの前後に必要だと知っているけれど、淫魔の自分には必要がない。
中出しされたって、お腹を壊す事はない。
逆に、中出ししてくれないとせっかくの摂取効率が下がる。
すぐに掻き出されるのも勘弁してほしい。

その点、健人は何も知らないくせに、充の都合の良いように世話を焼いてくれる。

何も知らない筈の健人と、何も話していない充。
充は、淫魔である事を健人に話していない。
隠す、と言うよりも話す必要性を感じなかった。

必要性なんて考えずに、話しておけば良かったと、充は最近、思っている。


「綺麗になったら、今度は俺が頑張りますね」
「…ん」


当時、健人と付き合うようになって一ヶ月。
充は健人以外から精気を摂取していなかった。
次第に健人は疲れが取れなくて、と慢性的な倦怠感を訴えるようになった。
充は充で顔色が悪く、よくふらつくようになった。
お互い体調が悪いから、週末はゆっくりしようと健人の大学で待ち合わせをしていた。

学生の出入りの少ない南口の玄関で、充は四男の佳樹と久しぶりに顔を合わせた。


「充兄」
「あ、よし君、久しぶりだね。元気だった?最近、実家に帰れてないから、」


充は随分と背が高くなった末っ子の佳樹の頭を無造作に撫でる。
佳樹も条件反射の様に、少しだけ頭を傾けて甘んじて受け入れた。
何度目かの往復の後、佳樹が顔を上げた。


「充兄。大川、倒れたよ。今朝」
「え…、聞いてない」
「はぁ。貧血って事で、午後の授業は出てたけど…。二人とも、限界だってわかってるでしょ?」


充は両目を見開いて、それから佳樹の視線から逃げる様に俯いた。
少しの動揺を誤魔化す様に、サイドの流れ落ちた髪を耳にかける。


「わかって、るよ」
「わかってるなら丁度良いや。今日の臨時バイトダブルブッキングしてたんだよね。こっち充兄が行ってよ」
「あ、いや、今日は」


逃げる様に言葉を紡ぐ充の腕を、佳樹が掴んだ。
ぎゅっ、と掴まれた腕が思いのほか痛くて充は顔を顰める。
佳樹はソレにはお構いなしに、口調を強めて戸惑っている充を捲し立てた。


「いくら綺麗事言ったって、セックスしなきゃ生きていけないんだから仕方ないだろ!」


佳樹は、まだ他人を好きになった事はない。
充も、つい最近までは佳樹と似た様なものだった。
それなのに、他人を好きになってから充の体調はどんどん悪くなっていく。
あれだけベッタリだった次男の文人とも距離が生まれていた。

佳樹は其れ等、全てが気に入らない。
駄々を捏ねているのは、充なのか佳樹なのか、もうわからなかった。


「………腕、痛いよ。よし君」
「あ、…ごめん。その、違うくて…俺は、充兄が大切なんだよ」


酷い事を言った、と佳樹にも多少の自覚はあった。
事実でも、もう少し言い方があっただろうとも思った。

充の青白い顔が、更に白くなった気がして佳樹は唇を噛んだ。


「わかってるよ。ありがとう、よし君。健人には遅れるって、連絡を入れておくよ。それで場所は」
「…同じ方向だから、途中まで一緒に行く」


微笑と言えば聞こえは良いが、力のない充の、諦めた様な笑みに佳樹は息が苦しくなる。
どうしようもない事実を、どうしようもない現実で無理矢理に突きつけてしまった。
全身で後悔しています、と語っている佳樹の背中を見て、充は自分の不甲斐なさに溜息を吐いた。

佳樹の言い分が正しい事は、充も理解はしている。
理解はしているけれど、半分だけある人の心がソレを拒む。
本当の割合なんて、わからないけれど。

健人には短いLINEを送った。


「よし君。この依頼って、ピュアなの?爛れてるの?」
「カップルからの3P依頼は多いよ。今日はネコの子の童貞卒業が目的」
「童貞卒業は大事だね。うっかり妖精になっちゃうから」


