【完結】全て切り捨てて自分の幸せを掴みます~都合良い駒として生きるのはやめてやる~

かずきりり

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 苦労と苦痛に満ちた25年もの歳月を考えれば、飢えていったとしても今ここで終えれば数日だ。
 数日の苦しみで済むけれど……どうなのだろう。
 死体を隠して、私の親に金をせびる続けるのでは?
 自分達の良いように事実を改ざんしたりするのでは?

(死んだら関係ないのかな。でも親に迷惑なんてかけたくないよ……)

 諦めたら、前回の25年より更に長い年月の苦労を背負わせる事になるのではないか。
 そんな事になったら、悔やんでも悔やみきれない。死んでも死にきれないだろう。
 どうしたら良いのか、どうすれば良いのか。
 ぐるぐると頭の中は疑問だけが駆け巡り、思考として成立する考えは一切浮かばない中で、私は外へ助けを求める。

(助けて……助けて、誰か助けて!)

 それが何時になるかなんて分からないけれど、もうそれしか考えられなかった。
 人生を変えたから、別の道を選んだから。
 それでも、こんな事が起こる自分の人生に対し、自暴自棄な心も生まれていた。




「何だ、食べてないのか? もう何日目だ」

 取れない鎖。
 日の光が入らない部屋。
 唯一分かるのは食事が運ばれた回数で何日経ったのかと言う事だ。
 大地の父親は呆れたように呟きながらも新しいパンとペットボトルを机の上に置いた。
 もう三日……かな。
 机の上に置かれていく割引シールのついたパンは既に賞味期限も切れている。
 食べていないからか、何も出ていない。
 勿論、水にだって手をつけていない。
 一応ポータブルトイレを確認したおじさんは呆れたように溜息をついた。

「反抗期か? そんな事をしたって何も変わらないというのに」

 そんな事を言われても、何も返す気すら起きない。
 絶望だけがどんどん色濃くなっていく感情の中、何とか誰かが助けにきてくれる筈だと自分に言い聞かせて、それを希望に諦めないよう保っているだけだ。
 だけれど、そんな気持ちも日が経つにつれ擦り減って行く。
 お風呂にも入れない、どれだけの時間が経ったのか分からない中、喋る相手も居なければ何もやる事がない。
 悠久の時をただ単に消費しているようで、どんどん心が消耗していく。

「これを書いておけ」

 おじさんは懐から取り出した紙を広げ、ペンと共に机の上に置いた。

「大地が煩いから殴らないでいてやるが、最悪お前は麻袋を被っている状態でも良いんだからな」

 人を人とも思っていない言葉を吐き捨てるだけ吐き捨てると、おじさんは私を見る事もなく、そのまま部屋から出ていった。
 一体何だと置かれた紙を見てみると、それは婚姻届で、既に大地の欄は記入されていた。
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