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魔界編
02.やつれますよ
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オギャァアア
オギャァアアアアア
「う……産まれたのか!?」
赤ん坊の泣き声が響くと同時にピーターの声が聞こえた。微かにだがトリプルメーカーやアキの声も聞こえる気がする。
「あ……赤ちゃん!私の赤ちゃん!」
オトちゃんが自分の赤ん坊を見たのだろう、どこか安心したように息を吐くのが聞こえた。
「見てください!スワさん!私にそっくりの…………ヒッ!?」
喜ぶような明るい声の後、オトちゃんはどこか恐怖に引きつったような悲鳴を上げた。
何だろう?と思っていると、入室の許可を得たのか、ピーターやトリプルメーカーやアキの声が聞こえてきた。どうやら赤ん坊は黒目黒髪で、オトちゃんにそっくりの可愛い女の子らしい。
そうか……父親が誰かとハッキリ分かる色なんか持ってなくて、ある意味良かったのではないか?
なんて思いつつ聞いてると、男性陣が息を呑む声が聞こえた。
「スワ様!?」
「お前……どうした!?」
フェスとルークも来ていたのか、驚きと心配の声で呼びかけられるも、声を出す事すら叶わない。
「聖女様が……やつれている!?」
「さすがに大変だったのよ……」
オレグの焦り驚く声に、シロが遠い過去を思い出すかのように声を絞り出して返した。
流石に私も体力の限界。
出産に立ち会った事のない人間を立ち会わせるべきじゃない。そして何時間かかったのか分からないけれど、体感的には何日も拘束されていた気分だ。
焦るし心配になるし怒鳴られるし、あと……は、オトちゃんの名誉もあって言わないけど……立ち会い出産の時、旦那が手を握って頑張れ!頑張れ!って励ましてるの、凄いなぁって思うけど、それ直接見てないよなとも思える。
「ス……スワさん……ありがとうございます?」
オトちゃんが恐る恐るといった感じで、感謝の言葉を述べるが、何故そこで疑問形なんだと疑問に思いつつ、多分それは今の私を見てなのだろう。
疲労困憊。むしろ意識があるが目は多分白目をむいてるし、口は息するのに開いてる程度だ。
自分で自分を見る事は出来ていないが、なんとなく、とある叫びの絵を想像してしまう。
癒し……癒しが欲しい!
そんな私の気持ちを察したのか、シロが聖獣サイズになって羽毛で包んでくれた。
もうナイス胸毛!このまま私、もう意識手放したい!
そう思ったら、襲い来る眠気のようなものに抵抗する気力はなし。
「もう……無理」
「スワ様!?」
焦ったかのようなフェスの声が聞こえたが、かと言って意識が沈むのを止められるわけでもない。
私はそのまま、シロの羽毛に包まれて癒し眠りについたのだった。
オギャァアアアアア
「う……産まれたのか!?」
赤ん坊の泣き声が響くと同時にピーターの声が聞こえた。微かにだがトリプルメーカーやアキの声も聞こえる気がする。
「あ……赤ちゃん!私の赤ちゃん!」
オトちゃんが自分の赤ん坊を見たのだろう、どこか安心したように息を吐くのが聞こえた。
「見てください!スワさん!私にそっくりの…………ヒッ!?」
喜ぶような明るい声の後、オトちゃんはどこか恐怖に引きつったような悲鳴を上げた。
何だろう?と思っていると、入室の許可を得たのか、ピーターやトリプルメーカーやアキの声が聞こえてきた。どうやら赤ん坊は黒目黒髪で、オトちゃんにそっくりの可愛い女の子らしい。
そうか……父親が誰かとハッキリ分かる色なんか持ってなくて、ある意味良かったのではないか?
なんて思いつつ聞いてると、男性陣が息を呑む声が聞こえた。
「スワ様!?」
「お前……どうした!?」
フェスとルークも来ていたのか、驚きと心配の声で呼びかけられるも、声を出す事すら叶わない。
「聖女様が……やつれている!?」
「さすがに大変だったのよ……」
オレグの焦り驚く声に、シロが遠い過去を思い出すかのように声を絞り出して返した。
流石に私も体力の限界。
出産に立ち会った事のない人間を立ち会わせるべきじゃない。そして何時間かかったのか分からないけれど、体感的には何日も拘束されていた気分だ。
焦るし心配になるし怒鳴られるし、あと……は、オトちゃんの名誉もあって言わないけど……立ち会い出産の時、旦那が手を握って頑張れ!頑張れ!って励ましてるの、凄いなぁって思うけど、それ直接見てないよなとも思える。
「ス……スワさん……ありがとうございます?」
オトちゃんが恐る恐るといった感じで、感謝の言葉を述べるが、何故そこで疑問形なんだと疑問に思いつつ、多分それは今の私を見てなのだろう。
疲労困憊。むしろ意識があるが目は多分白目をむいてるし、口は息するのに開いてる程度だ。
自分で自分を見る事は出来ていないが、なんとなく、とある叫びの絵を想像してしまう。
癒し……癒しが欲しい!
そんな私の気持ちを察したのか、シロが聖獣サイズになって羽毛で包んでくれた。
もうナイス胸毛!このまま私、もう意識手放したい!
そう思ったら、襲い来る眠気のようなものに抵抗する気力はなし。
「もう……無理」
「スワ様!?」
焦ったかのようなフェスの声が聞こえたが、かと言って意識が沈むのを止められるわけでもない。
私はそのまま、シロの羽毛に包まれて癒し眠りについたのだった。
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