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第1部

その26 めんどくさい女

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ここからはルッソがキチガイになった振りをし私は本来の悪役令嬢として演技をすることになった。
まあ、どこまでやれるかは知らんけどね。


「ルッソ様ぁ~ 実はぁ~ルッソ様のためにぃクッキーを作ってきたんですよぉ~ 食べてください!」

そう言って極悪ヒロインことコゼット・マーブルはピンクのリボンの付いたハート柄のラッピングをルッソの前に差し出した。

ここから私の悪役令嬢としての演技が始まるのか、よしやるか。

「ちょっとそこのあなた? 無礼ではなくて?」

「……ひゃあっ! リリアナ様っ! 居たんですか?」

こいつ今私を睨んだな、つーかいたこと分かってなかったんだな「居たんですか?」なんて聞いてくるあたり、どんだけ恋は盲目してんだこの頭の中お花畑女フラワー・フィールド・ガール

「ていうかぁ~何がぶれーなんですかぁー?」

何だこの舐めきった態度良かったねここにルッソがいなければ弁慶の泣き所…脛を思い切り蹴ってやるんだがな、非常に残念だあーあ、ガッカリだー、まあやらんけど。


「あなたは言葉使いがまずなっておりませんわ、あなた選択授業でマナー座学を受けておりませんの?
平民は必ず受けなければいけない選択授業ですのに、何を怠けてダンスの方を選んだのですか? レディーはまず言葉使いに始まって言葉使いに終わりますわ、正しいルドルミー語を使わないと他国の方々に笑われてしまいますわよ」

まあ、要約すると「遊んでばっかいるんだったらその態度をどうにかしろ」ってことさね。

「酷いです! 私が平民だからって差別するのですね…」
「は?何が差別です? 差別って言葉分かります? 今の会話のどこで差別的な発言致しました? お答えください、さあ早く」

「え…いや…私が平民はだから…」
「それは先程聞きました、だからどこで差別的な発言になりましたかとお聞きしているのですよ? ルドルミー語わかりますか?」


ここまで話が通じないとかヤバいでしょこのヒロイン、前にも話したけどこれは酷いな、どんだけ私を悪く見せたいんだろうね。

「い…いい加減に…」

流石のルッソも見兼ねてヒロインの肩を持つふりをして私を静止しようとするが私は気にせずヒロインに正論破していく。

「ルッソ様っ リリアナ様が酷いんです! 見ていましたでしょ?」

「あ…? あ、ああ…確かに酷いなおしおきしなければな…」

「やっちゃってくださいルッソ様ぁ♡」

なにが「やっちゃってください」だお前を精神的に殺っちゃっていいなら殺るけど。

ジト目でヒロインを見るがそれを睨んでくると言いやがるからめんどくさい、ホントこいつめんどくさい人を陥れること大好きか。

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