ははは、と乾いた笑みを浮かべて充が冗談めかして言った。
けれど、事実である。
実際は死後に、稀に生前に本当に妖精になるパターンがない事もない。

佳樹は努めて明るく振る舞う充に、素朴な疑問を投げかけた。


「…充兄。そんなに大川が大事なら、何で全部話して契約しないの?」
「一度契約したら解除出来ないでしょ?」
「出来るよ、契約者が死ねば」
「ふふふ。本当に、よし君は時々悪魔的思考だね」


今度の笑みは、普段の充の笑みだった。
佳樹は少し安堵する。


「俺的には家族が優先だから他人なんて知らないし、あ、充兄はこの部屋。鍵はかけてね」
「うん」
「あ、…あのね、充兄」
「大丈夫。ありがとう。よし君」
「うん。その、久しぶりだし、楽しんで」


結局のところ、充は楽しんだ。
淫魔のスイッチが入ってしまえば、後は単純だった。
依頼人も真面目にネコの子の童貞卒業を願うカップルで、可愛らしかった。
少しばかりの実技講習も追加して、充は久しぶりにお腹いっぱいに潤っていた。
依頼人のカップルを残して、部屋を後にしようと扉に手をかけた瞬間、充は冷や汗が出た。

部屋の鍵は壊れていたらしく、締めたはずが締まっていなかったのだ。

多分、きっと。
健人は、あの時のソレを覗いてしまったんだろうと充は思っている。
あの日以降、健人は自分が用意した見知らぬ男達に充を犯させている。


「まるで親鳥だね」


程よく日光で温められたベンチの上で、充は数ヶ月前の事を思い出していた。
今日もこの後、健人は見知らぬ男達に充を犯させる。
その為の待ち合わせに、充は少しだけ気が重かった。

そんな考えを知られているのか、充の顔を覗き込んできた男の視線は冷たい。
充は何を言われているのか、最初わからなかった。


「…えっと、どちら様ですか?」
「大川の友達」
「………」


当たり前の事の様に言った男は、真顔で充の隣に座る。
突然の事に言葉が見つからない充を置いて、男は呆れた様に笑って言った。


「獲物を毎日せっせと届ける姿は献身的なのに、クズ呼ばわりされてるなんて滑稽だと思って」
「健人が言ったんですか?」


男の言葉に、充が眉を寄せる。
決定的でないにしろ、男が何を言おうとしているのか充には理解できてしまった。


「私は少しだけ、君に近い存在だから原理を知っている。だから大川も毎日届けるんだろうよ」
「何を言って」
「頭の回転が速い奴のする事は、気持ち悪い。問題を無視して回答だけ置いていく」


盛大にわざとらしく、ため息を吐いた男の隣で、充は顔色を青くしていた。
ふるふると唇は震え、いつの間にか冷や汗が額に浮かんでいる。


「知って、たの」
「私は何も言ってない。ただ、大川は本来、恋人を他人と共有する趣味はないし、お金も必要ない」
「………」
「ちゃんと言ってやってよ。契約の事まで込みでね」


男が充にハンカチを差し出す。
反射的にソレを受け取ると、充は額の冷や汗を拭った。
男は相変わらず冷たい視線を充に向けている。

充の頭の中はぐちゃぐちゃだった。


「え…。充さん、と、安田(やすだ)?」


小走りで駆けてくる健人を、視界に入れる事が充には出来ない。
安田と呼ばれた男は、健人がコチラに辿り着く前にベンチから腰を上げた。
充は俯いたまま、地面を見ていた。
その視界に健人の靴が、ゆっくりと入り込む。


