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11話 チアルタ鳳凰録(下ノ巻)

キキョウ その1

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  キキョウside


私の名前はキキョウ・シュウグウジ。
チアルタの次期領主としてこの世に生を受けた。

次期領主との事だけはあって私は世間や周りの人間に期待され厳しくされて生きてきた。
1度だって両親に愛されないまま私はこの国のトップになり、ついには2年前に両親は私を置いて逝ってしまった。

悲しくはなかった、何も感じはしなかった。

ただ、「何故」という感情しか残らなかった。

あの二人が亡くなったと同時に私はこの国の大統領を引き継いだ。

民衆は歓喜を上げて喜んでくれてはいたがそれを良く思わない奴らが居た。


両親の葬式に参列しても親戚は私の事を「心無い子」「忌み子」と呼んで小さな子供には石まで投げられる始末だった。

『私が一体何をした!』

その言葉を親戚一同に投げ掛けると皆私を白い目で見てヒソヒソと耳打ちをしだす。

私はコイツらが憎い、そして私をこんな境遇にした両親が憎い。

そう思っていた。




━━━━━愛してくれない両親のせいにしていた━━━━━━


両親の命日から2ヶ月達周りも落ち着き始めたがやはり親戚の奴らは私を腫れ物扱いする。
意味がわからない、誰のおかげでこの国が成り立っているのと思っているの? 
私が結界を貼っているからチアルタが平和を保っていられるのも全て私の力があるおかげなのよ?

それをなぜコイツらはまだ私を忌み嫌う…?

意味がわからないわ。



『キキョウ様 彼らが憎いですか?』

そう言ったのは私の影のシオンだった。
『ええ! 憎いわ! 奴等は私よりも下だと言うのになぜ私を見下せるのか意味がわからないわ! 叶うならアイツらに一泡吹かせてあげたいくらいだわ!』

長年連れ添った影だから言えたことだったから私は今までの鬱憤をシオンにこれでもかと言うくらい吐き続けた。

『ありがとうおかげで心の内がスっとしたわ』
『いえいえ、私は貴女様の良き理解者ですので。』

シオンは口角を上げてニコッと微笑んだ。

『ところでキキョウ様願いを叶える炎を纏った神獣をご存知ですか?』
『願いを?』
『ええ、その神獣はカノセの巫女により封印されし素晴らしい神獣です』

願いを叶える神獣がいると聞いた私は早速カノセ神社に出向いたけどカノセの巫女は封印を解くのを頑なに拒んだ。


『何故? 願いを叶える神獣でしょ? それなら封印を解いても害はないはずでしょ?』
『あんなぁ…姫さん、何で鳳凰が封印されとるか分かっとって言っとんの?』

神獣が封印されている理由?  そんなのほかの欲深い人間の手に渡らせないためにカノセの巫女たちが封印したとシオンに聞いたわね。



『この封印は100年前から今日まで続いとるんや、まあ姫さん程度の魔力フィーネなら封印は解けんよ』

カノセの巫女は私の耳元まで近づきそう告げた。

……私程度のフィーネですって!? 巫山戯るんじゃないわよ! 誰のおかげでこの国が魔物共の進行を守っているというの!

8代目の癖に…私よりもフィーネが劣っているくせにいきがってんじゃないわよ!



『…そうだわ禁忌の指輪 アレなら私のフィーネを上昇させることが可能だわ』



願いを叶えるなら手段は選ばないわ



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