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魔界編

66.決意していること

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教会から出て、ブーケトスを行う。

「よっし!いっくぞー!」

淑女らしからぬ声がオトちゃんから上がると、オトちゃんは盛大にブーケを投げた。
こちらの世界で初めての試みで、ほぼほぼ皆婚約者が居るから人気はないだろうと思っていたが、おずおずと多数の令嬢が前に出ている。

「……婚約者どんだけ好きなの」
「いや、安定した地位のある男性が婚約者パターンかもしれないっすよ」

簡単な答えを出した私に対し、アキがとても現実味を帯びた答えを返してきた。とっとと安定した生活を手に入れたいという所だろうか……分からないでもない。
オトちゃんが大きく投げたブーケは弧を描き、令嬢たちは自分達の元へと言わんばかりに手を上げる。さすがに取り合うという乱闘騒ぎにはならないようだけど……なんて思っていたらシロが大きく飛び立ったかと思ったらブーケを加えた。

「「「「「え」」」」」

声を抑えた令嬢も居れば、思わず声が漏れてしまった令嬢もいたようで、何人かの呆気にとられる声が聞こえた。

「スワ様!スワ様も早くお幸せになって下さい!」
「え」

そんなシロの声と共に、ブーケは私の手の中に落ち、思わず私も呆気に取られた。
え?え?恐ろしくなって周囲の令嬢に視線を向けるが、令嬢たちは皆頷きあっていた。その声には異世界から来ていただいているし。年齢も年齢ですし。働いてばかりですし。不憫ですわ~。なんて声が……いや放っておいて!?誰!?年齢の事だしてきたの!なんて心の中で叫ぶ。
こっちの世界が結婚年齢低いだけじゃない!?現代社会ではこんな感じだよ!なんて心の中で叫んでいると、その内心を読んだのかアキが言った。

「今生きてるのは、こっちの世界っすからね……」
「じゃあアキも相当だよね」
「うっ……」

二人、肩を落としつつ、式は終わるも、この後はこちらの世界流な披露宴……じゃない、パーティが行われるという。
オトちゃんが絶対に将来ミニスカートを流行らせてやる!と言いながら意気込んでいた為、お色直しは二回するそうだ……。
多分……きっと、足元を出すだけなら、その歩きやすさから昼間のお茶会等で使用されてもおかしくはないだろう。女性のみで行われる事が多いと聞いたから、はしたないとかいう抵抗もなく。
オトちゃんのブーケを眺めながら、私は今後もうオトちゃんは大丈夫だなという確信と共に、決意している事がある。だから、このブーケは…………

『スワは幸せじゃないの?』
『シアワセ、チガウ?』
「幸せだよ」

心配そうにするクロと古龍に、私は満面の笑みで返していた。
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