「世間話してた。じゃーな」
「おー。あ、安田!明日、レポート居残りだからな!」
「覚えてるよー」


安田の声が遠くなる。
聞き慣れないタメ口の健人が、何故だか少し充は怖かった。

相変わらず頭の中はぐちゃぐちゃだったけれど、もう逃げられない事は理解できていた。


「充さん、お待たせしました。今日は遅めの時間なので、先に本屋行きます?それとも飯に」
「………る」
「え?」
「帰る」
「は?え、充さん?」
「健人も、一緒に、…帰ろ」


充は精一杯の強がりで、健人の手を引いた。


「………」
「………」


道中はお互い無言だった。
充は健人の手を引いて、ズンズンと足早に進んでいたし。
健人は常とは違う充の様子に混乱していた。


「あの、安田に何か言われました?」
「………」
「あいつ、ちょっと変わってて色々と、悪気はないんですけど、」
「………」


健人のマンションに辿り着いて、エレベーターに乗り込むとようやく健人は口を開けた。
けれど、充は言葉を返してくれず健人は途方にくれる。
再び無言のまま、健人の部屋に辿り着き、慣れた手つきで充は合鍵を使った。

手を引かれたまま、健人は自分の部屋へと連れ込まれた。


「僕が淫魔だって、安田って人に聞いたの?」
「………ソレは、俺の推測です。ヒントは、まぁ、安田からですけど」
「むかつく」
「えっ、ちょっ、充さ」


買い換えたばかりのダブルベッドに押し倒されて、健人は反射的に起きあがろうとする。
意外にも力強く押さえつけられた身体は身動きが取れず、充の顔を見上げるしかなかった。

あぁ、泣きそうな顔。


「僕は、もうずっと健人だけが良かったのに。健人だけと、したかった」
「俺もですよ!でも、それじゃダメだって」
「聞いてたの…」
「俺の方が先に待ち合わせ場所にいたのに、気づかないから…。充さんが、知らない男達とセックスしてるの見て、だからせめて俺が手配して、」
「縛り付けたくなかったんだよ。契約すれば、問題は解決す、る…っえ、わっ!」


溜息を吐く様に充が話す。
その間、力が弱まった一瞬の隙を、健人は逃さない。

腹筋に力を入れると、無理矢理、上半身を起こした。
驚いて暴れる充を抱き込んで、健人は押さえ込む様に腕に力を込める。


「それなら!契約してください!」
「契約したら…どちらかが死ぬまで契約は解消されないんだよ!健人は僕と残りの人生全部、一緒にいるの?」


どんどんと尻すぼみになっていく充の声を拾いながら、健人は腕の中にいる充の表情を盗み見た。
静かにポロポロと涙を流して、声を押し殺している。
健人はたまらなくなって、その顔を両手で包んだ。


「いますよ!当たり前じゃないですか!」
「バカじゃないの」
「俺は親族に報告済みです。卒業したら然るべき制度で一生を約束すると話してます」


健人の言葉に、充の両目が見開く。
ポロポロと溢れていた涙が、じわじわと頬を濡らし続ける。

健人はその涙を、優しく拭った。


「………」
「充さんこそ、どうなんですか?」


返事のない充を急かす様に、健人は充の涙を拭いながら言った。
充は少し考えて、止まらない涙は無視をして、ただ健人の瞳を射抜く様に見上げていった。


「嫌い」
「…え」
「大嫌い!」
「充さ、」
「健人の!そう言うところ…勝手に一人で全部完結させるところ!」
「………」
「でもごめん、ね。最初から、きちんと話していれば良かったんだ」
「充さん…俺も、ごめんなさい。もう一度、最初から始めませんか?」


健人の背中に、充が腕を回す。
腕の中にいる充が、顔を上げた。


「僕には、淫魔の血が混じってるけど、健人が好き。健人以外としたくない。だから、僕と契約して欲しい」
「充さん、俺も充さんが好きです。ずっと一緒にいます。だから、俺と契約してください」


後日、四兄弟のグループLINEにクズと契約しました、と充が投稿した。
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